企業物価に見るデフレの現状
本日、日銀から9月の企業物価 (CGPI) が発表されました。ヘッドラインとなる国内企業物価は前年同月比で▲0.1%の下落と、市場の事前コンセンサスであった保合いにほぼミートしました。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
9月の企業物価指数0.1%低下 円高も影響
日銀が14日に発表した9月の国内企業物価指数(2005年=100、速報値は102.8と前年同月比で0.1%低下した。自動車やパソコンなどの販売競争激化に伴う価格引き下げが影響したほか、円高も押し下げ要因になった。
同指数は企業が出荷や卸売りの段階で相互にやりとりするモノの価格を示す。調査対象の855品目のうち、下落したのは398品目で、下落品目数は前月よりも8品目減った。上昇したのは276品目だった。
品目別で下落幅が大きかったのは、情報通信機器(6.2%)、電子部品・デバイス(4.2%)、電気機器(3.4%)、輸送用機器(2.6%)など。上昇幅が大きかったのは、非鉄金属(7.4%)、鉄鋼(4.9%)、石油・石炭(3.0%)などだった。
次に、企業物価指数の前年同月比上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルは国内・輸出・輸入別の計数をプロットしており、下のパネルは需要段階別に国内品の素原材料・中間財・最終財となっています。下のパネルは内閣府の「今週の指標」 No.968 のマネだったりします。
見れば分かりますが、2007年から2008年における原油などの商品価格の大幅な上昇とその後の下落に伴って、輸入物価が乱高下する一方で、国内物価は当然ながら輸入物価にやや遅れつつもそのインパクトを生産や流通段階で吸収して、物価変動幅は小さいながらも同様の方向性を示し、最近では今年に入ってからほぼ前年同月比でゼロ近傍の上昇率を続けています。下のパネルから、物価の変動率は 素原材料 > 中間財 > 最終財 となっているのが明らかに読み取れます。当然です。ただし、ここで注目すべきであるのは、ホントは 素原材料 > 中間財 > 0 > 最終財 となっており、素原材料と中間財はプラスの物価上昇率であるにもかかわらず、最終財段階ではマイナスのデフレになっているということです。需給バランスとそれに基づく競争が反映されていると受け止めています。
資源価格のプッシュがないと国内物価がプラスの上昇率を示さず、需要段階別では最終財ほど下落率が大きいということは内需の不足を示しています。いかにして物価上昇率をプラスにするか、中央銀行の腕の見せどころであると私は考えています。
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