3月の企業向けサービス価格指数は震災の影響で▲0.1%ポイントの下落幅拡大?
本日、日銀から3月の企業向けサービス価格指数 (CSPI) が発表されました。前年同月比で▲1.2%の下落と、2月よりも▲0.1%ポイント下落幅が拡大しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
3月企業向けサービス価格1.2%低下、震災0.1ポイント押し下げ
日銀が25日発表した3月の企業向けサービス価格指数(2005年平均=100、速報値)は前年同月比1.2%低い96.6と2年6カ月連続で低下した。マイナス幅は前月より0.1ポイント拡大した。東日本大震災後の需要低迷などで雑誌広告、ホテル宿泊、店舗賃貸などの価格下落が目立った。日銀は「東日本大震災による価格押し下げ効果は0.1%程度」(調査統計局)と推定している。
同時に発表した10年度の指数は前年度比1.3%低い96.6と、1985年度の統計開始以来の最低を記録した。
企業向けサービス価格指数は不動産や輸送、情報通信など企業間で取引するサービスの価格動向を示す。項目別にみると、前年に価格が上昇していた反動で「運輸」が前年同月比0.7%低下とマイナス幅を拡大した。
次に、企業向けサービス価格指数 (CSPI) の前年同月比上昇率を国内企業物価指数 (CGPI) と重ねてプロットしたグラフは以下の通りです。いずれも前年同月比上昇率で、赤がサービス、青が財です。国際商品市況の高騰とともに CGPI は上げ足を強めていますが、国内需給により敏感に反応する CSPI はサッパリ上がりません。むしろ、引用した記事の通り、3月は下落幅を拡大していたりします。
私が特に注目したのは、「震災の影響で▲0.1%ポイント押下げ」との旨の報道がキャリーされていることです。前年同月比で比較して、単純に2月から下げ幅を▲0.1%ポイント拡大したことを指しているようにも見えます。少なくとも日銀のサイトには何の詳細推計も見受けられません。というのは、何度かこのブログで書いた通り、震災の物価へのインパクトは、供給サイドから潜在産出にマイナス、需要サイドもマインド悪化でマイナスながら、前者が後者を上回って物価には押上げ効果を持つ可能性が高いと考えているからです。先週4月18日付けのエントリーで取り上げた日本学術会議経済学委員会の緊急提言でも、「震災の影響はスタグフレーション圧力」との旨の指摘があります。超短期には物価にマイナスの影響を及ぼす可能性を否定するわけではありませんが、キチンとしたフォーマルな分析なしに、物価の下落幅拡大をそのまま震災の影響に見立てているのであれば、やや疑問が残り、さらに、政策当局として無責任な態度と言わざるを得ません。もちろん、そんなことはないと思いますが。
今週はゴールデンウィーク前の4月28日に雇用統計や鉱工業生産指数などの主要な経済指標がいっせいに公表されます。3月の統計ですし、すべてではないものの、震災の影響を示す統計もいくつかあると私は考えています。やっぱり、最大の注目は鉱工業生産指数かもしれません。私は季節調整済みの前月比で2ケタ減少もあり得ると覚悟しています。
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