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2011年5月 2日 (月)

毎月勤労統計調査に見る3月の労働市場ほか

連休の谷間ながら、今日は月の第1営業日であり、厚生労働省から3月の毎月勤労統計調査結果が発表されました。私がいつも注目している所定外労働時間と給与は震災の影響もあり弱い動きとなりました。また、震災3県の提出調査票による特別集計「被災3県における労働者の増減状況別事業所割合」が公表されています。メディアによっては大きく取り上げているようですが、特に見るべきものはなかったように私は受け止めています。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1人当たり現金給与、13カ月ぶり減 3月勤労統計
厚生労働省が2日発表した3月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、1人当たり現金給与総額は27万4886円と前年同月比0.4%減った。マイナスは13カ月ぶり。残業代の増加を背景に改善が続いていたが、東日本大震災による供給網(サプライチェーン)の混乱などを受けて労働時間が短くなった。
給与の減少は卸売り・小売業や飲食・サービス業などで目立った。消費の自粛ムードもあり、給与水準の悪化が続く可能性もある。
製造業の所定外労働時間(季節調整値)は前月比6.8%減と5カ月ぶりにマイナスに転じた。落ち込み幅はリーマン・ショック後の景気後退期である2009年2月(13.7%減)に次ぐ大きさだった。計画停電や運送網の復旧の遅れが響いた。前年同月比で見ても0.8%の減少だった。
被災した岩手・宮城・福島の3県の企業に対する特別調査では、30%が「労働者を減らした」と回答した。調査に回答しなかった企業も37%に上る。一部は営業に深刻な打撃を受けたため回答できなかったとみられる。厚労省は「回答しなかった企業を含めると、最大で67%の企業が解雇に踏み切った可能性がある」と指摘した。

まず、景気に敏感な所定外労働時間指数と所得として消費の原資となる現金給与総額のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整した所定外労働時間指数そのものを、下は季節調整していない原系列の現金給与総額の前年同月比増減率を、それぞれプロットしています。いずれも5人以上事業所の統計で、影をつけた部分は景気後退期です。

毎月勤労調査結果の推移

見れば明らかですが、引用した記事にもある通り、所定外労働時間はリーマン・ショック後の景気後退期に次ぐ大きなマイナスを記録し、この残業時間の減少を主たる要因として現金給与も13か月振りに減少に転じました。先週は家計調査に見る消費が史上最大の落ち込みだったんですが、所得もさえなかったことが裏付けられました。震災の経済的な影響はスタグフレーション圧力であり、労働市場にはデフレ圧力となって作用しています。

被災3県における労働者の増減状況別事業所割合

そして、上のグラフは3月調査の調査票を被災3県において特別集計し、労働者の増減状況別に見た事業所の割合を円グラフにプロットしたものです。毎月勤労統計調査の「報道発表用資料」の「資料2」にあるデータを基にしています。注釈に「未提出事業所は被災した事業所であり、労働者数が減少している可能性が高く、未提出事業所がすべて雇用を減少させていると仮定すれば、最大で67%の事業所で減少の可能性がある」といった旨の記述が見られますが、増加と減少の差を取った、いわゆるDIはわずかに▲2であり、無理やりに導き出した結果ではなかろうかという気がしないでもありません。この注釈の結論は極めて怪しいと私は受け止めています。
先月4月17日付けのエントリーで、関係の薄い官庁まで復興貢献に走っていると書き、また、4月25日付けのエントリーで企業向けサービス物価の下落幅拡大、すなわち政策の失敗をかなり無理やりに震災の影響に結び付ける論調を批判しましたが、毎勤のこの特別集計も少し強引な論理の展開になっています。民間企業もそうなのかもしれませんが、ホンの少しだけ「我田引水」と「唯我独尊」の気味がありがちな役所らしい表現と言えばそれまでですが、メディアは役所の発表をそのままキャリーすることも少なくないので、受け取る側で十分な注意が必要です。

国内新車販売台数の推移

最後に、自販連から発表されている国内新車販売台数の推移は上のグラフの通りです。軽自動車を除く計数で、季節調整していない原系列の前年同月比増減率を自販連のサイトから取ってプロットしています。影をつけた部分は景気後退期です。労働市場と違って財市場は震災により供給制約を強く受けており、生産が販売に追いつかない状態です。

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