踊り場の脱却を示唆する景気動向指数
本日午後、内閣府から12月の景気動向指数が発表されました。ヘッドラインとなるDI一致指数は前月比+0.7ポイント上昇して103.1と2か月連続で改善しました。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
景気一致指数、2カ月連続上昇 基調判断は据え置き
内閣府が7日発表した2010年12月の景気動向指数(CI、2005年=100、速報)によると、景気の現状を示す一致指数は前月比0.7ポイント上昇の103.1と2カ月連続で改善した。
鉱工業の生産財出荷指数や生産指数、製造業の残業時間が増加するなど生産関連指数が改善したことが寄与した。一方で、小売業の商業販売額は家電エコポイント制度の変更が響き低下した。基調判断は3カ月連続で「足踏みを示している」とした。
数カ月後の景気の先行きを示す先行指数は0.8ポイント上昇の101.4と2カ月連続で改善。中小企業の売上見通しが改善し、生産の増加で鉱工業の生産財在庫率が低下した。景気に数カ月遅れる遅行指数は、1.3ポイント上昇の89.1だった。
3指数とも上昇したのは10年6月以来6カ月ぶり。ただ、消費関連の指数は家電エコポイントの駆け込み需要の反動減が響き、先行・一致・遅行指数いずれでも低下した。生産がプラスに寄与した動きも含め「今後続くのかどうか見極めたい」(内閣府)としている。
続いて、いつものグラフは以下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数、下はDI一致指数です。いずれも影を付けた部分は景気後退期です。
2か月連続で上昇し、個別系列である鉱工業生産指数なども含めて、日本経済が踊り場を脱した可能性が示唆されていると私は受け止めています。もっとも、景気動向指数による景気判断はしっかりした基準があり、過去7か月の後方移動平均で符号が変化するかどうかが判断基準ですから、何となくの雰囲気で基調判断を変更するわけにはいきません。しかし、方向性は踊り場から大いに変化したと考えるべきです。少なくとも、年央かその少し前くらいに景気回復局面に復帰する経路に乗っかったような気がしているエコノミストは私だけではないと思います。
基調判断 | 定義 | 基準 |
改善 | 景気拡張の可能性が高いことを示す。 | 原則として3か月以上連続して、3か月後方移動平均が上昇した場合。 |
足踏み | 景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す。 | 3か月後方移動平均の符号が変化し、1か月、2か月、または3か月の累積で1標準偏差分以上逆方向に振れた場合。 |
局面変化 | 事後的に判定される景気の山・谷が、それ以前の数か月にあった可能性が高いことを示す。 | 7か月後方移動平均の符号が変化し、1か月、2か月、または3か月の累積で1標準偏差分以上逆方向に振れた場合。 |
悪化 | 景気後退の可能性が高いことを示す。 | 原則として3か月以上連続して、3か月後方移動平均が下降した場合。 |
下げ止まり | 景気後退の動きが下げ止まっている可能性が高いことを示す。 | 3か月後方移動平均の符号が変化し、1か月、2か月、または3か月の累積で1標準偏差分以上逆方向に振れた場合。 |
上の表は景気判断の定義と基準です。内閣府のサイトから引用しています。
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