ヨーロッパ出身のピアノ・トリオを聞く
私は中学生や高校生の昔からジャズを聞き続けてすでに40年近くになりますが、このところ、年齢的なものもあってピアノ・トリオの演奏を聞くことが多くなっています。今年2011年3月21日付けの「家にこもって2000年以降くらいのジャズ・ピアノを聞く」でも何枚か紹介しましたし、その後の4月29日付けでも「ヨーロピアン・ジャズ・トリオの「ジャパネスク - 日本の詩情」を聞き、日本を代表する曲について考える」といったエントリーをアップしています。ということで、今夜は、最近聞いたヨーロッパのピアノ・トリオの演奏をいくつか取り上げたいと思います。もちろん、私ハジャズ評論家ではありませんし、ありとあらゆるヨーロッパノピアノ・トリオを聞きまくっていて、その中からのオススメというつもりはありませんので、私が聞いた範囲での一例ということです。なお、アルバム・ジャケットの画像はそれぞれのアマゾンのサイトから引用しています。
まず、どうしようもなく、名前でヨーロッパを代表するピアノ・トリオと考えられるヨーロピアン・ジャズ・トリオの「ベスト・オブ・ショパン」です。オランダ出身ではなかったかと記憶していて、このアルバムはその名の通りショパンの作品集です。「マズルカ」など、今までも何度かヨーロピアン・ジャズ・トリオが手がけてきた曲が入っています。2枚組の「ベスト・オブ・クラシック」を第2集まで出しているピアノ・トリオですから、当然、ショパンは取り入れられています。もっとも、リストは少なそうな気がします。
次に、ホントに私は注目しているのはこのウォルター・ラング・トリオの「746」と「ユーラシア」です。ドイツ出身のピアニストです。前者がトリオ・エルフと称しているグループの演奏で、後者はそうでないトリオです。後者には「リンゴ追分」が4曲目に入っており、ヨーロッパとアジアにまたがるアルバム・タイトルにふさわしい選曲で、アルバムとしての完成度は高いんですが、「746」のほうが演奏自体はスリリングです。
次に、1990年代半ばに現在のマーク・ヴァン・ローンに交代するまでヨーロピアン・ジャズ・トリオのピアニストを務めたカレル・ボエリーの「ラブ・ダンス」です。当然ながら、基本的なラインは現在のヨーロピアン・ジャズ・トリオとほとんど変わりません。気合を入れてスリリングなアドリブが聞きたいファン向けではありませんが、典型的なリラックス・ジャズのひとつであり、私のように読書しながら夜中に静かにBGMとして聞くにはいいかもしれません。もっとも、口の悪い私の知り合いに言わせれば、「どれも似たような演奏なので、1枚持っていれば十分」なのかもしれません。
最後に、トリオ・トウケアットの「キューダス」です。フィンランド出身のグループと聞いています。私が知る限り、10枚ほどアルバムを出して2008年に解散したんですが、輸入盤とかでなく日本で発売されたアルバムはこれだけだと思います。高度な演奏テクを駆使していろんな演奏スタイルを持っていて、何とも表現しがたく、入手しにくいアルバムですが、聞いていただくしかないのかもしれません。私が知る限りでは、新宿区立図書館に所蔵されています。
私がジャズを聞き始めたころは、ジャズといえば米国の黒人の音楽という色彩が強く、ヨーロッパや日本の出身プレイヤーで注目されていたのは限られた範囲だけでした。今ではヨーロッパのミュージシャンが我が国ジャズ市場向けのアルバムを東京で録音するとか、日本のジャズ市場の規模が大きくなるとともに、同時に、音楽としてのすそ野が大いに広がった気がします。
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