3月以降の鉱工業生産は震災被害と計画停電で大幅減か?
本日、経済産業省から2月の鉱工業生産指数が発表されました。市場の事前コンセンサスはわずかながらも減産を予想していたんですが、+0.4%の増産と4か月連続のプラスを記録しました。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
鉱工業生産指数、2月は0.4%上昇 自動車・機械けん引
経済産業省が30日に発表した2月の鉱工業生産指数(速報値、2005年=100)は96.4になり、前月比で0.4%上昇した。輸出向けの自動車や機械がけん引役になり、4カ月連続でプラスを維持した。ただ東日本大震災の影響で企業の生産活動が大幅に落ち込んでおり、民間予測によると、3月は前月比で1割程度低下するとの見方が強まっている。
経産省は生産の基調判断を「持ち直し」に据え置いた。ただ先行きについては「震災の影響に留意する必要がある」との見方を示した。
2月の生産指数を押し上げたのは輸送機械工業で3.4%の上昇。米欧向けの普通乗用車の生産が好調だったほか、国内向けの小型自動車も伸びた。一般機械工業もショベル系掘削機械が好調で2.4%上昇した。
在庫指数は101.8で1.5%の上昇。出荷指数は98.0で1.7%のプラスだった。
合わせて発表した製造工業生産予測指数は3月が1.4%上昇、4月が1.3%低下。ただ東日本大震災が発生する直前の10日時点で集計しており、震災の影響は反映していない。
鉱工業生産指数のグラフは以下の通りです。上のパネルは2005年=100の鉱工業生産指数そのもの、下のパネルは財別分類から輸送機械を除く資本財出荷指数です。いずれも季節調整済みの系列で、影を付した期間は景気後退期です。
今さら、何を言っても仕方ないんですが、2月まで順調に踊り場を脱却して、年央くらいには本格的な景気回復局面に復帰する姿が確認されています。2月統計だけでなく、引用した記事にもある通り、製造工業生産予測指数で見て、少なくとも3月までは増産が見込まれていました。さらに、上のグラフに示した通り、資本財出荷も踊り場を脱する動きが見られ、設備投資にも光が差しつつあった段階だったのかもしれません。しかし、地震による被災とその後の計画停電により3月の生産は少なくとも1割程度の減産と多くのエコノミストは考えており、私なんかは減産幅が20%に達しても驚かないくらいです。加えて、1995年1月の阪神淡路大震災の際のようなV字回復も望めません。言うまでもなく、首都圏などにおける計画停電の影響です。
昨日の雇用統計と同様に今日の2月鉱工業生産指数も過去の数字です。一応、記録にとどめる意味でブログに取り上げましたが、ある意味で、2月の統計調査はすべて過去の数字ですから、1か月後に公表されるであろう3月統計、あるいは、それ以降の統計が注目されるところです。
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