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2011年1月 5日 (水)

気が進まないながら、総理大臣年頭記者会見の感想

正月三が日が明けて、昨日、総理大臣官邸で菅総理の年頭記者会見が行われました。全国紙各紙ではいっせいに「小沢切り」の文字が並んだ気がします。総理大臣官邸及び全国紙主要紙の記事へのリンクは以下の通りです。

ここまで「小沢切り」を並べておいてナンですが、エコノミストとして「小沢切り」は余りに専門外ですので、別の観点から余り報道されていない論調を探りたいと思います。第1に、財政再建です。記者会見ではモロの「財政再建」という言葉は質疑応答を含めて聞かれず、「社会保障の在り方と、それに必要な財源を、消費税を含む税制改革を議論しなければならない」と表現されましたが、私は増税に偏った印象を受けました。少子高齢化が進む中で、社会保障給付、特に、年金や高齢者医療費などの削減なくして消費税増税だけで社会保障給付の大盤振舞いを続ければ、直感的な表現ですが、いくら増税しても追い付きません。しかも、このブログで従来から主張している通り、増税後の余命の短い高齢者ほど有利になる恐れがあり、世代間不公平の是正にもつながるかどうか疑問です。もっとも、これは記者会見を聞いた私の印象ですから、別の印象もあり得る可能性は排除できませんし、コトが私の印象通りに進むかどうかも保証の限りではありません。
第2に、昨年12月17日付けのエントリーで予算案を取り上げた際に強調しましたが、根拠が不明確な期限が横行しています。すべて記者からの質問に答える形ですが、フジテレビの質問に対して、社会保障とその財源は「6月頃までを一つの目途にして、一つの方向性を示したい」と答え、ブルームバーグの質問に対して、環太平洋経済連携協定 (TPP) については「最終的な判断を6月頃というのが一つの目途」と官房長官発言を繰り返しています。新聞論調では4月の地方選挙の後に先送りしたと受け止められているようですが、先送りについては意思決定まで時間がかかるのは仕方のない面があるのは理解するものの、私から見れば意思決定の時期や国債発行額などのこの他の目標の決め方にどこまで合理的な根拠があるのか、あるいは、そんな根拠はないのか、やや疑問に思わないでもありません。

官庁エコノミストとはすなわち国家公務員ですから、内閣総理大臣は指揮命令系統で見て究極のボスであり、批判的な論調を展開するのは実は気が進まないんですが、年頭記者会見から少し疑問に感じた2点を取り上げておきました。もちろん、日本は言論の自由な国であり、政府首脳の漢字を誤植したら首が飛ぶ国とは違うんだろうと信じていますが、それでも、気が進まないことは確かです。気が進まないなら、別のトピックにすればいいのにといわれると言葉に詰まります。

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