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2010年9月12日 (日)

ル=グウィン女史の『空飛び猫』(講談社) シリーズ他を読む

ル=グウィン『空飛び猫』(講談社)

何となく、アーシュラ K. ル=グウィン女史の本を何冊か読みました。上の画像の『空飛び猫』シリーズ4冊と『風の十二方位』(早川書房) に収められた短編「オメラスから歩み去る人々」です。『空飛び猫』シリーズの翻訳者は村上春樹さんです。それから、「オメラスから歩み去る人々」はヒューゴー賞受賞作品であり、功利主義を批判するために、昨日の読書感想文で取り上げたサンデル教授の『これからの「正義」の話をしよう』でも引用されています。まず、『空飛び猫』シリーズの4話は以下の通りです。リンクは講談社のサイトに張ってあります。

第1話の表紙から分かるように、4匹の猫セルマ、ジェームズ、ロジャー、ハリエットには何とがあります。この4匹の兄妹の母親ジェーンにはありません。ジェーンの解釈では翼のある4匹は生まれ育った都会から遠くに行くためのものです。この言葉に従って、4匹の空飛び猫は田舎の農場にたどり着きます。ジェーンおかあさんから「もしもお前が良い『手』をみつけたら、もう自分で餌を探す必要はなくなるんだよ。でもそれがいけない『手』だったら、それは犬よりもたちが悪い」と教えられていたんですが、ハンクとスーザンのブラウン兄妹に飼われることになり、農場の納屋での生活が始まります。ここまでが第1話です。でも、第2話では、4匹の兄妹のうちジェームズとハリエットがおかあさんを訪ねて生まれ育った都会に戻ります。帰巣本能が大いに役立ちます。ジェームズとハリエットはスラムが解体される際、廃墟の中に翼をもった黒い子猫を見つけます。ジェーンおかあさんを見つけ出して、この黒い子猫が自分達の妹であることを知り、ジェームズとハリエットは背中に乗せてセルマとロジャー、そしてブラウン兄妹が世話してくれる農場に戻ります。黒い子猫はおかあさんと同じジェーンという名前です。第3話では、飼い猫のアレクサンダーが冒険に出かけ、木から下りられなくなったところをジェーンに助けられます。アレクサンダーは純真無垢で素晴らしい子猫です。翼はありませんが、ジェーンと仲良くなり、しゃべれなかったジェーンの心を開かせてしゃべれるようにします。アレクサンダーは納屋で暮らす翼のある4匹の兄妹猫と違って、母屋で飼われることになります。第4話ではジェーンが都会のおかあさんの元に戻ろうとします。でも、ポッパに飼われるようになり、テレビに出たりして自由のない暮らしに不満を持ち逃げ出します。結局、逃げ出した黒猫のジェーンはジェーンおかあさんといっしょにサラ・ウルフおばあさんに飼われることになり、丘の上牧場の4匹とジェーンがお互いを訪ね合う暮らしに落ち着きます。
「オメラスから歩み去る人々」のあらすじは以下の通りです。オメラスではあらゆる人々が幸福に暮らしていますが、それはたった1人の子供の犠牲によって成り立っています。そういう契約なのです。オメラスの子供達は8-12歳の適当な時期が来るとその事実を伝えられます。多くの子供はそれを受け入れますが、オメラスから歩み去る子供や大人が後を絶ちません。

単にル=グウィン女史の作品というだけで、いっしょに取り上げるべきかどうかは疑問が残りますし、感想文でも何でもなく、あらすじを書き連ねただけなんですが、週末のひと時を図書館借りた借りた本を読んで、これまた図書館で借りたCDを聞きながら、のんびりと過ごしています。もうすぐ試合の始まる阪神が勝てば最高なんですが、今日の試合はどうなりますことやら。先発投手の顔ぶれからすると、阪神が不利かもしれませんが、ダイナマイト打線に期待します。

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