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2010年9月30日 (木)

先行き弱含みの鉱工業生産指数から自動車産業を考える!

本日、経済産業省から8月の鉱工業生産指数が発表されました。市場の事前コンセンサスが季節調整済みの前月比で+1.1%増であったところ、▲0.3%減と大幅に下回りました。さらに、9月と10月の製造工業生産予測指数もマイナスと見込まれることから、経済産業省は基調判断を「持ち直しの動き」から「横ばい傾向で、先行きは弱含み」に下方修正しました。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産8月0.3%低下 「先行き弱含み」
3カ月連続マイナス 基調判断を下方修正

経済産業省が30日発表した8月の鉱工業生産指数(速報値、2005年=100)は94.5となり、前月比0.3%低下した。マイナスは3カ月連続。これまでけん引役だった半導体製造装置などの一般機械工業が5カ月ぶりに低下した。海外経済の減速やエコカー補助金の終了で先行きの生産減少が見込まれており、経産省は基調判断を「生産は持ち直し」から「生産は横ばい傾向で、先行きは弱含み」に下方修正した。
8月の鉱工業生産指数は事前の市場予測の中央値(前月比1.2%増)を下回った。生産指数が3カ月連続でマイナスになるのはリーマン・ショック直後の08年10月-09年2月の5カ月連続でマイナスを記録して以来。基調判断を引き下げるのは09年3月以来、1年5カ月ぶり。
業種別では一般機械工業が1.1%低下し、5カ月ぶりのマイナスになった。化学工業や石油精製などで使われる反応用機器が前月の生産増の反動で落ち込んだほか、これまで好調だった半導体製造装置のアジアや欧米向け輸出が伸び悩んだ。自動車で使われる工業用ゴム製品も2.9%のマイナスだった。9月にエコカー補助金が終了するのを見越して、生産調整が進んだとみられる。
一方、猛暑の影響でセパレート型エアコンの生産が増え、電気機械工業は2カ月ぶりに3.3%上昇した。住宅用の太陽光発電で使われる太陽電池モジュールやカーナビゲーションなど情報通信関連の生産は引き続き好調で、エコポイント制度の効果は続いているようだ。
出荷指数は前月比0.5%低下した。設備投資の動向を示す資本財出荷指数(除く輸送機器)も同1.4%のマイナスとなった。ともに2カ月連続のマイナスだった。在庫指数は0.7%上昇の97.4だった。
製造工業生産予測指数は9月が前月比0.1%低下、10月は同2.9%と大幅な低下となった。予測指数通りなら7-9月期の鉱工業生産指数は前期比1.1%の低下となり、金融危機の最中だった09年の1-3月期の20.0%低下以来のマイナスになる見通しだ。特に自動車などの輸送機械工業の落ち込みが大きく、経産省は「エコカー補助金の終了や円高など市場の先行きが不透明」と分析している。

いつものグラフは以下の通りです。赤い折れ線が季節調整済みの鉱工業生産指数で、影を付けた部分は景気後退期となっています。鉱工業生産指数は景気動向指数では一致指数として扱われているんですが、ホンの少し先行しているのかもしれません。

鉱工業生産指数の推移

引用した記事にもある通り、鉱工業生産は3か月連続の減産で、しかも、9-10月も低下、特に10月は大きな低下を続けると見込まれていますので、基調判断が下方修正されたのも当然です。私自身は消費をはじめとして景気全体は9月まで何とか回復基調を持ちこたえると見ているんですが、生産は直近は今年5月をピークに下がり始めています。2004年6月をピークに踊り場に入ったのと極めてよく似ていると受け止めています。
リーマンショック後の Great Recession の時と同じで自動車産業に日本経済が振り回されている気がします。エコカー補助金が9月上旬で終了したのが大きな減産の源なのでしょうか。私のようなシロートの目から見ても、かなり透明性高く設計され、諸外国の同種の自動車産業支援策よりもはるかに長い1年超の期間をかけて、諸外国よりもはるかに乏しい財政リソースをつぎ込んで、なおかつ、これだけのショックを日本経済に残すんでしょうか。かつては自動車産業のトップ企業であるトヨタは経団連会長も輩出していたわけですし、補助金漬けでなければ経営できないわけではないと私は考えます。もちろん、何のショックも生じることなくソフトランディング出来るとは思いませんが、少なくとも現在の市場経済の下での企業経営ではスムージング・オペレーションは不可能であると私の目には映りました。今回のエコカー補助金だけでなく、一般的に、何らかの支援措置の終了直前の駆込み需要と終了後の反動減は、少なくともならして見れば、ニュートラルであると、考えられなくもないんですが、マイナス要因が目立つのも事実です。おそらく、エコカー補助金の終了に起因するのであろう今回の日本経済の踊り場入りから、景気循環の平準化に対する市場経済の無力や限界を感じるのは私だけなのかもしれません。

電子部品・デバイスの在庫率の推移

自動車産業を離れて、大きな懸念のひとつは、電子部品・デバイスが在庫調整に入る可能性です。上のグラフは製造工業と電子部品・デバイスの季節調整済みの在庫率の推移です。在庫管理の進展などにより在庫循環がやや不分明になっている一方で、かなり「若い産業」である電子部品・デバイスではまだ古典的な在庫循環が明瞭に観察されます。その意味で、電子部品・デバイスが意図せざる在庫の積上りから調整局面に入る可能性があると私は受け止めています。

資本財出荷の推移

最後に、私が注目しておくべきと考えるのは、今後の設備投資との関係で、資本財出荷の動向です。上のグラフの通りです。生産ほどシャープに低下局面に入っているようには見られませんが、機械受注統計とともに、景気の主役が生産や輸出から設備投資や雇用に移行するかどうかを見極める上で注目しています。しかし、この資本財出荷も大きく鈍化しており、設備投資の盛り上がりも見られません。

最後に、当然ながら、生産が減産に入れば雇用の過剰感が強まります。明日発表の失業率や有効求人倍率などの雇用指標も大いに注目です。

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