The Economist の記事 Japan as number three
今週月曜日の4-6月期GDP速報1次QEの発表を受けて、いよいよ日本がGDP規模で中国に追い抜かれて世界第3位になった、というか、少なくとも2010年通年の統計では明らかにそうなるだろうということが白日の下に晒された気がします。ということで、最新号の The Economist では Japan as number three: Watching China whizz by なる記事を掲載しています。もちろん、このタイトルは Ezra F. Vogel 教授の Japan as Number One: Lessons for America (Harvard University Press, 1979) を皮肉ったものです。記事の最初の1パラだけ引用すると以下の通りです。
Japan as number three
Watching China whizz by
FIVE years ago China's economy was half as big as Japan's. This year it will probably be bigger (see chart 1). Quarterly figures announced this week showed that China had overtaken its ancient rival. It had previously done so only in the quarter before Christmas, when Chinese GDP is always seasonally high.
引用にある Chart 1 というのは下の通りです。バブル経済崩壊後、最近15年くらい日本はほとんど経済成長していないことが明らかになるグラフです。日経新聞のサイトで「内閣府は16日、4-6月期の国内総生産(GDP)統計で、ドルに換算した日本の名目GDP(原系列)が中国を下回ったと発表した。」と短く取り上げられるなど、アチコチの国内メディアでも報じられていたことは記憶に新しいところです。
The Economist の記事では、もちろん、中国の人口が日本の10倍であることから、国民生活の豊かさで日本が中国に後れを取ったわけではないと暗に指摘しつつ、それでも、「1%成長でよし」 "the country is lucky if its economy grows by 1% a year" とされる日本経済に対して中国経済の急速な成長を対比させていたりします。早晩、1人当たりのGDPで表わされる国民生活の豊かさでも日本は中国に追い抜かれる、と言いたいのかもしれません。
さらに、その昔の日本のサラリーマンは "modern-day samurai" と見なされていたが、現在では、"grass-eating men" として知られており、日本生産性本部のアンケート調査結果を上のグラフのように引用して、最近では起業を考えるよりも終身雇用の企業に勤務することを望む割合が増えている、と若い世代の危険回避的な傾向を指摘しています。加えて、英語能力の低さや女性の社会進出が進んでいない点など、日本の弱点をいろいろと指摘しています。
2番目のグラフの危険回避的な傾向については、私の主張する高齢者に偏った社会保障制度などの世代間不公平により、ある程度は説明できるかもしれないと思わないでもないですが、その他のポイントについてもいろいろと考えさせられる記事でした。
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