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2010年8月25日 (水)

為替と今後の貿易動向を占う

本日、財務省から7月の貿易統計が発表されました。季節調整していない現系列の金額ベースでみて、輸出額は5兆9828億円、輸入額は5兆1786億円、差引き貿易収支は8042億円の黒字となりました。季節調整値でも貿易収支は6104億円になっており、貿易収支については市場の事前コンセンサスを大きく上回りました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

輸出8カ月連続増 7月、貿易黒字2.2倍
財務省が25日発表した7月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額は前年同月比23.5%増の5兆9828億円になった。米国向け自動車やアジア向け鉄鋼などが増え、8カ月連続で前年同月を上回った。ただ伸び率は前月に比べ4.2ポイント鈍化した。輸入額は15.7%増の5兆1786億円で、差し引きの貿易収支は8042億円の黒字。黒字幅は前年同月の2.2倍になった。
貿易収支が黒字になるのは16カ月連続。ただ為替相場が円高で推移していることや世界景気の回復スピードも弱まっていることで、輸出の伸びは一時期ほどの勢いはない。米国向けの自動車部品やアジア向けの自動車輸出の伸びが鈍化している。7月の円・ドルレートは月間平均で1ドル=89円09銭と、前年同月に比べて6.4%の円高・ドル安だった。
輸出の動向を地域別にみると、アジア向けは前年同月比23.8%増の3兆3430億円と、9カ月連続で増えた。台湾やシンガポール向けの半導体のほか、タイや韓国向けの鉄鋼製品などが伸びた。中国向けは22.7%増の1兆1569億円。金属加工に使う工作機械や自動車が好調に推移した。
先進国向け輸出は米国が前年同月比25.9%増の9722億円と7カ月連続増。自動車やボイラーなどの原動機が全体を押し上げた。欧州連合(EU)向けは13.3%増の6326億円。オランダやベルギー向けの建機が増えた。
季節調整値で前月と比較すると輸出額は1.4%減となり、3カ月連続で前の月を下回った。足元で輸出回復のスピードはもたついている。

次に、いつものグラフは以下の通りです。一番上のパネルは季節調整していない金額ベースの輸出入とその差額たる貿易収支、真ん中のパネルは金額ベースは同じですが、季節調整してある輸出入と貿易収支、一番下のパネルは季節調整していない原系列の金額ベースの輸出の前年同月比を貿易指数により数量と価格に寄与度分解したものです。

輸出入と貿易収支の推移

まず、一番下の季節調整前の貿易指数をもとにしたグラフでは、まだ輸出が前年同月比で増加しているように見えますが、季節調整した系列の真ん中のパネルを見て、輸出がハッキリと減少に転じたことを読み取るべきです。そして、季節調整済み系列の前月比と季節調整していない原系列の前年同月比の乖離が生じ始めています。例外がなくもないものの、基本的に、エコノミストは前者を重視します。例えば、引用した日経新聞の記事には原系列の前年同月比で見てアジア向け輸出の伸びが高く、欧州向けは低い旨の記述がありますが、私が受け取っているいくつかのシンクタンクなどからのニューズレターによれば、季節調整済みの系列の前月比では中国を含むアジア向けが鈍化し、欧米向けは高い伸びを記録しています。いずれにせよ、輸出は季節調整していない原系列の前年同月比で見て伸びが鈍化するとともに、季節調整済みの系列の前月比で見て減少に転じた可能性が高いと受け止めるべきです。これを確認するのが以下のグラフです。輸出数量指数の前年同月比とOECD先行指数の前年同月比を3か月分リードを取ったグラフを並べてあります。この先も、世界景気の鈍化が我が国の輸出へ影響を及ぼすことは明らかです。

輸出とOECD先行指標の推移

上のグラフは我が国輸出に対する需要要因なんですが、もちろん、価格要因も考える必要があります。要するに、為替レートです。ここ2日ほどで大きく円高に振れていることは報じられている通りです。

為替レートの推移

今年4月から直近までの為替と株価をグラフにしてみました。元データは、為替については、日銀の主要時系列統計データ表の東京インターバンクのドル円スポットレートをプロットしています。もっとも、直近営業日は Yahoo! ファイナンスから取っていたりします。株価は米国の Yahoo! Finance から東証平均株価の終り値を取っています。為替については今年4月初旬の1ドル約94円から直近まで、10円の円高が進んでいます。10%を超える円高です。6月調査の日銀短観の事業計画の前提レートが1ドル92.84円でしたから、輸出企業には厳しい水準であることは間違いありません。株価も11000円をかなり超える水準から8900円を下回る直近値まで、2500円近く下げました。コチラは20%を軽く超えます。
この間、株価はともかく、政府と日銀はほぼ無策で円相場に無関心でしたし、昨日、わざわざ記者会見を開いた野田財務大臣が、こともあろうに為替介入について「コメントしない」と発言したものですから、一気に円高が進んだりしました。それにしても、質問が出るであろう為替介入について「コメントしない」ことをコメントするためにわざわざ記者会見を開いたのも間が抜けた話だという気がします。その後、「必要な時に適切な対応」と為替介入に含みを持たせた発言があったようですが、市場関係者に足元を見透かされた気がします。もちろん、現行の改正日銀法の下では為替介入は財務省の専管事項であり、日銀は財務省の指示に従って実務を執り行うだけなんですが、そもそも、日銀の専管である金融政策の目標は通貨の安定であって、これにはインフレとデフレの回避とともに為替相場の安定も含まれていると私は考えていますから、相変わらず、日銀も無策振りを露呈したと私は考えています。為替の円高も株安も催促相場と見る向きも多いようです。

株価を経済政策の目標にするのは違和感がありますが、今日の日経新聞では「1ドル85円・株9000円、続けば成長率0.2ポイント押し下げ」と題して、日経 NEEDS モデルのシミュレーション結果が取り上げられていたりしました。民主党政権の経済政策の正念場かもしれません。政府から独立している日銀との政策協調も同時に問われています。

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