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2010年10月13日 (水)

機械受注統計から設備投資動向を読み解く

本日、内閣府から8月の機械受注統計が発表されました。ヘッドラインとなる船舶・電力を除く民需は季節調整済みの系列で前月比+10.1%増の8435億円とドカンと増えました。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の機械受注、10.1%増 判断「持ち直し」に上方修正
3カ月連続プラス

内閣府が13日発表した8月の機械受注統計は、民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」(季節調整値)が前月に比べて10.1%増の8435億円となった。プラスは3カ月連続。製造業、非製造業ともに大幅に伸びた。内閣府は基調判断を前月までの「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直している」に上方修正した。
機械受注統計は工場の生産設備などの受注額を集計するもので、3カ月ほど先の民間設備投資の動向を示す。8月の実績は日経グループのQUICKがまとめたエコノミストの見通し中央値(前月比3.7%減)を大幅に上回った。変動が大きい携帯電話を除いたベースでも11.2%増の7900億円と堅調だった。
ただ内閣府の和田隆志政務官は記者会見で、足元の円高・株安などの不安要因を踏まえ「いい動きだが楽観できる状況ではない。1-2カ月様子を見る必要がある」との認識を示した。
業種別に受注額をみると、製造業は前月に比べて12.5%増と3カ月連続で増加した。電気機械から半導体製造装置の引き合いがあったほか、大型案件が入った鉄鋼業も好調だった。非製造業の受注額は船舶・電力を含んだベースで30.8%増えた。海外からの受注額は3.7%減の7697億円だった。
内閣府の当初調査では7-9月期の受注見通しは船舶・電力を除くベースで前期比0.8%増だった。7、8月が大きく伸びたことから、9月が前月比横ばいでも7-9月期は13.6%増に達する。

次に、いつものグラフは以下の通りです。上のパネルはコア機械受注と呼ばれる船舶と電力を除く民需が青い折れ線で、その6か月後方移動平均が赤で、まら、コア機械受注からさらに携帯電話を除いたコアコア機械受注が緑の折れ線で、それぞれプロットされています。下のパネルでは、船舶を除く機械受注受注残高と、それ販売額で除した手持ち月数をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列で、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

機械受注の推移

7月統計の前月比+8.8%増に続く、8月+10.1%増ですし、市場の事前コンセンサスでも▲4%近く減少するとの見通しでしたから、ちょっとびっくりなんですが、有り体にいえば、何かの特殊要因があったんだろうと私は受け止めています。コア機械受注における7月と8月の差が約770億円あるんですが、そのうち460億円超はその他非製造業で増加しています。怪しいのはこのあたりかと考えなくもありません。
従って、コア機械受注が設備投資の先行指標とはいえ、この結果をそのままの形で受け止めるのはややリスクがあります。例えば、鉱工業生産指数のうちの資本財出荷や先日の日銀短観の設備投資計画と比べて、今日の機械受注の結果は整合的ではありません。加えて、8月下旬から進行した円高の影響、一向に改善しないデフレ、内外の需要の停滞など、マクロ経済環境は確実に設備投資にはマイナスでしょうから、引用した記事にもある通り、内閣府は基調判断を前月までの「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直している」に上方修正したようですが、このまま設備投資が順調に拡大局面に入ると楽観するのはムリがあると私は受け止めています。

機械受注についての特殊要因は統計を詳しくブレークダウンしても不明ですが、取りあえず、来月の統計の反動減がどれくらいあるかに注目したいと考えています。

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