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2010年7月31日 (土)

5時間を超える総力戦の死闘で引分け!

 十一十二 HE
中  日022000001000 5111
阪  神200000111000 5131

序盤の先発鶴投手の失点に対して、なかなか打線が追いつけなかったんですが、7回ウラにブラゼル内野手のホームラン、8回ウラに鳥谷遊撃手のツーベースと、苦労して苦労して追いついた時には勝ちが見えた気がしました。しかし、9回表の久保田投手投入で水の泡と消えてしまいました。しかししかしで、9回ウラに抑えの岩瀬投手から浅井外野手の執念の内野安打で1点をもぎ取り、結局、引分けでした。岩瀬投手を打って追いついたんですから、勝ちに等しい引分けと私は考えています。事情により、今夜はここまで。トラックバックは明日にお願いします。

明日も、
がんばれタイガース!

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米国の成長率はやや鈍化

昨日、米国商務省から今年4-6月期の米国のGDP統計が発表されました。ヘッドラインとなる前期比年率成長率は+2.4%と2四半期続けて成長率が鈍化しました。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

米4-6月GDP、年率2.4%増 2期連続で鈍化
個人消費1.6%増 伸び率縮小

米商務省が30日発表した4-6月期の実質国内総生産(GDP)速報値(季節調整値)は前期と比べ年率換算で2.4%増えた。設備投資の好調などを要因に、4四半期連続のプラス成長となった。ただ、伸び率は前期の改定値(3.7%)を下回り、米経済成長の減速感を映し出した。
4-6月期の実質成長率は市場予測の平均(2.5%)とほぼ同じだった。米商務省は2007年以降の数値を改定し、今年1-3月期を1.0ポイント上方修正した。この結果、実質成長率は09年10-12月期(5.0%)を直近のピークに2四半期連続で鈍化した。
4-6月期の設備投資は前期比年率で17.0%増となり、2四半期連続のプラス。企業が機械やソフトウエアの購入を増やし、設備投資はGDP全体を1.50ポイント押し上げる要因となった。在庫投資もプラスに働いた。
米GDPの約7割を占める個人消費は1.6%増にとどまった。4四半期連続のプラスだが、伸び率は前期(1.9%)よりもやや縮小した。雇用への不安が根強いこともあり、08年の金融危機の前に毎年3-5%前後の伸びを続けていた勢いはみられない。
4-6月期の輸出は10.3%増えた半面、輸入が28.8%増となり輸出の伸びを大きく上回った。輸出から輸入を差し引いた純輸出はGDP全体を2.78ポイント押し下げた。公共投資などの政府支出は4.4%増、住宅投資は27.9%増だった。総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは1.8%上昇した。

米国経済成長率のグラフは以下の通りです。季節調整済み系列の前期比年率を棒グラフで示してあります。最近は、4四半期連続でプラス成長を記録していますが、ここ2四半期はその成長率が鈍化しているのが見て取れます。

米国成長率の推移

引用した記事にもある通り、設備投資や在庫は順調に回復を示していますが、個人消費の伸びが小幅にとどまっています。雇用不安が根強い結果であり、来週の雇用統計の結果が注目されます。

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2010年7月30日 (金)

中日に競り勝ち後半戦3連勝で首位をキープ!

  HE
中  日200000000 250
阪  神02010000x 3120

阪神が中日を下して後半戦3連勝でがっちり首位キープです。
先発のエース久保投手は、1回表と8回こそやや不用意だったものの、8回途中まで初回の2失点でしたから、相変わらず盤石のピッチングでした。9勝目だそうです。2ケタ勝利が見えて来た気がします。打つ方では、4回ウラは先日の8連打を思い出させるようなシングルの連打で追い付き、4回には城島捕手のホームランで逆転します。相変わらず打線は好調で、今日も効率が悪いながら2ケタ安打でした。
私はGAORAでチェックしていて、やや盛り上がりに欠ける地味な試合だった気がしますが、中日との初戦を制した重要なゲームでした。ヒーローインタビューは久保投手と城島捕手のバッテリーでした。

明日も連勝目指して、
がんばれタイガース!

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本日発表された経済指標を振り返る

本日、経済産業省から鉱工業生産指数が、総務省統計局から失業率などの労働力統計が、厚生労働省から有効求人倍率などの職業安定業務統計が、また、総務省統計局から消費者物価指数が、それぞれ発表されました。いずれも6月の統計です。鉱工業生産指数の季節調整済み系列の前月比は▲1.5%の減産となり、失業率は上昇して5.3%に達した一方で、有効求人倍率は0.52倍まで改善しました。生鮮食品を除くコア消費者物価は下落幅がやや縮小したとはいえ、まだ▲1.0%と大幅です。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産指数、6月1.5%低下 4カ月ぶり
経済産業省が30日発表した6月の鉱工業生産指数(速報値、2005年=100)は94.7と前月比1.5%低下し、4カ月ぶりにマイナスになった。輸出の落ち込みなどが響き、輸送機械工業や電子部品・デバイス工業など幅広い業種で低下した。経産省は基調判断を「生産は持ち直しの動きで推移している」と据え置いたものの、「足踏みの動きもみられる」との表現を付け加えた。同日発表になった6月の完全失業率は5.3%と前月比0.1ポイント悪化、消費者物価指数も16カ月連続でマイナスになった。
鉱工業生産指数について、事前の市場予測の中央値は前月比0.2%上昇だったが、1.5%の低下となった。
業種別では輸送機械工業が2カ月連続のマイナスで3.0%低下した。普通乗用車や車体部品などの輸出が伸び悩んだほか、エコカー購入補助などの消費刺激策の効果も一巡したためとみられる。
電子部品・デバイス工業は4カ月ぶりにマイナスに転じ、4.3%低下。中国と韓国向けの携帯電話やスマートフォン(高機能携帯電話)関連部品の落ち込みが目立ったほか、液晶テレビなどに使う大型パネルのアジア向け輸出も振るわなかった。
化学工業や鉄鋼業なども、アジア向け輸出などが落ち込み、低下した。一方、一般機械工業は中韓向けの輸出が堅調で、3カ月連続でプラスを維持した。
併せて発表した4-6月期の生産指数は95.6と前期比1.4%上昇した。ただ1-3月期は前の期比7.0%上昇しており、全体的な生産の伸びは鈍化している。
出荷指数は2カ月連続のマイナスで96.2と0.2%低下した。在庫指数は0.7%上昇し、97.2と3カ月連続で上がった。
先行きの生産予測指数をみると、7月が前月比0.2%低下するものの、8月は同2.0%の上昇になる見通し。7月は幅広い業種で低下が予想されているが、8月以降は輸送機械工業をはじめ多くの業種で生産が持ち直すとみられている。
失業率、4カ月連続悪化 6月5.3%
総務省が30日発表した6月の完全失業率(季節調整値)は5.3%と前月と比べて0.1ポイント上昇した。悪化は4カ月連続。若年層の雇用情勢の厳しさが影響した。一方、厚生労働省が同日まとめた6月の有効求人倍率(同)は前月を0.02ポイント上回り、0.52倍だった。求人倍率の改善は2カ月連続だが、依然として水準は低い。求人には回復の兆しもみえるが、雇用は依然として厳しい情勢が続いている。
完全失業率は15歳以上の働く意欲のある人のうち、職に就いていない人の割合。男女別では男性が0.1ポイント上昇し5.6%、女性は4.9%と0.2ポイント上昇した。
年齢別の完全失業率(季節調整値)をみると、15~24歳が11.1%と前月と比べ0.6ポイント上昇したのが目立つ。学校を卒業したが就職できない人が多いほか、失業率は仕事を求めている人を分子に置いて算出するため、職探しをする人が増えているのも失業率を押し上げた。
就業者数は6280万人と前年同月と比べ20万人減少した。業種別にみると、公共事業の削減などを背景に、建設業は487万人と19万人減少した。一方で、医療・福祉は24万人増え、640万人だった。
6月の有効求人倍率は、有効求人数が前月と比べ2.7%増えたのに対し、有効求職者が1.2%減ったため改善した。新規求人を業種別にみると、宿泊業・飲食サービス業を除く、すべての業種で前年同月と比べ増加した。ただ求人が就職に結びついていないケースも多く、雇用のミスマッチは依然として解消されていないもようだ。
消費者物価1.0%下落、6月 16カ月連続
5月より下落幅縮小もデフレ状況続く

総務省が30日発表した6月の消費者物価指数(CPI、2005年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が99.3となり、前年同月に比べて1.0%低下した。マイナスは16カ月連続。食料品や家電など幅広いモノの値段が下がっている。ガソリン価格の上昇などがあり、5月に比べると下落幅は0.2ポイント縮小したが、依然として物価の下落が続くデフレの状況にある。
生鮮食品を含めた物価の総合指数は前年同月比0.7%低下した。食料とエネルギー価格を除いた総合指数(欧米型コア)も1.5%下がった。それぞれ低下幅は前月よりも0.2ポイント、0.1ポイント縮まったものの、需要不足が響きマイナスが続いている。
品目別でみると、食料品では食用油が11.6%下がったほか、スパゲティやビスケットなども安くなった。家電では薄型テレビが27.2%、ノート型パソコンも31.1%それぞれ下がった。高校の授業料無償化は0.54ポイント程度の押し下げ要因となった。一方でガソリン価格は13.6%上昇した。
物価の先行指数となる東京都区部の7月のCPI(中旬速報値)は生鮮食品を除く総合指数で前年同月比1.3%低下した。

まず、鉱工業生産指数のグラフは以下の通りです。上のパネルがヘッドラインの季節調整済生産指数の推移で、影を付けた期間は景気後退期です。下のパネルは在庫循環図です。もうすぐ第1象限に入りそうです。引用した記事にもある通り、家電エコポイントやエコカー減税・補助金などの政策効果の剥落、世界経済の減速に伴う輸出の伸びの鈍化などにより、生産は減速局面に入っています。目先の話としては、製造工業予測指数を見ると、7月も減産が続いた後、8月は少し増産に戻ると考えられています。

鉱工業生産の推移

雇用は、本来は逆に動く失業率と有効求人倍率がともに上昇し、やや錯綜した様相を呈していますが、私は基本的には雇用は改善に向かっていると判断しています。いつものグラフは以下の通りです。上から順に失業率、有効求人倍率、新規求人数です。影を付けた期間は景気後退期です。失業率だけが少しハズレの動きを示していますが、有効求人倍率と新規求人数は着実に改善を示していることが読み取れます。

雇用統計の推移

産業別に雇用者数の増減を見ると、引き続き建設業が減少しているのを別にすれば、製造業の減少幅は画期的に縮小しました。相変わらず医療・福祉で雇用が増加している他、情報通信業でも増加に転じています。以下のグラフの通りです。

産業別雇用者数の推移

最後に、消費者物価は相変わらず▲1%に達するデフレが続いています。全国のコアCPIは下落幅を縮小していますが、エネルギーに負っている部分が大きく、コアコアCPIは一向に改善に兆しすら見せません。

消費者物価の推移

月末の閣議日ということで、一気に発表された経済指標につき、簡単に見ておきました。

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2010年7月29日 (木)

今年度の「経済財政白書」は「客観的な経済分析」か「政権の宣伝文書」か?

先週7月23日付けのエントリーで軽く今年度の「経済財政白書」について取り上げましたが、朝日新聞のサイトで「政権色の経財白書 政策裏付け、揺らぐ客観性」と題して白書の客観性について論じています。まず、長くなりますが、記事をそのまま引用すると以下の通りです。

政権色の経財白書 政策裏付け、揺らぐ客観性
経済財政白書の「客観性」が揺らいでいる。前身の経済白書はかつて「白書の中の白書」といわれ、その分析に注目が集まった。ところが、今年度の白書は、子ども手当など民主党の政策の効果を裏付けようとするデータを並べ、「宣伝文書」との批判も浴びた。政権交代で経済政策が大きく転換する時代、何のための白書なのか、改めて問い直す必要がありそうだ。
今年度の白書は「民主党色」に染まったものだった。
「バブル崩壊から約20年間続く慢性的な需要不足」をデフレの最大要因とし、家計を起点に長期停滞やデフレを克服する道を探った。白書の売り物であるデータ分析では、子育て世帯の消費意欲の高さを挙げるなど、子ども手当などの政策の景気浮揚効果を暗示した。
だが、小泉内閣時代の2001年度版の白書は「不景気は需要不足なのだから、需要をつければよいという議論は説得力に欠ける」と断言。「労働力、資本、土地といった経済資源を、生産性の高い分野に振り向ける構造改革によって潜在成長力を高める」としていた。
政権交代で、処方箋(しょほうせん)が百八十度変わってしまった。
エコノミストから「客観的な現状分析を放棄してしまえば、白書を出す意味はなくなる」(小峰隆夫・法政大大学院教授)と厳しい声があがるのも、かつての経済白書は客観的な経済情勢の分析で評価を受けてきたからだ。
■注目集めた前身
初代白書である「経済実相報告書」は1947年7月発刊で、政府の白書で一番歴史がある。初代の執筆責任者は戦後日本を代表する経済学者の都留重人氏。「集めうる限りの資料や統計を基礎として、我が国経済の現状を国民に伝え、国民と一緒に問題を考えかつ解決していきたい」という理想を掲げた。
その後も、56年度版の経済白書の「もはや『戦後』ではない」という言葉が流行語にもなるなど、政府の白書としては最も注目を集めてきた。
■小泉政権から変化
それが、小泉政権時代から政治色の強いものに変わり始めた。経済白書は経済財政白書に衣替えし、内閣府は首相直属の経済財政諮問会議の事務局として執筆領域も財政・金融分野に広がった。その分、政権の政策を後押しする役割を求められるようになった。当時の竹中平蔵・経済財政相は「白書は小泉改革を経済分析面でサポートするもの」と言い切った。
そもそも官庁エコノミストが執筆する白書は、政権の意向に左右されることは避けがたい。担当者らは前年の12月ごろから、翌年度版の構成や研究テーマについて経済財政相に相談。そこで決まった方向性に従って執筆を進め、各省と協議し、最終的に経済財政相が閣議に報告する。
■読む側の意識必要
内閣府の幹部は「時の政権によって政策の思想や方向性は大きく違う。それを俎上(そじょう)に載せずに日本経済の分析はできない」と弁明するものの、「政府の組織である以上、『現政権の政策の効果がない』と言うこともなかなか難しい」と本音も漏らす。
内閣府OBの櫨(はじ)浩一・ニッセイ基礎研究所経済調査部長は「経済の現状分析は客観性が確保されることが大切だが、政策の効果や課題の分析に政権の意向が反映するのは仕方ない。政権交代時代は白書が『宣伝文書化』する。政権の考えを意識しながら読み解くようにするのが必要なのではないか」と話す。(鯨岡仁)

「客観的な経済分析」と「政権の宣伝文書」が100パーセント必ず矛盾するというわけではありませんが、控えめに言っても、ひとつの対立軸となる可能性はあり得ます。ただし、逆から見て、100パーセント「客観的な経済分析」というものがあり得るのかどうか、私は自信がありません。例えば、定量的に実証したとしても、元のモデルにバイアスがある可能性も排除できません。すぐれたエコノミストであっても、何らかのバイアスにより分析の目が曇ることはありますし、引用した記事にある通り、分析結果をそのまま公表しているとは限りません。いずれのエコノミストも何らかの信念というか、社会的経済的な規範を持っているわけですから、何らかのバイアスはかかります。もちろん、世の中には意味のない、あるいは有害なバイアスもいっぱいあります。

エコノミスト、特に官庁エコノミストの分析に関する歪み、あるいは、分析結果の公表に関する歪みという深刻な事柄について考えさせられる記事でした。

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2010年7月28日 (水)

横浜を相手に着実に首位固め!

  HE
横  浜000200001 371
阪  神00000060x 6110

今夜も夜の会議があって8時半までかかり、試合はまったく見ていません。まあ、横浜相手に着実に首位固めをしているといったところでしょうか。7回ウラにドカンと大量点で逃げ切ったこと以外は今夜もサッパリ分かりません。まあ、横浜相手ですから、安心して応援をサボれるという面もあります。

明日は3タテ目指して、
がんばれタイガース!

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The Economist の Big Mac index

最新号の The EconomistBig Mac index が報じられていますので、簡単に取り上げておきたいと思います。まず、Burgernomics: When the chips are down と題する記事から引用したグラフと表は以下の通りです。

Buns for your buck
The Big Mac index

市場における為替レートは7月21日付けとしており、簡単に見方を説明しておくと、例えば、中国 (China) の場合、上のグラフから人民元は約50パーセント、逆から見れば、2倍近い過小評価となっており、下の表からは、Big Mac で計測した購買力平価において正しいと仮定すれば、人民元の対米ドル為替レートは7月21日時点の市場レートである6.78元ではなく、3.54元と計算される、ということになります。
私が大学の講義で使っているテキストにも、為替レートの決定に関する購買力平価仮説は長期的に成り立つ可能性があるといった趣旨の記述が見られますし、いかにマクドナルドの製品やサービスがマニュアル化されていて、世界中でほぼ同等の Big Mac が提供されているとはいえ、Big Mac だけで世界の購買力平価を計測するのはムリがあるともいえますが、The Economist では年2回くらい、この記事を組んでいますので、一定の評価を得ていることも事実かもしれません。私のこのブログでも前回は3月19日付けのエントリーで取り上げました。

なお、前回の記事では、為替レートが過小評価されている方からの5か国は軒並みアジアの国が入っていたんですが、今回は最大の過小評価国としてアルゼンティンが入りました。世界に名高いクオリティ・ペーパーの The Economist のことですから、何か意図があるのかもしれません。

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2010年7月27日 (火)

甲子園で横浜に快勝し、再び首位奪還!

  HE
横  浜000100001 250
阪  神00010301x 591

今夜は大学で夜の会議があって大いに活躍していましたので、まったく試合は見ていません。前の記事を大学の研究室からアップし、9時過ぎに帰宅すると、先日の巨人戦の逆転サヨナラ満塁ホームランのご褒美で、最終回に藤川投手がハーパー選手にホームランを打たれた直後だったりしました。いいバッターです。でも、明日と明後日は打たないで、今夜だけにしておいて欲しい気もします。どうでもいいことですが、巨人が中日に負けて再び首位奪還です。

明日も、
がんばれタイガース!

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武藤文庫を見学する

長崎大学経済学部図書館武藤文庫

本日午後、長崎大学経済学部図書館の武藤文庫を見学させていただきました。上の写真は『国富論』の初版本です。長崎大学経済学部の前身である長崎高等商業学校の教授をお務めになった故武藤長蔵博士旧蔵の資料を集めたものです。経済学関係以外にも、対外交渉史関係の資料や長崎関係の資料など、広範囲な学問分野にわたり多くの稀覯書が含まれています。特に、武藤博士のご専門である経済学の古典としては、『国富論』初版本を含めて以下のものが収められています。

  1. ジョサイア・チャイルド 『貿易論』
  2. ジョサイア・チャイルド 『新貿易論』 (第4版)
  3. アダム・スミス 『国富論』 第1、2巻 (初版)
  4. アダム・スミス 『哲学論文集』 (初版)
  5. リカード 『経済学および課税の原理』 (初版)
  6. マルサス 『地代論』 (初版)
  7. マルサス 『人口論補遺』 (初版)
  8. マルサス 『経済学原理』 (初版)
  9. ヴォーバン 『王室十分の一の税』
  10. セイ 『経済学問答書』 (英訳本)

ここまでの稀覯書でなくても、経済学部の図書館には計量モデルに関する古典として名高い Klein and Goldberger の An econometric model of the United States 1929-1952 とか、同じく産業連関表に関する古典といえる Loentief et al. の Studies in the structure of the American economy: theoretical and empirical explorations in input-output analysis とか、さすがに開架はされていませんが、ライブラリアンに頼んで私も借りたことがあります。本学の歴史と伝統を感じることが出来ました。

当然ながら、同じ経済学部の敷地内にある図書館の施設なんですが、とっても感激したので「お出かけの日記」に分類しておきます。

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2010年7月26日 (月)

貿易統計から読み取る輸出の伸びの鈍化

本日、財務省から6月の貿易統計が発表されました。季節調整していない原系列の計数で、輸出額は5兆8660億円、輸入額は5兆1790億円、差引き貿易黒字は6870億円でした。ただし、季節調整済みの系列ではゆっくりと輸出額が減少に向かっています。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。主として、暦年上半期の統計に着目した記事です。

1-6月貿易黒字、3兆4009億円 輸出は4期ぶり増加
財務省が26日発表した2010年上期(1-6月)の貿易統計(速報、通関ベース)によると、貿易収支は3兆4009億円の黒字(前年同期は851億円の赤字)だった。輸出額は前年同期比37.9%増の33兆968億円で、リーマン・ショック前の08年上期以来4期ぶりに増加に転じた。伸び率は1980年上期(40.2%増)に次ぐ過去2番目。輸入額は23.3%増の29兆6959億円と3期ぶりの増加だった。
リーマン・ショックの影響で大きく落ち込んだ昨年の反動で自動車を中心に輸出の持ち直しが続いたことや、原油価格の上昇が輸出入額の増加につながった。
同時に発表した6月の貿易黒字は、前年同月比41.1%増の6870億円だった。黒字は15カ月連続で、前年同月を上回るのは13カ月連続。自動車やギアボックスなどの自動車関連部品、鉄鋼の輸出が好調だった。
財務省は、欧州諸国の財政の不透明感やユーロ安などの影響について「注意してみていかねばならない」としている。

次に、いつもの貿易統計、すなわち、輸出入とその差額である貿易収支のグラフは以下の通りです。上のパネルが季節調整をしていない原系列の統計、下が季節調整済みの系列です。凡例にある通り、水色の折れ線グラフが輸出額、赤が輸入額、緑色の棒グラフはその差引きの貿易収支です。

貿易統計の推移

輸出の前年同月比の伸びが鈍化し始め、下のパネルの季節調整済み系列のグラフで明らかなように、今年の年初くらいをピークに季節調整値では輸出は減少を始めています。しかも、この輸出の減少ないし伸びの鈍化、すなわち、季節調整値でみれば減少ですし、季節調整していない原系列で見れば伸びの鈍化となりますが、第1に、これは輸出数量に起因しています。貿易指数は季節調整していない原系列しか公表されていませんが、下のグラフは金額ベースの指数を価格と数量で寄与度分解したもので、ほとんどすべて数量指数の伸びの鈍化が輸出金額の伸びの鈍化をもたらしていることが読み取れます。ただし、第2に、これは少し前までの際立って高い伸びから通常の伸びに回帰するだけであって、大きく悲観するに当たらないと受け止めるべきです。季節調整していない原系列については、もちろん、半年くらい前までの非常に高い輸出の伸びは、さらにその前年の Great Recession からの反動ですので、その反動による高い輸出の伸びが終息しつつあると考えるべきであり、季節調整値については世界経済の回復テンポの鈍化とともに我が国の輸出も緩やかに減少しているものの、まだまだ2005年くらいの高い水準にあると受け止めています。

輸出の推移

この先の輸出を考えると、以下の通り、いつものグラフですが、輸出数量指数とOECDの先行指標のいずれも前年同月比を取り、後者だけ3か月ずらしたものを比較しています。世界経済全体が Great Recession からの回復初期のV字回復の期間を終え、潜在成長率水準に回帰して行く中で、我が国の輸出も前年同月比の伸びを鈍化させると考えるべきです。上振れリスクもいくつかありますが、欧州の財政危機、米国の金融規制、中国経済のハードランディングなど、下振れリスクもいっぱいあります。特に、中国のハードランディングについては、可能性は決して大きくないものの、どこか頭の片隅に置いておく必要があると私は考えています。

輸出数量指数とOECD先行指数の推移

最後に、ちょうど3週間後の8月16日に4-6月期のGDP速報、1次QEが発表される予定となっています。デフレータ次第ではありますが、今日の貿易統計を見ると直感的に外需のプラス寄与度はかなり縮小し、場合によっては小幅のマイナスになる可能性もあると私は予想しています。

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2010年7月25日 (日)

今野敏「隠蔽捜査」シリーズを読む

今野敏「隠蔽捜査」シリーズ

昨日は長崎市立図書館に行ったんですが、ここ1週間ほどで今野敏さんの「隠蔽捜査」シリーズを3冊読みました。上の通りです。実は、シリーズ4作目が短編集の『初陣』としてすでに出ているんですが、残念ながら、まだ読んでいません。また、7月17日付けで芥川賞を取り上げたエントリーで書きましたが、『小説新潮』でシリーズ最新作の「転迷」を連載中です。
主人公はキャリアの警察官僚である竜崎、脇を固めるのは同じくキャリアの警察官僚で竜崎と同期入庁かつ小学生のころの同級生であった伊丹です。何といっても、竜崎のキャラが独特です。本音と建前の建前しかないようなキャラです。職場では「変人」扱いされ、奥さんからは「唐変木」と呼ばれます。順調に昇進し警察庁官房総務課長まで達したんですが、警視庁大森署長に降格人事されて、所轄の刑事である戸高とともにシリーズ2と3で事案の謎解きに当たります。かなりミステリっぽい作品ですので詳細は割愛します。私は完全なミステリ以外の警察小説はあまり読んだことはありませんが、ミステリも含めてキャリアの警察官を主人公にした小説はめずらしいそうです。
その昔の『課長 島耕作』とその後の昇進シリーズでもそうなんですが、ある意味でスーパー・ヒーローの主人公が、組織内の派閥争いや何やで、何かあると「自分を失敗させ、失脚させるための罠」と思い込んだりするんですが、こういった組織のあり方は普通だったりするんでしょうか。エリート・コースに乗ったことがないからだろうと思うんですが、私にはよく分からなかったりします。

まあ、私くらいの中年のオッサンが好きそうな小説ではありますが、確かに面白かったので「読書感想文の日記」をアップしておきます。

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2010年7月24日 (土)

長崎市立図書館に出かける

私は週末のランチタイムはとっても長いんですが、特に今日はやや遅めに出たとはいえ、ランチタイムに出て図書館で本を借りて、そのまま、ランチをとった喫茶店で夕方まで読書してしまいました。本を1冊読み終えて、近くのマクドナルドに入り直して夕食を済ませてしまいました。
今日の午後は長崎市立図書館に行きました。市立図書館よりも大学からは県立図書館の方が近いんですが、建物が新しくて雰囲気がいいのと図書の所蔵が多いように私には見受けられますので、市立図書館をもっぱら利用しています。県立図書館も多分人気がないせいだという気もしますが、人気図書が貸出しになっていない場合がままあり、場所も近いので利用しています。市立図書館は私が長崎に赴任する少し前に出来たらしく、立派な図書館で洋書も十分な所蔵があり、視聴覚資料もそろっています。位置的には市役所と県庁の間くらいにあり、この暑い季節に歩く距離は長いんですが、私は夏暑くて冬寒い京都の気候で育ちましたので、雪が積もる以外の日本の気候なら苦になりません。
もちろん、私が本を借りるのは圧倒的に大学の経済学部図書館が多くなっています。経済学部図書館には武藤文庫と呼ばれる稀覯書を含む貴重な図書資料などを集めています。旧長崎高等商業学校の教授を長年務めた故武藤長蔵博士旧蔵の資料です。アダム・スミスの『国富論』の初版本があったりします。武藤博士ゆかりの経済学関係の古典だけでなく、対外交渉史関係の資料、さらには地元長崎関係の資料など、広範囲な学問分野にわたり多くの貴重な図書や資料が含まれています。さすがに、本学の歴史と伝統を感じさせます。

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2010年7月23日 (金)

本年度の「経済財政白書」をチラリと読む

本日、経済財政担当の荒井大臣が本年度平成22年度の「年次経済財政報告」を閣議に提出しました。一般には「経済財政白書」と呼ばれていることはよく知られた通りです。副題は「需要の創造による成長力の強化」とされています。以下の3章構成となっています。

第1章
着実に持ち直す日本経済
第2章
景気回復における家計の役割
第3章
豊かさを支える成長力

500ページ近いぶ厚さのリポートですし、私はまだ目を通したわけではないんですが、以下の日経新聞のサイトでいくつかのグラフとともに、他のメディアのサイトより少し詳しい要旨を報じています。

広く報じられているところですが、注目点のひとつは副題の通り、需要不足を失業の一因に取り上げたことです。p.43 では5.1%に達した2009年の失業率のうち、「需要不足失業率は2009 年時点では2%程度」と推計しています。また、下のグラフの通り、日本の財政悪化の要因としては成長率低下が大きいと結論しています。p.110 の「第1-3-9図 財政の持続可能性指標の変化の要因分解」から引用してます。

財政の持続可能性指標の変化の要因分解

また、これもメディアに注目されたところで、法人税については、日本は実効税率が約40%なんですが、OECD 諸国の中で以下のグラフに示す通り、30-40%の税率が法人税収のGDP比が最も高くなっていることが示されています。p.397 の「第3-3-27図 法人税パラドックス」から引用してます。

法人実効税率と法人税収の対GDP比

この「経済財政白書」について、もっと詳しく取り上げる機会があるかどうか、はなはだ自信がありませんが、閣議に提出されたばっかりですので、取りあえず、今夜はここまでとしておきます。

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2010年7月22日 (木)

カギカッコ付きの「勝ち組」と「負け組」についてツラツラ考える

昨夜のエントリーの続きですが、もうほとんど死語となったものの、カギカッコ付きの「勝ち組」と「負け組」についてツラツラ考えたいと思います。この言葉は、終戦直後のブラジルにまでさかのぼるのも何ですので、直接には酒井順子さんの『負け犬の遠吠え』から派生しているんだと認識していますが、私がこのブログで可能な限り使わなかったのは、すでに書いた通りです。どうしてかと言うと、単純には理由は2点あり、第1に定義があいまいだということと、第2にホントに「勝ち組」や「負け組」という表現が正確かどうか、疑問があるからです。
この言葉は自然人だけでなく法人についても使うことが出来ます。一応、自然人だけについて最初に定義を考えると、「勝ち組」=高所得者、「負け組」=低所得者、に近い概念ではないかと私は想像しているんですが、客観的な所得の多寡だけではなく、規範的な好ましいかどうかの判断とともに、さらに、別の評価も含まれているような気もします。労働時間に大差ないと仮定すれば、高所得者は限界生産性が高く、低所得者はその逆ですから、限界生産性が高いということ自体が何らかの評価が高いことに通じるものがありますし、また、限界生産性が高いということは何らかの希少性の高いスキルを身につけているということであり、評価が高いことも理解できなくもないんですが、違和感を覚える部分も残されています。
次に正確性を考えると、競争の勝ち負けを示唆する表現だと受け止める人は少なくないと私は考えていますが、繰返しになるものの、自然人だけを対象に限定すれば、限界生産性の高低は競争とは関係ないかもしれません。もっとも、労働市場からさかのぼって受験における競争という捉え方も出来ます。私は実証したことはありませんが、大学入試のいわゆる偏差値と卒業生の所得の間には正の相関があるかもしれません。少なくとも、節税目的のワンルーム・マンションのセールス電話の一部は、この仮説に基づいてなされていることを私自身が体験したことがあります。
さて、効率的な分業がなされていれば、長期には所得におけるかなりの平等が達成されると私は考えています。控えめに言っても、クズネッツの逆U字曲線は経済発展の結果としてのより高い平等度合いの達成を示唆していると考えるエコノミストは少なくありません。すなわち、もしも「勝ち組」の基礎に希少性の高いスキルがあると仮定すれば、そのスキルを身につけようとする人が増えるハズですし、その結果、そのスキルは希少性を減じることが考えられます。なお、このスキルには『キャッチャー・イン・ザ・ライ』的な大人の世界の「インチキ」を含めて考えることも出来ます。ですから、エコノミストの好きな定常状態ではかなりの程度に所得の平等が達成されており、現在はこの定常状態に向かっている移行期間であると考えることも出来ます。もちろん、この移行期間において社会的に許容されない不平等が存在するのであれば、市場経済では短期的に所得分配の格差を是正することは不可能ですから、政府が所得再分配を実施する必要があります。ただし、長期に市場が所得分配の平等性を高めるとしても、大前提は効率的な分業がなされていることであって、例えば、封建的な身分制の下で世襲制により職業が相続されて行くような場合、また、別の要因で効率的な分業が阻害される場合、所得の平等性が高まらないことは言うまでもありません。

最後に、定義に戻れば、「勝ち組」や「負け組」といった言葉は世間の耳目を引きつけるのには有効かもしれませんが、議論する場合はある程度の定義も必要ではないかという気がします。例えば、最初に引いた酒井順子さんの『負け犬の遠吠え』では「どんなに美人で仕事ができても、30代以上・未婚・子ナシは『女の負け犬』なのです。」という表現があります。私も九州の人の神経を逆なでするような「歪んだ郷土愛」という言葉を使いますが、一般的にポンと言葉を投げ出すのではなく、例えば、昨夜のエントリーでは「批判的な論評を受け入れにくくしているという意味」で使っている旨を明記するように心がけています。

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2010年7月21日 (水)

経済学のオカルトについてツラツラ考える

やや旧聞に属する話題ですが、海の日を含むこの3連休に私の奉職する大学でオープン・キャンパスのイベントがありました。オープン・キャンパスの主たるターゲットである高校生や保護者向けに Professors List と題するパンフレットを作成し、私のパートは「経済学の『オカルト』退治に出かけませんか?」と題されています。私が適当にしゃべった内容をプロのライターさんがまとめたんですが、常々、このブログでも「経済学にもオカルトは存在する」と私は主張しています。自然科学の分野だけでなく、社会科学にもその分野に対応したオカルトは存在します。
ツラツラと、この経済学のオカルトのよって来たる背景というか、原因めいたものを考えると、3つほど思い当たるフシがあります。もっと別にもありそうな気がしますが、取りあえず考えつくまま、第1に、マクロ経済に関する無理解です。私の感想に過ぎませんが、さすがに、キャプラン『選挙の経済学』にあるようなマイクロな市場に関する無理解は、経済学のオカルトの原因としては少ないように感じています。しかし、マクロ経済に関するちょっとした誤解はあります。典型的には、以前もこのブログで取り上げた失業と自己責任です。それ以外にも、例えば、両極端に位置する2つの考え方は、中央銀行を含む統合政府はマクロ経済を自由にコントロールできるという幻想と、逆に、何も実体的な影響を及ぼし得ないとするドグマです。前者からは赤字財政に傾きがちなバイアスを生じる可能性があり、経済合理性を超えた大きな政府論を指摘できますし、後者からは極端に市場原理主義的な小さな政府論が生まれます。第2に、外国や通商・交易の利益に対する無理解です。長崎でよく聞く「じげもん」や「地産地消」は決して意味がないわけではありませんが、交易の利益をやや軽視しているように私には見えます。あるいは、証券市場の国際化を国内市場における外国人トレーダーの取引ウェイトの増加と定義しても、彼らの本国における意志決定を無視して単なるノイズやかく乱項と捉えては、国際化の本質を見誤ります。第3に、前の点とやや関係しますが、分業の利益に関する無理解です。経済学が自然科学と圧倒的に異なるのは、個人、家計、企業、もちろん、グローバル化が進んだ現代では一国の国民経済でさえ分業に基づく協業体制の中にあり、言い方を変えれば、「他人と同じことをしても成功しない」ということです。一時流行した表現で「勝ち組」と「負け組」という言い方があり、私はこのブログでこれを可能な限り使わないように慎重に対処しているつもりですが、あえてカギカッコ付きで用いると、「勝ち組」のマネをしても「勝ち組」になれるとは限らないということです。私は効率的な分業の下では「勝ち組」と「負け組」はあり得ない、というか、表現として正確ではない、と認識していますが、この点については別の機会に日を改めて取り上げます。
特に、最後の第3点は、私のような東京から来た日本経済についてはともかく、地域経済の専門家でも何でもない「桃源郷の短期滞在客」から見れば、エコノミストとして専門的な教育を受けていない可能性のある長崎や九州の人たちの間では広範に観察され、かなりバイアスのかかった郷土愛が分業の利益を無視するように仕向けているようにすら見受けられるケースもあります。場合によっては、専門的な教育を受けたエコノミストの分析を曇らせる原因にもなりかねません。大雑把に、私がこのブログで長崎経済や九州経済を辛辣に論評した際の反論は、内容はともかく感情的な動機に基づいている可能性があるんではないかと思わせる意見がほとんどです。動機だけでなく内容的にも感情論で押し通す場合の特徴は、批判や論評を受け入れずにバカボンのパパよろしく「これでいいのだ」で終わっていることです。今いる長崎を別にすれば、私は日本国内では京都と首都圏しか住んだことはありませんから、この批判的な論評を受け入れにくくしているという意味の「歪んだ郷土愛」がその他の地域にも普遍的に存在するのか、九州だけなのかは分かりません。

批判や耳の痛い意見に接すると、私のような京都の人間は口先では前向きに受け止めたような振りをして、実は、自分でよく斟酌して受け入れたり、まったく無視したりしますが、九州的なダイレクトな対応は、ある意味では健全であり、別の意味では京都的なセンスはないと受け止めています。

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2010年7月20日 (火)

不振だった若大将の逆転サヨナラで広島に競り勝つ!

  HE
広  島0000101002 490
阪  神0002000003x 5101

今夜はいろいろあった後、8時半になってようやく帰宅したら、何と、同点に追いつかれているではありませんか。とうとう9回表には藤川投手までつぎ込んだことを確認したりして、洗濯物を取り込みながら、チラチラと野球をチェックします。4試合連続で完封負けを喫した広島打線にお付き合いするかのような低調な打線でしたが、最後の最後にクライマックスが控えていました。
まあ、9回の藤川投手投入は、そのウラの攻撃で4番新井内野手から始まる打順を考え、9回で決着をつける、延長戦にはしない、という指揮官の強い意志の表れでだったんですが、結果的には、重量打線がそれに応えられませんでした。ブラゼル内野手に代走を出しながら、結局、延長戦に入ります。そして、運命の10回に安藤投手がつかまり2点を献上します。この時点では、3番打者にスクイズのサインまで出した広島の指揮官の執念に負けたともいえます。
しかし、今年の阪神はこれで終わりません。10回ウラに代打林選手のホームランが出て1点差に詰め寄った後、息もつかせず関本選手のヒット、代走大和選手を出して、最後は若大将鳥谷遊撃手の逆転サヨナラのホームランで試合をひっくり返してしまいました。早大時代に慣れ親しんだ神宮ではノーヒットだったんですが、昨夜の試合の最後の打席でようやく1本出て、今夜は逆転サヨナラのヒーローです。明日も、そして後半戦も阪神重量打線の切り込み隊長として大いに期待が高まります。

明日は3タテ目指して、
がんばれタイガース!

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アジア開発銀行の経済見通しをどう見るか?

本日、アジア開発銀行 (ADB) から興味深いリポートが2本発表されました。まず、Asian Development Outlook (ADO) 2010 に対する ADO Special Note で、4月の経済見通しを上方改訂しています。また、Asia Economic Monitor では現在までのアジア新興国・途上国のV字回復から景気刺激策の終了 (unwind) を呼びかけています。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

アジア成長率、7.9%に上方修正 10年、東南ア回復
アジア開銀見通し 中印は据え置き

アジア開発銀行(ADB)は20日、アジア太平洋地域(日本など域内先進国除く)の2010年の実質経済成長率が7.9%になるとの見通しを発表した。シンガポールなど東南アジア諸国連合(ASEAN)の輸出が伸び、4月時点の前回見通しを0.4ポイント上方修正した。地域経済のけん引役である中国とインドの成長率は据え置いた。
国・地域別では、ASEAN10カ国について6.7%と同1.6ポイント上方修正。電子機器や医薬品の輸出が増えるシンガポールは12.5%と伸び幅が前回の倍近くになった。同じく輸出主導型のマレーシアやタイも回復の勢いを増す。
中国の成長率は上半期(1-6月期)に、前年同期比11.1%増とADBの見通しを上回っているが、4月に導入した住宅ローン規制による不動産開発投資の減速などを考慮し通年見通しを変えなかった。インドも1-3月期に8.6%と高い伸びを示したが、前回と同じ見通しとなった。要因には言及していないが、5月の鉱工業生産の伸びがやや鈍るなど下振れリスクにも配慮したとみられる。
中央アジアは4.8%、太平洋島しょ国は3.8%とそれぞれ0.1ポイント上方修正した。全体、各国・地域とも、11年の見通しの修正は次回発表(9月)以降に持ち越した。
輸出先としてアジア地域の成長に影響を及ぼす先進国の10年の成長率については、日本を2.8%、米国を3.0%と前回見通しに比べそれぞれ1.5ポイント、0.6ポイント上方修正した。欧州(ユーロ圏)ついては0.8%と同0.3ポイント下方修正。欧州の財政危機の影響は、中国、ASEANでは限定的にとどまるとしている。

次に、ADO Special Note の p.2 から成長率の総括表を引用すると以下の通りです。引用した記事にもある通り、中国とインドが据え置かれた一方で、東南アジアは大きく上方改訂されています。なお、このリポートは2ページだけのごく短いものです。

GDP growth rate for developing Asia, 2010

さらに、Asia Economic Monitor から私の目についた範囲で、いくつかグラフを引用しておきます。Great Recession からアジア新興国・途上国が順調にV字回復している姿として、p.4 には Figure 1: Regional GDP Growth - Emerging East Asia で成長率を示しています。以下の通りです。

Regional GDP Growth - Emerging East Asia

また、私が着目したのは、大きく落ち込んでいたASEANへの資本流入が回復していることを示す以下のグラフです。p.13 から Figure 20: Net Financial Flows - ASEAN-4 を引用しています。

Net Financial Flows - ASEAN-4

結論に持って行くために、フローとストックの東アジア新興国の財政赤字をギリシアなどのユーロ圏諸国と比較したのが以下のグラフです。日本と比較すると効果が薄いと判断されたんだと思います。当然です。p.21 の Figure 29: Public Debt and Fiscal Balances - Emerging East Asia1 and Selected eurozone Countries から引用してます。

Public Debt and Fiscal Balances - Emerging East Asia and Selected eurozone Countries

最後に、リポートの結論となる章のタイトルは "Unwinding Policy Stimulus: Options for Emerging East Asia" と題して、景気刺激策の終了と正常化を呼びかけています。時期や速度については産出ギャップなどによるとしていますが、私が特に興味をひかれたのは、当然と言えば当然ながら、先進国の "Fiscal First and Money Second" は通貨の減価と経常収支不均衡の縮小をもたらす、と極めて率直に指摘していることです。

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2010年7月19日 (月)

復活した金本選手の虎の子ツーランをスタンリッジ投手が守り切る!

  HE
広  島000000000 021
阪  神00002000x 230

6時少し前に両軍のスタメンを見た瞬間、やや広島ファンには失礼ながら、これは相手にならないと感じました。広島先発のジオ投手というのはまったく知りませんでしたが、打線では3番4番が3割を打っているものの、栗原内野手も外国人打者もおらず、シーズン半ばでホームランを10本打っている選手が皆無でした。今シーズン無安打の野手もスタメンに名を連ねている始末です。これでは久保投手と下柳投手に次ぐ阪神投手陣の3番目の柱になりつつあるスタンリッジ投手を打てるわけもありません。足でひっかき回すのも1回表にあっさりと盗塁失敗で封じられました。2桁ホームランの打者がズラリと並ぶ阪神重量打線を相手にするのであれば、2-3点くらいはハンディを上げないと、まともな勝負が出来ないんではないかと心配してしまいました。
先発スタンリッジ投手は私の予想通りにスイスイと投げて、貧弱な広島打線相手とはいえ、2安打無四球の完璧な投球でした。ピンチらしいピンチは4回くらいのものでした。しかし、案外と広島投手陣を阪神打線が打てません。結果的に、いい勝負になりました。私にとっては未知数のジオ投手に4回までパーフェクトに抑え込まれていた阪神打線でしたが、アクシデントで岸本投手に交代した瞬間、昨夜あたりから復活しつつある金本外野手がツーランを見舞い先制したのがすべての得点でした。何と、両軍あわせて5安打、フォアボールも金本選手のホームランの前に新井内野手が選んだひとつだけと、投手戦か貧打戦かは評価が分かれるものの、2時間半足らずの極めて短時間の試合であったことは確かです。金本選手のホームランを別にして、少ないヒットの1本を鳥谷選手が8回ウラにかっ飛ばしたのは収穫と言えます。もっとも、盗塁死しましたが、十分評価できる果敢な走塁でした。

明日はガンガン打ち勝つべく、
がんばれタイガース!

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2010年7月18日 (日)

終盤、怒涛の長打攻勢で東京ヤクルトを爆砕し再び巨人に肉薄!

  HE
阪  神000000614 11131
ヤクルト000200200 490

初回の満塁のチャンスに金本外野手に回って無得点で終わって、やや嫌な雰囲気を残し、案の定、先発メッセンジャー投手が4回に2点を取られたものの、ラッキーセブンに怒涛の長打攻勢で逆転します。8回には城島捕手の連夜のホームランで加点した後、9回にもマートン外野手のツーベースと大和内野手の満塁走者一掃のスリーベースで東京ヤクルトを爆砕し、再び巨人に0.5ゲーム差と肉薄しました。7回の長打攻勢の中で、たった1人のシングル・ヒットがホームラン・ダービーのトップを走るブラゼル内野手というのも奇妙な気がします。昼間の横浜球場で、クルーン投手から9回ウラ逆転サヨナラ満塁ホームランをかっ飛ばした横浜ハーパー選手のアシストも大きかったと言えましょう。
打つ方では金本選手のスタメンでベンチを温めていた林選手が代打で存在感を示し、金本選手も2安打と気を吐きました。平野選手とマートン外野手は相変わらず好調を維持しています。大和内野手も9回によく打ちました。ただし、鳥谷遊撃手に当たりが止まっているのがやや気がかりです。投げる方ではメッセンジャー投手は先発として6回2失点ですから十分な働きと言えます。先々週まで、日曜日にはフォッサム投手が大炎上して大負けというパターンが続いていましたので、はるかに心強く感じます。しかし、2番手渡辺投手がピンチを招き、3番手藤原投手が青木選手に打たれて7回ウラに2点を献上します。青木選手は好調を維持して、この後の巨人戦でも活躍していただきたいものです。その後は7回途中から8回まで久保田投手が危なげなくゼロに抑え、最後は大差を背負って安藤投手がエラーのランナーは出したものの締めました。どうでもいいことですが、例の笠原審判は今夜はセカンドにいました。私の目には特にヘンなジャッジはなかったように見受けました。

オールスターを控えた明日からの広島3連戦も、
がんばれタイガース!

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日本全国梅雨明け

長崎の青空

昨日から今日にかけて、日本全国で梅雨明けしました。長崎では昨日も今日も最高気温は30度を超え、ピーカンのお天気が続いています。日本のです。

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2010年7月17日 (土)

序盤から大量点でヤクルトを圧倒!

  HE
阪  神024021000 9120
ヤクルト001030010 572

どうも、神宮球場のヤクルト戦は情報が届くのが遅く、昨夜はまったくチェックしておらず、金本選手がスタメンに復帰したというくらいしか知りませんでした。またしても、ヤクルトに負けたらしいです。金本選手は今夜も6番レフトでした。安藤投手も中継ぎで1回を投げ切ったとか。
昨夜の話題はそれくらいにして、今夜は先発に久保投手を立てて序盤から大量得点でヤクルトを圧倒します。9回にはツーアウトからピンチを招き、藤川投手が最後の1人を打ち取りました。8回までの久保投手に関して言えば、3回のアホな暴投と5回の不注意なスリーラン被弾と8回の失点がなければ、藤川投手にマウンドを譲ることもなく、楽勝で完封勝利でした。もっとも、こんなムチャな計算をすれば、ほとんどの投手が完封勝利になってしまいそうな気もしますが、8回5安打で5失点ですから、アホな失点が多かったのも事実です。
打つ方は中軸がしっかり打ちましたし、2ケタ安打の9得点は阪神打線の実力そのものと言えましょう。心配なのは金本選手がややムリをしている雰囲気があり、打線全体で打てなかった昨日はともかく、今夜も4回バッターボックスに立ってノーヒットでした。見ていないので分かりませんが、守備はどうだったんでしょうか。私自身は金本選手に阪神でのプレーを続けて欲しい気もしますが、日本球界全体や何よりもご本人のことを考えれば、そろそろDH制のあるチームでプレーすることを考慮すべき時期が来ているような気もします。

明日も、
がんばれタイガース!

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いよいよ佳境に入った「ゲゲゲの女房」からマンガに関するうんちくを傾ける

私が毎朝楽しみに見ているNHKの連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」がいよいよ佳境に入って来ました。先週末に再び村井家を訪れた大手出版社のマンガ雑誌編集者から、今週になって短編読切りを依頼され、なけなしのお金で質流れのテレビを買って研究を重ね、「テレビくん」を書き上げた際には巨額の原稿料に驚いたり、順調に収入を伸ばして質草をすべて引き出した上に、マンガ賞を授賞されて式典に新調の背広で出かけていく、というところで今週は終わりました。予告編を見ると、来週はプロダクション設立のようです。
ある程度、マンガやマンガ雑誌に関する知識があれば、ほぼ実話に基づいてドラマが進んでいるのが分かります。水木マンガがデビューした『ゼタ』とは『ガロ』のことであり、ドラマの雄玄社は講談社、「少年ランド」は「少年マガジン」のことです。昭和40年当時には集英社の「少年ジャンプ」はまだ発行されておらず、「少年マガジン」は小学館の「少年サンデー」にかなり水を開けられていました。「テレビくん」が受賞したのは、実際には講談社児童まんが賞で、「テレビくん」の翌年には石ノ森章太郎さんの「サイボーグ009」、さらにその次の年はアノ「巨人の星」ですから、賞の権威のほどが想像できます。
私のようにこういった背景を知っているとドラマが面白くなりますが、他方で、物足りなさも感じないでもありません。マンガの世界で画期をなした『ガロ』とは、白土三平さんの「カムイ外伝」のために出版された雑誌であるとか、手塚治さんと「少年マガジン」の間に起こったW3事件とか、全く触れられていません。もちろん、水木しげるさんの奥様の目から見たドラマですし、いわゆる全共闘世代のゴタゴタも含まれていますので、割愛も止むなしかという気もします。

「ゲゲゲの女房」壁紙最後に、NHKのサイトで「ゲゲゲの女房」の壁紙をアンケート回答者にプレゼントしています。左の画像の通りです。見れば分かる通り、調布の水木さん宅の当時のマンガを描く作業部屋の写真です。ものすごく精巧な構成でびっくりしました。来週にはプロダクション設立でこの部屋はなくなってしまいますから、明日までの期間限定のようです。私はもちろんダウンロードしました。ご興味ある方はお早めに。

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2010年7月16日 (金)

第143回芥川賞は赤染晶子さんの「乙女の密告」に授賞

「小説新潮」2010年6月号

昨夜、第143回芥川賞の選考委員会が開かれ、芥川賞を赤染晶子さんの「乙女の密告」に授賞することを決めました。誠におめでとうございます。「小説新潮」2010年6月号の掲載です。芥川賞は前回の第142回が該当なしでしたので、たった1回ながら、ずいぶんと間が空いたような印象を受けます。
実は、私は「小説新潮」6月号ですでに「乙女の密告」を読んでいます。「小説新潮」には「110枚」と銘打たれていたように記憶しています。大学の本部キャンパスに所蔵している軽雑誌コーナーで1時間足らずで読みました。いつもは、「文藝春秋」で選評とともに読むんですが、今回は機会があって先に読んでしまいました。最近の「小説新潮」には今野敏さんの隠蔽捜査シリーズ4「転迷」の連載が始まっているんですが、なぜか、この号だけはなかったのを覚えています。まあ、私くらいの中年のオッサンの好きそうな小説かもしれません。
話を赤染晶子さんの「乙女の密告」に戻すと、京都の外国語大学のドイツ語専攻の女子大生を主人公に、「アンネの日記」をバックグラウンドに流し、川上未映子さんの作品のような軽快な京都言葉を駆使した会話でユーモアを醸し出しています。でも、関西弁の会話に頼った作品ではありません。一言で表現すると、ドイツ語のスピーチのために、かなり風変りな外国人教授が学生である乙女に対して行うスパルタ教育を描いています。私も大学教授になって、経済学部生にスパルタ教育を施そうと考えないでもなかったんですが、長崎大学では諦めました。少なくとも、私はお人形にモーツァルトを聞かせたりはしません。それはともかく、「乙女」というところがポイントです。しばしば、乙女には真実よりも噂の方が重要という指摘が見られるんですが、このあたりは私には理解が及ばなかったりします。しっかりした文体とよく考えられた構成、ペダンティックな雰囲気も併せ持ち、芥川賞にふさわしい出来栄えの作品といえます。「乙女」に関係のない人も含めて、多くの読書人にオススメします。

なお、いつも、芥川賞のついでの扱いで申し訳ありませんが、直木賞は中島京子さんの『小さいおうち』(文藝春秋) に授賞です。以前から感じていることですが、直木賞に限っては文藝春秋社刊の本が圧倒的に多いような気がします。実は、今回ノミネートされた中に、本屋大賞を受賞した冲方丁さんの『天地明察』(角川書店) があったので、私は密かに期待していたんですが、選に漏れたようです。誠に残念。『天地明察』はそのうちに読みたいと考えています。

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2010年7月15日 (木)

IMF 2010 Article IV Consultation の結果をどう読むか?

昨日、国際通貨基金 (IMF) から 2010 Article IV Consultation の対日審査結果が公表されました。このブログではすでに審査終了時の5月24日付けで取り上げているんですが、IMF の理事会で承認された最終的な審査結果のようです。pdf ファイルにより以下の2つのリポートが明らかにされています。今夜のブログでは上の方の Staff Report を中心に見ておきたいと思います。

日本で注目されたのは、2011年度から少なくとも10年間、消費税の引上げに着手すべきとの提言部分で、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

消費税、11年度から段階上げを 日本にIMF提言
国際通貨基金(IMF)は14日、日本の経済・財政状況に対する年次審査報告を公表した。先進国で最悪の財政状況を踏まえ、2011年度からの段階的な消費税率引き上げなどの具体策を提言。消費税率が「15%になれば国内総生産(GDO)比で4-5%の歳入増になる」と例示した。参院選の民主党敗北で国内では消費税論議が後退しているが、海外では増税を軸とする財政再建の圧力は衰えていないことを表している。
報告書は、欧州の信用不安により日本の公的債務への懸念が強まっていると指摘。景気回復への影響に配慮しつつ、財政再建を進める必要があるとした。IMFは5月の対日声明で日本に消費税増税を求めたが、今回は複数のケースを想定し、財政再建の手法などを示した。
IMFの改革シナリオでは向こう10年の名目成長率を2%程度とし、11年度から17年まで4回に分けて消費税率を計10%引き上げる。社会保障費圧縮なども実施。15年から政府債務のGDP比率を徐々に引き下げる。
IMFは消費税上げを14年とする先送りシナリオも示したが、この場合、財政収支の改善が遅れ政府債務の水準が長く高止まりする。増税などを実施しないケースでは政府純債務のGDP比率は10年の121%から30年には250%に膨らむとしている。
増税などの財政改革の景気への影響についても試算。当初、3-5年間は成長率を年0.3ポイント程度押し下げるが、その後は公的債務減少による信認向上が投資や消費の増加につながると指摘。経済成長が加速するとの見方を示した。
日本政府は6月、20年度までに国・地方の基礎的財政収支を黒字化し21年度以降は債務残高を低下させる目標を打ち出した。IMFは報告書の分析のなかで「重要な一歩」としつつ、黒字化までの期間が長いとの認識を示した。増税などの具体策まで明確化しなければ、公的債務への監視を強めている市場の信認を得にくいと判断しているとみられる。

以下、繰返しになりますが、Staff Report を主として見ると、まず、日本の財政支出の現状について p.11 に以下のグラフを示し、今世紀に入ってから社会保障給付が大幅に伸びていることを明らかにしています。私の従来からの主張である高齢者優遇策の一つの表れであるといえますが、報道ではあまり触れられていません。

Japan: General Government Nominal Expenditure

その上で、広く報道に取り上げられたように、p.12 第14パラで "Fiscal adjustment should begin in FY2011 to capitalize on the cyclical recovery and be sustained for at least a decade." と強調しています。来年度2011年度からというのは、早ければ早いほどいいという意思表示でしょうし、少なくとも10年間は継続する必要があるというのは、それほど日本の財政は重症であるということです。その点に関し、Appendix の p.32 には2030年までの日本財政の持続可能性について、3つのシナリオに沿って以下のグラフのような推計を示しています。

Japan: Net Public Debt

もちろん、消費税増税は短期的には成長率にマイナスの影響を及ぼしますが、長期的にはむしろプラスであると主張し、p.13 Box 2. Estimating the Growth Impact of Fiscal Adjustment で以下のように、2020年までの実質成長率の推計結果をグラフで示しています。

Real GDP Growth

そして、5月24日付けのエントリーと同じなんですが、結論として、p.14 Potential Options for Gradual Fiscal Adjustment Over Next 10 Years と題する以下の表で消費税率15パーセントを推奨しています。

Potential Options for Gradual Fiscal Adjustment Over Next 10 Years

最後に、ほとんど報道では取り上げられていませんが、財政政策に関する Mapping A Credible Fiscal Reform Strategy に続いて、金融政策では Monetary Policy Options to Combat Deflation と題して、以下のグラフを掲げて、ゼロ・インフレ期待、デフレ期待が広がっていることを懸念し、"While deflation pressures are easing, a slow recovery carries risk that deflation could become more entrenched." あるいは、"Additional easing measures could address deflation risks and support the recovery."としていますが、日銀の成長金融を追認する内容になっています。IMF と OECD ではかなり日銀の金融政策に対するスタンスが異なるようです。

Share of Respondents with Deflationary Five-Year Inflation Expectations

何となく、5月24日付けのエントリーと同じような内容なんですが、国際機関のリポートを取り上げるのはこのブログの特徴ですし、ここ2-3日の国債に関する記事の延長でもあるので、簡単に見ておきました。

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2010年7月14日 (水)

政府の公債と民間の借金はどこが違うか?

最初に一言だけ、昨夜のエントリーの最後に、「国債残高を減少させるには4つの方法があります。第1に支出削減、第2に増税、第3にインフレ、第4に債務放棄、すなわち、デフォルトです。」と書きましたが、第5の方法として、国有財産・資産の売却が抜けていると感じられるかもしれません。しかし、この場合の国債残高の減少とはネットで考えています。ですから、国有財産・資産の売却を行っても、グロスの国債残高は減少しますが、両建てになっているので、ネットの国債残高は減少しません。念のため、申し添えておきます。
ということで、今夜は政府の国債と民間の家計や企業の借金とは何がどう違うのかを考えたいと思いますが、さらにその前に、そもそも国債発行とは何なのか、について考えます。これは単純で、国債発行とは政府の歳入であり、租税に代替する収入の手段です。ですから、国債発行とは租税徴収の先送りであり、減税に他なりません。従って、国債の償還を担保するものは有形の国有財産・資産ではなく、無形の租税徴収という公権力の行使です。政府について民間企業と同じような損益計算書や貸借対照表を考えることは、決して無意味ではないものの、貸方だか資産だか、私はよく知りませんが、租税徴収権限が入っていなければ、大きな意味はないと考えるべきです。貸方だか、資産だかには、将来の租税収入流列の現在割引価値が入るべきなのかもしれません。でも、そんな数字はどこまで確からしいのか、誰も分かりませんから計上のしようがないんだろうと私は考えています。
前置きが長くなりましたが、本題に戻って、政府の国債と民間の家計や企業の借金とは何がどう違うのかを考えたいと思います。なぜなら、多くの国債残高に関する議論で混乱が見られるのは、この政府の国債残高と民間経済主体の借金を同一視しているからだと私は受け止めています。何といっても、債務不履行 (default) になった場合の扱いがまったく政府と民間では異なります。例えば、民間企業が債務不履行になった場合、裁判所の命令に基づいて政府の強制力を背景に、換金可能な資産を差し押さえて債務の一部なりとも強制履行させられるとともに、法人としての企業は市場から退出します。しかし、政府の国債や借入れの場合、対応がまったく異なります。相手が外国政府で対外債務の場合、国際慣習法に基づく主権免除 (sovereign immunity) が適用されますし、国内債務に関しても実質的に債務の強制履行は免除されていると考えられます。そもそも、政府は強制執行する際に公権力の背景となっているわけですから、自分で自分の首を絞めるわけはありません。もちろん、借金に対する債務不履行により政府が消滅するハズもありません。ですから、政府は公債発行に傾くバイアスがあると考えるべきです。Reinhart and Rogoff (2009) This Time is Different: Eight Centuries of Financial Folly (Princeton University Press) ではタイトル通りに800年間を分析対象にしていますが、延々と政府は借金をしては、何度も債務不履行に陥っています。世界の先進国の中でも、日本は特に公債発行のバイアスが強いため、現在のような大きな公債残高を抱えていると解釈されますから、当然ながら、日本政府が債務不履行にならないという保証はないと受け止めるべきです。

最後に、政府が借金を重ねた末に踏み倒してもとがめられることのないアブナイ貸出し先だと分かっていても、どうして、公債が売れるんでしょうか。これはパズルです。私が知っている範囲で、対外債務の場合を取り上げた参考文献を引用しておきます。

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2010年7月13日 (火)

総力戦の延長戦を落とす!

 十一十二 HE
読  売002000200003 7140
阪  神000400000002 6131

さあ、いよいよ今夜から巨人と首位攻防の天王山3連戦です。私は6回ころからチェックし始めます。まず、先発はスタンリッジ投手。3回に2点取られますが、4回には中軸が打ってひっくり返し、逆に2点差をつけます。スタンリッジ投手は4回からはランナーを出しつつも危なげないピッチングだったんですが、7回にやや不運が重なって2点取られて同点に追いつかれます。8回4失点で自責点2であれば合格点と言えます。9回表は同点で藤川投手を投入し、ノーアウト2塁3塁から鬼気迫るピッチングを披露します。10回は久保田投手がピンチを招きながらもゼロで抑え、そのウラの1番からの攻撃に期待がかかりますが、1番鳥谷遊撃手がヒットで出て、2番平野選手がバントで送って、3番マートン外野手が敬遠され、4番新井内野手がゲッツーと絵に描いたような攻撃で終わります。11回ウラにはジャイアンツがクルーン投手をブラゼル内野手にぶつけて来ましたが、低めのフォークに3回回って三振に倒れます。12回表には誰を出すのかと思えば西村投手でした。アッサリとスリーランを食らって撃沈してしまいました。12回ウラに鳥谷遊撃手のツーランで反撃も、さすがに延長戦でスリーランを食らっては追いつけません。アホらし。

明日は、
がんばれタイガース!

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参議院で与野党逆転したねじれ国会は日本の信用力にマイナスか?

一昨日の参議院選挙の結果を受けて、昨日、米国格付会社の Standars & Poor's が「日本の財政再建に向け、政権運営の安定化が重要な課題に」と題するプレスリリースを出し、「日本の格付けを引き下げる可能性」について言及しています。少し長くなりますが、以下の通り全文を引用します。

日本の財政再建に向け、政権運営の安定化が重要な課題に
日本 (AA/ネガティブ/A-1+) が参議院選挙後、財政再建に向けて有意義で持続性のある改革を実施するうえで、政権運営の安定化が重要な課題になる。連立与党は参院で過半数議席を獲得できなかったため、いわゆる衆・参議院の「ねじれ現象」に直面する見通しである。日本が有意義で持続性のある財政改革を実行するには、強固で安定した政策基盤が必要であり、特に政策基盤の安定化は、「ダブルA」の格付けの維持にとって重要な要因になるとスタンダード&プアーズは考える。
昨日の参院選の結果、民主党が獲得した議席数は44と、改選前の54を下回った。非改選議席62を合わせた民主党の議席数は106、国民新党の非改選議席3を合わせても109と、連立与党の議席数は過半数を割った。
野党党首が連立政権への参加の可能性を否定していることから、「ねじれ国会」のもとで法案審議がこう着状態に陥る可能性が高い。参院で否決された法案を衆院での再議決によって成立させるには3分の2の議席が必要だが、連立与党の衆院議席数はこれに満たないため、難しい国会運営を迫られる。公共部門改革や公的年金制度改革をはじめとする構造改革や、消費税率の引き上げといった政策が進みにくくなると考えられることから、日本の格付けに対する潜在的なマイナス要因となろう。
また民主党は2010年9月に党代表選挙を予定しており、この結果が政策にも影響を及ぼしうる。菅直人首相は参院選後の続投を表明しているが、党内では参院選の結果を受け、執行部の交代を求める圧力が強まる可能性があり、このことが政府のみならず党執行部の体制を不安定にする可能性がある。
日本のソブリン格付けの観点では、財政再建の達成に向けて歳入増加と歳出削減のための効果的な政策を打ち出すことが、現在の格付けを維持するためのカギとなる。スタンダード&プアーズでは、日本の政党や政治家には総じて、財政再建に関する切迫感が欠如しているとみている。結果として、政府が2010年6月に発表した、今後10年間で基礎的財政収支 (プライマリーバランス) を均衡させるという目標が、日本の財政に対する市場の信認を維持し、日本がソブリン危機に陥るのを未然に防いでいくのに十分かどうかは依然不透明である。市場の信認は、国内・世界における経済情勢、金融市場、インフレ (あるいはデフレ) といった要因にも左右される。一般的にいえば、政府が財政再建に向けた断固たる措置をとるのが遅くなればなるほど、市場の信認を失うリスクは高まる。
日本の格付けは、高水準の対外純資産残高、比較的強固な金融システム、多様化された経済に支えられている。一方、こうした強みは、多額の財政赤字と債務残高、財政再建と構造改革をさらに遅らせる可能性のある政情によって弱められている。
仮に今後、日本政府の財政状態が一段と悪化する見通しが強まったり、財政再建に向けた具体的な施策が打ち出されない状態が長引く場合には、日本の格付けを引き下げる可能性がある。一方、政府が政権運営を安定化させ、財政再建に向けた具体的な施策を打ち出した場合には、アウトルックを「安定的」へ上方修正することを検討する。

S&P の Sovereign Rating And Country T&C Assessment Histories のサイトから、国内通貨建ての日本のソブリン格付の推移を引用すると以下の通りです。長らく AAA を続けて来たんですが、前世紀末から続いた2代の自民党政権である小渕内閣と森内閣、さらに、現在の民主党政権まで、今世紀に入ってからジリジリと格付を下げ、いまだに AAA には戻っていないのが読み取れると思います。

DateLT/Outlook/ST
Jan. 26, 2010AA/Negative/A-1+
April 23, 2007AA/Stable/A-1+
May 23, 2006AA-/Positive/A-1+
Nov. 1, 2005AA-/Stable/A-1+
March 23, 2004AA-/Stable/A-1+
April 15, 2002AA-/Negative/A-1+
Nov. 28, 2001AA/Negative/A-1+
Sept. 11, 2001AA+/Negative/A-1+
Feb. 22, 2001AA+/Stable/A-1+
July 27, 1992AAA/Stable/A-1+

当然ながら、国債残高を減少させるには4つの方法があります。第1に支出削減、第2に増税、第3にインフレ、第4に債務放棄、すなわち、デフォルトです。これについては、日を改めて考えます。

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2010年7月12日 (月)

参議院選挙における与党の過半数割れは消費税発言に起因するのか?

参議院選挙結果

昨日投票の参議院選挙結果が判明しました。上の画像は今日の午前に朝日新聞のトップサイトをキャプチャしておいたものです。九州では夕刊がないので、簡単にネットから情報を取りまとめるとともに、私の感想も残しておきたいと思います。
まず、与党過半数割れの原因が消費税率引上げにあったのかどうかについては、私は否定的に受け止めています。なぜなら、「消費税率10%」をマニフェストに明記した自民党が議席を増やし改選第1党となったからです。朝日新聞のサイトでは、実に巧みに経団連会長の意見と落選したタレント候補の談話を対称的な形で報じています。もちろん、両方ともバイアスのかかった見方であることは間違いないんですが、国民がどちらを信用するかを暗に誘導しているようにすら見えます。

民主党敗因「消費税ではなく政権運営」 経団連会長
参院選での民主党大敗について、日本経団連の米倉弘昌会長は12日午前、記者団に対し、「消費税増税についての説明は若干不足していたが、そのために負けたとは思わない」と述べた。そのうえで、与野党ともに「国益のために連携して欲しい」と語り、衆参両院の「ねじれ」国会においても、消費税を含む税財政改革、社会保障改革について超党派で議論するよう改めて求めた。
米倉会長は、民主党の敗因について、沖縄・普天間飛行場移設問題を念頭に「国際的な信用を失うなど政権運営に問題があった」との見方を示した。ねじれ国会による経済への影響は「あってはならない。国の抱える課題に責任を持って取り組んでほしい」と強調した。
落選の桂きん枝氏「消費税発言が他党のプラスに」
比例区で落選した民主新顔で落語家の桂きん枝氏(59)は12日午前4時すぎ、大阪市内の選挙事務所で選挙戦を振り返った。菅直人首相の「消費税10%」発言について「他の党のプラス材料になった。特に地盤沈下が進む関西では『消費税10%でどないすんねん』という声を聞きました」と、敗因の一つに挙げた。今後の身の振り方については「吉本興業も上方落語協会も辞めた。いまさら『へーい』と戻るわけにはいかんし、今年1年かけて、じっくり考えてみようかな」と語った。

次に、昨日の選挙結果を見ると、いわゆるタレント候補の落選が目立ったと私は受け止めています。先月6月6日付けのエントリー「日本国民の民度はどんなもんか?」において、鳩山総理の退陣を受けて民主党が支持を急回復したことから、「日本国民の民度はこんなんもん」と書きましたが、良識の府である参議院選挙においては国民の良識が発揮されたと見るべきなのかもしれません。もっとも、ランチタイムに同僚教授とお茶飲み話をしていて、「長崎で福山雅治さんが出ていたらどうだったか?」と聞いたところ、「当選間違いなし」とのことでしたから、実は、パッとしないタレント候補がそろっていたのかもしれません。
与党が消費税を過半数割れの敗因にし、自民党が消費税を改選第1党の勝因にすることも考えられます。その場合、消費税を単なる歳入の増強、すなわち、国債発行に代替するだけ、と考えるか、何らかの特定の政策に対する財源と主張するか、で違いが生じて来るような気がします。他方、議席を増加させたみんなの党については、かなり前の小泉改革の流れをくむような主張と私には見受けられました。いずれにせよ、政権選択の意思表示ではなかったものの、直近の民意がどのように生かされるのか、興味深いところです。

最後にどうでもいいことですが、各新聞社のサイトでは、2年前の米国大統領選挙のように、赤と青でカラーを塗り分けて見やすくする工夫が見受けられました。でも、米国の共和党が赤、民主党が青と決まっているのに対して、日本では決まった政党カラーはなく、朝日新聞と毎日新聞のサイトでは与党系が赤、野党系が青だった一方で、読売新聞のサイトでは逆になっていました。やや私は混乱しました。

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2010年7月11日 (日)

メッセンジャー投手の怪投で巨人に肉薄!

  HE
横  浜000101001 373
阪  神02400010x 7120

今夜はウワサ通りにメッセンジャー投手の先発でした。体はデカいながら、1回表は不安いっぱいの投球内容でした。でも、相手は横浜ですし、初物効果の怪投により、結果的に、6回を内川選手の2発に抑えて2失点でしたら十分合格点と言えましょう。打線の方も私や多くの阪神ファンと同様の不安感を持っていたと想像しているんですが、2回に早々とブラゼル内野手と城島捕手のソロで先制しました。ブラゼル選手はホームラン・ダービーのトップに立ちました。3回には3安打と3失策が、どちらがどちらに絡んだのか、よく分からないながら、決してガンガン打った感触はないものの、何はともあれ4点を加えます。その後は、内川選手の2発にジリジリと追い上げられながら、7回にはツーベースの平野選手を4番の新井内野手がタイムリーで返し、ややダメを押した感じになりました。投げる方は7回から西村投手、渡辺投手、上園投手とつないで、西村投手以外の2投手はやや投球内容が不安定だったものの、何とか9回の犠牲フライの1点に抑えて逃げ切りました。
昼間の試合で、何と、中日が巨人を3タテし、まだ、オールスター前の段階ながら、ゲーム差は0.5と首位に肉薄しました。明後日からの甲子園決戦がとっても楽しみです。現在の勢いでは一気に首位に立てる可能性が高く、多くの阪神ファンの期待は高まります。

巨人との天王山決戦も、
がんばれタイガース!

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やっぱり、チリはスペインを応援する!

本日夜、というか、明日未明にFIFAワールドカップ南アフリカ大会の決勝戦がスペインとオランダの間で戦われます。どちらが勝っても初優勝です。余りに深夜なので、私は見ないような気がしますが、いろいろと予想が立てられています。タコが当てるのか、インコが正しいのか、興味のあるところです。
私がいろんなサイトを見ていたら、チリの高級紙 El Mercurio はやっぱり、露骨にスペインを応援していました。当然と言えば当然でしょう。

En la antesala, España grita más fuerte
EL PALMARÉS DE LOS ESPAÑOLES. Veinte de sus 23 jugadores han ganado títulos internacionales, ya sea a nivel de clubes o de selección. Juntos acumulan 59 éxitos, incluidos la Eurocopa, el Mundial Sub 20, la Champions League y el Mundial de Clubes.
UNA NARANJA POCO ACOSTUMBRADA A GANAR. En cambio, de los 23 seleccionados holandeses, sólo cinco han acariciado un trofeo internacional: Sneijder (Champions League), Van Bronckhorst (Champions), Van Bommel (Champions), Van Persie (Copa UEFA) y Van der Vaart (Intertoto).
DISTANCIA MILLONARIA. El equipo español, cuya base son 7 jugadores de Barcelona y 5 de Real Madrid, llegó a Sudáfrica como la plantilla más cara de la Copa del Mundo: su cotización se estima en 800 millones de dólares. Si bien la tasación de los holandeses es una de las diez más altas, apenas supera los US$ 300 millones.
LIGAS "TOP." La plantilla española juega toda en España excepto Fábregas, Torres y Reina, que actúan en Inglaterra. Los holandeses se reparten así: liga local (9), Alemania (5), Inglaterra (5), Italia (2), España (1) y Escocia (1).
Los Números de la final

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2010年7月10日 (土)

投手戦っぽい展開で横浜清水投手に抑え込まれる!

  HE
横  浜000101101 480
阪  神020000001 372

まず、2回ウラに林外野手のツーベースに続いて、浅井外野手のツーランで2点を先制し、幸先のいいスタートでした。昨夜は20代前半の若手内野手の走塁でモノにした試合だったので、今夜は30歳そこそこの中堅どころの外野手が活躍する番か、と思っていたら、その後の追加点がなく、両チーム先発の鶴投手と清水投手のやや投手戦っぽい展開になりました。昨夜の久保投手といい、今夜の清水投手といい、こんな好投手をトレードしても、パリーグ2位につけているとは大したもんだ、と妙なところで千葉ロッテに感心したりします。阪神がゼロに抑え込まれているうちに、ジワジワと横浜に追い上げられ、4回表に暴投もあれば、7回表に平野内野手のエラーで逆転されてしまいます。逆転されたところで鶴投手から藤原投手にスイッチし後続を断ちます。鶴投手も7回途中で3失点なら、先発投手として何とか合格の範囲でしょう。終盤7回に入ったとはいえ、いくら何でも、この1点で勝負ありとはならんだろう、次にどちらが点を取るかが勝負、と考えていると、その1点を9回表に久保田投手が献上してしまいます。これでお終いと思っていたら、9回ウラに阪神が反撃に出ます。ワンナウト満塁として、昨夜の教訓からすかさず代走を送り、バッターボックスにはホームランを打っている浅井外野手で、横浜は山口投手にスイッチします。ここは犠牲フライで1点差に詰め寄り、さらに上本選手が盗塁しましたが、試合はそこまでで、代打の桧山選手が倒れてゲームセットでした。9回表の1点が重かったですが、こんなこともあります。清水投手を打てなかったのが敗因ですが、同時に、エラーで点を取られては勝てません。巨人がデーゲームで負けているので、今日の試合は忘れましょう。

来週の巨人戦に弾みをつけるべく、明日はボロ勝ち目指して、
がんばれタイガース!

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明日投票の参議院選挙の結果やいかに?

私は都合により期日前投票を済ませましたが、明日は参議院議員選挙の投票日です。簡単に各紙の世論調査結果を取りまとめておきます。

国政選挙とは言うものの、参議院選挙ですから政権選択選挙ではないものの、最新の民意を反映していることは確かです。どのような結果になりますことやら?

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2010年7月 9日 (金)

若手投手が抑えている間に、大和選手の足で同点、上本選手の足で逆転!

  HE
横  浜023000000 5121
阪  神20200002x 6110

今日も少し遅くなり、7回から野球をチェックします。7回表は藤原投手が3人で切って取ったものの、そのウラの攻撃は新井内野手のゲッツーでお終い。8回表は西村投手がとんでもない高めの球でフォアボールを出したものの、無得点で終了。8回ウラにブラゼル内野手がツーベースで出ると、すかさず大和選手が代走。城島捕手がチームバッティングで3塁に進塁した後、代打金本選手の冴えない当たりのファーストゴロで猛然と大和選手がホームに突っ込み同点。代走の上本選手の盗塁から、横浜らしいお粗末なプレーで逆転。若手投手が踏ん張ってゼロに抑えている間に、若手内野手の激走で試合をひっくり返しました。もちろん、最後は1点差を藤川投手で逃げ切りました。
私は見ていなかったんですが、序盤に久保投手が打ち込まれたようで、甲子園での横浜3連戦の初戦に久保投手を投入して負けていたら、阪神には極めてダメージが大きかったでしょうし、こんな勝ち方を出来るのは横浜戦ならではという気がするものの、貴重な1勝でした。日曜日には大きな不安の残る外国人投手の登板も予想されていますし、明日も勝っておきたいところです。

明日も勝って、3連勝目指して、
がんばれタイガース!

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新しいペーパー「子ども手当に関するノート: 世代間格差是正の観点から」

今週になって、新しいペーパー「子ども手当に関するノート: 世代間格差是正の観点から」を書き上げました。編集会議の承認を得られれば、長崎大学経済学部の紀要である『経営と経済』2010年9月号に研究ノートとして掲載される予定です。
広く知られているように、昨年の総選挙で政権交代を果たした民主党は、子ども手当を創設し、18歳以下の子供のいる家庭に対して1人当たり月13,000円の子ども手当の支給を今年6月から4月にさかのぼって開始しました。マニフェストの半額で、年間予算2兆円余りの小規模な政策ですが、従来から私が主張しているように、年金・医療・介護の高齢者世代に偏った社会保障政策の大きな転換点であると考え、時論として取りまとめておきました。実は、官庁エコノミストとは時論を取り上げられない窮屈な存在ですから、大学教授として出向している今がひとつのチャンスと考えました。
まず、我が国の少子化の現状を統計的に明らかにするとともに、Low-Fertility Trap Hypothesis の概念図を掲げ、この原因を高齢世代に偏った社会保障政策や若年層に厳しい労働市場の現状を統計的に把握するとともに、子育て関連支出の公費負担が先進各国の中でも最低レベルにあり、日本に次いで低い英国やドイツと比較してもGDP比で1%、すなわち、5兆円不足していることを示し、その原因が「シルバー・デモクラシー」にあることを指摘しています。さらに、現時点における引退世代と勤労世代の格差について、世代会計に基づく定量的な研究成果を引用しつつ明らかにし、加えて、所得税制においても年金所得と勤労所得の控除に従った大幅な格差を生じていることを示しています。しかし、「シルバー・デモクラシー」の超克に関してはデーメニ投票法に対して否定的な私の見方を示し、民主主義の根幹にかかわる制度としてではなく政策として、国民のコンセンサスを得つつ、限りある社会保障財源を高齢者世代向けから家族・子ども向けの政策にシフトすべき必要性を説いています。
従来からの私の主張を理論的及び実証的な既存研究で後付けることにより、いつもながら、強引な論旨の運びで結論まで導いています。一応、大学の紀要に掲載される予定の学術論文ですから、自分の考えを強引に述べるだけではなく、データや既存研究を補強材料として十分に盛り込みました。また、今回のペーパーは初めての試みとして、日本語で書いたにもかかわらずやや強引に、Scribd にアップしてみました。以下の通りです。

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2010年7月 8日 (木)

2か月も2軍にいて、安藤投手は何をやっているのか?

事情があって、野球はなにも見ておらず、スコアだけからの類推ですから、あるいは間違っている部分があるかもしれませんが、取りあえず、3タテ逃しの最大の戦犯は安藤投手ということなんでしょう。4回に最後は満塁ホームランで締められて、一気に7失点ですか。これでは、打線が2ケタ安打の6点を取っても何にもなりません。私はシロートですから、よく分かりませんが、根本的に何かがおかしいんでしょうね。2か月も2軍で何をして来たのか。この実績を見た上では、安藤投手を2軍に落すのはムダのような気がします。阪神に足りない敗戦処理要員か?

明日からの横浜戦こそ3タテ目指して、
がんばれタイガース!

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機械受注と経常収支の動向、そして、景気ウォッチャーをどう見るか?

本日、内閣府から5月の機械受注統計と6月の景気ウォッチャー調査の結果が、また、財務省から5月の国際収支統計が、それぞれ発表されました。機械受注統計では、民間設備投資の先行指標となる船舶・電力を除く民需、いわゆるコア機械受注は季節調整済みの系列で前月比▲9.1%減の6929億円、さらに、先月から公表の始まった船舶・電力・携帯電話を除くコアコア機械受注は前月比▲13.3%減と、市場コンセンサスをかなり下回りました。経常黒字も貿易収支の黒字幅の減少から縮小しています。景気ウォッチャーだけは、2か月連続で現状判断DIが低下したものの、かなり高い水準を続けています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注、3カ月ぶりマイナス 5月9.1%減
基調判断は据え置き

内閣府が8日発表した5月の機械受注統計で、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」(季節調整値)は前月に比べて9.1%減の6929億円と3カ月ぶりにマイナスとなった。製造業の落ち込みが大きく、企業の投資マインドの弱さを裏付けた。ただ、大幅なプラスだった3、4月の反動の側面もある。内閣府は基調判断について「持ち直しの動きがみられる」と据え置いた。
機械受注統計は工場の生産設備などの受注額をまとめたもので、3カ月ほど先の民間設備投資の動向を示す。5月の実績は日経グループのQUICKがまとめたエコノミストの見通し中央値(前月比3.0%減)を下回った。
変動の大きい携帯電話の受注額も除いたベースは前月比13.3%減の6293億円。会見で内閣府の津村啓介政務官は「回復のテンポが弱い」と述べ、景気持ち直しの動きが鈍っているとの認識を示した。内閣府の調査では4-6月期の受注見通しは船舶・電力を除くベースで前期比1.6%増だったが、達成には6月が5.5%増になる必要がある。仮に6月が前月比横ばいなら4-6月期は前期比0.2%減にとどまる。
製造業からの受注額は前月比13.5%減と2カ月連続マイナス。電気機械の企業から半導体製造装置や通信機の引き合いが落ち込んだほか、石油製品・石炭製品からは化学機械の受注が減った。非製造業の受注額は船舶・電力を含んだベースで9.5%減。運輸業から鉄道車両の受注が減った。
海外からの受注額は前月比2.7%増の7608億円と2カ月ぶりにプラスとなった。
経常黒字10カ月ぶり減 5月8.1%、原油高で
財務省が8日発表した5月の国際収支速報によると、モノやサービス、配当、利子など海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆2053億円の黒字だった。黒字は16カ月連続となったが、黒字幅は前年同月に比べ8.1%減少した。10カ月ぶりのマイナスとなる。アジア向けの自動車を中心に輸出が持ち直す一方で、輸入する原油価格の上昇で貿易黒字が縮小したことが響いた。
輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は3910億円の黒字で、前年同月比0.6%減少した。輸出額は33.8%増の5兆276億円。自動車のほか鉄鋼や半導体などの需要が旺盛だった。
輸入は4兆6366億円で37.8%増えた。原油価格(円換算)が前年同月比で54.6%と大幅上昇したことで、輸入額全体を大きく押し上げている。
投資による稼ぎを示す所得収支の減少も影響している。海外株式や債券への投資収益は増加したが、海外子会社から受け取る配当金などが大きく減り11カ月連続で減少した。
6月の街角景気、2カ月連続の悪化 W杯で外食不振
内閣府が8日発表した6月の景気ウオッチャー調査によると、街角の景気実感を示す現状判断指数は前月比0.2ポイント低下の47.5と2カ月連続で悪化した。製造業で受注や出荷の伸びが鈍化したことや、販売価格の引き下げ圧力が強いことから企業分野の指数が低下した。景気判断は4カ月連続で「厳しいながらも、持ち直しの動きがみられる」とした。
エコカー減税による環境対応車の販売が好調だった一方、薄型テレビはエコポイント変更前の駆け込み需要の反動による鈍化が続いている。ワールドカップの開催で外食関連の客足も伸び悩んだ。
2-3カ月先の先行き判断指数も0.4ポイント低下の48.3と、2カ月連続で悪化。住宅の低価格志向の強まりを指摘する声があるほか、環境対応車の減税効果が薄まるなど家計動向を中心に先行きへの懸念が目立つ。
記者会見した内閣府の津村啓介政務官は「着実な持ち直しは続いているが、回復に向かうテンポが緩やかになってきた。踊り場になるのか慎重に見極めないといけない」と述べた。
調査は景気に敏感な小売業関係者など2050人が対象。3カ月前と比べた現状や2-3カ月先の景気予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価してもらい、指数化する。今回の調査期間は6月25日から月末まで。

続いて、機械受注統計のグラフは以下の通りです。上のパネルはコア機械受注とその後方6か月移動平均、及び、コアコア機械受注の推移、下のパネルは業種別で製造業、非製造業、外需に分けた機械受注の推移です。いずれも単位は兆円で、季節調整済みの系列です。影をつけた期間は景気後退期です。

機械受注統計の推移

基本的に、先月の6月9日付けのエントリーとまったく同じ印象です。特に変わりありません。機械受注が反転・底入れしたことは確実ですが、受注水準がまだまだ低く、特に、非製造業が受注を支えており、製造業からの引合いが弱くなっています。また、世界経済の減速ないし鈍化に伴って、先行指標である外需に勢いがなくなりつつあるのがグラフから読み取れます。ヘンな表現ですが、機械受注については底入れした直後に減速が始まった印象です。

船舶の受注残高と手持ち月数

機械受注に関して、長崎ローカルで注目されている船舶のグラフは上の通りです。ジグザグした動きを示しつつ、大雑把に私の想定したラインに沿って受注残高の調整が進んでいるように感じています。もちろん、受注残高の調整に伴って手持ち月数も減少しています。工期の長い産業ですので、調整にはかなりの時間を要します。

経常収支の推移

さらに、国際収支のうちの経常収支の推移は上のグラフの通りです。5月の経常黒字はかなり減少しました。上に引用した記事には原油価格の上昇がひとつの要因として上げられていますが、同時に、6月24日付けのエントリーで取り上げた世界景気の減速に伴う輸出の伸びの鈍化、あるいは、同じ原因ですが、投資収益収支の黒字幅の減少なども寄与しています。なお、引用した記事は季節調整していない原系列の経常収支を前年同月で比較しているように見受けますが、上のグラフは季節調整済みの系列を取っていますので、少し記述に異同があります。

景気ウォッチャー調査の推移

最後に、上のグラフは景気ウォッチャー調査の現状判断DIと先行き判断DIです。この景気ウォッチャーだけ6月の統計です。2か月連続で悪化したというものの、まだまだ高い水準にあります。一昨日の景気動向指数でも触れましたが、この4月以降、政策効果の剥落や世界景気の減速により、ハードデータはかなり弱く出ているんですが、先日の日銀短観やこの景気ウォッチャーなどのソフトデータは相変わらず強気を維持している、というか、下げ渋っているという方が正確かもしれません。ほぼ支給が終わった夏のボーナスを含め、給与が順調に増加していることが背景にあると私は考えています。年内いっぱいくらい景気が踊り場に差しかかるとしても、雇用に支えられた消費と設備投資へと景気拡大の主役がバトンタッチされ、来年からは本格的な拡大局面を迎えるものと期待しています。

Latest IMF projections

最後に、昨日、国際通貨基金 (IMF) から「世界経済見通し」 World Economic Outlook Update が公表されています。今年2010年の世界経済の成長率は4月の見通しよりも+0.4%ポイント上方修正され+4.6%成長と、また、日本は同じく2010年で+0.5%ポイント上方修正の+2.4%成長と見込んでいます。上の表の通りです。

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2010年7月 7日 (水)

先発下柳投手の後をリリーフ3人で関本選手のソロの1点を守り切る!

  HE
ヤクルト100100000 250
阪  神00200100x 3100

打てない打線をバックに、先発とリリーフのピッチャーが必死に僅差を守り切る、というタイガースの昨年までの姿を見たような試合でした。投げる方では、下柳投手は1回表の青木選手の先頭打者ホームランで先制されたものの、6回2失点ですから期待通り先発の役目を果たし、7回渡辺投手は1塁3塁のピンチを切り抜け、8回の久保田投手は2三振でセットアッパーとしての信頼感を大いに回復し、9回は言うまでもなく藤川投手がフォアボールを出しながらも最後を締めました。打つ方は、3回にブラゼル内野手と城島捕手のタイムリーで一度は試合を逆転し、追いつかれた後は、6回に代打関本選手のホームランで勝ち越しました。2ケタ安打の割には少し効率が悪いかもしれません。特に、8回ウラの左バッター3人の代打攻勢も三者凡退に退けられ、こんなことを続けていては流れが東京ヤクルトに傾きかねない、とすら思えました。

明日は重量打線の威力を見せつけた3タテ目指して、
がんばれタイガース!

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国際決済銀行 (BIS) の「年次報告」 BIS Annual Report 2009/10 をどう読むか?

やや旧聞に属する話題ですが、先週、国際決済銀行 (BIS) の年次総会が開催され、これに合わせて「年次報告」 BIS Annual Report 2009/10 が公表されています。もちろん、pdf ファイルで 80th Annual Report もアップされています。やや遅ればせながらリポートを眺めていると、いくつかの面白い論点が浮かび上がりますので、日本の金融財政政策とともに取り上げておきたいと思います。
まず、金融政策については第3章で Low interest rates: do the risks outweigh the rewards? と題して低金利を継続するリスクを論じています。当然ながら、"policymakers in the major advanced economies began considering their options for exiting from their crisis-related positions" (p.37) なわけですが、先進諸国の中で日本が特異な位置を占めていることもこのリポートは見逃していません。"In real terms, rates are around zero in the euro area and negative in the United Kingdom and the United States. In Japan, by contrast, mild deflation has pushed real rates just above zero again." (p.36) と主張し、先進各国とも政策金利は名目ではゼロ近傍であるものの、実質金利で考えると、日本だけはデフレのため欧米と比較してかなり高い水準にとどまっていることを p.36 の以下のグラフで示しています。赤い折れ線が米国、オレンジが英国、緑がユーロ圏、青が日本です。BIS リポートを勝手に解釈して政策金利を引き上げる前に、日銀はデフレ脱却にまず取り組むべきであることは明白です。

Real policy rate (adjusted for core inflation)

次に、財政政策は第5章で Fiscal sustainability in the industrial countries: risks and challenges と題して取り上げており、3ケースのシミュレーション結果を示しています。日本はグロスの政府債務残高のGDP比が2010年でほぼ200%に達し、スラッと先行きを引き延ばすベースラインのシナリオでは2040年で政府債務残高はGDPの500%を軽く超えるように見える、以下のグラフを p.60 に掲げています。私の目の錯覚ではないことを願っています。そして、"Coming on top of the improvement in the primary balance, the freeze of the GDP share of age-related expenditures leads to a faster decline in the debt/GDP ratio or a slower rate of increase." と主張し、私の従来からの説である高齢者への支出削減と軌を一にしているように見受けられます。なお、下のグラフは赤の点線がベースライン、緑が改善ケースとして、プライマリ・バランスのGDP比を2011年から毎年1%ずつ10年間を通して黒字化、あるいは、赤字削減し、10年後の2020年には累積的に10%改善するケース、青はこれに加えて高齢者向け支出を据え置くケースです。GDP比500%の政府債務は明らかに持続可能ではありませんし、毎年GDP比1%のプライマリ・バランスの改善を10年間続けるという、かなり強烈な政策を取っても日本では政府債務は増加を続けます。興味深く、そして、ショッキングなシミュレーション結果です。

Gross public debt projections

現在、繰り広げられている参議院選挙は政権選択選挙ではありませんが、財政政策がひとつの焦点となっています。現政権の目指す「第3の道」によって税を介護事業などに投入しても、decent な雇用が創出されるかどうか、多くの国民は疑問を感じているように私には見受けられますし、私を含む何人かのエコノミストは、かつてのバブル崩壊後の土地価格の上昇を目指す政策と同じで、「第3の道」では新たな付加価値の生産につながらないと否定的に受け止めています。でも、繰返しになりますが、毎年GDP比1%のプライマリ・バランスの改善を10年間続けるという、かなり強烈な政策を取っても政府債務が増加を続けるという現状から、何かを考えねばならない段階に来ていることは確かです。

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2010年7月 6日 (火)

スタンリッジ投手、まさかの完投でヤクルトに快勝!

  HE
ヤクルト000000001 1100
阪  神10010040x 6131

今日も、前のブログを書いてから長々と入浴したため、野球のフォローが遅れて8時半から注目すると、すでに、7回の猛攻を終えて試合は6-0と一方的になっていました。スコアを見る限り、打つ方はまんべんなくみんなが打っているという形で、誰かのホームランでドカンと点を入れたという感じはありません。特に、7回ウラは4番の新井内野手のツーベース以外は単打をつなげて、効果的に加点した印象です。投げる方は先発のスタンリッジ投手が交代した様子はありません。
後の興味は、打つ方では、金本選手の代打なんですが、8回ウラに勝負に関係ない場面で出番があり、すかさずヒットをかっ飛ばしていました。投げる方では、スタンリッジ投手がどこまで投げるかだったんですが、8回ウラに打席に立ちましたから、当然、9回も続投という采配です。点差はあるし、このピッチャーの限界を試すのも面白いと感じていました。ランナーを出しつつも要所を締めたというのか、9回に失点して完封こそ逃したものの、とうとう完投してしまいました。うがった見方をすれば、一昨日のノックアウトで2軍に落されたフォッサム投手を見て奮起したのかもしれませんし、もともと実力があったのかもしれません。特に、デイリーのサイトだったと思うんですが、「夜の帝王」なんて、昼間の職業の私なんかからすれば、ドキッとするような表現がありましたが、スタンリッジ投手はナイターには強いようです。
スコアを見てやや気にかかるのは、東京ヤクルトの4番打者の外国人選手が、1回表の攻撃でデッドボールを受けて、いきなり交代していることなんですが、その場を見ていない私には何のことか分かりません。交流戦のロッテとの試合だったと記憶しているんですが、ブラゼル内野手がいきなりピッチャー強襲ヒットを打ってノックアウトしたのを思い出します。いずれにせよ、大事に至らないことを祈念します。

神宮球場で1勝2敗の負越しの借りを返すべく、明日も、
がんばれタイガース!

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景気動向指数もいよいよ鈍化の兆し

本日午後、内閣府から5月の景気動向指数が発表されました。CI一致指数が現在の景気回復局面に入ってから初めて、また先行指数が先月に続いて2か月連続で低下しました。景気回復初期のV字型回復の時期を終えて、日本経済はいよいよ鈍化ないし減速の局面に入りつつあると受け止めています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の景気一致指数、14カ月ぶり低下 設備投資や消費が不振
内閣府が6日発表した5月の景気動向指数(CI、2005年=100、速報)によると、景気の現状を示す一致指数は前月比0.1ポイント低下の101.2と14カ月ぶりに低下した。投資財出荷指数(除輸送機械)など設備投資関連の指数や、商業販売額など消費関係の指数が下落したことが響いた。
数カ月後の景気の先行きを示す先行指数は3.0ポイント低下の98.7と2カ月連続のマイナス。下落幅は過去5番目の大きさだった。耐久消費財出荷指数など家計関連の指数や、東証株価指数などの低下が影響した。
内閣府は基調判断を8カ月連続で「改善を示している」とした。
記者会見した津村啓介内閣府政務官は「液晶テレビなどの家電製品や乗用車のエコポイントなど政策効果が薄れていることと、輸出の増加が緩やかになっている」と説明した。
一方、景気に数カ月遅れる遅行指数は0.7ポイント上昇の83.6と2カ月ぶりに上昇した。製造業の常用雇用指数が上昇したことが寄与した。

次に、いつものグラフは以下の通りです。上のパネルは赤い折れ線がCI一致指数で、水色が先行指数、下のパネルの緑色の折れ線グラフはDI一致指数です。影をつけた部分は景気後退期です。

景気動向指数の推移

繰返しになりますが、グラフからも明らかなように、景気は回復期初期のV字型回復の期間を終えて、鈍化ないし減速の局面に入りつつあります。ここ何日かの株価の動向も1-2四半期先の景気の減速を織り込んでいると解釈できます。減速の理由は3点あって、第1に、潜在成長率水準への回帰です。それでも、直感的には4-6月期までGDPは年率2%成長を続けるだろうと私は見込んでいます。第2に、エコカー減税・補助金や家電エコポイントなどの政策効果の剥落、第3に、世界経済の鈍化、特に米国と中国です。従来からの私の主張と変わりありません。問題はどこまで鈍化するかで、踊り場的な中だるみに終わって、その先も回復局面が続くのか、それとも景気が腰折れするのか、なんですが、私の基本シナリオは前者です。景気拡大の主役が輸出や政策効果に支えられた生産から、ゆっくりと設備投資や雇用に支えられた消費に移行するだけであり、大きく景気が腰折れするとは想定していません。他方、私が想定する最大のリスクは為替と中国経済です。いずれも輸出を通して生産に響くファクターですが、特に、中国経済がハードランディングするリスクを見落とすべきではありません。欧州のソブリン・リスクと米国の金融規制はやや後景に退いた印象があります。むしろ、ソブリン・リスクは日本なのかもしれません。国際決済銀行 (BIS) の年次報告 80th Annual Report で指摘されていますので、明日にでも取り上げたいと思います。

私はこの春先か初夏くらいからすでに始まっている景気減速局面をそれほど重視していませんが、目先半年くらいの短期では何らかの微妙な影響を及ぼす可能性があります。第1に参議院選挙、第2に政府の予算編成です。大騒ぎすることなく、予断を持つことなく、冷静かつ客観的に経済を分析したいと思います。

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2010年7月 5日 (月)

中国人観光客に長崎は魅力があるか?

先週7月1日に、ニッセイ基礎研究所から興味深いリポートが発表されました。この研究所の一連の不動産投資リポートのひとつとして、「中国人宿泊者数の動向 - ビザ発行要件緩和で高まる宿泊需要」と題するリポートです。もちろん、私は不動産投資には何の興味もなく、時折、節税目的のワンルーム・マンションを勧める電話勧誘に辟易しているくらいなんですが、長崎の経済界では中国人向け観光業は有望であるという誤解が見られるので、この機会に取り上げておきたいと思います。
よく知られたように、この7月1日から中国人向けのビザの要件が緩和され、中国からの観光客が増加することを見込んだリポートになっています。同じ趣旨のリポートは三菱東京UFJ銀行が出した「拡大が予想される中国人観光客とわが国経済への好影響」や中央三井トラスト・ホールディングスが出した「訪日外国人3,000万人の達成に向けて - 存在感を増す中国人海外旅行客」などもあるんですが、ニッセイ基礎研究所のリポートで特に興味深いのは、2007-09年の3年間の中国人観光客の都道府県別訪問先を示す以下のグラフです。リポートの p.3 から引用しています。

中国人宿泊客の都道府県別動向

要するに、北海道を除いて、首都圏、中部圏、関西圏の都会にほぼ集中しています。近畿圏から西は九州を含めて全滅といった状態です。例外は沖縄だけです。なお、このリポートに従えば、北海道での宿泊者数の急増は、北海道を舞台にした『狙った恋の落とし方 (中国語原題「非誠勿擾」)』と題する2009年正月映画が中国国内で大ヒットした影響で、ロケ地を回るツアーが人気となったことが一因といわれているそうです。ですから、北海道を除く都市圏への宿泊客の集中は、買い物が主たる目的の観光客ではないかと私は考えています。ただし、首都圏の中でも千葉が東京に次いでいるのはディズニー・リゾートへの訪問客の影響があるのかもしれません。
これらを総合的に考えると、私は以下の3点で長崎の人は誤解していると受け止めています。第1に、中国人観光客は、たとえ富裕層であっても買い物が主たる目的であり、さらにビザ発給が広げられたとすれば、この買い物目的が強まることはあっても弱まるとはとても考えられないんですが、残念ながら長崎は買い物目的にまったく適していない、ということです。長崎が買い物目的に適していないこと自体は理解されているような気もしますが、中国人観光客が買い物目的であることの理解が進んでいないように見受けられます。第2に、海外からの観光客を呼び込むのに重要なのは宿泊なんですが、長崎の宿泊施設のクオリティに疑問が残る、ということです。私が何度か強調して来た設備投資が不足しているように受け止めています。小中学生の修学旅行向けではなく、海外からの観光客を受け入れるには、量とともに一定程度の宿泊設備の質を確保する必要があります。第3に、長崎には観光収入を得るに十分な資源があるかどうか、というポイントは長崎の人が故意に見落としているとしか私には考えられません。観光収入を滞在日数と1日当たりの消費額に分解すると、まず、滞在日数については、私のように京都に生まれ育ち、奈良の学校に通い、東京で仕事をして来た人間からすれば、長崎に観光スポットがいっぱいあって、まとまって3-4泊して滞在するような魅力があるかどうか、はなはだ疑問です。半日ほどで回り終えそうな気がします。それから、消費金額については、その気になれば、あくまで、その気になればですが、東京では1日に100万円使う可能性もありますが、長崎では1週間でも100万円は使い切れなような気がします。繰返しになりますが、観光収入を得るに十分な観光資源に不足している、とはこういう意味も含みます。
もちろん、長崎にも中国人観光客に対する利点があります。いうまでもなく、中国からの距離的な近さです。さらに、先ほどの第2点の逆で、「安かろう、悪かろう」の逆を突くことです。宿泊設備の質が悪いのであれば低価格戦略も考えられます。この2点を活かせば、ビザ発給要件の緩和に伴って日本旅行ブームが中国で生じた場合、とにもかくにも日本に行ったことになりますから、交通と宿泊の両方で安いとなれば、中国人の限界的な観光客を呼び込める可能性はあります。長崎の場合、ハウステンボスが典型で、観光施設はまったくリピーターを期待しない作りになっていますが、リピーターになる可能性の低い限界的な中国人観光客には低価格は魅力であろうと考えられます。いずれにせよ、長崎は観光の分野でもニッチな層をターゲットとするのが得策のように思います。もっとも、現時点でこれが出来ているのであれば、もう少し長崎でバックパッカーが見られるような気がするんですが、今のところ、私の立ち回り先ではほとんど見ません。ですから、これから先行き考えるべきポイントだという気がします。

観光に限らず、私なんかの部外者から見て、長崎の人自身が長崎を誤解している部分が見受けられますので、ターゲットや経営戦略にハズレやブレが生じている気がしてなりません。まず、長崎経済を担う長崎の人が自分自身で長崎を知ることが重要ではないでしょうか?

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2010年7月 4日 (日)

要するに、先発投手の差ですな

  HE
阪  神000002000 2110
読  売13301011x 10160

何となく、注文相撲にハマッた感じがします。フォッサム投手の先発が分かっていながら、高橋選手をファーストに起用した原監督と7回に浅井選手が歩いた後に金本選手を代打で起用した采配の差もあります。でも、これは結果論かもしれません。むしろ、気がかりなのは、ポロポロと点を取られる藤原投手、それに、エラーがあったとはいえ、やっぱり点を取られた若竹投手の2人です。若竹投手は巨人のクリンナップを切って取ったとはいえ、特に藤原投手は与えられたチャンスを活かそうという気があるんでしょうか?
序盤で大量点を取られれば、打つ方だって気が乗りません。2ケタ安打だって3番4番が打てなければ、結局、2点ということもあります。気にせずをがんばりましょう。

がんばれタイガース!

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オグリキャップよ安らかに!

「芦毛の怪物」オグリキャップが死にました。馬齢25歳、人間に換算すれば約3倍くらいの70台歳半ばといったところでしょうか。放牧中に右後ろ脚を複雑骨折したそうです。いわゆる茶色い鹿毛の馬ではなく、灰色っぽい独特の芦毛の馬で、見るからに愛嬌のある姿でした。晩年は人間と同じように全身が白髪になった姿を写真で見たことがあります。安らかに眠って下さい。
私は競馬はやりませんが、オグリキャップは1980年代後半からのバブル経済とともに記憶しています。ぬいぐるみが爆発的に売れ、アイドルホースとなったのも、多分にバブル経済という時代背景があったからだと思いますが、ハイセイコーと同じように地方競馬出身のサクセスストーリーも共感を呼んだのかもしれません。
動画は引退レースとなった1990年年末の有馬記念です。

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2010年7月 3日 (土)

鶴投手の2勝目に3発で花を添え巨人を圧倒!

  HE
阪  神000501011 8130
読  売001001000 260

先発投手がしっかりゲームを作って、リリーフ陣が踏ん張ってゼロに抑え、中軸が効果的に得点する。少し前のヤクルト戦で負け越した時には考えられなかったような理想的な勝ちパターンで巨人を粉砕しました。
先発の鶴投手は先制点こそ許しましたが、この球場で阪神の重量打線を考えると、1点は物の数に入らないと考えるべきです。すぐに、4回表に神様、仏様、ブラゼル様のツーランで逆転し、鳥谷選手もスリーランで続いて、一挙に5点を上げます。6回ウラに犠牲フライで2点目を取られたところで渡辺投手にスイッチし、この後、渡辺投手は7回もしっかり三者凡退で退け、8回の久保田投手まで3人で切って取ります。ピッチャーが抑えている間に、6回は鶴投手自身のバント、8回は城島捕手のホームラン、さらに、9回はややラッキーな当たりながら、再び城島捕手のツーベース、と次々に加点し、差は広がるばかりでした。9回ウラの締めくくりは、6点差で誰が出て来るのかと思えば、このところ失点する場面の多い西村投手でした。下位打線とはいえ、これまた三振、三振、内野ゴロと3人でピシャリと抑え切ります。今夜の収穫のひとつはリリーフの3人がパーフェクトなピッチングを見せてくれたことかもしれません。
勝負に関係ない場面ながら、私が見逃せないと感じたのは、8回表の巨人の投手交代です。林選手の登場で左ピッチャーにスイッチしましたが、どうしてその前の金本選手を無視して林選手の代打でピッチャー交代なのか。誠に失礼千万な投手起用と受け止めるべきです。明日は金本選手の奮起を期待します。
ゴールデンウィークの甲子園での3連戦でも感じたんですが、阪神打線はジャイアンツを相手にすると目の色が変わってくるように感じます。まあ、エコノミストの考えそうなことですが、巨人戦のヒット、打点、ホームランは別査定になっていたりするんでしょうか。

明日も3タテ目指して、
がんばれタイガース!

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米国雇用統計のグラフィックス

昨日、米国労働省から米国雇用統計が発表されました。ヘッドラインとなる非農業部門雇用者数は▲125千人の減少となりました。主として、国勢調査に伴う政府の臨時雇用が減少したためですが、民間雇用の増加は市場の事前コンセンサスでは10万人を超えるとされていましたが83千人にとどまりました。他方、失業率は▲0.2%ポイント低下して9.5%になりました。いずれも季節調整済みの系列です。雇用の伸びが低下していると受け止められています。まず、New York Times のサイトから記事の最初の4パラを引用すると以下の通りです。

Recovery Slows With Weak Job Creation in June
The train that is the nation's economic recovery has slowed noticeably, unable to generate enough jobs in the last two months to keep pace with population growth, much less reduce the vast numbers of unemployed Americans.
Department of Labor June Employment Report.The United States added just 83,000 private sector jobs in June, according to the monthly statistical snapshot released by the Labor Department. The unemployment rate declined to 9.5 percent, from 9.7 percent in May. But that was a largely illusory decline, as 652,000 Americans left the work force.
Over all, the nation lost 125,000 jobs in June, but those losses came as temporary federal Census workers headed for the exits.
With the economy slowing - housing sales plummeted, while earnings and hours worked ticked downward last month - the stakes grow larger, economically and politically. The next few monthly unemployment reports will unfold during the run-up to the midterm Congressional elections this fall. Incumbents feel particularly precarious, and major economic decisions about financial reform, unemployment benefits, and aid to states still sit on their desks.

次に、いつもの米国雇用統計のグラフは以下の通りです。世間ではヘッドラインの非農業部門雇用者数の増減だけでなく、先月あたりから民間部門の雇用者にも注目していますので、私のこのブログでもグラフに取り入れてみました。上のパネルは赤い折れ線グラフが非農業部門雇用者数全体の前月差増減で、水色は民間部門雇用者です。下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列で、影をつけた部分は景気後退局面なんですが、直近の景気の谷は昨年6月と仮置きしています。

米国雇用統計の推移

2005年はそうでもないんですが、確かに、大規模センサスの実施される2000年と2010年は非農業部門全体と民間部門が少し乖離しているように見受けられます。ということで、ADP 統計と米国労働省統計についても、今月は民間部門で比較してみたのが下のグラフです。コチラも米国労働省については民間部門を取った方がフィットはいいように感じます。

米国雇用統計の比較 (労働省とADP)

最後に、上で記事を引用したのと同じ New York Times のサイトにあるフラッシュは以下の通りです。ヨソさまのフラッシュに直リンするのは私のブログの大きな特徴だったりします。

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2010年7月 2日 (金)

昨夜に続き終盤に怒涛の猛攻で巨人をねじ伏せる!

  HE
阪  神000000622 10173
読  売020200301 8112

6回まではチャンスがありながら残塁の山を築き、エース久保投手を立てながら、巨人のゴンザレス投手を打ち崩せず、4-0の消化不良気味の試合展開でしたが、昨夜と同じように終盤に怒涛の猛攻で巨人をねじ伏せました。7回の勝越しは関本選手の押出しフォアボールと地味な形でした。それにしても、関本選手の前に代打で登場した金本選手なんですが、あそこで外野フライも打てませんかね。衰えを感じます。7回ウラにワンポイントで藤原投手が登場した後の西村投手が打たれて逆転されたんですが、8回表に神様仏様ブラゼル様のバックスクリーンへのツーランで再逆転。東京ドームの狭さは何も関係ない当たりでした。8回ウラには久保田投手が登場し、小笠原選手とラミレス選手に大きな当たりを飛ばされましたが、こちらは東京ドームならではのフェンスぎりぎりの当たりと見受けました。9回表には鳥谷選手のツーランでダメを押しました。最後は藤川投手が長野選手にソロを打たれましたが、何とか逃げ切りました。見ている方は面白い試合でしたが、プレーしている方は大変なんだろうと感じてしまいました。

明日も勝って、3タテ目指して、
がんばれタイガース!

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ワールドカップ決勝トーナメント1回戦で負けても前向きに考える南米気質

今回のワールドカップでは私は当然のことながら日本を応援していましたが、同時に、外交官として大使館勤務をした経験のあるチリも応援していました。残念ながら、どちらも決勝トーナメントに進出したものの1回戦で敗退していしまいました。何となく、私にとってのワールドカップは終わった気がしているんですが、チリの方の総括が面白いです。私がサンティアゴ大使館に勤務していた当時も高級紙として有名だった El Mercurio 紙のサイトで以下のような画像とともに、南米気質がよく表れている記事を発見しました。

Cantidad de equipos entre los 8 mejores
Sudamérica hace su mejor mundial a costa de Europa
Sólo faltó Chile. La Roja, eliminada por Brasil en octavos de final, es el único equipo de Sudamérica que no ingresó a la ronda de los ocho mejores del torneo. Pero de todos modos, el subcontinente celebra: nunca antes en la historia había tenido cuatro representantes en esta fase.
Además del Scratch, Argentina, Uruguay y Paraguay alcanzaron los cuartos de final, y tienen la posibilidad de lograr unas inéditas semifinales compuestas solamente por equipos de la zona.
El récord anterior era de tres equipos, con dos formatos de torneo distintos: en 1970 Uruguay, Brasil y Perú llegaron a cuartos de final, mientras que en 1978 Argentina, Brasil y Perú se instalaron en la segunda fase, que se disputaba con dos grupos de cuatro equipos.
Y mientras Sudamérica celebra su mejor rendimiento histórico, Europa se lamenta por su peor torneo: los tres clasificados (Holanda, Alemania y España) son el número más bajo en esta instancia. Antes sólo habían tenido cuatro representantes en México 1970 (Italia, Alemania Federal, Inglaterra y Unión Soviética) y en Japón-Corea del Sur 2002 (Alemania, Turquía, Inglaterra y España).
"Estaban las condiciones para que esto pasara. Lo que hemos hecho es importante, ya que nos ha prestigiado, y espero que se tenga en cuenta a la hora de establecer los cupos para el próximo Mundial y de cara a las eliminatorias," indicó el DT de Uruguay, Óscar Washington Tabárez.
"Tenemos muy buenos equipos, más allá del potencial de Brasil y Argentina, puesto que jugamos en altura, con frío, con calor, con viajes largos. Es una clasificación muy comprometida," complementó Diego Forlán.
"El mejor premio para Sudamérica es saber que lo que nosotros les damos son grandísimos jugadores a todos los clubes del mundo," apuntó Diego Maradona, mientras que Carlos Alberto Parreira sostuvo que la región "una vez más muestra la fortaleza de su fútbol."
Pese a ello, la Conmebol igual tendrá que dar lucha para mantener los 4,5 cupos para el Mundial de 2014. De hecho, ayer Joseph Blatter descartó que se aumenten las plazas para la zona: "Sólo son diez federaciones," justificó. ¿Y quitarle lugares? "El debate ya comenzó entre bastidores, pero dejen que termine este torneo," dijo el presidente de la FIFA, dejando la duda en el aire.

要するに、ワールドカップで8強に進んだうち、4チームが南米で、欧州は3チームだから、ワールドカップの歴史上初めて南米は欧州を上回ったことを誇らしげに記事にしているわけです。最初に書いた通り、チリは決勝トーナメント1回戦でブラジルに負けて8強には入れず、しかも、南米チームの中では唯一の1回戦敗退チームだと記事にも書いているんですが、そう言いつつも、チリ自身の勝敗は忘れて、南米で一括して自慢しているわけです。もちろん、中南米諸国はブラジルを大きな例外として、その他の小さい例外もあるものの、スペイン領であった歴史と言語を共有し、地域として文化として大きなまとまりがあります。このあたりはアジアやアフリカと明らかに異なっています。
こういった超前向きな思考が南米特有の生活の明るさと、同時に経済の停滞をもたらしている、と私は外交官らしくもなく堂々とサンティアゴにある Universidad Central のセミナーで別の例を引いて発言し、押し殺した笑いを誘ったことを記憶しています。能天気な対応に何度となく仕事上で悩まされたことを思い出します。日本人的な反省は何ら見られないんですが、何事もポジティブに考える能力は素晴らしいと感じたことは確かです。持って生まれたものかもしれません。3年余り生活しましたが、私にはマネ出来ません。

週末前の軽い話題として、日本と同じように決勝トーナメント1回戦で敗退したチリの新聞記事を取り上げてみました。久し振りに「海外生活の思い出の日記」に分類しておきます。

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2010年7月 1日 (木)

安藤投手、堂々のピッチングで先発マウンドへ復帰!

  HE
中  日010000000 193
阪  神00000005x 580

長らく2軍で調整を続けて来た安藤投手がようやく復調し、先発投手として甲子園のマウンドに復帰しました。適当に塁上をにぎわせながらも粘り強く要所を締め、ブランコ選手にソロは浴びたものの、7回1失点は堂々のピッチングでした。打線の方は、私の熱望する序盤の大量点なんぞは夢のまた夢といったカンジで、7回までは吉見投手にほぼ完全に抑えられていたんですが、遅ればせながら8回に打線が爆発し、マートン外野手のタイムリーというか、キャッチャーの落球で同点に追いついた後、4番新井内野手のタイムリーで勝ち越し、さらに城島捕手のツーランで突き放しました。打者一巡の猛攻でした。4点差でしたが、9回は久し振りに藤川投手を見たような気がします。
序盤の大量点だけでなく、終盤の大量点で勝った今夜のような試合もアリだと感じてしまいました。明日からの巨人戦に弾みがつきそうな予感です。

明日からの東京ドームも、
がんばれタイガース!

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大きく改善した日銀短観6月調査の結果から先行きを考える

本日、6月調査の日銀短観が発表されました。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは前回3月調査から15ポイント改善して+1となりました。今年度の設備投資計画も+4.4%増と大きく上方修正されました。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

日銀6月短観、景況感2年ぶりプラス 大企業製造業5期連続改善
日銀が1日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業でプラス1と、3月の前回調査(マイナス14)から15ポイント改善した。5期連続の改善で、リーマン・ショック前の2008年6月以来、2年ぶりにプラスになった。10年度の大企業の設備投資計画は製造業、非製造業ともに3年ぶりのプラスに転じた。ただ3カ月先の景況感の見通しは改善幅が今回の改善局面で最も小さく、先行きに不透明感も残る。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた値。回答の基準日は6月10日で日経平均株価が9542円、円相場は1ドル=90円93銭だった。基準日までに7-8割が回答しており、その後の円高・株安の進行は反映されていない可能性がある。
業種別の業況判断DIをみると、機械関連や自動車など大企業製造業の主要業種が軒並み改善した。主要業種すべてが上向くのは1994年8月以来、約16年ぶり。自動車が前回から20ポイント改善してプラス18だったほか、繊維やはん用機械などの改善が目立った。新興国経済の力強い回復を背景に、輸出関連を中心に企業活動が活発になっていることを裏付けた。
大企業非製造業の業況判断DIは9ポイント改善してマイナス5。5期連続で改善し、08年9月以来の高い水準になった。小売りと卸売りがともに改善したほか、これまで低迷が続いていた宿泊・飲食サービスは21ポイントの大幅な改善になった。
一方、業況判断DIの3カ月先の見通しをみると、大企業製造業はプラス3で、足元から2ポイントの改善にとどまる。
10年度の設備投資計画は大企業の製造業が前年度比3.8%増、非製造業が4.6%増だった。前回の調査ではマイナスを見込んでいたが、プラス予想に転じた。
背景には企業収益の回復がある。経常利益は大企業の製造業で前年度比43.8%増、非製造業で8.7%増を見込む。設備の過剰感も薄らいだ。「過剰」から「不足」を引いた設備判断DIは大企業の製造業で前回よりも8ポイント低いプラス17、製造業では3ポイント低いプラス3だった。
雇用の過剰感も和らぎつつある。「過剰」から「不足」を引いた雇用人員判断DIは大企業製造業で前回よりも7ポイント低いプラス10。ただ11年度の企業全体の新卒採用計画は10年度比で5.5%減の見通しで、本格回復に至っていない。

続いて、業況判断DIの推移は規模別及び製造業・非製造業別に以下の通りです。1990年以降のグラフと最近の表を掲げておきます。グラフの影をつけた部分は景気後退期です。表の計数の完全性は無保証ですので、正確な計数を必要とされる向きは日銀のサイトから引用下さい。

日銀短観業況判断DIの推移

業況判断DI2009/122010/32010/62010/9
(先行き)
全産業▲31▲24▲15▲16
大企業製造業▲24▲14+1+3
中堅企業製造業▲30▲19▲6▲8
中小企業製造業▲40▲30▲18▲19
大企業非製造業▲22▲14▲5▲4
中堅企業非製造業▲29▲21▲13▲14
中小企業非製造業▲35▲31▲26▲29

昨夜のエントリーとほぼ同じ表現ですが、輸出にけん引された生産の増加で始まった昨年1-3月期からの大企業製造業の景気回復が、ようやく1年余りを経過して非製造業や中堅・中小企業にも波及した姿が確認できた短観でした。ただし、今次景気回復局面では前期から急回復を示す最後の日銀短観となる可能性も十分あります。景気回復初期のV字回復の時期を終えて成長率水準へ回帰するとともに、政策効果の剥落、世界景気の鈍化などから生産や輸出が踊り場的な局面を迎えつつありますので、結果的には、前回3月調査とまったく同じ傾向なんですが、中堅・中小企業では先行きに悲観的な見方をしており、大企業でも先行きさらに大きくマインドが改善することはないと私は受け止めています。

日銀短観設備投資計画及び設備・雇用判断DIの推移

数学的に表現すると、1次微分も2次微分も正だった景気回復初期を終え、1次微分は正だが2次微分は負の時期に入るといえます。同時に、景気回復のすそ野が広がり、設備投資や雇用といった要素需要が増加を始める時期とも言えます。ということで、上のグラフはその要素需要に関する短観結果を取りまとめています。一番上のパネルから順に、大企業全企業の設備投資計画、設備判断DI、雇用判断DIです。設備と雇用の判断DIは数字がプラスで大きいほど過剰感が強いことを示しており、どちらも順調に過剰感が払拭されつつあります。設備投資計画はこの6月調査からプラスに転じました。まだ水準的に低いものの、2007年度に近い推移を示すものと私は期待しています。

為替相場の推移

もちろん、先行きリスクにも目を配ることが必要です。取りあえず、今日の段階では上のグラフの為替相場と中国経済の下振れの可能性を指摘しておきたいと思います。今日発表された短観では大企業製造業における本年度2010年度の事業計画の前提となっている為替レートの平均は1ドル90.18円でした。しかし、現時点ですでに為替は90円を割り込んでおり、世界経済の鈍化とともに輸出にマイナスの影響を及ぼすことが懸念されます。中国経済についてはバブルのクラッシュや政策対応によるオーバーキルの可能性があることは6月21日のエントリーで指摘した通りです。

日銀短観及び長崎短観の業況判断DIの推移

最後に、長崎短観は上のグラフの通りです。全規模全産業の全国短観と長崎短観をプロットしてあります。全国に比べて振幅が少なくて、世界から隔離されたような景気動向が特徴です。

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