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2010年7月20日 (火)

アジア開発銀行の経済見通しをどう見るか?

本日、アジア開発銀行 (ADB) から興味深いリポートが2本発表されました。まず、Asian Development Outlook (ADO) 2010 に対する ADO Special Note で、4月の経済見通しを上方改訂しています。また、Asia Economic Monitor では現在までのアジア新興国・途上国のV字回復から景気刺激策の終了 (unwind) を呼びかけています。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

アジア成長率、7.9%に上方修正 10年、東南ア回復
アジア開銀見通し 中印は据え置き

アジア開発銀行(ADB)は20日、アジア太平洋地域(日本など域内先進国除く)の2010年の実質経済成長率が7.9%になるとの見通しを発表した。シンガポールなど東南アジア諸国連合(ASEAN)の輸出が伸び、4月時点の前回見通しを0.4ポイント上方修正した。地域経済のけん引役である中国とインドの成長率は据え置いた。
国・地域別では、ASEAN10カ国について6.7%と同1.6ポイント上方修正。電子機器や医薬品の輸出が増えるシンガポールは12.5%と伸び幅が前回の倍近くになった。同じく輸出主導型のマレーシアやタイも回復の勢いを増す。
中国の成長率は上半期(1-6月期)に、前年同期比11.1%増とADBの見通しを上回っているが、4月に導入した住宅ローン規制による不動産開発投資の減速などを考慮し通年見通しを変えなかった。インドも1-3月期に8.6%と高い伸びを示したが、前回と同じ見通しとなった。要因には言及していないが、5月の鉱工業生産の伸びがやや鈍るなど下振れリスクにも配慮したとみられる。
中央アジアは4.8%、太平洋島しょ国は3.8%とそれぞれ0.1ポイント上方修正した。全体、各国・地域とも、11年の見通しの修正は次回発表(9月)以降に持ち越した。
輸出先としてアジア地域の成長に影響を及ぼす先進国の10年の成長率については、日本を2.8%、米国を3.0%と前回見通しに比べそれぞれ1.5ポイント、0.6ポイント上方修正した。欧州(ユーロ圏)ついては0.8%と同0.3ポイント下方修正。欧州の財政危機の影響は、中国、ASEANでは限定的にとどまるとしている。

次に、ADO Special Note の p.2 から成長率の総括表を引用すると以下の通りです。引用した記事にもある通り、中国とインドが据え置かれた一方で、東南アジアは大きく上方改訂されています。なお、このリポートは2ページだけのごく短いものです。

GDP growth rate for developing Asia, 2010

さらに、Asia Economic Monitor から私の目についた範囲で、いくつかグラフを引用しておきます。Great Recession からアジア新興国・途上国が順調にV字回復している姿として、p.4 には Figure 1: Regional GDP Growth - Emerging East Asia で成長率を示しています。以下の通りです。

Regional GDP Growth - Emerging East Asia

また、私が着目したのは、大きく落ち込んでいたASEANへの資本流入が回復していることを示す以下のグラフです。p.13 から Figure 20: Net Financial Flows - ASEAN-4 を引用しています。

Net Financial Flows - ASEAN-4

結論に持って行くために、フローとストックの東アジア新興国の財政赤字をギリシアなどのユーロ圏諸国と比較したのが以下のグラフです。日本と比較すると効果が薄いと判断されたんだと思います。当然です。p.21 の Figure 29: Public Debt and Fiscal Balances - Emerging East Asia1 and Selected eurozone Countries から引用してます。

Public Debt and Fiscal Balances - Emerging East Asia and Selected eurozone Countries

最後に、リポートの結論となる章のタイトルは "Unwinding Policy Stimulus: Options for Emerging East Asia" と題して、景気刺激策の終了と正常化を呼びかけています。時期や速度については産出ギャップなどによるとしていますが、私が特に興味をひかれたのは、当然と言えば当然ながら、先進国の "Fiscal First and Money Second" は通貨の減価と経常収支不均衡の縮小をもたらす、と極めて率直に指摘していることです。

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