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2010年8月11日 (水)

伸び悩む機械受注と膨れ上がる政府債務

本日、内閣府から6月の機械受注統計調査の結果が発表されました。設備投資の先行指標となる電力と船舶を除く民需は季節調整済みの前月比で+1.6%増の7040億円と、市場の事前コンセンサスを大きく下回りました。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注、6月1.6%増 市場予測大幅に下回る
4-6月0.3%増

内閣府は11日、6月の機械受注統計を発表した。民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」(季節調整値)は7040億円となり、前月に比べ1.6%増えた。2カ月ぶりの増加に転じたが、市場予測の平均を大幅に下回った。4-6月期の増加率は前期比0.3%。1-3月期の2.9%より低下し、当初見通しの1.6%にも届かなかった。
機械受注統計は工場の生産設備などの受注額をまとめたもので、3カ月ほど先の民間設備投資の動向を示すといわれる。内閣府は「持ち直しの動きが見られる」との基調判断を据え置いたものの、設備投資の回復力の鈍さが浮き彫りになった。
6月の増加率(前月比)は、日経グループのQUICKがまとめた民間予測の中央値である5.8%を大きく下回った。非鉄金属の11.9%減、一般機械の2.3%減などが不振だった。
4-6月期の増加率(前期比)は3四半期連続のプラスを維持した。非製造業(船舶・電力を除く)が5.8%増となったのに対し、製造業は8.6%減と3四半期ぶりのマイナスに転じた。鉄鋼業や化学工業など素材型の業種も低調だった。
一方、海外需要は2.4%増と4四半期連続で増加した。内閣府の津村啓介政務官は「海外に設備投資をシフトする面が出ている」と指摘した。
7-9月期の見通しは0.8%増。製造業は1.6%増、非製造業(船舶・電力を除く)は0.6%減を見込んでいる。

次に、いつもの機械受注のグラフは以下の通りです。青い折れ線グラフがコア機械受注と呼ばれる電力と船舶を除く民需、赤がその後方6か月平均、緑はコアコア機械受注とも呼ぶべき電力と船舶に加えて携帯電話も除く民需です。いずれも左軸の単位は兆円で、影をつけた部分は景気後退期となっています。さすがに誰がどう見ても、昨年10-12月期に底入れし、回復局面に入ったと考えられますが、力強さに欠けています。引用した記事にもある通り、1-3月期の+2.9%増から4-6月期は+0.3%増に急減速しました。先月7月8日付けのエントリーで機械受注を取り上げた際には、「底入れした直後に減速が始まった」と書きましたが、同様の印象です。底堅いながらも、円高や世界景気の回復鈍化、特に米国経済の足踏みや中国におけるインフレの進行をはじめとするオーバーヒートのおそれなどにより、先行き経済が不透明なため、設備投資の先行指標である機械受注をはじめとして、設備や雇用などの要素需要の本格的な回復には時間がかかる可能性が高まったと見るべきです。本年度の年央から後半にかけて、輸出や生産から景気回復の主役が雇用に支えられた消費や設備投資にバトンタッチし、要素需要の本格的な回復が始まると考えていた楽観的な私の見通しは修正すべき時期に達したと観念しています。

コア機械受注の推移

さて、機械受注を終えて、昨日、財務省から6月末時点での国債及び借入金並びに政府保証債務現在高が発表されました。通常、私は年度末である毎年3月末の時点の係数しかチェックしていないんですが、財務省のサイトにある国際比較のグラフが、OECD Economic Outlook 86 による2009年12月時点のデータを用いて更新されていますので、簡単に取り上げておきます。まず、国債などのいわゆる政府の借金に関して6月末日時点での計数は以下の通りです。

区分金額増減
内国債7,338,084133,194
 普通国債6,057,520117,804
 長期国債 (10年以上)3,828,31396,769
中期国債 (2年から5年)1,798,44426,512
短期国債 (1年以下)430,763▲5,477
財政投融資特別会計国債1,238,18715,934
 長期国債 (10年以上)1,011,7238,980
中期国債 (2年から5年)226,4646,954
交付国債3,816▲67
出資・拠出国債17,807136
株式会社日本政策投資銀行危機対応業務国債13,500-
日本高速道路保有・債務返済機構債券承継国債7,254-
借入金550,599▲13,465
 長期 (1年超)205,939▲4,982
短期 (1年以下)344,660▲8,483
政府短期証券1,152,08991,808
合計9,040,772211,538

さらに、フローの財政収支とストックの債務残高の国際比較は以下のグラフの通りです。グラフ画像の直接の引用元は財務省のサイトなんですが、データの原典は2009年12月の OECD Economic Outlook 86 です。原則として、一般政府の計数ですが、日米両国のフローの財政収支のみ社会保障基金を除いているようです。

財政収支及び政府債務残高の国際比較 (GDP比)

目先の楽観的な景気見通しはすでに変更しましたが、財政収支や政府債務についても私は考えを変更しつつあります。

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