« 甲子園で横浜を3タテし5連勝で首位固め! | トップページ | 競った試合を落として6連勝ならず! »

2010年9月 3日 (金)

厚生労働省「若年者雇用実態調査」のバックグラウンドを考える

まず、本日、財務省から4-6月期の法人企業統計が発表されました。下のグラフの通りなんですが、上のパネルは、季節調整済みの系列の前期比で見て、売上高が+7.1%増、経常利益が+2.3%増で、3四半期連続の増収増益となりました。同じく季節調整済みの系列の前期比で、ソフトウェアを除く設備投資は製造業+11.5%増、非製造業+4.1%増、下のパネルの通り、両者を合わせて+6.4%増と回復を示しました。私はかなり強い数字と受け止めています。ですから、4-6月期のGDP速報、すなわち、来週9月10日発表予定の2次QEは1次QEよりも上方に改定されると私は予想しています。

法人企業統計の推移

ただし、先行きは極めて不透明であり、特に、円高の影響が7-9月期から現れることが確実なため、4-6月期のGDP統計は発表されるや否や、「過去の数字」の扱いを受けそうな気がします。例えば、下の表では日本総研のリポート「円高が製造業の企業収益に与える影響」から、試算結果を引用しています。

円高の企業収益への影響

本来の話題に転じて、昨日、厚生労働省から「若年者雇用実態調査」の結果について発表がありました。世間一般では、学校を卒業しても正社員で採用されないとか、フリーターが正社員になりにくいとか、の点に注目していたような気がします。まず、朝日新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

非正規就職の若者、6割が正社員なれぬまま 厚労省調査
厚生労働省は2日、2009年の若年者雇用実態調査を発表した。学校卒業後に非正社員として就職した人のうち6割は、その後も非正社員として働いていることがわかった。
対象は15-34歳の労働者。5人以上の従業員のいる9457事業所と、それらの事業所で働く1万5124人が答えた。昨年10-11月に実施した。
労働者には、学校卒業後1年間の状況と現在の就業形態を聞いた。卒業後に「正社員として就職した」は、71.2%、「正社員以外として就職」は22.9%、「無業だった」は5.2%。
「正社員以外として就職」のうち、現在も正社員以外の人は64.7%にのぼる。男性は54.4%、女性は72.9%。年齢別では、15-19歳が88.7%、20-24歳が79.6%、25-29歳が61.3%、30-34歳で52.8%だった。
またフリーターを正社員に採用するかどうかでは、事業所の87.5%が「採用する場合がある」と答えたものの、過去3年間に「採用に至った」のは11.6%にとどまった。

若年者の雇用が厳しい理由については、私は3点あると考えています。第1に、マクロ経済要因、すなわち、需要不足です。これについては、失業や学生の内定などは圧倒的にマクロ経済要因で決まると、従来からこのブログで強調しているところです。しかし、このマクロ経済要因は年齢に関係ありませんから、特に若年者の雇用については以下の2点を考慮する必要があります。第2に、年齢によるスキルの違いです。若年者は相対的に年齢の高い階層に比べてスキルが低いことは容易に想像できます。しかし、この点については私のようなマクロ・エコノミストは確たる見識がありません。そこで考えたのは、第3に、何らかの経済合理的でない偏見や既得権が若年者の雇用に不利に作用している可能性です。最後の点に関して、私が注目しているのは、最近3-4年でいわゆる団塊の世代が労働市場に留まり続けていることです。例えば、60-64歳階級の労働力人口比率を少し長く見ると、下のグラフの通りです。バブル経済の時期に上昇したのは経済合理性があると考えられますが、その後、バブルが崩壊して長期に低下を続けながら、2005年を境に大きく上昇し、最近2009年では60%に達しました。データの出典は総務省統計局の労働力調査です。

60-64歳の労働力人口比率の推移

もちろん、世間一般に観察される60歳定年で労働市場を退出しなければならない積極的な理由は存在しませんし、技術の継承という観点からは経済合理的な面もあります。さらに、これも「超一般論」として、日本は人口減少社会に入っているわけですから、女性や高齢者の労働市場参入を促進することが経済成長に必要、という意見は極めてもっともなんですが、実は、すでに日本の高齢者の労働市場参加率が先進国の中でもかなり高い、という事実は意図せずか意図的にか見逃されているような気がします。下のグラフは、G5諸国について60歳以上の年齢階層別の経済活動人口比率をプロットしたものです。データ出典は国際労働機構 (ILO) の LABORSTA です。ILO の経済活動人口比率はほぼ我が国総務省統計局の労働参加比率に相当すると考えられます。

G5諸国の年齢階級別経済活動人口比率

先の人口減少社会における「超一般論」はともかく、現実論として、すでにかなり高い日本の高齢者の労働力人口比率をさらに高めることが経済合理的かどうかは十分な検証が必要です。もちろん、私のオススメは若年労働者を雇用することです。しかしながら、見て来たように、高齢者雇用の既得権が若年者雇用を阻害している可能性があると私は受け止めています。特に、いわゆる団塊の世代が60歳に達した時期、すなわち、最近3-4年でその傾向が強まっているような気がしてなりません。政府の政策というよりも、民間企業の雇用慣行に近い問題ではないかと私は考えていますから、何とか、若年者雇用に目が向くような方策はないものかと思案しているところです。

|

« 甲子園で横浜を3タテし5連勝で首位固め! | トップページ | 競った試合を落として6連勝ならず! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/207184/36523073

この記事へのトラックバック一覧です: 厚生労働省「若年者雇用実態調査」のバックグラウンドを考える:

« 甲子園で横浜を3タテし5連勝で首位固め! | トップページ | 競った試合を落として6連勝ならず! »