丸善日本橋店の世界の万年筆展に行く
今日の午後、丸善日本橋店に出かけて、第2回世界の万年筆展を鑑賞して来ました。昨年が第1回だったらしいんですが、私はまだ長崎在住でしたから訪れるチャンスを逃してしまいました。
副題は「手書きのぬくもり」となっています。展覧会と言うよりも、展示販売会のようなものだったんですが、私は「世界の」と言う表現につられて、やや古いパーカーの万年筆を持ち込んで、金属ボディの少し黒ずんで来た部分をリペアするにはどうすればいいかと相談しました。やおら、パーカーのコーナーの人が取り出したのは、何の変哲もない普通の消しゴムでした。「もっともボディにダメージが少ない」と言いつつ、消しゴムで黒ずんで来ている部分をこすると、完全にきれいにはなりませんが、十分に見栄えのする光沢を取り戻しました。インクか何かが取り付いたのではないか、ということで、ボディのサビが下から浮き上がって来てしまえばダメだが、汚れが上から取り付いているのであれば何とかなる、と教えてもらいました。6ケタ、ウン十万円の万年筆を展示販売している横で、パーカーのソネットという超普及版・大衆版で、4ケタ、数千円しかしない万年筆の汚れをリペアしてもらうのは気が引けたんですが、かなりきれいに戻していただきました。大感謝です。
江戸時代の武人の得物と言えば、刀や槍などの武具だったのかもしれませんが、現代に生きる文官の得物と言えば、私くらいの世代までは、筆記具も含めたいわゆる文具とか文房具であろうと私は考えています。20-30年前までは万年筆が中心とは言わないまでも、少なくとも象徴的な存在であったのではないでしょうか。義務教育期はともかく、ある程度成長して、大学進学祝いとか、就職祝いで万年筆を贈る、と言ったこともあったように記憶しています。さらにその前は、筆と算盤だったかも知れません。でもさすがに、21世紀に入った現時点では、筆記具としての筆は言うまでもなく、万年筆も後景に退いて、書く方ではボールペンが主流になった気がします。私自身は、何かの折に記念でちょうだいしたペン、例えば、チリから帰国する際に日本チリ商工会議所からいただいたパーカーのボールペン、長崎大学から東京に戻る際にもらったクロスのボールペンなどを重宝しています。この先、我が家の子供達なんかの世代では、ひょっとしたら、そもそも文具が廃れて、サラリーマンの必需品はスマートフォンやタブレット端末などが主流になるのかもしれません。
薄給の私にはとても手が出ませんでしたが、高級万年筆を間近で見る機会があり目の保養になるだけでなく、私の普及版万年筆をきれいにしていただく実利もあって、誠に感謝しても感謝し切れない結構なイベントでした。丸善で何も買わないのは気が引けましたので、東野圭吾さんの最新刊『麒麟の翼』(講談社) を買って帰りました。
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