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2010年8月17日 (火)

今野敏『初陣 - 隠蔽捜査3.5』(新潮社) を読む

今野敏『初陣 - 隠蔽捜査3.5』(新潮社)

今野敏さんの『初陣 - 隠蔽捜査3.5』(新潮社) を読みました。7月25日付けのエントリーで紹介した「隠蔽捜査」シリーズの最新刊です。8編の短編を集めています。いつもの通り、大森警察署長・竜崎伸也と警視庁刑事部長・伊丹俊太郎の2人が主たる登場人物なんですが、主人公は他のシリーズの作品のように竜崎ではなく、この『初陣』では伊丹になっています。まず、新潮社のサイトからあらすじを引用すると以下の通りです。

「隠蔽捜査」シリーズが8倍楽しめる、スピンオフ短編集、いよいよ登場!
警視庁刑事部長・伊丹俊太郎と大森署長・竜崎伸也。幼馴染にして同期のキャリア二人の絶妙なやり取りが、難事件を解決に導く - 竜崎に敵対する野間崎方面本部管理官、大森署の貝沼副署長と斎藤警務課長、女性キャリアの畠山美奈子など、おなじみのメンバーが登場。「隠蔽捜査」シリーズの舞台裏を描いた特別短編8話を収録。

この作品が「シリーズ3.5」と称されているのは、短編集であるとともに、すでに、「小説新潮」で「隠蔽捜査4」と題して「収斂」の連載が始まっているからです。何かの折にシリーズ4は「転迷」であると書いたような気がするんですが、これは初回のタイトルだったみたいで、シリーズとしては「収斂」なんだそうです。もっとも、シリーズ第2作の『疑心』も「小説新潮」連載中は「乱雲」だったんですから、タイトルは変更されるのかもしれません。なお、この4作目は1-3作目と同じで長編のようです。
この『初陣』の各短編では伊丹が主人公といっても、実は、難問を次々と解決するのは伊丹から相談を受けた竜崎だったりします。特に、「懲戒」や「冤罪」や「静観」などは見事なもんです。一流のミステリといえます。また、「試練」はシリーズ3の『疑心』の舞台裏を明らかにしています。お約束のシーンも多くあります。『疑心』か『果断』か忘れましたが、大森署の貝沼副署長が「書類にハンコを押しながら警視庁の刑事部長と話をするのは我が署の竜崎署長くらい」といった旨の発言をしますが、この短編集では「警視庁の刑事部長より先に電話を切る所轄の署長は竜崎くらいのものだろう」というのが頻出します。
よく知られた通り、この「隠蔽捜査シリーズ」は警察小説としては、と言っては何ですが、やたらとクオリティが高く、第1作で第27回吉川英治文学新人賞を、続く第2作『果断』で第21回山本周五郎賞と第61回日本推理作家協会賞長編部門を受賞しており、警察小説としての完成度の高さは折り紙つきです。『初陣』のアマゾンでのレビューも圧倒的に5ツ星が多くなっていました。私も5ツ星で多くの方にオススメします。ただし、「隠蔽捜査シリーズ」の第1作から第3作までをすべて読んでおかないと、この本のホントの面白さは理解できないような気がします。その点は少し厄介です。

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