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2011年5月26日 (木)

震災を織り込んだ OECD と国内シンクタンクなどの経済見通しやいかに?

国際協力開発機構 (OECD) の創設50周年ということで、昨日、幸福度指標を取り上げましたが、私にとってはより注目度の高い「経済見通し」 OECD Economic Outlook, No.89 が発表されています。後ほど、国内のシンクタンクなどの経済見通しも取り上げますが、まず、国際機関ということで、OECDのプレス資料 p.3 からヘッドラインとなる加盟各国の成長率見通しの表を引用すると以下の通りです。

OECD Economic Outlook No.89, Country projections

広く報じられている通り、震災の影響を織り込んで、日本の成長率は今年2011年が▲0.9%、来年2012年は+2.2%と見込まれています。もっとも、これはカレンダー通りの歴年の成長率であり、すなわち、後に見る国内のシンクタンクなどの見通しとは1-3月期の扱いが異なります。例えば、今年の1-3月期はマイナス成長を記録した一方で、来年1-3月期は復興需要などで高成長になると予想されています。ですから、プレス資料 p.2 の四半期別成長率を用いて4月から翌年3月の年度に引き直して試算してみましたが、プラス成長にこそならないものの、マイナス幅は大きく縮小し、2011年度はほぼゼロ近傍の成長率に近づくことが確かめられます。

OECD Economic Outlook No.89, Japan: Demand and output

ということで、日本経済のより詳しい見通しは上の表の通りです。国別経済見通しのサイトから引用しています。需要項目別に見ると、なぜか、公共投資が減り続ける見通しなんですが、今年については消費がマイナスとなり、来年は消費がプラスに戻るとともに設備や住宅も大きく伸びるように見込まれています。輸出の回復が来年にズレ込むことから、純輸出は今年も来年もマイナスの寄与を示し、決して輸出主導ではなく内需主導の成長になっています。

国際機関のOECDから国内のシンクタンクなどに目を転じると、ちょうど1週間前の5月19日に1-3月期GDP速報、いわゆる1次QEが発表され、3月11日の東日本大震災とそれ以降の経済的な影響を織り込んだGDP統計が明らかになったことから、国内でも震災の影響を織り込んだ経済見通しの改定版がいろいろと発表されています。政府でも与謝野大臣が今年度の成長率で従来見通しから1%ポイントほど下げて0.7%くらい、といった相場観を醸成しようとしているように見受けられます。ということで、今夜のエントリーのもう一つの主眼として、今年度から来年度にかけての経済見通し、私が見通すわけではありませんが、シンクタンクや金融機関などの発表したものを取りまとめると以下の表の通りとなります。なお、いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめています。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートがダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別画面が開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名20112012ヘッドライン
日本総研▲0.1+3.22011年度全体の成長率は▲0.1%と、マイナス成長に転じると予想。公共投資と政府消費はGDP押し上げに寄与するものの、個人消費と輸出が全体を押し下げ。2012年度の実質成長率は、鉱工業生産の回復と復興需要の押し上げにより、+3.2%にまで高まると予想。
ニッセイ基礎研+0.1+2.7景気回復が本格化するのは、電力不足の問題が一段落し、官民による復興需要が顕在化する2011年度下期となるだろう。
大和総研▲0.3+3.4日本経済は、当面下振れ圧力の強い状態が続くものの、2011年度下期以降は、復興需要に支えられて回復軌道を辿る見通しである。
みずほ総研+0.6+2.62012年度は復興関連の公的需要の伸びは鈍化する一方、個人消費など民間需要の伸びが高まる形で、年率+1-+2%程度のペースで景気回復が続く見通し。ただし、復興財源を捻出するために2012年度から所得税や消費税の増税が行われれば、個人消費が下振れ
三菱総研+0.3+2.4先行きについては、夏場にかけて電力不足が一定の抑制要因となるものの、①棄損した資本ストックの復旧に伴う需要増や、②企業によるサプライチェーンの普及努力から、生産、最終需要ともに徐々に回復に向かうとみられる。
第一生命経済研▲0.1+3.0今回の大地震により、①被災地の経済活動抑制、②サプライチェーンの寸断による生産停滞、③電力不足による経済活動の抑制、④家計・企業のマインド落ち込み、などが生じており、経済活動は当面悪化が避けられない。特に②-④の影響が大きい。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.3+2.9足元の月次の動きをみれば、景気はすでに最悪期を脱したと考えられる。震災からの復旧作業が急ピッチで進められ、寸断されたサプライチェーンが元に戻りつつある。懸念された電力不足も当初ほどの深刻な状態に陥らずに済みそうだ。復興需要と好調な外需に支えられ、景気は供給力の回復に合わせて持ち直し傾向を強めていくであろう。
みずほ証券リサーチ&コンサルティング+0.2+2.8日本経済は短期間に大幅な悪化に見舞われたものの、持続的に悪化していく事態は回避され、復旧が進むにつれて景気は持ち直しに転じていく可能性が高い。
伊藤忠商事+0.6+2.5足元2011年1-3月期の成長率が予想以上のマイナス成長となったことが下方修正要因となる一方で、設備投資の早い立ち上がりや電力需給懸念の後退、サプライチェーン途絶の早期解消により、その後の成長テンポがこれまでの想定よりも速まる点が上方修正要因となる。
農林中金総研0.0+2.6復旧は徐々に進捗しているものの、官民による本格的な復興需要は年末近くまで後ズレする可能性があり、当面、景気は停滞気味に推移するリスクが高いといえるだろう。
帝国データバンク+0.5+2.62012年度は、財政支出にともなう公的需要の拡大のほか、外需の拡大や震災復興の本格化などで、復興需要が経済全体の成長率を押し上げる要因になると見込まれる。

どこかのメディア風にタイトルをつけるとすれば、明らかに「今低来高」ということになります。要するに、今年度は低成長で終わる一方で、来年度は高成長が見込める、ということになります。どうしてこうなったかは震災の影響に尽きます。ただし、私は直観的に今年度はプラス成長を維持すると見込んでいますが、この点は微妙です。私が集めた上の表では極めてクリアなんですが、ひとつの特徴は読み取るべきで、今年度がマイナス成長と見通している場合、来年度は+3%超の高成長、今年度がプラス成長の場合、来年度は2%台の成長、とハッキリと分かれると受け止めるべきです。もちろん、例外もないわけではなく、私の手元にメールでいただくニューズレターを見る範囲で、BNPパリバ証券とドイツ証券の外資系証券会社2社は今年度マイナス成長の上、来年度もプラス成長ながら+3%には達しないと見込んでいるようです。こういった例外もありますが、極めて大雑把に、逆の見方をすれば、今年度と来年度を均して考えれば、各機関とも大きな違いはない、ともいえます。

震災前後のGDP成長率見通し

ですから、典型的な四半期パターンは、今年度マイナス来年度+3%超と見通している例ですが、上のグラフの通りとなります。第一生命経済研究所のリポートの p.3 から引用しています。見れば明らかですが、第1に、発射台の今年2011年1-3月期が大きく下振れして、マイナスのゲタを持った上で、第2に、今年度前半は震災前見通しよりも下振れし、第3に、今年度下半期から来年度にかけては上振れする、という形になります。より具体的には、第4に、今年度2011年4-6月期がもっとも大きくかつ最後のマイナス成長であり、第5に、今年7-9月期からはプラス成長に復帰し、最後に第6に、今年度下半期から徐々に景気回復軌道へ復帰に向かう、という以上6点の震災に伴う経済見通しの改定の方向と今後の景気の動向の予測に関しては、私も含めて、多くのエコノミスト、さらに、ほとんどすべての見通し機関で共通だと考えて差し支えありません。
そして、この先2年ほどの間のリスク、アップサイドにもダウンサイドにもなり得るリスクとして、経済に影響の大きい順に以下の7点が考えられます。第1に、エコノミストの考慮対象外ですが、福島第一原発のクール・シャットダウンが工程表通りかどうかです。第2に、電力供給の見通しです。第3に、サプライ・チェーンなどの生産ネットワークの復旧に伴う供給能力の回復です。第4に、為替相場の動向です。第5に、原油などの国際商品市況の動向です。第6に、国内の政治情勢です。第7に、最後もエコノミストには分からない点で余震がどの程度続くかです。国内政治情勢は、メディアで注目しているほどには経済への影響は小さいと私は受け止めていますが、もちろん、需要ショックではないんですから供給ショックの際には公債発行に伴うクラウディング・アウト防止がより重要というエコノミストの常識がどこまで理解されているかは不明ですし、復興財源の制度設計などの行方次第では日本経済が不要のストレスを負担させられる可能性も否定できません。

震災の影響も含めて、今年度と来年度の経済見通しは、多くのエコノミストでかなり緩やかなコンセンサスがあるように私は感じていますが、内外で発信された経済見通しの情報を整理していて、2次補正も決まらないうちからコンマ以下の成長率を、しかも、四半期パターンとともに論じられるのは、さすがに、広い世界には優秀なエコノミストが多いということを実感しました。

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