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2011年5月31日 (火)

震災の影響が薄れつつある4月の経済指標はこの先どう動くか?

今日は、月末美の閣議日ということで、各種の経済指標が発表されました。昨夜には第9回社会保障改革に関する集中検討会議が総理大臣官邸で開催され、消費税率引上げの議論がなされたりしていますが、取りあえず、今日のところは経済指標を取り上げ、社会保障改革などについては日を改めたいと思います。
ということで、すべて4月の統計ですが、経済産業省から鉱工業生産指数が、総務省統計局から失業率などの労働力調査、厚生労働省から有効求人倍率などの職業安定業務統計、これらを合わせて雇用統計が、また、同じく厚生労働省から毎月勤労統計と総務省統計局から家計調査が、それぞれ発表されています。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産4月1.0%上昇 消費支出は3.0%減
東日本大震災後の生産・消費の停滞が続いている。経済産業省が31日発表した4月の鉱工業生産指数は前月比1.0%上昇。過去最大のマイナス幅を記録した3月からはわずかに持ち直したが、部品不足が深刻な自動車や電子部品の生産減少が続いた。家計の消費支出も前年同月比で3.0%減と自粛ムードが根強く残っている。生産は5月以降に本格回復に向かう見通しで、消費者心理の改善が景気先行きのカギを握る。
経産省が発表した4月の鉱工業生産指数(2005年=100、季節調整値)は83.5で、震災の影響で過去最大のマイナス幅となった3月(前月比15.5%低下の82.7)から小幅に上昇した。経産省は基調判断を3月の「急激に低下」から「停滞している」に変更した。4月の生産指数は事前の市場予測の中心値(2.8%上昇)を下回った。
業種別では、3月は全業種がマイナスだったが、4月は上昇と低下が8業種ずつになった。3分の2の工場が被災地にある半導体製造装置が4割回復し、一般機械工業が12.8%上昇した。電気機械工業も2カ月ぶりにプラスに転じ、4.6%の上昇となった。
復興需要を先取りする動きも出ている。「その他工業」が6%上昇。システムキッチンの3割増産が押し上げた。非鉄金属工業でも電力用電線・ケーブルが19.3%増産だった。
一方で、主力業種の生産回復は遅れた。情報通信機械工業は17.2%低下した。部品供給網の寸断が響き、携帯電話が4割、液晶テレビが3割、それぞれ減産したためだ。普通乗用車や小型自動車の生産も回復せず、輸送機械工業は1.5%低下した。
生産は5月以降に持ち直す見通しだ。同日発表した製造工業生産予測調査では5月は8.0%上昇、6月は7.7%上昇する。部品供給の回復を見込む輸送機械工業が上昇をけん引する。予測通りなら6月の鉱工業生産指数は97.1となり、震災直前の2月(97.9)の水準に近づく。ただ、4-6月の鉱工業生産指数は前期比2.2%低下する見込みだ。
今回調査票が提出できなかったり連絡が取れなかったりしたのは、東日本大震災の被災地にある事業所の約3%だった。推計値を作成するなどして指数を計算した。
総務省が31日発表した4月の家計調査速報によると、2人以上の世帯の消費支出は29万2559円で、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比3.0%減少した。減少は7カ月連続。過去最大の減少となった3月(8.5%)に比べ下落幅は縮小したが、総務省は「消費は底をはっている状態」としている。
国内パック旅行費や宿泊料を含む教養娯楽サービスは、自粛ムードの影響で2.6%減少。和食や飲酒代など外食は3.6%減った。一方、被服及び履物は春物衣料が順調で5.0%増えた。不要不急の消費を抑える実態が鮮明だ。
4月の失業率、6カ月ぶり悪化 新規求人数はプラスに
総務省が31日発表した4月の完全失業率(季節調整値、被災3県除く)は4.7%となり、前月に比べて0.1ポイント上昇し、6カ月ぶりに悪化した。勤め先の都合で失業した人が増えた。厚生労働省が同日発表した有効求人倍率は0.61倍で、前月に比べて0.02ポイント低下と17カ月ぶりに悪化した。東日本大震災の被災地の宮城県や福島県では新規求職者数が急増し、過去最高の人数となった。
細川律夫厚労相は同日の閣議後記者会見で「雇用情勢は相変わらず厳しい」との認識を示した。ハローワークで仕事を探し始めた新規求職者数は宮城県で2.4倍の2万3755人、福島県で1.8倍の1万5636人と膨らんだ。いずれも1963年以降で最大だ。
被災3県を除く全国ベースでみると、完全失業者は292万人と前月に比べ2万人増えた。自発的な離職者は減ったが、勤め先の都合で離職した人が4万人増えた。就業者は5969万人となり、前月比14万人減と2カ月連続で前の月を下回った。
ハローワークに新たに寄せられた求人動向を示す新規求人数は前月比5.8%増と前月のマイナスからプラスに転じた。被災地の復興需要などで建設業を中心に新たな雇用が生まれている。同指標は雇用の先行指数との位置づけで、今後は底入れ感が出そうだ。

まず、鉱工業生産のグラフは以下の通りです。上のパネルが鉱工業生産指数、真ん中のパネルは財別出荷指数のうち輸送機械を除く資本財の出荷、一番下のパネルは同じく耐久消費財の出荷です。いずれも季節調整済みの指数の水準そのもので、影をつけた部分は景気後退期です。

鉱工業生産指数の推移

一見して、鉱工業生産の震災からのリバウンドは、4月の時点では、わずかしか見られないんですが、資本財の出荷はかなり大きくリバウンドしています。生産全体でも本格的な増産は5月からと見込まれており、引用した記事にある通り、復興需要を先取りした動きもありますから、生産は間もなく回復過程に復帰するものと期待できます。我が国ではまだまだ生産が景気をけん引します。特に、資本財と耐久消費財の出荷を見比べると、4月までの時点では明らかに資本財に対する設備投資マインドが耐久消費財に対する消費マインドを上回っていることが示唆されていると私は受け止めています。

雇用統計の推移

次に、雇用統計の指標のグラフは以下の通りです。上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数、所定外労働時間指数のそれぞれのグラフでです。いずれも季節調整済みの指数の水準そのもので、影をつけた部分は景気後退期です。ただし、失業率だけは岩手県・宮城県・福島県の被災3県を除外しています。先行指標である新規求人を別にすれば、それぞれの指標は悪化の兆しを示していると考えられますが、先行指標の新規求人は増加の兆しがあり、さらに、5-6月から生産の本格的回復に伴って雇用も改善する可能性を忘れるべきではありません。

家計調査と給与総額の推移

最後に、所得と消費支出は上のグラフの通りです。上のパネルは家計調査から名目と実質の季節調整済みの消費支出指数で、下のパネルは毎月勤労統計から季節調整していない原系列の給与総額指数の前年同月比上昇率です。見れば明らかですが、お給料が下がって消費が減少している形になっています。もちろん、震災に伴う自粛ムードに姿を変えた消費マインドの悪化が背景にあります。もともと、消費は動きが鈍い需要項目ですが、生産が増加し、雇用が改善し、所得が回復して、最後に消費が伸びる、というプロセスをたどる可能性が高く、マインドの改善もすぐに進まないでしょうし、本格的な消費の回復には時間がかかると覚悟すべきです。

特に、最後の消費は社会保障改革で議論されている消費税率と無関係ではあり得ません。繰返しになりますが、日を改めて注目したいと考えています。

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