踊り場に向かう景気動向指数と大きく下がった大学生の就職率
本日、内閣府から6月の景気動向指数が発表されました。CI一致指数は101.3と、ここ2-3か月ほぼ横ばい圏内で推移する一方、DIは一気に50を割り込みました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
6月の景気一致指数、0.1ポイント上昇
内閣府が6日発表した6月の景気動向指数(CI、2005年=100、速報)によると、景気の現状を示す一致指数は前月比0.1ポイント上昇の101.3と2カ月ぶりに上昇した。投資財出荷指数(除輸送機械)や有効求人倍率など、設備投資や雇用関連の指標が上昇したことが寄与した。ただ、鉱工業生産財出荷指数など生産関連の指数が下落したため、上昇幅はわずかだった。
数カ月後の景気の先行きを示す先行指数は0.3ポイント上昇の98.9と3カ月ぶりのプラス。新規求人数など雇用関連の指数が上昇した。
一方、指数を構成する経済指標のうち、3カ月前に比べ改善した指標が占める割合を表すDIは先行指数が30.0%、一致指数が44.4%、遅行指数が25.0%。09年3月以来15カ月ぶりに、景気の良しあしの分岐点とされる50%を3指数とも下回った。
内閣府は基調判断を9カ月連続で「改善を示している」としたが「今後も弱い動きが続くか注視していく」としている。
次にいつものグラフは以下の通りです。上のパネルは赤い折れ線グラフがCI一致指数、水色が先行指数、下のパネルの緑色の折れ線グラフはDI一致指数です。いずれも影を付けた部分は景気後退期です。
景気動向はゆっくりと回復が鈍化し踊り場に向かっているように見受けられます。少し前までは、潜在成長率水準への回帰、エコポイントなどの政策効果の剥落による「官製景気」の終了、世界経済の成長鈍化の3点セットで完結していたんですが、最近では、最後の3点目に円高を付け加える必要があるかもしれません。一昨日のエントリーで示したように、長期金利の低下と円高はコインの表裏となっています。前回の第14循環における2004年半ばからの景気の踊り場の後は、まだ記憶に新しいところで、2005年夏からの本格的な景気拡大局面が控えていました。しかし、2005年夏から2007年の景気の山までの期間にデフレを脱却したかどうかはいまだに疑問が残ります。私は今でも景気拡大はデフレ脱却の必要条件であって、賃金上昇が十分条件になると考えています。この5年間、考えは変わりません。
最後に、昨日、文部科学省から「学校基本調査速報」が発表されました。東京に戻って学生の就職に対する関心はかなり薄れたんですが、上のグラフは大学卒業生の就職率の推移です。バブル経済末期の1990-91年ころの平成のピークには80%を超えていた就職率は2010年3月卒業生では60%にまで急落しました。既往最低値の2003年55.1%に達するまでに出来るだけ早く反転し上昇することを願っています。
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