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2011年4月30日 (土)

東京ヤクルトが勝手にコケて甲子園で連勝し5割に戻す!

  HE
ヤクルト100001000 290
阪  神40100010x 690

昨日に続いて同率首位の東京ヤクルトに連勝です。しかし、点差よりは競った内容のような気がしました。明暗を分けたのは1回の攻防、特に、1回ウラの東京ヤクルトの守備でしょう。ブラゼル内野手のセカンドゴロでゲッツーが取れなかったのはまだしも、城島捕手の何でもないレフトフライが満塁の走者一掃のツーベースに化けたんですから、阪神ファンには笑いが止まりません。我がレフトの外野手の守備を振り返って、ヨソのチームからはこんな風に見られているんだというのがよく分かりました。それにしても、畠山選手は昨夜はサードを守っていたような気がしますが、どうしたんでしょうか。ダメ押し点もボークでもらった得点ですし、マトモに取ったのは4番打者新井内野手のホームランだけかもしれません。
それにしても、不可解な采配はスタメンです。6番に金本外野手を起用したのはいかなる理由なんでしょうか。こんな選手起用では、すなわち、活躍してもスタメンから外される、代打ですら起用してもらえないんであれば、昨夜のヒーロー林選手のモチベーションが上がりません。その意味で、真弓監督は管理職としては失格であろうという気がします。それから、今日は調子が悪かったものの、藤川俊介外野手を1番に上げて、ブラゼル内野手を少し下げるようなオーダーも視野に入れてはいかがでしょうか。

ブラゼル内野手に当たりが戻ることを願って、
がんばれタイガース!

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磯崎憲一郎『赤の他人の瓜二つ』(講談社) を読む

磯崎憲一郎『赤の他人の瓜二つ』(講談社)

磯崎憲一郎さんの『赤の他人の瓜二つ』(講談社) を読みました。作者は『終の住処』で第141回芥川賞を受賞しており、受賞後第1作ということになります。私がこの作者の本を読んだのは3冊目になります。最初が『肝心の子供』、次が芥川受賞作の『終の住処』です。どの作品も物語が対象とする期間が長いと感じています。例えば、村上春樹さんの『1Q84』は1冊ごとに3か月になっていますが、私が読んだ磯崎さんの3冊の本は、この『赤の他人の瓜二つ』も含めて、ほとんど人間の生涯を短い文章で一気に取り上げている印象があります。
物語は、無理を承知でザックリと取りまとめると、主人公に瓜二つな男の一家に瓜二つな一家の物語ですが、この主人公一家が勤務するのがチョコレート工場ですので、新大陸から欧州にカカオがもたらされるあたりから始まって、日本でバレンタインデーが普及するような話題まで、いろいろとチョコレートの歴史が随所に織り込まれます。この作者の小説らしく、ひとつひとつの筋は極めて明確に語られるんですが、そう簡単に全体像を把握させてくれません。もっとも、私のような読解力のない読者の要約ですから、かなり割り引いて受け止めて下さい。いずれにせよ、とっても不思議な味わいがあります。時空に囚われずに自由気ままにストーリーが展開し、そのまま終わります。でも、途中の略奪婚や最後の血のつながりに関する作者の確固たる態度は感嘆すべきものがあり、特に、最後の主人公の妹の言葉は、私が読んだ限りで血のつながりを扱った伊坂幸太郎さんの『重力ピエロ』や三浦しをんさんの『まほろ駅前 多田便利軒』に通ずるものがあります。

まだたったの3冊なんですが、私が読んだ限りで誠に生意気ながら、磯崎さんの作品の完成度が段々と上がって来ていると受け止めています。多くの方が手に取って読むことを願っています。

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2011年4月29日 (金)

東京ヤクルトに快勝して今シーズン初めての虎ブロ!

  HE
ヤクルト001000000 130
阪  神00022000x 470

今日は9連勝中の東京ヤクルトに3連敗中の我が阪神が対戦しました。と、こういうと、圧倒的に不利のような気がしましたが、結果は4-1の快勝です。右腕のエースが8回1失点と好投し、6番林外野手が逆転、4番新井内野手がダメ押しで、最後は間隔の空いた藤川投手をつぎ込んで逃切りました。
何といっても、金本外野手を引っ込めてスタメン起用した林外野手の活躍が光りました。もっとも、もう少しブラゼル内野手の打球が上がるようになって、鳥谷遊撃手が打ち出せば、等々と、課題はいっぱい残っているんですが、まだシーズンは始まったばかりですし、もっと期待したいと思います。

明日はガンガン打って、
がんばれタイガース!

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ヨーロピアン・ジャズ・トリオの「ジャパネスク - 日本の詩情」を聞き、日本を代表する曲について考える

軽く予想されたことですが、このゴールデンウィークは泊りがけで出かける予定もなく、今日は家で音楽を聞きながら読書したりして、のんびり過ごしています。特に何の脈絡もなく、今日は、日本を代表する曲について考えたいと思います。

ヨーロピアン・ジャズ・トリオ「ジャパネスク - 日本の詩情」

というのは、ヨーロピアン・ジャズ・トリオの「ジャパネスク - 日本の詩情」を聞いたからです。2009年の発売です。上のCDの盤面からも読み取れますが、曲の構成は以下の通りです。一応、ご注意まで、2曲目の「花」は滝廉太郎作詞になる「春のうららの隅田川」で始まる曲ではなく、喜納昌吉&チャンプルーズの方ですので、念のため。

  1. 見上げてごらん夜の星を
  2. 与作
  3. 赤とんぼ
  4. いとしのエリー
  5. 千の風になって
  6. いい日旅立ち
  7. 秋桜
  8. 翼をください
  9. 涙そうそう
  10. 浜辺の歌
  11. 川の流れのように

海外で「日本の曲」ということであれば、少し前まで「上を向いて歩こう」がもっとも有名だったように記憶しています。日本以外では Sukiyaki という曲名でも親しまれていました。いうまでもなく、坂本九さんの大ヒット曲であり、作詞は永六輔さん、作曲は中村八大さんです。ジャズでも上原ひろみさんが Beyond Standard というアルバムで取り上げています。しかし、この曲は「ジャパネスク」には入っていません。どうしても昭和の曲が多くなりますが、山口百恵さんが2曲入っていて、特に、「秋桜」は私が持っている限りのCDでも平原綾香さんがカバーしていたりします。「翼をください」もスーザン・ボイルが Wings to Fly としてデビュー・アルバムに収めていますので、かなり日本市場を意識しているとはいえ、海外でも有名になりつつあるような気がします。「赤とんぼ」も昔から有名ですし、「花」や「涙そうそう」といった沖縄音楽も日本の代表として取り上げられるくらいになったのは喜ばしい限りです。でも、私がもっとも注目したのは「千の風になって」です。よく知られた通り、新井満さんが米国の詩を邦訳して、いろんな人が歌ったようですが、やっぱり、決定版は秋川雅史さんの熱唱で紅白歌合戦でも歌われたことでしょう。2006-07年にかけてよく聞きました。ということで、勝手ながら、今日のところは、「千の風になって」が21世紀初頭の日本を代表する曲のひとつとしておきます。下の動画は Dailymotion のサイトから引用しています。

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2011年4月28日 (木)

震災後を反映する3月の経済指標を振り返る

昨夜のエントリーで少し触れたように、本日、経済産業省から鉱工業生産指数が、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、また、総務省統計局から消費者物価指数家計調査が、さらに、昨日、経済産業省から商業販売統計が、それぞれ公表されています。いずれも震災をまたいだ3月の統計です。生産については季節調整済みの前月比で▲15.3%減の減産となり、家計調査の消費支出も季節調整していない原系列の前年同月比で実質▲8.5%を記録しました。いずれも過去最大の落ち込みとなっています。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

3月の鉱工業生産指数、過去最大のマイナス幅
経済産業省が発表した3月の鉱工業生産指数のマイナス幅はリーマン・ショック後の2009年2月(8.6%)を上回り、1953年1月の統計開始以来過去最大になった。経産省は基調判断を初めて「急激に低下」に引き下げた。ただ4月と5月の生産は上昇を予測しており、先行きについては「回復していく見込み」とした。
3月の生産指数は事前の市場予測の中心値(10.6%低下)を大幅に下回った。地域別に見ると、被災地はマイナス31.9%、被災地以外は13.5%だった。被災地以外の低下が全体に与えた影響が約8割を占め、震災でサプライチェーンが寸断された結果、被災地以外にも減産が波及した。
全業種で生産指数が低下した。低下の5割は輸送機械工業が46.4%減少した影響だった。なかでも普通乗用車と小型自動車の減産率は50%を超えた。一般機械工業もマイナス14.4%と6カ月ぶりの減少。3分の2の工場が被災地にある半導体製造装置は34.1%の減産だった。
今後の生産は回復してゆく見通しだ。同日発表した製造工業生産予測調査によると、4月は3.9%上昇、5月は2.7%上昇する。予測通りなら5月の鉱工業生産指数は88.4となる。
4月予測は輸送機械工業が7.6%上昇。自動車各社のサプライチェーン修復が進んでおり、3月の大幅な落ち込みから反転する。一般機械工業や電気機械工業もそれぞれプラスに転じる見込みだ。5月は生産の回復が一段と広がる見通し。全11業種のうち、鉄鋼業や化学工業などを含めた9業種がプラスになると予測している。
今回の調査は、東日本大震災の被災地9県194市町村にある約1000の事業所も対象に含めた。このうち約1割が調査票の提出などできなかったために推計値を作成したほか、連絡の取れなかった16の事業所はデータを「0」として生産指数などを作成した。
消費支出、8.5%減 過去最大の落ち込み
総務省が28日発表した家計調査速報によると、2人以上の世帯の消費支出は29万3181円で、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比8.5%減少した。下落率は比較可能な1964年以来、最大の落ち込みとなった。東日本大震災後に自粛ムードが広がり、自動車などの買い控えが響いた。
総務省は基調判断を「大幅に減少した」とし、前月までの「このところ弱含んでいる」から下方修正した。
項目別に見ると、消費支出を最も押し下げたのは自動車購入など交通・通信で、14.4%減少した。大震災後の買い控えのほか、昨年9月のエコカー補助金終了の影響も出た。教養娯楽は18.7%減った。自粛ムードの広がりで、国内パック旅行費や宿泊料への支出が大きく落ち込んだ。
一方、大震災の影響で買いだめが起こり支出が伸びた品目もあった。コンロ用ガスボンベなど「他の光熱のその他」は242.2%増と急増。電池やミネラルウオーターも2倍以上の伸びを示したが、消費支出の押し上げ効果は限定的だった。
失業率、横ばいの4.6% 3月、就業者数は46万人減
東北3県は反映せず

総務省が28日発表した3月の完全失業率(季節調整値)は4.6%となり、前月に比べ横ばいとなった。就業者数が前月に比べ46万人減り、雇用情勢の改善に足止め感が出ている。厚生労働省が同日発表した有効求人倍率は前月と比べ0.01ポイント高い0.63倍となる一方、雇用の先行指数となる新規求人数は前月比7.1%減となった。労働市場にも東日本大震災の影響が出ている。
細川律夫厚生労働相は同日の閣議後記者会見で労働市場の現況について「4月(の結果)は3月より悪くなるのではとの懸念がある」と雇用の悪化を予測。厚労省として雇用対策に全力を挙げる考えを示した。
完全失業率などを示す労働力調査は3月から被災地の岩手、宮城、福島の3県で実施が困難な状況のため、当面、被災3県を除いた値で結果を公表する。3県の調査対象が全国に占める割合は5%と小さい。ただ、今後の労働力調査で被災地の雇用情勢がうまく反映されない可能性はある。
3月の就業者数は5983万人となり、前の月に比べて0.8%減少した。働く人が減ったのは4カ月ぶりで、落ち込み幅は2009年3月以来の大きさだ。一方で非労働力人口は4278万人と前月比1.1%増えた。雇用情勢の悪化から職探しをあきらめた人が増えている可能性がある。
ハローワークで仕事を探す人のうち、1人あたり平均何件の求人があるかを示す有効求人倍率は11カ月連続で改善した。ただ、雇用の先行指数となる新規求人数は09年2月以来となる悪化幅となった。
同日発表した2010年度平均の完全失業率(被災3県除く)は5.0%となり、前年度に比べ0.1ポイント低下となった。完全失業者数は312万人と前年度に比べ13万人減った。有効求人倍率は0.56倍と前の年度に比べ0.11ポイント上昇した。
3月の全国の消費者物価0.1%下落 25カ月連続マイナス
総務省が28日朝発表した3月の全国の消費者物価指数(CPI、2005年=100)は、生鮮食品を除く総合が99.4と、前年同月比0.1%下落した。下落は25カ月連続。ガソリン価格や電気代の上昇で、交通・通信、光熱・水道が上昇したため、下落幅は前月の0.3%から縮小した。
生鮮食品を含む総合は99.6と、前年同月比横ばいだった。野菜の高騰が落ち着いた。
4月の東京都区部の消費者物価指数(中旬の速報値、05年=100)は、生鮮食品を除く総合が99.0と0.2%上昇した。高校授業料の無償化の影響が一巡したことで、09年3月以来25カ月ぶりに上昇に転じた。ただ、総務省では「無償化の影響を除くとまだマイナスが続いている」としている。
生鮮食品を含む総合は99.1と0.1%下落した。ただ、鶏卵価格が「震災の影響で供給が減少し近年にないような値上がりを見せている」(総務省)ことなどにより、下落幅は前月の0.2%から縮小した。
先行きについては「高校授業料の無償化の影響が、公立高校が多い全国で都区部よりも強く出てくる。ガソリンの高騰や電気代の上昇の影響も効いてくるだろう」としている。
3月の小売店販売額6.7%減、コンビニ9.1%増 震災の影響鮮明
経済産業省が27日発表した3月の商業販売統計によると、大型小売店の販売額は前年同月比6.7%減の1兆5076億円となった。3月11日の東日本大震災の発生で不要不急の支出を手控えた消費者が多く、百貨店の販売額は15.4%の大幅な減少。一方、乾電池やカップ麺などの買いだめ需要が膨らんだコンビニエンスストアの販売額は9.1%増えており、大震災の影響が販売動向を大きく左右した。
百貨店では主力商品である衣料品が19.8%の大幅減となり、比較可能な1980年以来で最大の下げ幅を記録した。大震災で消費者に自粛ムードが広がったほか、計画停電で休業や営業時間の短縮に踏み切ったことも響いた。地域別の動向では東北地方が43%の大幅減、関東地方も23.7%減少した。
大型小売店ではスーパーの販売額も前年比1.5%減少した。衣料品が19.3%減だったことが影響したが、主力の飲食料品が2.5%増えた。
百貨店などの大型小売店とは対照的に、3月の販売額が伸びたのはコンビニ。地震への警戒などから消費者が飲食料品や日用品の買いだめに走ったためとみられ、乾電池やマスク、たばこなど非食品が22.2%増加したほか、カップ麺などの保存食を含む加工食品が4.2%増加した。
大型小売店やコンビニなどを合計した小売業全体では3月は前年比8.5%減の11兆2460億円となった。
今後の販売動向について、経産省は「ヒアリングによると、大型店では3月下旬に比べると客足が戻ってきている」と指摘。販売額が23%の減少となった首都圏の百貨店についても「4月は減少幅が10%前後にとどまりそうだ」との見通しを示した。

次に、グラフを並べて行きたいと思います。グラフのトップを切って、最も注目度の高い鉱工業生産指数は以下の通りです。2005年=100となる鉱工業生産指数そのものの季節調整済みの系列です。影をつけた部分は景気後退期となっています。あまり定かではありませんが、リーマン・ブラザーズ証券破綻後の傾きよりも大きなスロープで減産を記録しました。過去最大の落ち込みです。4月と5月は予測指数では増産が示唆されていますが、電力供給などにも依存しそうな気がします。なお、一昨日4月26日の公表ですが、経済産業省から「東日本大震災後の産業実態緊急調査」及び「サプライチェーンへの影響調査」も公表されています。ご参考まで。

鉱工業生産指数の推移

次に、いつもの順番では雇用統計なんですが、失業率が被災3県を除いて推計されたりしていることもあり、消費関連指標を取り上げると、下のグラフは昨日公表された商業販売統計の推移です。赤のグラフが小売、青が卸売です。上のパネルは季節調整していない原系列の前年同月比伸び率、下は季節調整した2005年=100の指数となっています。上のグラフの前年同月比で見て、卸売販売は3月に増加しましたが、小売販売は大きく減少しました。

商業販売統計の推移

さらに、家計調査の消費指数は以下の通りです。緑が名目、赤が実質の2005年=100となる季節調整済みの指数値を取っています。上に引用した記事では季節調整していない原系列の前年同月比で統計開始以来最大の落ち込みと報じていますが、震災の影響により一時的なまとめ買いはあったものの、マインド悪化に伴う消費の落ち込みはかなり大きいと受け止めています。

消費支出の推移

次に雇用統計のグラフは以下の通りです。上のパネルから、失業率、有効求人倍率、新規求人数となっています。いずれも季節調整済みの系列で、影をつけた部分は景気後退期です。失業率は被災3県を含めない推計となって前月から横ばいだったんですが、先行指標である一番下の新規求人数が大きな落ち込みとなっていることが読み取れます。震災の影響は労働市場にはデフレ圧力をもたらします。

雇用統計の推移

今日の経済指標の最後に、消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフは青が生鮮食品を除くコアCPIの前年同月比上昇率、赤が食料とエネルギーを除くコアコアCPI、グレーが東京都区部のコアCPIで、棒グラフは全国のコアCPIの前年同月比上昇率に対する寄与度を示しています。注目は全国の3月よりも東京都区部の4月であり、コアCPIはほぼ2年振りにプラスを記録しました。この大きな要因は高校実質無償化の効果が剥落したことであり、全国4月のCPIに対して先行性があると考えるべきです。すなわち、いよいよコアCPI上昇率がプラスの領域に入り始めたと私は受け止めています。しかし、原油価格を強く見ている一部のエコノミストを除いて、夏の基準改定によりマイナスに逆戻りし、10月のたばこ値上げの剥落によりマイナス幅が拡大する可能性があると考えるエコノミストが多そうな気がします。私もその1人です。

消費者物価上昇率の推移

昨日と今日に発表された指標を見終えて、本日の日銀金融政策決定会合において、「経済・物価情勢の展望」(展望リポート) が取りまとめられています。政策委員の体制見通しの表は以下の通りです。震災のスタグフレーション圧力が具体化されており、1月見通しに比べて成長率は下方改定、物価は上方改定されています。

日銀政策委員の大勢見通し

日銀の金融政策決定会合で、「展望リポート」の見通しを別として注目されたのは、西村副総裁が試算買入等の基金を5兆円程度増額し、45兆円とする議案を提出して否決されたことではないでしょうか。日経新聞の記事にありますし、日銀発表の「当面の金融政策運営について」にも明記されています。以前の福井総裁の当時の岩田副総裁は執行部提案に反対票を投じたことがありますが、独自議案を副総裁が提出したのは聞いたことがありません。日経新聞では「1%の "インフレ目標" 完成? 日銀、28日に政策会合」との記事も見かけましたが、私は本格的な BOJ Watcher ではありませんので、イマイチ、理解に苦しむところがあります。

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2011年4月27日 (水)

震災と関係のないデータを振り返る

明日の鉱工業生産指数、失業率や有効求人倍率などの雇用統計、消費者物価指数、家計調査など、震災を織り込んだ3月の経済指標の発表を控え、昨日、震災にあまり関係のない年度データが発表されています。すなわち、環境省から2009年度の温室効果ガス排出量(確定値)が、また、内閣府から2008年度の県民経済計算が、それぞれ公表されています。いずれもリーマン・ブラザーズ証券破綻後の景気後退期が含まれており、読み解くのに注意が必要です。なお、今夜のエントリーでは意図的に昨日発表の年度データを取り上げますが、本日、経済産業省から3月の商業販売統計が発表されており、小売販売額は前年同月比で▲8.5%の減少となりました。震災に起因するマインドの低下がどのように消費に現れるかは注目の点であり、久しく等閑視している家計調査とともに、明日のエントリーで焦点を当てたいと考えています。ということで、まず、いつもの日経新聞のサイトからそれぞれの記事を引用すると以下の通りです。

温暖化ガス排出量、京都議定書の目標達成 09年度
環境省は26日、2009年度の国内温暖化ガス排出量(確定値)を発表した。京都議定書の基準年(1990年)比では4.1%減で、昨年末公表の速報値と同じだった。確定値が基準年の値を下回るのは初めて。海外からの排出枠購入や森林吸収分を含めると議定書の目標を達成した。
09年度の温暖化ガス排出量は12億900万トン。08年度比で5.6%減った。工場などの産業部門が景気低迷により同7.3%減った。家庭部門も同5.5%減だった。
京都議定書のもと日本は08-12年度に90年比で温暖化ガスを平均6%削減する必要がある。松本龍環境相は26日の閣議後の記者会見で最終的な目標達成について「予断は許さない」とした。東日本大震災の影響で、原子力発電所の稼働率の低下が避けられないからだ。
県民所得、初の全都道府県マイナス 08年度
リーマン・ショックで輸出産業に打撃

内閣府が26日発表した2008年度の県民経済計算によると、各都道府県の1人当たり所得は平均で291万円となり、前年度に比べて6.0%減少した。1975年の調査開始以来初めて、全都道府県でマイナスを記録した。08年9月のリーマン・ショックを受けて景気が急激に悪化し、輸出産業の割合が高い都道府県を中心に所得が大幅に悪化した。
1人当たり所得は都道府県ごとに、働く人の賃金、企業の利益、配当や利子の収入の合計を人口で割って計算する。全国平均の減少率も過去最大となった。
減少率が最も大きかったのは三重県で、前年度比12.2%減少した。愛知県が同10.8%減で続いた。リーマン・ショックによる世界的な需要減退で、トヨタ自動車や亀山工場(三重県亀山市)を持つシャープなど主力輸出企業の生産が落ち込んだことが響いた。
1人当たり所得の地域間格差を示す「変動係数」は14.26%と、前年度に比べ1.0ポイント低下した。この数値の低下は格差の縮小を意味する。内閣府は「比較的豊かな輸出産業のウエートが高い県の所得が大きく減少したため」と分析する。
1人当たり県民所得の実額を県別で比べると、1位は東京都の415万円。愛知県が323万円で続いた。最下位は沖縄県の203万円だった。

今夜は簡単にグラフだけ示して手を抜こうと考えています。まず、温室効果ガス排出量の推移です。最新年度は2009年度であり、縦軸の単位はCO2換算した100万トンです。赤い実線は京都議定書の基準年の排出量である12.6億トンの水準を示しています。2009年度はこれを▲4.1%下回って12.09億トンとなっています。

温室効果ガス排出量の推移

次に、2008年度の1人当たり県民所得です。全国平均は291.6万円であり、東京都から栃木県まではこれを超えており、逆に、山口県から沖縄県までは下回っています。トップテンとボトムテンの顔ぶれは大きな変化ありませんが、三重県が昨年の全国5番目から15番目になっています。どうでもいいことですが、昨年は私自身が長崎県民でしたので、所得の低い県から順にソートしましたが、今年は東京都民ですので高所得の順にソートしてあります。

1人当たり県民所得

ついでに、県内総生産に基づく2008年度の県別実質成長率は以下の通りです。年度の真ん中にリーマン・ブラザーズ証券の破綻を含みますので注目しましたが、大分と沖縄を除いて軒並みマイナス成長を記録しました。なお、上に引用した日経新聞の記事では1人当たりの県民所得の伸びが全県でマイナスとなったとしていますが、下のグラフは県内総生産ですので、かなり概念が違うことに注意すべきです。

県別実質成長率

最後に、先日の米国に続いて、本日、Standard & Poor's が我が国のソブリン格付の outlook も negative に引き下げました。明らかに、再度の格付引下げのアプローチショットと考えられます。日を改めて取り上げるかもしれません。取り上げないかもしれません。その場合は悪しからず。

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2011年4月26日 (火)

マリオ・バルガス・リョサ『チボの狂宴』(作品社) を読む

マリオ・バルガス・リョサ『チボの狂宴』(作品社)

マリオ・バルガス・リョサ『チボの狂宴』(作品社) を読みました。作者は言うまでもなく昨年のノーベル文学賞受賞者です。作品の発表は2000年、原題は La Fiesta del Chivo で、ほぼそのまま直訳されています。舞台はカリブ海に浮かぶドミニカ共和国、1930年から61年まで30年余りにわたって独裁政治を続けたトゥルヒーリョ総統の末期を描いています。ただし、ドキュメンタリーではなく、あくまでフィクションの小説です。なお、本書の解説によれば、表紙はアンブロージョ・ロレンツェッティ (Ambrogio Lorenzetti) 作のフレスコ画「悪政の寓意」を用いています。下の画像の通りで、wikipedia のサイトから引用しています。

アンブロージョ・ロレンツェッティ作「悪政の寓意」

まず、基礎的な地理と歴史のバックグラウンド知識ですが、「ドミニカ」と呼ばれる国は2国あります。ドミニカ島のドミニカ国 Commonwealth of Dominica は英語圏に属しています。他方、この小説の舞台となっているドミニカ共和国 República Dominicana はイスパニョーラ島東部を占め、スペイン語圏に属します。なお、ついでながら、イスパニョーラ島西部は昨年1月に大地震に見舞われたハイチとなっています。ハイチはフランス語圏です。そして、ドミニカ共和国は19世紀半ばまでハイチの植民地となっており、1845年に独立しています。大雑把にハイチは黒人国家と見なされており、ドミニカ共和国はメキシコなどと同じ現地先住民とスペイン人の混血が多くを占めています。さらに、政治的なバックグラウンドに話を進めると、1930年2月にクーデタをおこして実権を掌握し、1961年5月に暗殺されるまで独裁政権を続けたのがトゥルヒーリョ総統 Rafael Leónidas Trujillo Molina です。訳者の解説に従えば、「総統」の元のスペイン語は jefe だそうです。普通は、後述の caudillo が充てられるような気もします。ここで再び、スペイン語圏の名前の作りの基礎知識ですが、上にトゥルヒーリョ総統の例を掲げたように、4語から成ります。最初の2語はファーストネームです。次の2語が父方の姓、母方の姓の順で続きます。なお、女性は結婚しても姓は変わりません。結婚した女性の場合、最後に de + 夫の姓をつけるのが一般的です。本題に戻って、ラテンアメリカには19世紀末から、メキシコのディアス大統領、アルゼンティンのペロン将軍、パラグアイのストロスネル大統領、チリのピノチェット将軍など、さまざまな独裁者がいましたが、ラテンアメリカの歴史上ですらトゥルヒーリョ将軍が稀に見る独裁者であったのは、個人崇拝の徹底、過酷な弾圧、国家経済の私物化の3点で圧倒的で、さらに、米国との敵対姿勢も際立っていたからです。もともと、ラテンアメリカではカウディージョ caidillo と呼ばれる地方軍閥が群雄割拠していたことがあり、さらに、近代に入ってからは軍が大きな力を有したことから、独裁政治への傾向があるとされていましたが、特に、1950-70年代くらいまでは東西の冷戦の影響もあって、米国が「反共の防波堤」的な独裁政権を容認したこともありますが、ドミニカ共和国のトゥルヒーリョ総統の場合、繰返しになるものの、「反共の防波堤」どころか、米国との敵対姿勢、米州機構などからの制裁を受けていたにもかかわらず、第2次大戦をはさんで長らく独裁政治を続けたことはひとつの特徴と言えます。また、ラテンアメリカの独裁者の実態を描いた文学作品としては、ガルシア・マルケスの『族長の秋』が有名で、コチラは架空の国の独裁者を描いているのに対して、この『チボの狂宴』では実在した歴史上の著名な独裁者であるトゥルヒーリョをある程度まで史実に基づきつつ描き出しています。
『チボの狂宴』は縦糸に綿密な取材に基づくトゥルヒーリョ総統の独裁政治末期の姿を描くとともに、横糸に暗殺から35年後の1996年の時点からトゥルヒーリョ時代の高官の娘であった女性の目から見たトルヒーリョ個人を描いています。おそらく、前者はかなり史実に近く、後者はまったくのフィクションではなかろうかと受け止めています。前者については少し置いておいて、後者のストーリーを追うと、第1章と最終の第24章はこのウラニア・カブラルという女性の視点で語られます。彼女は14歳で米国に留学しハーバード大学を卒業して世銀に勤務した後、現在は法律事務所で働く弁護士であり、独身を通しています。14歳までの生まれと育ちはもちろんドミニカ共和国で、1961年のトゥルヒーリョ暗殺の少し前まで政権の重鎮としてドミニカ共和国の大臣や上院議長を歴任した父を持っていましたが、暗殺の少し前にこの父は政権中枢部から遠ざけられ、失脚したまま余生を送ることになります。このウラニアがドミニカ共和国に35年ぶりに帰国して、何の反応も示さず植物状態に近くなった入院中の父親を訪ねるところから第1章の物語が始まり、どうして、35年間に渡って電話や手紙などの音信を絶っていたかを父の妹である叔母や従姉妹に語ることによりストーリーが進み、第24章で完結します。先に置いておいた縦糸のトゥルヒーリョ暗殺の方は、暗殺前日から暗殺直後の秘密警察による犯人捜索や逮捕後の拷問までが克明に描かれます。その後の、カブラル新大統領による民主化の推進なども少し描かれています。
また、10年以上も前の2000年の作品とはいえ、昨年のノーベル賞作家の最新邦訳の出版ですので各方面から大いに注目されており、私もアチコチで書評を見かけました。全国紙については以下の通り、紙面に現れた順に、日経新聞、読売新聞、産経新聞、朝日新聞の4紙を引用しておきます。私のつたない読書感想文よりもすぐれた見識と迫力を備えていそうな気がします。ご参考まで。

マリオ・バルガス・リョサがノーベル賞を受賞して、昨年11月21日付けのエントリーで『緑の家』上下を取り上げてから2冊目の読書感想文です。おそらく、『緑の家』よりも『チボの狂宴』の方が日本人に数段親しみやすいのではないかと私は受け止めています。多くの方がノーベル賞作家の作品を手に取って読むことを願っています。

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2011年4月25日 (月)

3月の企業向けサービス価格指数は震災の影響で▲0.1%ポイントの下落幅拡大?

本日、日銀から3月の企業向けサービス価格指数 (CSPI) が発表されました。前年同月比で▲1.2%の下落と、2月よりも▲0.1%ポイント下落幅が拡大しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

3月企業向けサービス価格1.2%低下、震災0.1ポイント押し下げ
日銀が25日発表した3月の企業向けサービス価格指数(2005年平均=100、速報値)は前年同月比1.2%低い96.6と2年6カ月連続で低下した。マイナス幅は前月より0.1ポイント拡大した。東日本大震災後の需要低迷などで雑誌広告、ホテル宿泊、店舗賃貸などの価格下落が目立った。日銀は「東日本大震災による価格押し下げ効果は0.1%程度」(調査統計局)と推定している。
同時に発表した10年度の指数は前年度比1.3%低い96.6と、1985年度の統計開始以来の最低を記録した。
企業向けサービス価格指数は不動産や輸送、情報通信など企業間で取引するサービスの価格動向を示す。項目別にみると、前年に価格が上昇していた反動で「運輸」が前年同月比0.7%低下とマイナス幅を拡大した。

次に、企業向けサービス価格指数 (CSPI) の前年同月比上昇率を国内企業物価指数 (CGPI) と重ねてプロットしたグラフは以下の通りです。いずれも前年同月比上昇率で、赤がサービス、青が財です。国際商品市況の高騰とともに CGPI は上げ足を強めていますが、国内需給により敏感に反応する CSPI はサッパリ上がりません。むしろ、引用した記事の通り、3月は下落幅を拡大していたりします。

国内企業物価と企業向けサービス価格指数の前年同月比上昇率の推移

私が特に注目したのは、「震災の影響で▲0.1%ポイント押下げ」との旨の報道がキャリーされていることです。前年同月比で比較して、単純に2月から下げ幅を▲0.1%ポイント拡大したことを指しているようにも見えます。少なくとも日銀のサイトには何の詳細推計も見受けられません。というのは、何度かこのブログで書いた通り、震災の物価へのインパクトは、供給サイドから潜在産出にマイナス、需要サイドもマインド悪化でマイナスながら、前者が後者を上回って物価には押上げ効果を持つ可能性が高いと考えているからです。先週4月18日付けのエントリーで取り上げた日本学術会議経済学委員会の緊急提言でも、「震災の影響はスタグフレーション圧力」との旨の指摘があります。超短期には物価にマイナスの影響を及ぼす可能性を否定するわけではありませんが、キチンとしたフォーマルな分析なしに、物価の下落幅拡大をそのまま震災の影響に見立てているのであれば、やや疑問が残り、さらに、政策当局として無責任な態度と言わざるを得ません。もちろん、そんなことはないと思いますが。

今週はゴールデンウィーク前の4月28日に雇用統計や鉱工業生産指数などの主要な経済指標がいっせいに公表されます。3月の統計ですし、すべてではないものの、震災の影響を示す統計もいくつかあると私は考えています。やっぱり、最大の注目は鉱工業生産指数かもしれません。私は季節調整済みの前月比で2ケタ減少もあり得ると覚悟しています。

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2011年4月24日 (日)

子供達と渋谷区立中央図書館に行きゴールデンウィークの過ごし方を考える

今日は午後から子供達とともに徒歩で渋谷区立中央図書館に行きました。先週半ばくらいから、私が勝手に子供達のゴールデンウィーク向けの図書を何冊か予約しておいたからです。私も含めて3人ともリュックを背負って大量に借りて来ました。
いつもの通り、おにいちゃんにはアーチャーやラドラムなどの冒険もの、下の子にはキングや小野不由美などのホラー小説も借りましたが、今回は、子供達とも相談しつつ、何冊かSF小説を入れてみました。今朝の朝日新聞の朝刊の記事で、故・伊藤計劃さんに米国のディック賞の次点に当たる特別賞が授賞されたと報じられていたことも一因だったりします。もっとも、私も最近はそれほどSF小説を読んでいないので、かなり古典的な部類に入る作品、例えば、アシモフ、クラーク、ハインラインなどです。下の子には『白鹿亭綺譚』、『われはロボット』などの短編集を、おにいちゃんには『夜来たる』、『幼年期の終わり』、『夏への扉』といった長編中心です。ついでに、キイスの『アルジャーノンに花束を』も借りました。かなり人口に膾炙しているSF小説だという気がします。私は買って読んだ記憶があるので、探せば本棚のどこかにありそうな気がしますが、ついつい借りてしまいました。ディック賞特別賞受賞の伊藤計劃さんの『ハーモニー』は買いました。

家に帰って、音楽を聞きながら読書にいそしみます。テレビでは阪神タイガースの野球観戦です。今日は横浜に負けました。読書・音楽・野球観戦がゴールデンウィークの3点セットになるような気がします。

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2011年4月23日 (土)

雨の土曜日に佐伯泰英『紀伊の変』(双葉文庫) を読む

佐伯泰英『紀伊の変』(双葉文庫)

佐伯泰英さんの「居眠り磐音江戸双紙」シリーズの最新刊『紀伊の変』(双葉文庫) を読みました。このシリーズは第1巻の『陽炎の辻』から延々と読み継いでいるので、ついつい新刊が出ると買って読んでしまいます。まず、出版社のサイトからあらすじを引用すると以下の通りです。

本の紹介
安永9年の新春を迎え、坂崎磐音、おこん夫婦は紀伊領内姥捨の郷で安息な日々を送っていた。そんな折り、幕府財政立直しを図る田沼意次の方針が打ち出され、姥捨の郷と高野山に眠る鉱脈にその手が伸びようとしていた。一方江戸では、磐音からの書状が笹塚孫一を通してある人物にもたらされ……。第36弾。

この巻では、前作のタイトルでとなっていた姥捨の郷を守る雑賀衆と高野山の財源となっている丹(水銀)を独占的に扱う丹会所の開設を阻止すべく、高野山の外交役の僧侶が紀州和歌山藩と談判に及び、磐音はその警護役となり和歌山城下に向かい、その和歌山城下で将来の紀州藩主たる岩千代君にお目通りしたりします。磐音は前作で尾張藩主にお目通りしていますので、そのうちに、残る御三家の水戸藩主にも会うことになるのかもしれません。言うまでもありませんが、交渉は雑賀衆や高野山の悪いような結果になるハズもありません。他方、江戸では月下氷人たる磐音が江戸を出奔してしまいましたので、品川柳次郎と椎葉お有の婚儀が滞っていましたが、一計を案じた由蔵が仲人役をご典医の桂川国瑞に差し替えて椎葉家の覚えもめでたくなり、トントン拍子にコトが進み始めます。また、剣技の見せ場として、雹田平の送り込んで来た刺客と配下の針糸売りのおつなを磐音主従が倒します。あくまで私が感じた物語の雰囲気ですが、雹田平の配下のおつなを倒して磐音一行はほぼ完全に田沼方から行方をくらますことに成功しましたので、いよいよ、この続巻かその次あたりから田沼の失脚近くまで時代を数年飛ばすことが可能になりました。続きをお楽しみに、といったところでしょうか。

久し振りの雨の土曜日に、甲子園の野球まで雨で中止になり、ヒマに過ごしています。

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2011年4月22日 (金)

経済協力開発機構 (OECD) の日本経済見通しと対日審査報告書を概観する

昨日、経済協力開発機構 (OECD) から対日審査報告書 Economic Survey of Japan 20113月11日震災後の日本経済見通し Japan's economic outlook following the 11 March 2011 Earthquake がそれぞれ発表されました。今日が聖金曜日で今週末がイースターですから、一気に発表した気がしなくもありませんが、それは別にして、消費税率引上げに言及した対日審査報告書については、英文の Overview日本語の「概観」がそれぞれ pdf ファイルで入手可能です。それから、どうでもいいことですが、このブログの先々週4月6日付けのエントリーで取り上げた OECD Economic Outlook Interim Assessment では日本は経済見通しから省かれていましたので、今回は異例ながら日本単独の見通しを発表したものであると私は受け止めています。従って、対日審査報告書の構成は、経済見通し、金融政策、財政政策、成長戦略、教育制度、労働市場の6章構成となっています。一応、念のための言い訳ですが、国際派の官庁エコノミストとして私は OECD/OLIS のアカウントを持っており、OECD のさまざまな文書にアクセスできます。特に、対日審査報告などは注目のところなんですが、一般に広くネット上で利用可能な資料ではありませんので、今夜のエントリーでは以下の出典を中心に組み立てたいと考えています。悪しからず。

まず、圧倒的に財政再建とそのための消費税率引上げに大きく傾斜した我が国メディアの代表的な報道として、日経新聞のサイトから経済見通しと対日審査報告書に関する記事を引用すると以下の通りです。

「消費税率20%必要」OECDが対日報告書
「日本の財政、極めて厳しい」

経済協力開発機構(OECD)は21日、日本の経済政策に対する提言をまとめた対日審査報告書を発表した。公的債務残高が国内総生産(GDP)比で200%に達する財政状況について「極めて厳しい状況」と指摘。債務残高を減らすため「消費税率の20%相当までの引き上げが求められる」と強調した。
報告は東日本大震災による日本経済の低迷は短期にとどまると予測。2011年4-6月期は生産が大幅に落ち込むが「08年のリーマン・ショック後よりは緩やか」と分析した。7-9月期には復興関連の投資が伸び、生産が急回復すると見込んだ。11年の実質経済成長率は0.8%、12年は2.3%と予想した。
復興に向けた歳出拡大の必要性を認める一方、「信頼できる中期の財政健全化計画を示すことが重要だ」と指摘。社会保障の歳出抑制策や、消費税率上げを中心とする増税のスケジュールを明確にするよう求めた。
消費税率については、20年時点で基礎的財政収支の黒字をGDP比で3%分確保し、公的債務を減少に向かわせるケースを想定。現行税率の5%から11-15%程度の引き上げが必要になると分析した。
一方、日銀には「長期国債の購入拡大などさらなる措置の準備をすべきだ」と指摘。経済見通しが悪化した場合には、追加的な金融緩和が必要との認識を示した。

次に、日本経済見通しのテーブルを OECD のサイトから引用すると以下の通りです。昨年11月の OECD Economic Outlook No.88 では日本の成長率は2011年1.7%、2012年1.3%と見込まれていましたので、今年2011年については下方修正、来年2012年は上方修正ということになります。

OECD's revised projections for Japan in 2011-12

さらに、同じサイトから成長率の四半期パターンを引用すると以下の通りです。破線で Consensus と示されているのは、このブログの先週4月13日付けのエントリーで取り上げた経済企画協会の4月の「ESP フォーキャスト調査」結果をプロットしているようです。大雑把な感触として、「ESPフォーキャスト調査」に参加しているエコノミスト諸氏の見込みに比較して、OECD では復興需要が早期に本格化すると見込んでいるようです。

Projections for Japan's real GDP growth on a quarterly basis

今夜のエントリーの最後に引用するグラフは、OECD の対日審査報告書のサイトからいわゆる「ワニの口」グラフです。バブル経済の崩壊後に、支出が増加を続ける一方で税収が低下傾向にあるのが読み取れます。「ワニの口」が開くに従って、棒グラフで示された国債発行が増加しており、しかも、建設公債よりも特例公債の割合が圧倒的に大きくなっています。

Widening gap between expenditure and tax revenue

以下では、我が国一般の興味の傾向を反映して、このブログでも財政再建と消費税率の引上げに絞って論じたいと思います。まず、この日本の財政を再建するために、OECD では欧州と同等の20%を目指した消費税率引上げをひとつの案として提示しています。すなわち、このブログの1月21日のエントリーでも取り上げた「経済財政の中長期試算」を引用しつつ、2020年に基礎的財政収支をバランスさせるためには5-9%ポイントの消費税率引上げが必要であり、単にバランスさせるだけでなく、GDP比で3%の基礎的財政収支黒字を達成するためには、さらに6%ポイントの引上げが必要となることから、"bringing it towards the 20% average in Europe" と結論しています。なお、分かるとは思いますが、引用文中の "it" は消費税率を指しています。
次に、日本の財政再建について、昨年2010年7月15日付けのエントリーで取り上げた国際通貨基金 (IMF) の Article IV Consultation に続いて、OECD も発言し始めた現状について、2点ほど注意が必要です。第1に、日本政府の対応が遅れるほど消費税率の引上げ幅が大きくなる可能性です。すなわち、我が国の財政再建への方策として、消費税率の引上げで対応すべきというのがほぼ国際機関のコンセンサスになっていて、昨年の IMF では2011年から消費税率引上げを開始して、15%をひとつの目途にしていたりしました。昨年の IMF では15%、今年の OECD は20%なわけです。もちろん、大陸欧州に本部を置く OECD と米国の首都に位置する IMF で考えの違いは否定しませんが、昨年と今年のタイミングの差もあり得ると考えるべきです。すなわち、財政再建の開始が遅れれば遅れるほど大幅な消費税率引上げが必要になる含意を無視すべきではありません。加えて、国際機関には希薄で私独自の観点ながら、従来から主張している通り、高齢者層のカギカッコ付きの「逃切り」の可能性が高まります。第2に、世界経済への波及の可能性を考慮すべきです。少し前の Wall Street JournalWill Spain Be a Domino or a Dam? と題する記事があり、南欧の財政危機の中でスペインがダムになってせき止めて欲しいという願いがタイトルに込められていたんだと記憶していますが、もしも、もしもですが、日本がドミノになって倒れたらスペインの何倍もの大きなインパクトを世界経済に及ぼす可能性があります。日経新聞の論説に「二流国転落を論じられる日本」というのがありましたが、もしも日本が財政破綻するならば、その影響の大きさで測って超一流国であることは間違いありません。国際機関は親切心や、ましてや逆に、意地悪で我が国の財政をあげつらっているわけではありません。日本ドミノが倒れれば世界経済に甚大な影響を及ぼすからなのです。

以上。対日審査報告書の中の財政政策と特に消費税率引上げを中心に論評しましたが、最初に示したような6章構成となっており、特に、教育制度のところは昨年発表され、このブログでも2010年12月21日付けのエントリーで取り上げた PISA 2009 の結果にも言及しつつ、経済成長に貢献する教育の重要性や高等教育とイノベーションの関係などが論じられていて興味深いものがあります。残念ながら、今夜のエントリーでは長くなりましたし割愛しますので、ご興味ある方は上のリンクからご覧ください。

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2011年4月21日 (木)

名人戦第2戦は森内九段が2連勝!

名人戦第2局終了図

浜松の茶室松韻亭で昨日から指し継がれて来た将棋の名人戦7番勝負第2局は、本日夕刻早々4時半前に、わずか68手で挑戦者の森内九段が羽生名人を退け、2連勝しました。上の画像は朝日新聞のサイトから引用した終了図です。第3局は5月6、7日、宮崎のフェニックス・シーガイア・リゾートにて執り行われる予定です。

2連敗で即ピンチというわけでもないと思いますが、
がんばれ羽生名人!

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電力不足や節電によるライフスタイルの変化やいかに?

3月11日の東日本大震災の後で、我々一般国民のライフスタイルがかなり変化したように感じています。いくつかの要因があるんでしょうが、そのうちのひとつは自粛ムードとともに電力不足や節電などの電力に起因しているような気がします。もちろん、果てしなく続く余震も怖いんですが、かなり計画的とはいえ、電力不足による計画停電や節電の影響が少しずつ現れ始めていると私は受け止めています。ということで、やや旧聞に属する話題かもしれませんが、アンケート調査結果として、先週4月15日にマクロミルから「節電に関する調査」が、また、今週4月18日にドゥ・ハウスから「震災後に変化した生活行動」に関する調査結果が、それぞれ発表されています。ドゥ・ハウスの調査結果から、国民生活の変化が最も現れている3点は、節電、テレビを見る時間の増加、外出頻度の低下となっています。特に3番目の外出頻度の低下は首都圏と近畿圏で大きな差が生じており、もちろん、首都圏で大きくなっています。我が家もそうです。ゴールデンウィークは家にこもりそうな気がします。なお、このエントリーでお示ししたグラフはいずれもマクロミルのサイトから引用しています。

交通機関や公共施設・商業施設の節電

ドゥ・ハウスの調査結果で震災後のライフスタイルの変化として最大のポイントは節電なんですが、前述の通り、その節電についてさらに掘り下げた調査結果がマクロミルから出されています。まず、上の円グラフは交通機関や公共施設・商業施設において行われている節電についての意識ですが、過半数が「生活に支障はあるが、止むを得ない」と回答しています。「支障なし」を含めて、圧倒的多数が交通機関や公共施設・商業施設における節電を容認していると受け取れます。ただし、注意すべき点はマクロミルの対象は関東の一都六県と山梨県であり、ドゥ・ハウスと違って近畿圏などは入っていません。

電力不足よるライフスタイルの変化

続いて、マクロミルの調査結果から、節電により何らかのライフスタイルの変化があったとする回答者が70%を超え、その中身は上の棒グラフの通りです。「家の中で過ごすことが増えた」という回答が半数近くを占めています。以降、いかにも考えられそうな回答が並んでいますが、「外出することが増えた」は一見して逆説的に見えるものの、自分の家の電力消費を抑えるために外で過ごす時間が増えたのあって、決して旅行が増加したわけではないんでしょう。ですから、一昨日に取り上げた JTB の「2011年ゴールデンウィークの旅行動向」に見られる旅行予定の大幅減と不整合な調査結果ではないと考えるべきです。

なお、本日夕刻に経済協力開発機構 (OECD) から今年の対日審査報告結果 Economic Survey of Japan 2011震災後の日本経済見通し Japan's economic outlook following the 11 March 2011 Earthquake とともに公表されています。もう少し詳しく見てから、明日にでも取り上げたいと思います。悪しからず。

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2011年4月20日 (水)

震災の貿易に及ぼす帰結やいかに?

本日、財務省から3月の貿易統計が発表されました。ヘッドラインとなる貿易黒字は前年同月比▲78.9%減の1965億円となりました。輸出金額が数量の減少から前年同月比で16カ月ぶりのマイナスを記録しています。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

輸出が震災で失速、16カ月ぶり減少 3月貿易統計
財務省が20日発表した3月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額は前年同月に比べて2.2%減の5兆8660億円となった。16カ月ぶりのマイナス。東日本大震災や計画停電の影響で自動車や半導体を中心に生産が停滞し、輸出が落ち込んだ。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1965億円の黒字で、前年比78.9%の大幅減。生産停滞や資源高の影響で4月の貿易収支は赤字になる可能性もある。
3月の輸入額は原油高などの影響で、前年同月比11.9%増の5兆6695億円となった。財務省は「原油価格の上昇に加え、福島第1原子力発電所の事故で液化天然ガス(LNG)などの需要が高まる」とし、当面は輸入増が続くとの見通しを示した。
輸出は2月までは持ち直し傾向にあったが、大震災の影響で急ブレーキがかかった。3月の輸出額は10日までは前年同期比で14.8%増だったが、大震災が発生した11日から月末までは9.7%減と大きく落ち込んだ。
品目別にみると、自動車の輸出額が27.8%の大幅な減少となった。部品などのサプライチェーン(供給体制)の寸断で生産が減少したことが響いたとみられ、部品類の輸出も4.9%減った。トヨタ自動車など大手は国内工場での生産を再開しているが、生産台数は大震災前の半分程度にとどまっている。
アジア向けを中心に半導体など電子部品も影響を受け、前年同月に比べ6.9%減少した。パソコンなど電算機類やその部品も15%以上落ち込んだ。
地域別では、高成長が続くアジア向けが前年比0.01%減少し、わずかながら17カ月ぶりにマイナスに転じた。一般機械は3.9%増えたものの、自動車や電気機器が押し下げ要因になった。米国向けも3.4%減少し、15カ月ぶりのマイナスとなった。特に自動車が27.2%と大きく落ち込んだ。欧州連合(EU)向けはプラスを維持し、4.3%増だった。
財務省が同時に発表した2010年度の貿易統計は、輸出が前年度に比べて14.9%増の67兆7964億円、輸入が15.9%増の62兆4047億円だった。差し引きの貿易収支は5兆3917億円の黒字となり、黒字額は3.9%増えた。

次に、いつもの貿易統計のグラフは以下の通りです。一番上のパネルが季節調整する前の原系列の輸出入とその差額たる貿易収支、真ん中のパネルが木背う調整済みの輸出入と貿易収支、それぞれの単位は兆円です。一番下のグラフは季節調整していない原系列の輸出金額指数の前年同月比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解したものです。色分けはそれぞれの凡例に示されている通りです。

貿易統計の推移

今年の1-3月期の貿易は、昨年来の輸出の伸びが鈍化していた時期から、2月の春節効果による一時的な停滞を経て、そろそろ輸出が本格回復に復帰しつつある時期と位置付けていたんですが、3月11日の震災で方向が大きく変化しました。震災の経済的な帰結は日本学術会議経済学委員会の緊急提言にある通り、国内経済に対してはスタグフレーション圧力、すなわち、労働市場にはデフレ圧力、財市場にはインフレ圧力を及ぼします。もっとも、財市場のインフレ圧力については、供給サイドのボトルネックにより潜在産出水準が、マインド悪化により需要水準が、ともに下振れする中で、前者の用が相対的に大きく需給ギャップがプラス方向に振れるのが原因です。
他方、震災が貿易に及ぼすインパクトはもっと単純です。供給サイドのボトルネックが輸出の減少と輸入の増加にダイレクトに作用し、需要サイドのマインド悪化に伴う輸入減を大きく上回りますから、貿易収支は急激に赤字化する方向に振れます。通関統計は月単位だけでなく上旬・中旬・下旬で取れますから、震災後の中下旬で輸出が大きく減じていることが裏付けられています。需給要因に震災のもうひとつの経済的インパクトである円高圧力が加わりますから、日本でも貿易収支は来月から赤字に転じる可能性すら十分あります。例えば、商社の業界団体である日本貿易会の槍田会長(三井物産会長)が「4月の輸出はもっと減少する」といった旨の発言を今日の定例記者会見で行ったと日経新聞のサイトで報じられています。年央くらいまでは輸出の減少により、また、それ以降は復興需要に基づく輸入の増加により、本年度は貿易赤字が続く可能性があります。
なお、季節調整前の原系列の統計で見て、3月統計は2か月連続で貿易黒字を記録しましたが、今年10-12月期以降の年度後半には復興需要が出始める可能性も高く、今年、あるいは、今年度いっぱいは貿易収支は赤字傾向で推移する可能性があります。すなわち、今年または今年度は通年で貿易赤字を記録する可能性も排除できません。ただし、リーマン・ショックのあった2008年度後半の10月から翌3月までの6か月のうち5か月で貿易赤字を記録しましたが、このときとは要因が異なります。すなわち、リーマン・ショック後は海外需要の落ち込みが我が国の輸出を抑制しましたが、もちろん、復興需要にけん引された輸入増も無視できないながら、今年度の貿易赤字は国内供給サイドのボトルネックが主たる要因と考えるべきです。ですから、いつもの海外需要項目と我が国の輸出を並べたグラフは余り意味がないので今夜は割愛します。

震災による足元の貿易へのインパクトは供給制約に端を発する輸出の減少です。そして、この輸出の減少は2つの経済的帰結をもたらします。第1に1-3月期の外需寄与度はマイナスになる可能性が高いと考えるべきです。第2に3月の鉱工業生産は前月比で2ケタマイナスになる可能性も忘れるべきではありません。もともと、エコカーやエコポイントの政策効果がすでに剥落した局面で輸出まで失われたわけですから、復興需要が本格化するまで厳しい景気局面が続くことを覚悟すべきです。

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2011年4月19日 (火)

震災後の消費者マインドはどのように変化したか?

本日、内閣府から3月の消費動向調査結果が公表されました。マインド調査としては、企業マインドを対象にした日銀短観に対して、消費者マインドを対象にするのは景気ウォッチャー調査とこの消費動向調査の消費者態度指数があるんですが、消費者態度指数は月次統計になってから時が浅く、季節調整値は四半期計数だけが公表されており、月次統計は今まで季節調整していない原数値しかなかったので、私もこのブログでは取り上げて来なかったんですが、データの蓄積が進んだことから、この3月調査結果から月次統計の季節調整済み系列が利用可能になりました。ただし、地域別の季節調整指数は相変わらず四半期統計だけですので、イマイチ使い勝手が悪いと感じています。大雑把に、景気ウォッチャー調査が供給サイドの消費者マインドである一方、今日発表された消費者態度指数は需要サイドの消費者マインドであると、多くのエコノミストは受け止めています。それはさて置き、3月調査の回収基準日は震災直後の3月15日に指定されており、震災前回収と震災後回収に分かれてしまっています。両者を合わせて、新たに公表されるようになった月次の季節調整済みの系列で3月は2月から▲2.6ポイント低下の38.6となりました。かなり大きな落ち込みだと受け止めています。また、震災前回収と震災後回収に分けた集計も「『消費動向調査』における東日本大震災の影響について」と題して公表されていますが、今夜のエントリーでは割愛します。当然ながら、震災後回収の方がマインドの悪化幅が大きくなっています。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

消費者態度指数、3月の落ち込み最大 震災など響く
内閣府が19日発表した3月の消費動向調査によると、消費者心理を示す消費者態度指数(季節調整値)は38.6と前月に比べ2.6ポイント低下した。悪化は2カ月連続。内閣府は下げ幅について、過去の調査方法の違いを勘案したうえで比較可能な2004年4月以降、最大としている。
東日本大震災の発生に加え、物価上昇懸念や3月末で期限を迎えた家電エコポイント制度が響き、指数を構成する4項目全て心理が悪化した。内閣府は基調判断を「弱い動きがみられる」と4カ月ぶりに下方修正した。
1年後の物価見通しについては、原油など資源価格の高騰を反映し「上昇する」と答えた消費者の割合が69.3%と前月(59.5%)から9.8ポイント上昇、一方、「低下する」と答えた消費者の割合は6.0%と1.2ポイント低下した。
調査は全国の6720世帯を対象に「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」の4項目について、今後半年間の見通しを「良くなる」から「悪くなる」までの5段階評価で集計している。今回の調査基準日は3月15日、有効回答数は4904世帯(回答率73.0%)だった。震災の影響で調査中止や回収出来なかった世帯もあったが「通常の回答率は75%程度」(内閣府)で、統計上は大きな影響はないとみている。

続いて、消費者態度指数のグラフは以下の通りです。上のパネルはヘッドラインとなる全国全世帯の季節調整済みの統計であり、黄色の影をつけた部分は景気後退期です。景気の先行指標となっていることが読み取れます。下のパネルは3月調査結果の前月からの落ち込み幅をブロック別にプロットしています。こちらは季節調整していない原系列の統計です。

消費者態度指数の推移

引用した記事のタイトルにも「落ち込み最大」とある通り、大きな傾きが観察されます。水準としては、まだ、リーマン・ショック後まで達していませんが、東京電力や東北電力の計画停電の影響などを考え合わせると、この先にどこまで落ちるかは予断を許しません。ブロック別には、当然ながら、北海道・東北や関東が大きな落ち込みを示しています。

ゴールデンウィーク旅行計画者数の推移

官庁統計ではありませんが、昨日、交通公社から「2011年ゴールデンウィークの旅行動向」が発表されています。国内旅行は1565.9万人(前年比▲27.8%)、海外旅行は43.1万人(同▲16.6%)と見込まれています。上のグラフは2000年からのゴールデンウィーク期間の国内旅行者数をプロットしています。グラフを見れば明らかですが、今年のゴールデンウィークはメチャクチャな減り方です。

震災後のマインド低下が自粛ムードに拍車をかけ、さらに景気の先行き不透明感が、特に旅行や飲食などの需要を大きく減退させていると考えるべきです。まず、これらのマインドが回復しなければ実体経済も改善に向かわないおそれがあります。

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2011年4月18日 (月)

日本学術会議経済学委員会の緊急提言から再び復興財源について考える

4月14日付けのエントリー「今夏のボーナス予想から無理やりに来年の所得環境を占う」において、復興財源については、「高齢者層にも復興に対する一定の負担を求めるのが適当」と私の信念を述べて、エコノミストの間では、「法人税や所得税などの直接税を増税して復興に充てて、消費税率引上げを社会保障に回す」という私のイメージを書いてしまいましたが、私が間違っていたようです。すなわち、日本学術会議経済学委員会の「『東日本大震災』に対する緊急提言」が取りまとめられたようで、その中には、高齢層や富裕層からの支援財源への貢献が大きくクローズアップされています。ただし、まだ学術会議のホームページには掲載されておらず、学術会議経済学委員長である岩井教授のホームページに「本提言は、近日中に日本学術会議ホームページに掲載予定である。」との注釈付きで4月15日付けの日付で示されています。今日になって初めて知ったんですが、私の意見は学術会議経済学委員会のメンバーにかなり近かったと受け止めています。
この「緊急提言」を簡単に紹介すると、経済政策について緊急時、短期、中期、長期に分けて分析しています。まず、緊急時には流動性確保策を筆頭に挙げるとともに、円高対策としての為替介入を評価しています。短期には需要ショックがデフレ圧力となる一方で、供給サイドのボトルネックはスタグフレーション圧力となり、労働市場にデフレ圧力を、財市場にインフレ圧力をもたらすと見込んでいます。中期の政策対応として財源論が現れ、一時的な復興債の発行を念頭に置きつつ、借換えは認めず、復興債償還の財源として、固定資産税の増税、相続税の増税、消費税率の引上げ、所得税の増税、株式譲渡所得等の分離課税優遇廃止、法人税減税の中止あるいは延期、をこの順で候補として上げています。きわめて真っ当な議論だと私は受け止めています。繰返しになりますが、エコノミスト間の議論を把握できていなかったことを反省しています。そして、以下は私の従来からの主張ですが、広範に優遇されている高齢者層からの復興貢献を真剣に考えるべきです。「シルバー・デモクラシー」に抗して復興財源を確保できるかどうかは、国債の増発により世界経済に不安定要因をもたらすことを避けるためにも必要です。最後に、「緊急提言」に戻って、長期的な政策を考える際、「災害以前の状態に戻ることは困難」であることを認識しつつ、先端部品の供給先の西シフト・海外シフトへの動きが現実化する前に、政府が早急に先端的製造業への供給ネットワークの中の集積地の一つとして重点的に復興する意向を表明する必要があると示唆しています。さすがに、私はここまで詰めた議論は考えが及びませんでしたが、少なくとも、短期と中期の政策策定の基本となる考えは学術会議経済学委員会のメンバーとかなりの部分で共通していたように感じています。

実は、日本学術会議のサイトのトップページに、先週までの段階で6次に及ぶ提言が掲載されています。第1次と第3次が総合的な内容を含んでいる一方で、第2次は原発、第4次は環境、第5次が原発事故へのロボット活用、第6次が男女共同参画、とまあ、意地の悪い見方をすれば、各専門分野の震災貢献を個別に取り上げているような気がしないでもありません。役所だけでなく、学界も震災復興支援に走っているのかもしれません。経済学もこの行列に加わるのは当然なのでしょう。

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2011年4月17日 (日)

主婦の買いだめと震災に関係の薄い官庁の復興貢献

役所における震災後の復興活動では、当然ながら、技官が中心になっています。いつもの建築系や土木系の技官などに加えて、今回の震災では原子力に詳しい技官も含まれます。あたりまえですが、原子力方面に詳しい文官はそれほど多くありません。私も例外ではありません。誠に申し訳ないながら、比較優位に基づく役所の分業体制の中で、私はそれほど大きな震災復興への貢献は出来そうもありません。しかし、役所の中には比較優位の原則をまったく無視して震災復興に走っているところが少なくないものと想像しています。役所のお仕事は市場経済的な原則で決められているわけではないからです。どこかに非効率があるような気もします。実は、先日、あるテレビ番組で震災直後くらいの主婦の買いだめ心理を解説していて、私が見た範囲で、役所が、特に震災に関係の薄そうな役所が、震災からの復興支援に走る構図と一部に似通っている気がしないでもありませんでした。
ということで、今日の週末エントリーでは、主婦の買いだめ心理と役所の復興支援心理を少し対比させてみたいと思います。ただし、重要なお断りですが、今日のエントリーは私の勤務している役所や直接間接に見聞きして知った別の役所について、いわばノンフィクションを書いているわけではありません。私が公務員になった二十数年前であれば、こういったマンガのようなお話もあったんではないかと想像して書いています。お間違えのないようにご注意ください。

まず、主婦の買いだめ心理の前に、買いだめが経済的にどのように解釈されるかを考えておく必要があります。金銭的な資源の消費が一部の物資に前倒しされると言うのが買いだめの経済学的現象ですから、2つの意味で資源の非効率な配分につながる可能性があります。第1に、現時点での資源配分です。すなわち、買いだめ財以外の財の不足を生じる可能性があります。第2に、将来にわたる資源配分です。現時点で多くの資源を配分しましたので、将来に必要となる財が不足する可能性があります。これを役所に当てはめると、もしも、無理に震災復興に資源を投入すると、第1に、現時点で普段通りの業務が出来なくなる可能性があります。第2に、将来時点でいずれかの業務が犠牲になる可能性があります。
次に、買いだめの心理として、第1に、人が買うから買う、第2に、棚にないから買う、第3に、自分の家に何らかの関係がありそうだから買う、というのが3点セットです。これは復興貢献を目論む役所でもまったく同じです。他の役所がやるからやる、自分の役所に何か関係がありそうだからやる、ということになります。特に、役所の場合は、かなり強い確証バイアスが存在する場合が多いので厄介なことがあると私は受け止めています。すなわち、「自分の役所は社会に役立つことをやっている」という確証です。ですから、震災復興も「社会に役立つ」うちですので、何か自分の役所でも復興貢献が出来るハズである、という論理となります。確証バイアスを基にしているのであれば何を言われても関係なく、ひたすら復興支援に資源を振り向けることになりかねません。
最後に、買いだめの帰結として、余らせて無駄を生じるおそれが考えられます。トイレットペーパーのように日持ちのする財であればともかく、そうでなければ無駄を生じることは言うまでもありません。役所の復興支援も役に立たなければ無駄以外の何物でもありません。日々の新聞にムダな復興支援が散見されますので詳しくは書き立てませんが、少なくとも、市場経済の下における資源配分でありながら、ホントに必要な人に届かない可能性が考慮されていないおそれは考慮すべきです。もともと、市場経済ですから金銭的な豊かさがモノを言うのは当然ですが、赤ん坊を抱えて忙しい人が時間を持て余した高齢者に遅れをとってしまう可能性もあります。大雑把に、主婦もそうですが、大学生とか高齢者などの時間的な余裕のある人に買いだめは有利に適用されそうな気がします。ひょっとしたら、時間的に余裕のあるヒマな役所も震災復興に走っているのかもしれません。

日々のマイクロな経済活動では、ケインズ的な価格の粘着性という現象は広範に観察されます。ですから、短期には量で調整することになります。その量による調整にやや失敗しているひとつの現象として買いだめが考えられます。1097年代前半の第1次石油危機の際に多くの日本人は「学習」したように言われていますが、そろそろ忘れ始めている可能性もあります。

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2011年4月16日 (土)

G20 財務大臣・中央銀行総裁会議声明

G20-G8 France 2011 logo

Communiqué
Meeting of Finance Ministers and Central bank Governors, Washington DC, 14-15 April 2011

  1. We, the G20 Finance Ministers and Central Bank Governors, met today to address the economic challenges at hand and to progress on our previous commitments. We reaffirmed that our overriding objective is to improve the living standards of all our citizens through strong economic and jobs growth. We expressed our solidarity with the Japanese people after the tragic events, our readiness to provide any needed cooperation, and our confidence in the resilience of the Japanese economy and financial sector.
  2. The global recovery is broadening and becoming more self-sustained, with increasingly robust private demand growth. But downside risks still remain. We agreed to remain vigilant and to take the actions required to strengthen the recovery and reduce risks.
    Events in some Middle-East-North African countries and in Japan have increased economic uncertainty and tensions in energy prices. We noted there is adequate spare capacity to meet global energy demand.
  3. In order to enhance our mutual assessment process to promote external sustainability, we agreed on a set of indicative guidelines (see attached) that complete the first step of our work to address persistently large imbalances. We now launch the second step of this process with an in-depth assessment of the nature of these imbalances and the root causes of impediments to adjustment. Based on this analysis, the IMF assessment on progress toward external sustainability, as well as the other aspects of our mutual assessment process, we will ascertain for our next meeting the corrective and preventive measures that will form the 2011 action plan to ensure Strong, Sustainable and Balanced Growth, to be discussed by Leaders at the Cannes Summit.
  4. To strengthen the international monetary system, we agreed to focus our work, in the short term, on assessing developments in global liquidity, a country specific analysis regarding drivers of reserve accumulation, a strengthened coordination to avoid disorderly movements and persistent exchange rates misalignments, a criteria-based path to broaden the composition of the SDR, an improved toolkit to strengthen the global financial safety nets, enhanced cooperation between the IMF and regional financial arrangements, the development of local capital markets and domestic currency borrowing, coherent conclusions for the management of capital flows drawing on country experiences. We also agreed on the need to strengthen further the effectiveness and coherence of bilateral and multilateral IMF surveillance, particularly on financial sector coverage, fiscal, monetary and exchange rate policies.
  5. We welcome the entry into force and the activation of the expanded and more flexible New Arrangements to Borrow (NAB). We will work to complete the steps required to implement the 2010 quota and governance reform by the Annual Meetings of 2012.
  6. Commodity prices face increasing pressures. We welcomed the recommendations of the IEF, IEA and OPEC and committed to improve the timeliness, completeness and reliability of the JODI Oil database. We welcomed the work of international organizations on their report to address excessive price volatility in food and agricultural markets, and its impact on food security. We look forward to receiving their final recommendations, including on risk management and mitigation tools. We stressed the need for participants on commodity derivatives markets to be subject to appropriate regulation and supervision, called for enhanced transparency in both cash and derivatives markets as previously recommended by IOSCO, and asked IOSCO to finalize, by September, its recommendations on regulation and supervision in this area especially to address market abuses and manipulation, such as through formalized position management powers including the authority to set ex-ante position limits where appropriate, among other powers of interventions.
  7. We welcomed the preliminary proposals of the FSB to strengthen its capacity, resources and governance including representativeness and asked the FSB to put forward formal proposals at its July meeting for review at our next meeting. We took stock of progress made to determine a cohort of global SIFIs and confirmed that the FSB will make recommendations on a multi-pronged framework with more intensive supervisory oversight, effective resolution capacities and higher loss absorbency capacity. We look forward to public consultations on SIFI recommendations and request a macroeconomic impact study by FSB and BCBS, in cooperation with BIS and IMF, to be reviewed at our next meeting. We welcomed the FSB work on the scope of shadow banking and look forward to the recommendations that the FSB will prepare for our next meeting on the regulation and oversight of the shadow banking system. We committed to set high, internationally consistent, coordinated and non-discriminatory requirements in our legislations and regulations implementing FSB recommendations on OTC derivatives markets and stressed the need to avoid overlapping regulations. We urge all jurisdictions to fully implement the FSB principles and standards on compensation. We call on the FSB to undertake ongoing monitoring in this area and will assess the results of the 2nd peer review on compensation practices by our next meeting. We will review at our next meeting progress made by the IASB and FASB towards completing their convergence project by the end of 2011 and look forward to the outcome of the ongoing IASB governance review process. We welcomed ongoing work of OECD and FSB and other relevant international organizations to develop common principles on consumer protection in financial services.
  8. We agreed to maintain momentum for action to tackle non-cooperative jurisdictions and to fully implement the G20 anti-corruption action plan. We asked the Global Forum to report to us on ways to improve the effectiveness of exchange of tax information. We tasked the World Bank, working with Regional Development Banks, and the IMF, in coordination with other relevant organizations, to conduct the analysis on mobilizing sources of climate change financing, including public and private bilateral and multilateral as well as innovative sources, drawing inter alia on the AGF report consistent with the objective, provisions and principles of the UN Framework Convention on Climate Change. We support the work of the transitional committee established for the design of the Green Climate Fund. We reemphasize the importance of implementing the Seoul Development Consensus on Shared Growth and its Multi-year Action-Plan. We look forward to concrete recommendations from the High level panel on infrastructure investment by September.

G20 Indicative Guidelines for Assessing Persistently Large Imbalances

  1. Our aim is to promote external sustainability and ensure that G20 members pursue the full range of policies required to reduce excessive imbalances and maintain current account imbalances at sustainable levels.
  2. In February we agreed on a set of indicators that will allow us to focus through an integrated 2-step process on those persistently large imbalances that require policy action. These indicators are (i) public debt and fiscal deficits; and private savings rate and private debt (ii) and the external imbalance composed of the trade balance and net investment income flows and transfers, whilst taking due consideration of exchange rate, fiscal, monetary and other policies.
  3. To complete the first step, we have agreed today on indicative guidelines against which each of these indicators will be assessed. While not policy targets, these guidelines establish reference values for each available indicator allowing for identification of countries for the second step in-depth assessment. Four approaches will be used:
    1. - A structural approach, which is based on economic models and grounded in economic theory, which benchmarks G20 members against each indicator in a way that takes into account specific circumstances including large commodity producers (e.g. its demographic profile, oil balance or trend growth).
    2. - A statistical approach which benchmarks G20 countries on the basis of their national historical trends.
    3. - A statistical approach which benchmarks G20 country's historical indicators against groups of countries at similar stages in their development.
    4. - A statistical approach which draws on data, benchmarking G20 country's indicators against the full G20.
  4. Statistical approaches are based on the 1990 to 2004 period(*1) , as this is the period that preceded the large build up in external imbalances. Reference values drawn from 1990-2010 were also provided as a complement. In all four approaches, forecast figures over the 2013-15 period are compared to the values suggested by the guidelines to determine whether or not an in depth assessment should be undertaken. Those countries identified by at least two of the four approaches as having persistently large imbalances will be assessed in-depth to determine in a second step the nature and root causes of their imbalances and to identify impediments to adjustment. In carrying out this assessment, we will take due account of the exchange rate and monetary policy frameworks of members. For members of the euro area with its governance framework, this assessment will involve the appropriate authorities. National circumstances will also be taken into account. In the second step assessment, the independent IMF analysis will rely on IMF forecast data, while countries' own assessments can use national data.
  5. For the identification of countries that will move into the second stage, the selection rules for G20 countries accounting for more than 5 % of G20 GDP (on market exchange rates or PPP exchange rates) will reflect the greater potential for spillover effects from larger economies.

(*1).Private debt based on data from 1995 to 2009 reflecting data availability

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2011年4月15日 (金)

貴志祐介『ダークゾーン』(祥伝社) を読む

貴志祐介『ダークゾーン』(祥伝社)

貴志祐介さんの『ダークゾーン』(祥伝社) を読みました。春休み向けに買った「親子で回し読み4冊」のうちの3冊目の読書感想文です。作者は3月12日付けのエントリーで取り上げた『悪の教典』と同じ貴志祐介さんです。ですから、というわけでもないですが、私はこの作品もホラーだと受け止めています。まず、出版社のサイトからあらすじを引用すると以下の通りです。

この本の内容
神の仕掛けか、悪魔の所業か。
地獄のバトルが今、始まる!
戦え。戦い続けろ。
各賞撃破!
1997年日本ホラー小説大賞、2005年日本推理作家協会賞長編賞
2008年日本SF大賞、2010年第1回山田風太朗賞
エンターテインメント界の鬼才が贈る最新長編!

「覚えてないの? ここ、端島(はしま)じゃない」
その名前に触発されて、いくつかの情景が意識に現れようとした。しかし、その映像はぐにゃりと歪(ゆが)み、闇の中に溶け去ってしまう。まるで、この島に関する記憶は、絶対に思い出してはいけない禁忌(きんき)であるかのように。
「そうか……そうだった。
俺も、たしかに、ここへ来たことがある」
長崎(ながさき)市の沖合にある、遺棄(いき)された海底炭坑の島 - 端島。コンクリートの護岸に囲まれて、建物が密集した独特の外観から、軍艦島(ぐんかんじま)という通称で知られている。だが、何のために、こんな島へ来たのかは、思い出せない。まして、なぜ、ここで戦わされているのかは、見当もつかなかった。(本文より)

奨励会三段の塚田が仲間とともに不条理な異世界に取り込まれて軍艦島でゲームを戦います。ゲームといっても人間将棋のバトルロワイヤルで、要するに殺し合いなんですが、将棋と同じように取られると敵駒になります。また、王将などの例外を除いて昇格(プロモーション)もあったりします。歩がと金に、飛車が龍に、角が馬になるようなものです。陣営は赤と青で、塚田が赤の王将、青は同じように奨励会三段のライバルです。人間関係と実際に起こっている事件とも複雑にゲームが絡まり合って進行します。先日始まった将棋の名人戦と同じで4戦先勝で勝ちとなります。
軍艦島でのゲームの各局が章を構成するんですが、局の間に断章というのが挟まれていて、これは異世界でのゲームではなく実際の人間世界での出来事が記述されます。その中で、ホラーですから、人が死んだり、事件が起こったりして、しかも、これらが下敷きとなってゲームの参加者や進行に複雑に関係します。どうして、このようなゲームが始まったのか、このゲームは何なのか、ゲームの結果で何が起こるのか、等々は、ゲームの駒になっている登場人物をはじめとして、私のような読者も含めて誰にも分かりません。何とも不可解な小説と受け止める人がいるかもしれません。
各駒の役割や能力について昇格(プロモーション)とともに従前に理解するのはタイヘンです。もちろん、ルールも複雑極まりないもので、各局で整合性が取れていることは私も確認しましたが、合理的な背景理由は皆無です。どこかに「神」的な存在を前提しないと、合理的な近代人の精神で理解しようとするには無理があります。ようするに、「こういうもんだ」という精神で読み進むしかありません。私がそれほどホラーに詳しくないこともあって、ホラー小説としての評価は難しいと言わざるを得ませんが、ラストの終わり方についてはミステリ小説として、少し物足りないと受け止めています。

我が家ではホラー小説は下の子の専門分野となっています。私も下の子の後に読みましたが、おにいちゃんは今のところパスしています。

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2011年4月14日 (木)

今夏のボーナス予想から無理やりに来年の所得環境を占う

年度が明けて、夏季ボーナスの交渉がボチボチ妥結しつつあり、シンクタンクなどから夏季ボーナス予想が出始めています。いつも、私のこのブログで取り上げるのは、以下の日本総研、第一生命経済研、三菱UFJリサーチ&コンサルティングに加えて、みずほ総研もチェックしているんですが、今年はまだみずほ総研からはリポートが出ていません。「未確認のウワサ」では人事異動で担当者がいなくなってしまい、しばらくボーナスに関するリポートは出せないと聞き及びました。取りあえず、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネットでオープンに公開されている以下の3機関に限って取りまとめました。ヘッドラインの文言は、震災との関係や先行きに関する部分を重視して私の趣味でリポートから選択しました。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで閲覧、または、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別画面が開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名民間企業
(伸び率)
国家公務員
(伸び率)
ヘッドライン
日本総研36.9万円
(+0.4%)
53.9万円
(▲6.6%)
震災影響は基本的に年末賞与に現れる見込み
第一生命経済研36.2万円
(▲1.5%)
n.a.冬のボーナスについては、震災後の景気低迷の影響が本格的に現れることから、減少幅がさらに拡大する可能性
三菱UFJリサーチ&コンサルティング37.0万円
(+0.8%)
56.1万円
(▲2.8%)
ボーナスは前期の企業収益を反映して支払われるため、2011年夏のボーナスに対する震災の影響はそれほどない

取りあえず、制度的な要因で決まる部分が大きい公務員は別にして、景気で決まる民間企業にスポットを当てると、見れば分かると思いますが、増えると見るか、減ると見るかは、震災の影響の織込み次第となっています。交渉の妥結と震災のタイミングにより、震災の影響がより大きく織り込まれればマイナス、そうでなければプラスとなっているように見えます。また、年末ボーナスは夏季ボーナスよりも震災の影響が織り込まれる度合いが高いことは確かですが、1年まとめて夏季と年末の両賞与を一気に妥結している企業も少なくなく、ボーナスへの本格的な震災の影響は来年の夏になる可能性が高いと私は見込んでいます。
さらに、別方面から来年春以降の所得環境を考えると、ウワサの例の復興増税が待っている可能性があります。私が知っている限り、かなりのエコノミストは法人税や所得税などの直接税を増税して復興に充てて、消費税率引上げを社会保障に回す、というイメージを描いているように私は受け止めていますが、私も一定の理解はするものの、どちらも消費税増税でいいんではないかと私は考えています。直接税増税と消費税増税で何が違うのかと言えば、負担する主体が異なります。直接税負担では所得のピークに達した中年層が主に負担する一方で、消費税では広く浅く負担します。もっと言えば、高齢者層の負担が大きく異なります。直接税による復興増税では高齢者の負担はあまり大きくは生じませんが、消費税ではそれ相応に負担が生じます。高齢者はかなり長期にわたるであろう震災復興の恩恵はあまり受けないので、直接税による復興負担という考えは私も理解しますが、震災復興とは別に、さまざまな面で「超」が付くくらい優遇されて来て、かなり大きな資産を形成している高齢者層にも復興に対する一定の負担を求めるのが適当ではないか、と私は考えている次第です。このあたりは私の従来からの主張です。
いつもの主張に熱が入って少し本題から逸れましたが、今年2011年1-3月期から震災の影響でマイナス成長を続ける日本経済は、おそらく、年度後半の10-12月期から復興需要の本格化でプラス成長に復帰し、電力などの供給制約がある中でも公共投資と住宅投資が景気を引っ張る形になります。しかし、疑問点が2点浮かび上がります。第1に、企業は設備投資をどこまで国内で実行するか、という問題です。すなわち、為替相場にもよりますが、東北地方などで棄損された資本ストックを、国内ではなく海外で設備投資して、資本ストックが国内から海外にスイッチする可能性も排除できません。潜在成長率は落ちますし、今まで通りの雇用も生まれません。第2に、このエントリーの主眼でもありますが、来年春以降の所得環境が大きく悪化して消費が冷え込む可能性を見逃すべきではありません。すなわち、ボーナスを含めて給与が減少し、増税が追い打ちをかける形で大きく所得環境が悪化する可能性がある上に、自粛ムードに形を変えたマインドの悪化も考え合わせれば、いつになれば消費が回復するのかサッパリ分かりません。やや悲観的なダウンサイド・リスクだけを取り上げてしまいましたが、年度内の復興需要だけでなく、来春以降の来年度に入ってからの景気にも十分な注意が必要です。

最後に、まったくどうでもいいことですが、上のテーブルにある国家公務員の夏季ボーナスが日本総研と三菱UFJリサーチ&コンサルティングで大きく異なるのは、日本総研の予想が「復興財源のため国家公務員5%給与削減」を織り込んでいるからです。4月6日付けの朝日新聞で報じられています。他紙は報じていません。5%削減で1500億円を削減して10兆円を超える復興費用の一部に組み込むようですが、それ以上に震災と関係の薄い役所が復興貢献に走っているのも事実です。自分が勤める職場のことをモロに書くことも出来ませんから、週末のパロディで「あまり関係のない役所が復興貢献に走る騒動」として取り上げようかと考えないでもありません。

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2011年4月13日 (水)

震災を織り込んだエコノミストの経済見通しやいかに?

昨日のエントリーでは国際通貨基金 (IMF) の経済見通しを取り上げたものですから、またまた少し遅れ始めましたが、昨日、経済企画協会から4月の 「ESP フォーキャスト調査」結果が公表されました。調査期間は3月29日から4月5日であり、震災を織り込んだエコノミスト諸氏の経済見通しが把握できます。予想値総平均で見て、1-3月実質成長率は前回調査の+1.72%から▲0.22%に、4-6月に至っては同様に+1.87%から▲2.83%に、それぞれ大きく下方修正されました。同時に、2011年2月頃が景気の山となる可能性、すなわち、「大震災により2月の生産がピークとなりその後低下が継続した場合に、2月頃が景気の山となる可能性」は39.8%と無視できない予想となっています。他方、生鮮食品を除くコア消費者物価上昇率は予想値総平均で2012年度までマイナスとなりましたが、震災の影響により供給制約が顕在化することから、震災の物価への影響はプラスとの回答が多数を占めたようです。まず、少し長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

年後半はプラス成長、10-12月4.5% 民間予測平均
「生産上向き輸出も回復」

東日本大震災の影響で一時的に停滞するとみられる日本経済が、2011年後半にはプラス成長に復帰するとの見通しが民間調査機関の間で広がってきた。復興需要が内需を下支えするほか、生産が徐々に上向き、輸出が回復するとの見方が多いためだ。43社の実質経済成長率の予測平均値は、7-9月期に前期比年率1.88%とプラス成長に戻り、10-12月期は同4.59%と比較的高めの成長を見込んでいる。
内閣府の外郭団体である経済企画協会が12日、4月の「ESPフォーキャスト調査」として予測をまとめた。金融機関やシンクタンクを対象に3月29日から4月5日に調査。震災の影響を織り込んだ予測となる。
足元の11年4-6月期の予測は前期比年率2.83%のマイナス成長。消費者心理の悪化で個人消費が冷え込むほか、サプライチェーン(供給体制)の寸断による生産減を受け、輸出も伸び悩むためだ。同期の成長率予測は3月調査に比べ、4.70ポイントの大幅な下方修正となった。
ただ11年7-9月期以降、プラス成長への復帰を見込む向きが多い。復興関連の公共投資が増加し、成長を下支えするためだ。予測集計によると、公共投資は11年度を通じて実質成長率を0.5ポイント押し上げる。
「震災をきっかけに、すでに景気後退に入った」との見方は全体の26%にとどまった。3月の生産は大きく落ち込んだとみられるが「サプライチェーンの復元が進み、調整は長引かない」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鹿野達史シニアエコノミスト)との声が多い。
企業の生産活動が回復すれば、中国など新興国向け輸出も伸びる。7-9月期の成長率は震災前の前回調査並みを確保。10-12月期は前回予測の2.08%を大幅に上回る。12年1-3月期も3.33%と高めの成長が続くとみている。
ただ11年度の実質成長率は0.44%にとどまる。3月調査より1.19ポイントの下方修正となるが、マイナス成長は避けられる見通しだ。12年度は2.63%と予測した。
一方、消費者物価指数(CPI)は生鮮食品を除くベースで、11年度は前年度比0.21%下落。12年度も0.17%の下落と予測した。震災による供給不足などが物価をそれぞれ0.08ポイント、0.04ポイント引き上げるが、総務省が今夏から実施する新基準でみると、統計上ではデフレ状態が続くとみられる。

次に、実質成長率とGDP実額を四半期別に3月調査と4月調査の ESP フォーキャスト調査結果を比較すると以下のグラフの通りとなります。上のパネルは2011年1-3月期以降の前期比年率の成長率、下はその成長率を基に実質GDPの実額を計算したパスを表しています。なお、年率成長率は単純に4で除して計算に用いています。

ESP フォーキャスト調査結果

上のグラフを見れば分かると思いますが、成長率で考えると、今年2011年の1-3月期と4-6月期は下振れした後、7-9月期にはほぼ震災前の成長率に戻り、逆に、10-12月期から来年2012年上半期にかけては成長率は上振れすると予想されています。来年2012年下期以降は成長率の水準としては旧に復する見込みとなりますが、別の観点ながら、GDPの実額は従来考えられていたパスの下をはう形になると予想されています。私の見方と少し違うのは、私は7-9月期はほぼゼロ成長と考えていることです。今年2011年の1-3月期と来年2012年の1-3月期に大きくリバウンドすることについては復興需要が出ますから、そうなのかもしれませんが、復興は神戸と違って長期にわたると考えるべきです。
さらに、この ESP フォーキャストの予想はかなり楽観的である可能性を見落とすべきではありません。なぜなら、先行きのリスクはほとんどダウンサイド・リスクしか私には考えられないからです。アップサイド・リスクは円安に転じた可能性のある為替相場くらいですが、ダウンサイド・リスクを列挙すると、第1に、計画停電を含む供給サイドのボトルネックが悪化・長期化する可能性があります。基本的に、ボトルネックは時間の経過とともに改善する方向だと考えられますが、計画停電だけは夏場に向けてマイナスの経済的影響を及ぼすと見込むべきですし、一向に収まる気配のない余震も不気味です。第2に、原発事故の長期化・深刻化です。私には見通し難い要因ながら、国内の食料生産に何らかの影響を及ぼす可能性があります。日本国内の農業はガッチリと国際市場から隔離されているだけに、短期的には供給量の問題があり、長期的には需要が輸出に漏れる可能性もあります。第3に、GDP比で数パーセントに上ると予想される復興財源の調達に起因するリスクも見逃すべきではありません。すなわち、何らかの増税で対応するとすれば、所得面から需要サイドに悪影響を及ぼしかねませんし、私自身は可能性が低いと考えていますが、国債発行で調達すればソブリン・リスクが顕在化しかねません。悩ましいところです。

Figure 1.3. Advanced Economies: Change in Overall Deficits and Gross General Government Debt, 2011

ということで、上のグラフは週末のIMF世銀の年次総会向けに IMF から昨日発表された Fiscal Monitor, 2011 April全文リポート p.10 Figure 1.3. Advanced Economies: Change in Overall Deficits and Gross General Government Debt, 2011 を引用しています。引き続き、日本は米国とともにフローの財政バランスもストックの国債残高も悪化し続けており、先進国の中ではめずらしい存在となっています。p.7 の Table 1.2. Fiscal Balances in 2011: Medium-Term Plans and IMF Staff Projections でも2011年の財政バランスがGDP比で10%の悪化をすると見通されており、日本を上回る悪化を示すのはアイルランドと米国だけだったりします。

四半期 
2011年1-3月期2011年4-6月期 
+0.03%ポイント+0.10%ポイント 
年度
2010年度2011年度2012年度
+0.01%ポイント+0.08%ポイント+0.04%ポイント

最後に、物価の話題を取り上げます。上のテーブルは再び 「ESP フォーキャスト調査」結果の2ページ目から、コア消費者物価が大震災なかりし場合に比べて、どれくらい震災により乖離するを示しています。従来から、このブログでも震災は潜在産出水準、需要ともに低下させるが、前者の方が後者より大きくて需給ギャップの観点からは物価上昇要因となる、と直観的に結論して来ました。多くのエコノミストと同じ考え方であったことが裏付けられたと感じています。

企業物価の推移

エントリーが長くなりましたので、最後の最後に、上のグラフは、本日、日銀から発表された3月の企業物価の前年同月比上昇率の推移です。商品市況の高騰等ともに輸入物価が国内物価に、また、国内では、素原材料から中間財、さらに、最終財に波及していった姿がよく表れていると受け止めています。国内の需給に起因する物価上昇という部分は小さいと考えるべきです。

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2011年4月12日 (火)

IMF「経済見通し」見通し編では日本経済の下振れは限定的と見込む

昨夜に続いて連続となってしまいましたが、今夜も国際通貨基金 (IMF) の「世界経済見通し」 World Economic Outlook の見通し編第1章と第2章を取り上げます。いつもの通り、第1章は世界経済の見通し、第2章は地域ごとの見通しに充てられています。

まず、ヘッドラインとなる成長率見通しは IMF のサイトから引用して以下の画像の通りです。なお、クリックすると全文リポートの p.2 Table 1.1. Overview of the World Economic Outlook Projections の1ページだけを抜き出した pdf ファイルがブラウザの別タブで開くようにリンクを設定してあります。

Latest IMF Projections

見れば分かると思いますが、日本は今年2011年+1.4%成長の後、来年2012年は+2.1%と潜在成長率水準を上回るパフォーマンスを示すと IMF では見込んでいるようです。当然ながら震災前だった前回2011年1月の「改定世界経済見通し」 World Economic Outlook Update と比較しても、今年2011年が▲0.2%ポイント下方に改定された一方で、来年2012年は逆に+0.3%ポイント上方改定されており、もちろん、この改定幅がすべて震災によるものではないとしても、震災の経済的な影響はかなり限定的と見通していることが読み取れます。もっとも、リポートの p.73 にある通り、"Assuming that the power shortages and the nuclear crisis are resolved within a few months" と前提していることには注意すべきかもしれません
世界経済全体は2011-12年にほぼ+4%半ばの成長を達成すると見込んでいますが、先進国全体で+2%代半ばに過ぎない一方、新興国は+6%台半ばの成長を続けると見通しています。今年の「世界経済見通し」は例年になく、p.181 Statistical Appendix の Table A1. Summary of World Output に、なぜか、5年後の2016年の成長率が示されているんですが、2016年までこの傾向は変わりません。日本は2016年に+1.2%成長であると予想されています。低成長の先進国と高成長の新興国・途上国の間で成長率の差が生じており、日本は先進国の中でも低成長に止まると考えられています。多くのエコノミストが同意するのではないでしょうか。

Overheating Indicators - G20

他方、新興国の高成長はすべての面で望ましい現象では決してなく、G20諸国の中にもいくつか景気が過熱しつつある国がある現状を示唆しているのが上の画像です。最初の画像と同じく IMF のサイトから引用していますが、同じ画像は全文リポートの p.20 にも現れています。中東の政治情勢などの地政学的な要因も無視できませんが、もちろん、新興国の高成長と商品価格の高騰は表裏一体と考えるべきです。
第1章の経済政策に着目した節のタイトルを並べると、IMF の政策スタンスが明らかになると思います。取りあえず、先進国向けを中心に、リポートのページ数とともに、いくつかの政策スタンスをピックアップすると以下の通りです。

  • Advanced Economies Need to Repair Public and Financial Balance Sheets (p.14)
  • Monetary Policy Can Remain Accommodative in Most Economies (p.15)
  • Much Stronger Efforts Are Needed to Maintain or Rebuild Fiscal Credibility (p.16)
  • Financial Sector Repair Must Be Accelerated (p.16)

他はともかく、日本は財政再建について先進国の中でも最悪の状態にあることは衆目の一致するところなんですが、リポートの p.17 には "While the immediate concern in Japan should be to support reconstruction, measures that support a reduction of its high public debt ratio over the medium term need to be specified to maintain the strong confidence of its investor base." とされています。心やさしい国際機関である IMF は震災復興を最優先のプラオイリティに推してくれていますが、JGB がもし増発されると仮定すれば、greedy な市場がどう反応するかはやや不透明感があります。

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2011年4月11日 (月)

IMF「経済見通し」分析編と過去の数字の機械受注統計

旧聞に属する情報ですが、先週4月7日に国際通貨基金 (IMF) から「世界経済見通し」World Economic Outlook の分析編第3章と第4章が公表されています。我が家の下の子の入学式から順次情報を遅れて取り上げています。悪しからず。まず、チャプター・タイトルは以下の通り、石油の供給制約と資本フローの変動です。これらの日本語サマリーも公表されています。

まず、第3章について、石油の供給制約が成長の鈍化や対外不均衡の悪化につながるかどうかについては、前者に対しては慎重ながらも楽観的、後者はやや悲観的なトーンであると私は読み取りました。リポートの p.101 から IMF の Global Integrated Monetary and Fiscal Model (GIMF) を用いた定量的な試算結果が示されています。標準ケース Benchmark Scenario として、今後20年にわたって石油供給の伸びが従来のトレンドである毎年+1.8%増から▲1%ポイント低下して+0.8%増となった場合、20年後の世界GDPは▲3%下振れ、経常収支も20年後に米国や欧州ではGDP比で▲1.5%超、日本では▲2%超の悪化となります。成長については、毎年の成長率に換算して中長期的に▲0.15-0.25%ポイントの引下げ圧力と計算されています。成長の下振れについては、現在の石油需要を押し上げている中国などの新興国において、経済活動上の石油のGDP原単位が改善するため、影響は予想されたほど大きくないとの結果です。詳しくは解説しませんが、このブログで何回か取り上げた環境クズネッツ曲線的なパスが、リポートの p.95 Figure 3.4. Primary Energy Consumption で中国における1次エネルギーと1人当たり購買力平価GDPの間に示されています。なお、リポートの p.102 Figure 3.9. Oil Scarcity and the Global Economy: Benchmark Scenario から引用した標準ケースのシミュレーション結果のグラフは下の通りです。米国、アジア新興国、ユーロ圏、日本における実質GDP、実質需要、経常収支の乖離が示されています。政策的なインプリケーションとしては、IMF の従来の考えが色濃く反映されており、市場における価格シグナルの役割を強化する必要を論じています。

Figure 3.9. Oil Scarcity and the Global Economy: Benchmark Scenario

次に、第4章の資本フローについて、リポートの p.126 Figure 4.1. The Collapse and Recovery of Cross-Border Capital Flows を引用した下のグラフに見られるように、金融危機後の資本フローの回復は急ピッチで進んでおり、水準ではなくペースの点で著しかった impressive と結論しています。ネットの資本フローは slightly more volatile になった一方で、新興国への資本フローは世界的な低金利とリスク回避選好が低下した環境下で、より成長パフォーマンスの高い国に流れていることが示されています。また、当然ながら、米国との金融的なリンケージの高い国ほど米国の金利変動が資本フローに及ぼす影響が大きくなることを論じています。政策的なインプリケーションとしては、変動する資本フローに対してマクロ政策や金融監督政策による安定化を支持しています。

Figure 3.4. Primary Energy Consumption

最後に、本日、過去の数字ながら、内閣府から2月の機械受注調査結果が発表されています。下のグラフは季節調整済みの機械受注ですが、上のパネルは船舶と電力を除く民需のコア機械受注とその後方6か月移動平均を、下のパネルは外需、製造業と船舶と電力を除く非製造業の需要者別を、それぞプロットしています。影をつけた部分は景気後退期です。2月までの機械受注は製造業が伸びて非製造業が落ちる傾向にありましたが、景気ウォッチャーを考え合わせると、非製造業の落ち方がさらに大きくなるのかもしれません。もちろん、製造業も含めてオールジャパンの全業種で、震災は設備投資マインドを悪化させていると考えるべきです。

機械受注の推移

少し取り上げるのが遅れ気味になっていますが、IMFの「世界経済見通し」分析編を中心にしたエントリーでした。IMF世銀総会を週末に控えて、近く、見通し編も発表されると思いますので、子供達の行事も終わったことですし、出来る限り遅滞なくフォローしたいと思います。

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2011年4月10日 (日)

湊かなえ『花の鎖』(文藝春秋) を読む

湊かなえ『花の鎖』(文藝春秋)

湊かなえさんの『花の鎖』(文藝春秋) を読みました。上の表紙の画像にはありませんが、作者の「セカンドステージ始動」と帯に銘打たれています。まず、出版社のサイトから本のあらすじを引用すると以下の通りです。

内容紹介
主人公は3人の女性。両親を亡くし、愛する祖母もガンで入院中、さらに講師として働いていた英会話スクールが破綻し金銭的に困っている梨花、建設会社で働いていたが、伯父夫婦のすすめで営業職の和弥と結婚した美雪、公民館で水彩画教室の講師をしつつ、和菓子屋でバイトをしている紗月(さつき)。この3人の視点で構成された傑作ミステリー。湊かなえの「新たな代表作」として、胸をはって刊行いたします。

明日から学校も本格的に始まって、我が家の中学生2人も登校します。春休みがとうとう終わったということなんですが、諸般の事情によりこの春休みはほとんど外出も出来ませんでした。おにいちゃんの中学校なんぞは明確に「なるべく家にいて外出しないように」といった旨の注意を呼びかけたりしていました。仕方がないので、親子で読めるような本を何冊か借りたり買ったりして家で過ごしてました。我が家のおにいちゃんは標準的なミステリ好きで、中学や高校に通う男子らしい読書傾向です。私とほぼミートします。ですあkら、ラドラムやアーチャーを借りたりしています。下の子はホラー好きです。春休みの少し前ですが、3月12日付けのエントリーで取り上げた貴志祐介さんの『悪の経典』も喜んで読んでいたりしました。中学校の入学式を前に私からスティーヴン・キングを何冊か貸しておきました。こういった読書傾向ですので、春休みには以下の4冊を買って親子で回し読みしています。

  • 高野和明『ジェノサイド』
  • 湊かなえ『花の鎖』
  • 貴志祐介『ダークゾーン』
  • 今野敏『警視庁FC』

最初の『ジェノサイド』は先週4月7日に読書感想文の日記をこのブログにアップし、私の後、おにいちゃんはすでに読み終えて下の子が読んでいるところです。今日のエントリーで取り上げる『花の鎖』は先におにいちゃんが読んで、この週末に私が読み終えました。『ダークゾーン』は先に下の子が読み終えて、今は私が読み進んでいたりします。『警視庁FC』はおにいちゃんが読み終わっていて、次は私が読もうと考えています。順次、このブログでも読書感想文をアップするつもりです。ということで、今日のエントリーでは港かなえさんの『花の鎖』を取り上げますが、いきなり、以下ではネタバレを含む可能性があります。上の引用にもある通り、「ミステリ」ですので、未読の方が読み進む場合は自己責任でご注意ください。
何と言っても、新機軸が2点読み取れます。第1に、この作者の場合、今までは人間行動の動機について「恨みつらみ」が大きなウェイトを占めていたように私は感じていますが、この作品では必ずしもそうではありません。引き続き、「恨みつらみ」の占めるウェイトは無視できないんですが、未来に向かった希望のような明るさも読み取れます。第2に、モノローグを主体にした文章であることは変わりありませんが、語っている3人の女性が同時代ではありません。すなわち、雪月花の順で3世代になっています。美雪の子供が紗月で、紗月の子供が梨花です。この点は思いっ切りネタバレなんですが、読んで行くうちに理解が進むと思います。ということで、梨花の両親、というか紗月と前田さんがどのような死を遂げるのかがイマイチ不明ですが、入院している梨花の祖母とは美雪のことです。ですから、一応、「セカンドステージ」とか、「新たな代表作」といっても極端な誇大広告には当たらないような気もします。

私や我が家のおにいちゃんのように、この作者のファンであればオススメです。そうでなければ迷うところですが、十分、4ツ星クラスの内容であり、買って損はありません。特に、「ミステリ」の対象となる謎はなかなか興味深いものがあります。

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目黒不動尊にサクラを見に行く

目黒不動尊瀧泉寺

今日は何の予定もなかったので、少し自転車を飛ばして、目黒不動尊瀧泉寺にサクラを見に行きました。昨年のこの季節には、下の子やスカウトといっしょにユニセフのラブウォークに参加して、このあたりを歩いていたような記憶があります。
下の写真はついでのサクラで、帰り道に我が家からほど近い青山霊園のサクラの間から見えた六本木ヒルズです。最近、被写体は子供中心から六本木ヒルズが多くなったような気がします。

青山霊園のサクラと六本木ヒルズ

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2011年4月 9日 (土)

名人戦第1局は森内九段の先勝で始まる

名人戦第1局終了図

昨夜、一昨日の7日から椿山荘で指し継がれていた第69期名人戦7番勝負の第1局が終了し、先手番で挑戦者の森内九段が96手で羽生名人に先勝しました。誠におめでとうございます。上の終了図は朝日新聞のサイトから引用しています。次は羽生名人にもがんばっていただきたいと思います。記録に残す意味でアップしておきます。

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昨日発表された経常収支と景気ウォッチャーを振り返る

昨日、内閣府から3月の景気ウォッチャー調査結果が、また、財務省から2月の経常収支が、それぞれ発表されました。昨日は下の子の中学校の入学式に行っていましたので、遅ればせながら今日のエントリーで取り上げたいと思います。ヘッドラインとなる景気ウォッチャーの現状判断DI、先行き判断DIとも3月は20ポイント超の大幅ダウンとなりました。歴史の浅い統計ではありますが、調査開始以来最大の落ち込み幅です。ただし、経常収支は震災前の2月統計ですので影響は現れていません。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

街角景気、震災で下げ幅最大に 3月20ポイント低下
内閣府が8日発表した3月の景気ウオッチャー調査によると、街角の景気実感を示す現状判断指数は前月比20.7ポイント低下の27.7と、2カ月ぶりに悪化した。2-3カ月先の先行き判断指数は20.6ポイント低下の26.6だった。いずれも過去最大の低下幅を記録し、内閣府は基調判断を「東日本大震災の影響で急激に厳しい状況になっている」と変更した。
現状・先行きとも、東日本大震災を受けて家計、企業、雇用全ての指数が大幅に低下した。自粛ムードや計画停電で客足の減少や買い控えがみられたほか、福島第1原子力発電所の事故の影響で海外からの旅行キャンセルが相次いだ。また、被災による操業停止、部材供給不足に加え、計画停電の実施で工場の稼働率が低下したことなども響いた。一部の企業では採用や求人の見直し・延期の動きもみられるという。今後の被災地復旧に関する需要を期待する声がある一方で、先行きに対する不透明感が強く反映された。
調査は景気に敏感な小売業関係者など2050人が対象。3カ月前と比べた現状や、2-3カ月先の景気予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価してもらい、指数化する。今回の調査期間は3月25日から月末まで。震災後初めての調査となったが、被災した東北地域からの回答率も91.4%に上るなど、内閣府は「統計としての連続性は保てている」としている。
2月国際収支、経常黒字1.6兆円 3.0%増加
財務省が8日発表した2月の国際収支速報によると、モノやサービス、配当、利子などの海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆6410億円の黒字だった。貿易やサービス収支の黒字幅は縮小したものの、投資による稼ぎを示す所得収支が拡大したため、経常収支は前年同月比3.0%増加した。
輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は7233億円の黒字で、前年同月に比べ7.9%縮小した。輸出額は5兆3506億円で同年前月比9.7%の増加。中国やロシア向けの自動車輸出が好調だった。輸入額は中東の政情不安による原油高により13.1%増の4兆6273億円だった。輸入の増加幅が輸出の増加幅を上回り、貿易収支の黒字幅の縮小につながった。
海外投資による利子や配当から得る所得収支は18.3%増の1兆1379億円。旅行、輸送などのサービス収支は369億円の赤字だった。

まず、景気ウォッチャー調査の結果をプロットしたのが下のグラフです。赤の折れ線が現状判断DI、水色が先行き判断DIです。影をつけた部分は景気後退期です。引用した記事にある通り、調査日は3月25日であり、東北地方の回収率も90%を超えて、統計としての継続性は何ら問題ないと考えるべきですが、現状判断DIも先行き判断DIも2月から3月にかけて▲20ポイント低下しました。2008年9月のリーマン・ブラザーズ証券の破綻に端を発した Great Recession の期間中にも経験しなかった過去最大の落ち込みです。しかし、DIの水準を比較することは意味がないことは理解しつつも、この3月の両DIはまだ25を超えており、リーマン・ショック後の2008年12月や2009年1月に記録した20を割り込んだ水準まで低下していません。もっとも、この先に割り込んでさらに低下する可能性はあることも事実です。この先も、計画停電と原発事故次第で不透明感がいっぱいです。

景気ウォッチャー調査の推移

さらに、通常の見方だけでなく、この景気ウォッチャー調査は3月11日の震災後の本格的なマクロ統計として私は大いに注目しています。すなわち、地域別や業種別のマインドの悪化が読み取れます。下のグラフの通りです。地域別及び業種別の現状判断DIの2月と3月の差をプロットしています。地域別では、当然ながら、東北で▲30ポイント超と最も悪化し、関東と北海道が▲20ポイント超でこれに続いています。他の地方は全国平均の▲20.7ポイントには達しません。業種別は、景気ウォッチャー調査の分類が独特で私の理解を超えている部分もありますが、取りあえず、飲食関係が大きなマイナスを記録しているのは理解できるところでしょう。他方、非製造業より製造業の方のダメージが少ないとのマインドは少し理解が難しそうな気がします。

景気ウォッチャー調査の地域別業種別下落幅

次に、下のグラフは経常収支の推移です。2月統計で震災の影響は受けておらず、2月までの各種統計に見られた順調な景気の推移を示しています。青い折れ線が季節調整済みの経常収支をプロットしており、棒グラフはこの経常収支に対する内訳となっています。色分けは凡例の通りです。海外需要にけん引される輸出などは震災の影響はほとんどない可能性がありますが、物流面での復興の遅れに足を引っ張られることも考えられます。

経常収支の推移

今日の東京のように雨が降ると、花粉症はかなり改善するんですが、放射能の雨とは思わないものの、自動車を持たない我が家では行動半径が大きく制約されるという場合もあります。この午後は一家そろって家にこもってしまっています。

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2011年4月 8日 (金)

下の子の中学校の入学式に行く

中学校の入学式

今日は下の子の中学校の入学式でした。私も午前中は仕事を休んで女房とともに出席しました。制服は黒の詰襟という一般的な姿で、2年前のおにいちゃんの学校と違うのは、ボタンが黒いことと制帽があることです。2週間前の卒業式の時の小学生から見違えるようです。なかなかの押出しで立派に育ってくれました。
男子ばっかりで、考えようによっては、むさくるしい6年間ですが、同じような境遇だった私なんかも、今から振り返れば、大学の4年間よりももっと充実していたかもしれません。まさに、青春まっただ中の6年間です。多くの友人とともに楽しく充実した6年間を過ごして欲しいと思います。

最後に、2週間前の小学校の卒業式の時と同じなんですが、ジャンボくす玉を用意しました。めでたいとお考えの向きはクリックして割って祝ってやっていただければと思います。

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2011年4月 7日 (木)

高野和明『ジェノサイド』(角川書店) を読む

高野和明『ジェノサイド』(角川書店)

高野和明『ジェノサイド』(角川書店) を読みました。私がこの作者の小説を読むのは初めてです。読書感想はこのブログでは週末の定番となっているんですが、とっても面白いので週の半ばに取り上げます。まず、角川書店のサイトからあらすじを引用すると以下の通りです。

【内容紹介】
急死したはずの父親から送られてきた一通のメール。それがすべての発端だった。創薬化学を専攻する大学院生・古賀研人は、その不可解な遺書を手掛かりに、隠されていた私設実験室に辿り着く。ウイルス学者だった父は、そこで何を研究しようとしていたのか。
同じ頃、特殊部隊出身の傭兵、ジョナサン・イエーガーは、難病に冒された息子の治療費を稼ぐため、ある極秘の依頼を引き受けた。暗殺任務と思しき詳細不明の作戦。事前に明かされたのは、「人類全体に奉仕する仕事」ということだけだった。イエーガーは暗殺チームの一員となり、戦争状態にあるコンゴのジャングル地帯に潜入するが……。
父の遺志を継ぐ大学院生と、一人息子のために戦い続ける傭兵。交わるはずのない二人の人生が交錯する時、驚愕の事実が明らかになる。それは、アメリカの情報機関が察知した、人類絶滅の危機――

上のあらすじに登場する創薬化学の大学院生である古賀研人、特殊部隊出身の傭兵ジョナサン・イエーガーのほか、古賀研人の友人である留学院生・李正勲が研人に協力し、測定不能なIQを持つアーサー・ルーベンスが「人類絶滅の危機」の原因となる生物を抹殺する作戦の責任者となり、大企業の御曹司で人類学者であるナイジェル・ピアースが「人類絶滅の危機」の原因となる生物に同行しています。いきなりですが、以下はネタバレを含みますので、未読の方は自己責任でご注意ください。
ということで、カギカッコが二重に付いた「『人類絶滅の危機』の原因となる生物」とは進化した人類のことです。そして、ホモ・サピエンスと呼ばれる現生人類がいわゆる類人猿や原人を絶滅させたのと同じように、進化した人類によりホモ・サピエンスは絶滅させられると米国大統領は考えます。アキリと名付けられた、この進化した人類がコンゴ奥地に出現し、人類学者のピアースが保護していますが、アフリカ大戦争から脱出するのが基本的なストーリーです。この進化した人類アキリを米国大統領が抹殺することを決意し、その作戦を任されるのはルーベンスなんですが、ルーベンスは古い「ハイズマン・リポート」に進化した人類が触れられていることを発見して執筆者のハイズマンに会いに行き、進化した人類を抹殺することは不可能であると考えを改め、CIA長官とともに隠密裏に保護に回ります。また、アキリを抹殺するために派遣された傭兵のリーダーがイエーガーなんですが、不治の病で死を待つばかりの息子を救う特効薬を進化した人類のプログラムにより古賀研人が作成中であることを知り、任務を放棄してアキリの保護、アフリカ脱出の手助けに回ります。なお、アキリはピアースが保護している進化した人類に付けられた固有名詞ですが、米国政府では「ヌース」という一般名称で呼ばれています。そして、アフリカを脱出したアキリとピアース一行は日本を目指します。どうして日本を目指すのかは、ネタバレ満載のブログとはいえ、読んでみてのお楽しみに取っておきます。
私は化学や薬学はもちろん、安全保障や軍事もまったくのシロートで、この小説の中にはかなり難しい説明があったりしますが、そのあたりは読み飛ばしても一向に差し支えありません。何が面白いかというと3点あり、第1点は、最後のどんでん返しで一気に全貌が明らかにされるわけではなく、徐々に徐々に、タマネギの皮をむいていくように真実が小出しに明らかにされる手法です。その上で、最後にサプライズも残されています。第2に、進化した人類が、姿かたちは別にして、行動や思考のパターンなどが現在世代の西洋人の考える神になぞらえられていることです。私のような典型的な仏教徒からすれば少し違和感がないでもないんですが、おそらく、全知全能のキリスト教的な神を下敷きにして進化した人類の姿が想像、もしくは、創造されています。ゲーム論的にはしっぺ返し戦略に近い反応であるとされています。進化した人類「ヌース」は米国政府の打つ手をことごとく見透かしていて、すべてを乗り越えて無事にアフリカを脱出し日本に向かいます。第3に、小説の内容の真贋は私には判定不能なんですが、少なくとも、綿密な取材に裏付けされているように読み取れます。ですから、フィクションにリアリティが与えられています。巻末にもインタビュー対象や参考文献などがていねいに上げられていて、適当に書き飛ばした小説にはない重みが感じられます。

最後は、全知全能の神に近い存在である進化した人類がアフリカを脱出し、無事に日本にたどり着くわけですが、もちろんフィクションながら、アフリカの悲惨な内戦も克明に描写されています。胸が痛むほどです。登場人物の心の葛藤や内面などがよく書けている半面、アフリカの情景の描写が少し荒っぽい気はしますが、ストーリー展開で十分にカバーされています。文句なしの5ツ星です。

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2011年4月 6日 (水)

OECD と ADB の経済見通し、ついでに、日本の景気動向指数をチェックする

昨日、経済協力開発機構 (OECD) から Economic Outlook Interim Assessment が発表され、日本は推計に含まれていませんが、世界経済の順調な景気拡大のシナリオが示されたと私は受け止めています。まず、OECDのリポートから主要先進国の成長率見通しを取りまとめると以下の通りです。実質GDPの前期比年率成長率をパーセント表示しています。

 10Q310Q411Q111Q2
United States2.63.13.1 (+/-1.6)3.4 (+/-1.6)
Germany2.81.53.7 (+/-1.9)2.3 (+/-1.9)
France1.01.43.4 (+/-1.0)2.8 (+/-1.2)
Italy1.30.51.1 (+/-1.4)1.3 (+/-1.6)
UK2.9-1.93.0 (+/-1.2)1.0 (+/-1.3)
Canada1.83.35.2 (+/-1.0)3.8 (+/-1.9)
G7 excl Japan2.32.13.2 (+/-1.4)2.9 (+/-1.6)
Euro 31.91.23.0 (+/-1.5)2.2 (+/-1.6)

世界経済は順調に回復・拡大すると見込まれている一方で、日本経済に対する3月11日の東日本大震災の経済的影響についてはOECDのプレゼン資料のp.17から引用すると以下の通りです。

  • A tragic loss of human life, on a scale even worse than at the time of the Kobe (Great Hanshin) earthquake in January 1995.
  • Destruction of dwellings, infrastructure and private firm fixed capital: 3.3 to 5.2% of annual GDP according to the government's first estimate.
  • Supply-chain disruptions and lasting power shortages.
  • A lesson from Kobe (where physical damage was 2% of GDP): by the final quarter of 1995, real GDP in Hyogo prefecture was 7% above its pre-earthquake level.
  • The impact on GDP growth may range from -0.2 to -0.6 percentage points (quarter-on-quarter) in Q1 2011 and from -0.5 to -1.4 points in Q2 2011 but may turn positive in the second half of the year, as reconstruction gathers pace.
  • The fiscal costs are likely to be larger than for Kobe (when they amounted to 1% of one year's GDP, spread over 6 years).

上から3点が被害の度合いで、人的被害は1995年の阪神淡路大震災より深刻で、インフラと資本ストックのダメージはGDP比で3.3%から5.2%に上るとの我が国政府の試算を紹介し、サプライ・チェーンの崩壊と電力不足により、下の2点の結論が導かれています。すなわち、2011年1-3月期には成長率を▲0.2-0.6%ポイント、また、4-6月期には▲0.5-1.4%ポイント、それぞれ下押しされます。また、財政コストは6年に渡って毎年GDP比1%に上った神戸のケースを上回ると結論しています。妥当な試算であろうと私は受け止めていますが、福島第一原発の事故がどのくらいで終息するのかの見通し次第という気もします。最大の不透明要因です。さらに、今回のOECD経済見通し中間評価では、期間は今年2011年半ばまでをターゲットにしていますので、年後半に本格化する可能性の高い復興需要については out of scope となっているようです。

GDP growth and inflation, developing Asia

また、今日、アジア開発銀行 (ADB) から Asian Development Outlook 2011: South-South Economic が発表されました。上のグラフは pdf の全文リポートp.19から Table 1.2.1 GDP growth and inflation, developing Asia を引用しています。画像をクリックすると、別タブか別窓でリポートにあるGDP成長率、1人当たりGDP成長率、インフレ率の3ページを抽出したpdfファイルにリンクを張ってあります。2008-09年の Great Recession 以降の特徴のひとつで、先進国の低成長と新興国・途上国の高成長という convergence の一形態と見られなくもない世界経済の動きが観察されますが、この ABD 見通しでも "Twin-track global growth" と表現されており、アジア新興国・途上国は日本を尻目に高成長が見込まれています。他方、日本の震災被害の経済的なインパクトについては、リポートのp.11に "Economic effects of the Tohoku disaster on Japan" と題するコラムが置かれており、OECDの見通しにあるような短期的なインパクトに加えて、"Private consumption and production are now falling but capital-stock rebuilding, largely financed by the government, will exert a positive effect in the longer run." との見通しを明らかにしています。ただし、 "assuming that the nuclear crisis at Fukushima is brought under control" が前提となっています。また、アジア新興国・途上国に主眼を置いている経済見通しですので、かなりの私腹をインフレに割いていますが、かなりの紙幅をインフレに割いていますが、日本経済に直接の関係は小さく今夜のところは省略します。

景気動向指数の推移

最後に、今日の午後、内閣府から2月の景気動向指数が発表されました。上のグラフの通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数、下はDI一致指数です。影をつけた部分は景気後退期です。やっぱり、順調に踊り場を脱し本格的な景気回復軌道に復帰する2月までの動きが確認されます。まったくの過去の数字です。

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2011年4月 5日 (火)

再集計された日銀短観をチェックし、震災が経済に及ぼすインパクトを考える

昨日、日銀から震災後の回答分を含めた短観の再集計が「東北地方太平洋沖地震の発生前後における業況判断」として発表されています。どこまで実態を表しているかは不明ですが、企業が先行き不透明感を強めている雰囲気は伝わります。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

震災後の景況感、先行き悪化 日銀短観 異例の再集計
大企業製造業はマイナス2

日銀は4日、1日公表した3月の企業短期経済観測調査(短観)について、震災前と震災後の回答を分けて再集計した結果を公表した。震災後の大企業製造業の業況判断指数(DI)は現状がプラス6、3カ月後の先行きがマイナス2で、企業が将来への不安を強めている。震災後に日銀に届いた回答でも、企業が震災前に作成していたものが含まれるとみられ、日銀は「実際の景況感はさらに悪化している可能性がある」とみている。
1日公表分では現状がプラス6、先行きがプラス2だった。3月短観の回答は東日本大震災が発生した3月11日までの回収分が72%、12日以降が23.6%。震災後の状況を十分に反映していなかったため、日銀は異例の措置として再集計を実施した。
震災前の大企業製造業のDIは現状がプラス7、先行きがプラス3。震災後と比べると現状と先行きの差が小さく、不安心理があまり広がっていなかったことが分かる。
震災後のDIは大企業非製造業ではプラス7、中小企業製造業ではマイナス6で、それぞれ1日公表分を上回った。震災後の回答数が少ないため、「震災前と震災後のDIの水準を比較するのは適切でない場合がある」(日銀)という。

次に、大企業製造業と非製造業の業況判断DIについて、震災前回答と震災後回答に分けた表を読売新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

震災前後の業況判断DI

大企業非製造業では最近の業況判断DIはグンと震災後の方が上がっていたりしますが、先行き判断は大きく悪化しているのも事実です。しかし、引用した記事にもある通り、そもそも、震災後に届いた回答が震災前に記入されていた可能性があり、さらに、震災により回答すら出来なかった企業がある可能性も排除できず、何をどこまで読み取るべきなのかは議論の分かれるところです。
企業マインドに関する短観から少し離れて、3月11日の東北大震災の経済に及ぼす影響、さらに、そのルートについて考えたいと思います。第1に供給サイドのボトルネック、第2に需要サイドのマインド悪化、第3に円高、第4に計画停電、がそれぞれ上げられます。第4の計画停電の影響は第1のボトルネックに含めてもいいかもしれませんが、今回の震災のひとつの特徴と考えられますのでシングルアウトしておきます。また、第5に福島第一原発事故があるんですが、何とも私には分かりかねます。第1の供給サイドでは、ハードな資本ストックの滅失や損壊だけでなく、ソフトなサプライ・チェーンの断絶なども含めて、何らかのボトルネックが生じる可能性があります。短期的には、潜在産出水準は大きく下方にシフトしたと考えるべきです。第2に需要サイドでは、将来不安に加えて、今回の震災では放射能汚染に関する風評被害もあり、特定の品目に集中して需要が大きく減少する可能性があります。もっとも、逆に、需要が増加した品目もありますし、供給サイドの潜在産出水準の低下よりは相対的に需要サイドへの影響は小さい可能性があり、需給ギャップは縮小するものと私は見込んでいます。加えて、今年後半からは復興需要が本格化する可能性もあります。第3の円高は、すでに3月15日付けの「どうして地震が起こると円高が進むのか?」と題するエントリーで取り上げましたが、その後のG7協調介入で円高に一定の歯止めがかかっているのは喜ばしい限りです。第4の計画停電は、その名に反してかなり「無計画」に実施されており、シングルアウトするにふさわしく、供給サイドからの経済へのダウンサイド・リスクとなっています。4月に入って気候がよくなり計画停電が実行されない日が続いていますが、夏場の電力需要期に向けて生産のみならず、国民生活への影響が懸念されています。第5の福島原発のインパクトについては、繰返しになりますが、私には分かりかねます。
これらを基に、今年いっぱいくらいの景気のシナリオを考えると、年前半はマイナス成長が続く可能性があり、その後、復興需要とともに年後半は成長率が上振れる可能性が大いにあります。2010年10-12月期もマイナス成長だったので、1-3月期と4-6月期を合わせて四半期連続のマイナス成長の可能性がありますが、リセッションと考えるエコノミストは少ないでしょう。逆に、7-9月期から来年年初の1-3月期にかけては復興需要から高い成長率を記録する可能性が十分あります。微妙なタイミングかもしれませんが、何らかの偶然が重なるにせよ、瞬間風速で前期比年率10%近くに達しても私は驚きません。このような四半期パターンをつけるとすれば、今年平均の成長率は震災なき場合に比較してやや下振れる可能性は大きいものの、決して、カギカッコ付きの「壊滅的な」経済の悪化にはつながらないと私は見込んでいます。年平均でプラス成長を確保し、+1%程度になるものと受け止めています。ただし、金融財政環境が不変という条件、すなわち、円高がこれ以上に進まず、財政が破綻しないという極めてセンシティブな条件の下での見通しです。

World trade is pushing economic recovery

最後に、今日の日本時刻夕刻、経済協力開発機構から OECD Interim Economic Assessment が発表されました。上のグラフは世界経済の回復を後押しする貿易の拡大を示しています。タイトルは "World trade is pushing economic recovery." となっており、OECDのサイトから引用しています。なお、夕刻に発表されたばかりでザッとしか目を通していませんし、日本は地震の影響のため経済見通しから除外されていますので、詳細は明日にでも取り上げたいと思います。

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2011年4月 4日 (月)

造幣局の工場見学に行く

今日は、私が仕事を休んで春休みの家族サービスで、午後から東池袋にある造幣局の工場見学に行きました。実は、我が家はジャカルタに住んでいたころ、オーストラリアの西海岸に旅行して、パースの造幣局を見学したことがあるんですが、子供達は2人ともすっかり忘れていたりします。通りいっぺんで、特に面白くもなかったんですが、一応、記念写真は撮っておきました。私が右手に持っているお土産はコインせんべいでした。

造幣局の工場見学

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2011年4月 3日 (日)

NHK交響楽団の「ホルスト: 惑星」を聞きながら靖国神社のサクラを見に行く

靖国神社のサクラ

宴会禁止

今日は、朝から靖国神社のサクラを見に行きました。広く知られている通り、東京の開花宣言の基準となる標本木のソメイヨシノは靖国神社にあります。朝日新聞の記事によれば、先週月曜日の3月28日午前に東京管区気象台が靖国神社のサクラに開花を確認したそうです。そろそろ満開が近づいているような気がします。靖国神社でも「宴会は遠慮」の看板が出ていましたが、今年は、地震の後、飲んで騒いでのお花見は自粛ムードがあります。私は決して飲んで騒ぎたいわけではなく、季節感も大切だと思います。ですから、今日は花見の代りです。それにしても、昨日は汗ばむくらいの陽気だったんですが、今日は陽射しがない上に風も冷たくてとっても寒かったです。

NHK交響楽団「ホルスト: 惑星」

どうでもいいことですが、途中の道のりでNHK交響楽団の「ホルスト: 惑星」を聞きながら靖国神社に向かいました。指揮は佐渡裕さんで、2005年東京オペラシティでの録音です。とってもよかったので、ご紹介しておきます。もともと有名な曲ですが、特に、組曲のうちの「木星」は平原綾香さんの歌により日本ではさらに有名になったんではないでしょうか。

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2011年4月 2日 (土)

米国雇用統計のグラフィックス

昨日、米国の労働省から米国雇用統計が発表されました。ヘッドラインとなる非農業部門雇用者の前月からの増加は+216千人、失業率は前月から0.1%ポイント低下して8.8%となりました。いずれも季節調整済みの系列です。今日は、イーストコーストの Wall Street JournalNew York Times ではなく、少し毛色を変えて西海岸に目を転じて、Los Angels Times のサイトから記事を長々と引用すると以下の通りです。

March unemployment rate dips to 8.8% as the economy added 216,000 jobs
The U.S. economy created 216,000 jobs in March, the government reported Friday, continuing the recent rebound in hiring that has helped strengthen the recovery.
The unemployment rate dropped a tenth of a point to 8.8%, the lowest since March 2009. The unemployment rate has now dropped a full percentage point since November.
"Almost two years after the recession officially ended, the labor market appears to finally be picking up," said Kathy Bostjancic, director for macroeconomic analysis at the Conference Board, a business and economic nonprofit.
The boost in jobs last month followed the addition of 194,000 jobs in February, the Labor Department reported. The economy now has added 1.5 million jobs since its recent low in February 2010.
Chris Rupkey, chief financial economist for the Bank of Tokyo-Mitsubishi in New York said the "powerful forward momentum" in the jobs market was important as the economy faces a headwind from rising gasoline prices.
Job growth in March exceeded economists' estimates of about 200,000. Growth in business and professional services led the way, with 78,000 new jobs. Healthcare, manufacturing, mining and the leisure and hospitality industries also saw significant growth.
Overall, the private sector added 230,000 jobs. But local governments continued to struggle, shedding 14,000 jobs in March. Still, that was a major improvement over the 46,000 government jobs lost in February.
Friday's unemployment report comes on the heels of some recent good news about the economy, although the unrest in the Middle East looms as a potential brake on the recovery.
New claims for unemployment benefits fell last week for the sixth time in seven weeks, dropping to 388,000. There were still 3.7 million people receiving unemployment compensation, but that was the lowest figure since October 2008, down from a peak of 6.6 million in mid-2009.
The Commerce Department last week said the economy grew at an annual rate of 3.1% in the fourth quarter of 2010, up from an earlier estimate of 2.8%.
The unemployment rate has been moving down steadily since November, when it was at 9.8%. The drop of one percentage point during the next four months was the biggest such decrease since 1983.
But turmoil in the Middle East has caused fuel prices to skyrocket, fueling fears that inflation will make economic conditions more difficult for average Americans and businesses. Prices increased in February for the third straight month, with energy costs the main driver. Overall, consumer prices increased 2.1% in the 12 months that ended in February, the most recent data available.
For the record, 2:35 pm April 1: A previous version of this post said that local governments shed 16,000 jobs in March. The correct figure is 14,000 jobs.

いつものグラフは以下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減とそのうちの民間部門雇用者、下は失業率です。いずれも季節調整済みの系列で、影をつけた部分は景気後退期です。

米国雇用統計の推移

New York Times のブログサイトである Economix のサイトのグラフをマネして書いた jobless recovery のグラフは以下の通りです。景気後退が始まる直前のピークに当たる月の非農業部門雇用者からの増減率を月単位で最大48か月取っています。

jobless recovery

最後に、記事を引用したのと同じ Los Angels Times のサイトにある州別の失業率のフラッシュに直リンしています。このブログのひとつの特徴です。

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2011年4月 1日 (金)

本日発表された3月調査の日銀短観に関する取りあえずの感想など

本日、3月調査の日銀短観が発表されました。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは12月調査の+5から+6とわずかながら改善しました。もっとも、昨夜のエントリーで書いたように、日銀が提示した回収基準日が3月11日でしたので、震災前回収が7割を超えており、震災の影響はほとんど含まれていません。このため、日銀では震災の影響が出ているものとみられる企業からの調査結果を別途集計して4日に「東北地方太平洋沖地震の発生前後における業況判断DI」として公表するとアナウンスしています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

景況感先行き悪化 3月短観、震災後回答は4日発表
日銀が1日発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)によると、大企業製造業の業況判断指数(DI)はプラス6で、前回調査(12月)のプラス5から2期ぶりに改善した。3カ月後の先行きDIはプラス2で、足元より悪化する見通し。東日本大震災が発生した3月11日以前に回答した企業が約7割で、調査には震災の影響が十分反映されていない。日銀は震災前と震災後の回答を分けて集計した結果を4日に改めて公表する。
回答率は3月11日までが72%で、11日以降が23.6%。全体では95.6%となり、前回調査の98.9%から低下した。震災の影響で東北地方を中心に回答できない企業が相次ぎ、回答率は比較可能な04年3月調査以降で最低となった。
業況判断DIは景況感を「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた値。震災前までは、新興国を中心とする海外経済の成長にけん引され、日本経済が緩やかな回復傾向にあったことが、足元のDIの改善につながったとみられる。先行きの悪化には、震災後に回答した企業の慎重な姿勢が反映された。
製造業の販売価格判断DI(上昇マイナス下落)はマイナス12で前回調査より5ポイント上昇、仕入れ価格判断DI(同)はプラス27で同16ポイント上昇した。原油を中心とした商品価格の上昇の影響が企業に広がっている。
企業の事業計画の前提となる2011年度の想定為替レートは、大企業製造業で1ドル=84円20銭。10年度の86円01銭よりもやや円高の水準に設定しているが、足元では想定レート以上に円相場が上昇している。

完全に過去の数字なんですが、一応、業況判断DIのグラフは以下の通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業です。ここ数日のエントリーに立て続けに書いたように、震災前までは順調に踊り場を脱却して、年央くらいに本格的な景気回復軌道に復帰する、との基本シナリオに乗っていた動きが確認されたと思います。

日銀短観業況判断DIの推移
設備と雇用の要素需要に関するグラフは以下の通りです。一番上のパネルが土地を含みソフトウェアを含まない設備投資計画、真ん中のパネルが製造業の設備判断DI、下が雇用判断DIです。設備や雇用の過剰感も極めて緩やかながら改善の方向にあったことが確認されます。

日銀短観設備投資計画と設備・雇用判断DIの推移

これまた、何度も書きましたが、記録にとどめる意味もあって、経済的にはそれほど意味あるとは思えない統計調査ながら、今夜のエントリーに取り上げておきます。非常に不親切で不完全なエントリーですが、ご容赦ください。なお、米国雇用統計は明日にでも取り上げる予定です。

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