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2011年7月31日 (日)

4番の先制打と3番の追加点を完封リレーで逃げ切って何とか横浜に1勝!

  HE
横  浜000000000 021
阪  神10100000x 260

1回の4番新井内野手の先制打、3回には鳥谷遊撃手の追加点と、3-4番の序盤のタイムリーを先発のメッセンジャー投手から小林投手、最後は藤川投手が守り切って、完封リレーが完成し、何とか3戦目で横浜に1勝を上げました。
この先は長期ロードに出て、来週前半は巨人と後半は大阪に戻って東京ヤクルトと対戦です。いよいよペナントレースも山場に差しかかります。借金1を早く返済して、セリーグの首位戦線を面白くしたいところです。

長期ロードも、
がんばれタイガース!

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2011年7月30日 (土)

スレッジ大爆発で横浜にまさかの敗戦、阪神投手陣は7月で崩壊か?

  HE
横  浜002000430 9170
阪  神001300001 590

横浜スレッジ選手の大爆発に阪神投手陣はなすすべもなく、ブラゼル選手の小爆発はまったく届かず、横浜にまさかの逆転負けの大敗です。打つ方はそこそこ点を取って、9回にも最後の見せ場を作りましたが、問題はピッチャーです。かなり2軍と入れ替えたとはいうものの、7月にして阪神投手陣は崩壊してしまったんでしょうか?

明日は何としても勝つべく、
がんばれタイガース!

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2011年7月29日 (金)

勝てた試合を横浜に追いつかれて引分けに終わる!

  HE
横  浜000211000 4120
阪  神202000000 470

左の能見投手と並んで、「右のエース」に擬せられることもあった久保投手の復帰戦で、序盤から順調に加点して、3回終了時点で4-0になった時には、相手の横浜には失礼ながら、楽勝を予想しましたが、何と何と、中盤で追い付かれて、終盤は勝ちパターンの投手リレーで臨みながら、結局、引分けに終わりました。対戦相手は最下位の横浜ですし、球場は本拠地の甲子園ですし、私の気分では負けに等しい引分けだと思います。
先発の久保投手の調子がまだ戻っていないとか、榎田投手の登板過多とか、いろいろとあるんでしょうが、私は攻撃の作戦が余りに消極的だった気がします。代打や代走こそ送りましたが、走力を生かす作戦は見られませんでした。走れる若手を起用しているんですから、漫然と打っていくだけでなく、もう少し積極性が欲しかった気もします。

土日は勝つべく、
がんばれタイガース!

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本日発表された経済指標から日本経済の先行きを考える

今日は、月末閣議日ですので、さまざまな経済統計が発表されました。主要なところで今夜取り上げるのは、経済産業省から発表された鉱工業生産指数、総務省統計局から発表された失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計、そして、総務省統計局から発表された消費者物価指数です。いずれも6月の統計です。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の鉱工業生産指数、3カ月連続上昇 震災前に近づく
経済産業省が29日発表した6月の鉱工業生産指数(2005年=100、季節調整値)は92.7となり、前月比3.9%上昇した。上昇は3カ月連続。東日本大震災で寸断された部品や素材のサプライチェーン(供給網)の復旧が進み、自動車や電機といった主要産業で生産回復の動きが広がっている。出荷指数の伸び率は8.5%と過去最大となった。
与謝野馨経済財政担当相は29日の閣議後の記者会見で「引き続き日本経済は復調傾向にある」と述べた。生産指数の伸び率は民間予測の中央値(4.3%上昇)をやや下回ったが、水準は震災前の2月の95%まで戻った。経産省は基調判断を「回復しつつある」で据え置いた。
業種別にみると、輸送機械工業が18.5%上昇。国内に加え北米や欧州向けに普通自動車が3割近く伸びた。電子部品・デバイス工業は5.3%のプラス。テレビ向けの大型液晶パネルが6割の増産となった。これまで堅調だった一般機械工業は3カ月ぶりに減少に転じた。
出荷指数の前月比伸び率は8.5%と過去最高を記録した。自動車やテレビなどの需要が堅調で、生産の伸び以上に出荷が増加。在庫指数は2.8%低下した。
4-6月期の生産指数は前期比4.0%低下した。震災後の生産急減の影響が残り、4期連続のマイナスとなった。
経産省が同日発表した製造工業生産予測調査によると、7月は前月比2.2%、8月は2.0%上昇する見通し。夏場の電力不足や海外経済の減速懸念などもあり、生産の伸びはやや鈍りそうだ。
6月の失業率4.6%、2カ月ぶり悪化 職探し再開が増加
総務省が29日発表した6月の完全失業率(季節調整値、被災3県除く)は4.6%となり、前月に比べて0.1ポイント上昇した。悪化は2カ月ぶり。震災による経済の混乱が一服し、職探しを再開した人が増えたため、失業率が上昇した。有効求人倍率は前月に比べ0.02ポイント上昇の0.63倍と改善しており、全体としては労働市場も緩やかに持ち直している。
被災地の雇用情勢についてみると、有効求人倍率は岩手県が0.47倍と0.02ポイント上昇し、宮城県も0.53倍で0.07ポイント、福島県も0.57倍で0.07ポイントそれぞれ改善した。被災3県の改善ペースは全国平均を上回っている。一方で総務省が参考数値として試算した被災地の完全失業率は、岩手県が4.2%、宮城県が5.9%だった。ただ、両県とも一部の地域しか調査ができていない。福島県は労働力調査は再開できず、試算ができていない。
労働力調査を被災3県を除く全国ベースでみると、完全失業者数は289万人となり、前月に比べ6万人増えた。自発的に離職して失業者になった人が増え、全体を押し上げた。非労働力人口は前月より13万人減っており、総務省は「震災で仕事探しを様子見していた人が再び求職活動に乗り出したため、失業者が増えた可能性が高い」と分析している。
就業者数は前月に比べ4万人増の5963万人になった。前年同月比ベースで産業別の雇用をみると、製造業は11万人増と3カ月連続で増えているが、宿泊・飲食サービス業が19万人減と大幅に減っている。震災後に個人消費が低迷している影響が出ている。
ハローワークでの求人動向についてみると、新規求人倍率は1.00倍と前月に比べ0.02ポイント改善した。ただ、雇用の先行指数となる新規求人数は前月比0.7%減の64万人と3カ月ぶりに落ち込んだ。
6月の消費者物価、0.4%上昇 ガソリン価格上昇鈍る
総務省が29日発表した6月の消費者物価指数(CPI、2005年=100)は変動の大きい生鮮食品を除くベースで99.7となり、前年同月比で0.4%上昇した。3カ月連続で前年を上回ったが、伸び率は5月(0.6%)より縮まった。ガソリンや灯油の伸びがやや落ち着いたためだ。
6月はエネルギー価格の上昇が一服した。ガソリンは前年を7.1%上回ったが、5月(9.0%)に比べ上昇の勢いは鈍った。宿泊料は自粛ムードの影響が残り、3.2%下落した。食料とエネルギー価格を除いた総合指数(欧米型コア)は97.3となり、0.1%上昇した。
先行きは再び物価の上昇幅が拡大する可能性がある。総務省が同日発表した東京都区部の7月のCPI(中旬速報値)は、生鮮食品を除くベースで0.4%上昇した。伸び率は6月の0.1%から拡大した。
原油高で燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)が上がった外国パック旅行は18.2%上昇。小麦の国際価格高騰による製パン会社の値上げで、食パンは前年を2.2%上回った。

続いて、鉱工業生産指数の推移は以下のグラフの通りです。2005年=100となる季節調整済みの指数そのものです。影をつけた部分は景気後退期を示しています。3月の震災で大きく落ち込みましたが、その後、サプライ・チェーンなどの供給面が急回復を示しており、震災前水準に近づいています。また、グラフには示されていませんが、引用した記事にもある通り、先行きの製造工業生産予測調査によれば、7-8月も順調に生産は増産を続けると予想されており、今夏の電力供給の制約が生産に悪影響を及ぼす度合いは限定的と私は受け止めています。

鉱工業生産の推移

生産は回復を示していますが、それに伴う雇用の回復は緩慢です。下のグラフは雇用統計をプロットしています。上のパネルから、失業率、有効求人倍率、新規求人数で、いずれも季節調整済みの統計です。影をつけた部分は景気後退期です。グラフを見ても明らかに、生産の増加に比較して雇用の伸びが小さいのが見て取れます。特に、失業率については被災3県を除いた統計ですので、余り参考にならないような気がします。

雇用統計の推移

最後に、前年同月で比較した消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。青い折れ線グラフがコアCPIと呼ばれる生鮮食品を除く全国総合、赤がコアコアCPIのエネルギーと食料を除く全国総合、グレーが東京都区部のコアCPIです。棒グラフは全国のコアCPIの寄与度の内訳を示しています。色分けは凡例にある通りです。国際商品市況が日本のゴールデンウィークの当たりでピークを打ちましたので、少しずつ石油などが下落し始めており、消費者物価の上昇率も圧縮されつつあります。来月から発表される新基準でのコアCPIはマイナスに舞い戻ると私は受け止めています。

消費者物価の推移

大雑把に、日本経済は震災から順調に回復を示していると私は受け止めていますが、米国やギリシアの財政も含めて海外経済にはまだまだ不透明感が残り、円高が進むとともに、日本国内でも雇用の回復は遅れています。しかし、海外要因を別にすれば、年内くらいには景気は本格回復軌道に戻るのではないかと期待しています。

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2011年7月28日 (木)

やっぱり3つ勝つのは難しい!

  HE
中  日000001001 250
阪  神000000000 080

さすがに、中日相手に3タテは難しいと実感しました。それにしても、9回の投手起用と2度のチャンスに浅井外野手を2度とも打席に送るベンチワークは疑問でした。2割に満たない打率の打者にピンチヒッターの策は考えられなかったんでしょうか。もちろん、結果論です。

横浜戦を勝ち越して5割に戻すべく、
がんばれタイガース!

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商業販売統計に見る消費、すなわち物販はほぼ震災前の水準に回帰

本日、経済産業省から6月の商業販売統計が発表されました。私が注目している小売販売については、季節調整していない原系列の前年同月比で+1.1%増、季節調整済みの系列で前月比+2.9%増と、ほぼ震災前の水準を回復しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

小売販売額、震災後初めて増加 6月、1.1%増
経済産業省が28日発表した6月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は11兆1370億円で、前年同月比1.1%増えた。増加は4カ月ぶりで、東日本大震災後では初めて。地上デジタル放送への移行を前に、地デジ対応テレビやチューナーの需要が膨らんだほか、省エネ型エアコンや発光ダイオード(LED)電球など節電関連商品の売り上げが好調だった。
販売額を業態別にみると、テレビやエアコン、扇風機などを扱う小売業が15.2%増。夏場の軽装である「クールビズ」関連が伸び、織物・衣服・身の回り品を扱う小売業も4.1%増加した。ただ国の買い替え補助制度が終了した自動車販売は引き続き低調で、17.3%減少した。
大型小売店は0.5%増の1兆6033億円と、4カ月ぶりにプラス。デパートで宝飾品などの高額商品に動きが見られたほか、スーパーでは暑さ対策としてすだれや扇風機が売れたという。

次に、いつもの小売業と卸売業のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の前年同月比、下は季節調整済みの商業販売額指数、2005年=100となっています。いずれも赤が小売業、青が卸売業、影をつけた部分は景気後退期です。

商業販売統計の推移

一応、季節調整していない前年同月比でも、季節調整した前月比でも、消費の指標となる小売販売は震災前の水準に達して順調な回復軌道に戻ったかに見えますが、商業販売統計の中身に起因する注意点を忘れるべきではありません。タイトルにも示した通り、商業販売統計ですから、基本的には物販のみを含みサービスは含まれません。すなわち、旅行やそれに伴う宿泊、あるいは、外食などといった震災後のカギカッコ付きの「自粛」により消費が落ち込んでいるサービスの動向は把握されていないと考えるべきで、その意味で、この商業販売統計は物販とサービスの両方を含むGDPベースの個人消費よりは上振れている可能性があると私は受け止めています。
他方、マクロの動向は上振れている可能性があるものの、マイクロな動向はサービスに関する部分は欠落しているものの、今後の消費の実態をかなりの程度に反映していそうです。すなわち、白物家電などの節電グッズ、紳士衣料を中心とするクールビズ需要、などが中心となって消費を押し上げる要因となっているようです。これらの需要はそれなりにサステイナブルであると私は考えています。節電関係は長続きして欲しくはないんですが、サステイナブルといえますし、「クールビズ」ということでいえば夏限りかもしれませんが、冬の「ウォームビズ」まで含めれば持続性がありそうです。ただし、引用した記事にある中で、地デジ対応グッズだけはサステイナブルでない可能性が残されています。

GDPの過半を占める個人消費の先行きについては所得とマインドに注目すべきと私は考えています。特に、6-7月はボーナス動向も気がかりです。給与の動向については来週の毎月勤労統計でチェックしたいと考えています。

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2011年7月27日 (水)

中日のミスと若虎のグランドスラムで今夜も大勝して借金完済!

  HE
中  日100000000 163
阪  神10044000x 991

先発投手が阪神スタンリッジ投手、中日チェン投手と聞いた時には、終盤近くまでゼロの並ぶ投手戦か、と想像していましたが、中日守備陣のミスに阪神打線がつけ込んで、また、昨夜の森田選手の起死回生のツーランに続いて、今夜も若虎の上本内野手がグランドスラムをかっ飛ばして、中盤で勝負がつきました。ブラゼル内野手を休養させて、4番新井内野手以降はズラリと右バッターを並べたベンチワークもナイスでした。後は、大量点をバックにスタンリッジ投手が1失点の完投でリリーフ陣を休養させた上で、借金完済、5月5日以来の勝率5割、明日から貯金シリーズです。一時は、私も今年はBクラスと諦めましたが、堂々のAクラス2位に復帰してくれたのはうれしい限りです。

明日は3タテ目指して、
がんばれタイガース!

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佐伯泰英『一矢ノ秋』(双葉文庫)を読む

佐伯泰英『一矢ノ秋』(双葉文庫)

佐伯泰英『一矢ノ秋』 (双葉文庫) を読みました。「居眠り磐音江戸双紙」のシリーズ第37巻です。まず、出版社のサイトからあらすじを引用すると以下の通りです。

本の紹介
安永10年3月、紀伊領内姥捨の郷に寄寓する坂崎磐音一行は、再三に渡り雹田平一党らの襲撃にさらされていた。一方、本所界隈は桜の季節を迎え、御家人品川柳次郎とお有夫婦は、駒井小路の桂川邸を訪問していた。その帰り道、尚武館道場が解体される現場に遭遇し……。書き下ろし長編時代小説第37弾。

私はこのシリーズはNHKドラマで見始めて以来、ほとんど惰性で買って読んでいますが、面白いことは確かです。別に買わなくても、図書館で借りてもいいんではないかと思わないでもないんですが、書下ろしの文庫本ですから、何となく買っています。単行本に比較して安いし、小さいし、ついつい買ってしまうのが、文庫本が増える一因です。私はジャカルタから帰国する際にマンガと文庫本・新書本を大量に女房に整理させられた記憶があります。
それはともかく、この『一矢ノ秋』では着実に時間の歩みが早まります。今までは2-3巻で1年を書き進んでいたんですが、この1巻で1年半くらいしか進みません。しかし、この第37巻は大きな転機となる可能性があります。すなわち、坂崎磐音が唐人家系図作りの雹田平と田沼の妾であるおすなを討ち果たしてしまうからです。そして、明確に坂崎磐音一行が江戸を目指すことが宣言されます。

何だかんだといって、次の巻も買うような気がします。この続きがとっても気になります。磐音とおこんのこの空也の成長も楽しみだったりします。すぐに我が家の子供達を追い抜いたりするんだろうと想像しています。

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2011年7月26日 (火)

森田選手の同点ツーランと鳥谷遊撃手の逆転スリーベースで中日を逆転!

  HE
中  日001110000 381
阪  神10002002x 570

なかなか中日のネルソン投手を打てなかった阪神打線ですが、5回の森田選手のプロ入り初打席初ホーマーのツーランで息を吹き返し、8回には鳥谷遊撃手のスリーベースで逆転し、最終回は予定調和の世界で藤川投手が抑えて逆転勝ちでした。
誠に申し訳ないながら、私は森田選手を存じ上げませんでした。アナウンサーさんが「プロ入り初打席です。刮目して見ましょう」と言われたので、私もついつい注目度をアップさせたんですが、見事な同点ツーランでした。鮮烈なデビューに明日からファンが増えることでしょう。鳥谷選手はさすがの若大将で、あれだけ外野手が前進守備を敷いていましたから、見事に右中間を真っ二つに割ってフェンスまで達する打球でした。オールスター明けの中日3連戦を気分よく先勝し、後半戦も雰囲気のいい発進です。

ナゴヤドームでの借りを返すべく、
がんばれタイガース!

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まだまだナイマスを続ける企業向けサービス価格から何を読み取るか?

本日、日銀から6月の企業向けサービス価格指数 (CSPI) が発表されました。ヘッドラインの前年同月比上昇率は▲0.7%の下落と、先月の▲0.9%からは少しマイナス幅を縮小したものの、2008年10月以来33か月連続の下落が続いています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

企業向けサービス価格、6月は0.7%低下
日銀が26日発表した6月の企業向けサービス価格指数(2005年=100、速報値)は96.5となり、前年同月比0.7%低下した。低下は2年9カ月連続となった。東日本大震災直後に落ち込んだ広告価格の回復や原油価格上昇の反映によって、低下幅は前月から0.2ポイント縮小した。
前月比では0.3%上昇し、3カ月ぶりにプラスに転じた。広告は震災後の出稿中止を受けて値下がりしていたが、企業の慎重姿勢が和らぎつつあることで5.8%上昇した。宿泊サービスもビジネス需要を中心に回復し、0.7%上昇した。がれき処理の建設機械需要を背景にレンタル価格も上昇した。
一方で企業の経費節減によって清掃サービスが低下した。ソフトウエア開発も大型のシステム案件に乏しく0.2%下がった。日銀調査統計局は「弱い動きながらも低下幅は縮小しつつある。今後は復興需要による価格上昇と企業の経費節減による下落の両面に注意したい」としている。
企業向けサービス価格指数は輸送費や不動産賃貸費など、企業間で取引するサービスの価格水準を示す。

次に、グラフは以下の通りです。いずれも2005年基準の企業向け価格指数の前年同月比上昇率なんですが、上のパネルは企業向けサービス価格指数 (CSPI) のみ、下のパネルはサービス価格指数とともに企業向け価格指数 (CGPI) の国内指数もあわせてプロットしてあります。

企業向け物価の推移

今回の上昇要因としてもっとも大きく作用したのは運輸です。外航貨物輸送や国際航空旅客輸送などを合わせて+0.13%の寄与がありました。次は、引用した記事にもあるように、被災地のがれき処理などがけん引したのか、建設機械などのリース、さらに、震災後の自粛ムードが和らいだのか、広告なども需要の回復とともに価格を上げる方向で寄与しています。他方、下げる方向で寄与したのは、記事にもある通り、清掃サービス、ソフトウェア開発などです。
意図的に記事から削除されているとは思いませんが、もっとも大きなプラスの寄与を示した運輸は基本的に資源高の復活に起因するものであり、石油価格がWTIで見てバレル100ドルをはるかに上回った2008年とよく似た構図といえます。どこまで実需に基づいているのか、それとも米国などの量的緩和によるカネ余りによる商品価格上昇の影響か、現時点では判然としません。しかし、他方で、需給ギャップに最も敏感といわれる企業向けサービス価格の上昇率が、相変わらずマイナスを続けているのも、まだまだデフレ脱却には時間がかかる可能性を示唆しています。

今週後半は6月の統計が軒並み公表されます。鉱工業生産指数、失業率、有効求人倍率、消費者物価、商業販売統計、住宅着工統計などです。被災地のがれき処理などは政治的な空白によりなかなか進んでいないと聞きますが、そろそろ、日本経済が震災の影響から本格的に脱却する兆しを見せる経済指標が現れるんではないかと、私はひそかに期待しています。

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2011年7月25日 (月)

この週末から完全地デジ化、の影響やいかに?

広く報じられている通り、この週末から東北の被災地を除きテレビが完全地デジ化されています。我が家なんかは対応が遅かった方なんですが、それでも今年に入ってからテレビを買い替えて対応していたりします。このテレビの地デジ化に対応して、ネット・リサーチ大手のマクロミルから「地デジに関する調査」が先週木曜日の7月21日に公表されています。今夜はこれを簡単に振り返りたいと思います。まず、以下の4点が調査結果の要約として示されています。

  • 2台目のテレビが「地デジに未対応」の人は、約2割
  • 地デジ対応後、「テレビを見る時間が増えた」約2割。「録画が増えた」約4割
  • '地デジ放送'の満足度は、7割超
  • 地デジになって、今後のテレビに「期待している」56%

まず、テレビごとの地デジ化の対応の有無は以下のグラフの通りです。1台目は95%超が対応済みなんですが、2台目になると80%に落ち、以下、5台目の50%まで落ちます。我が家のようにテレビが1台しかない家庭はすでに少数派なのかもしれません。他方、1台目の95%対応はかなり低いんではないかと私は思うんですが、混乱は生じていないんでしょうか。

テレビごとの地デジ化の対応の有無

また、地デジ放送の満足度ですが、「満足」と「やや満足」を合わせて70%を超え、「どちらともいえない」が20%弱ですから、不満層は10%未満と少数派になっています。我が家も「やや満足」といったところかもしれません。どういったところに満足しているかというと、「高画質・高音質」が最多で76%、次いで「テレビ画面で番組表が見れる (EPG)」が56%、「データ放送」が37%といったあたりが続いています。

地デジ放送の満足度

地デジ放送の期待度については下のグラフの通り、「非常に期待している」と『やや期待している」の合計が過半を占めるものの、それほど期待はしていない割合もかなり高くなっています。我が家もそうかもしれません。テレビという通信手段そのものがどこまで発展性あるのか、ないのか、私には不明です。もっとも、インターネットについても同じで、通信手段としての将来性は疑問が残ります。だからといって、何が将来性豊かかどうかは、残念ながら、私には分かりかねます。

地デジ放送の期待度

今回のテレビの地デジ化には2通りの意味があると私は考えています。第1に放送として、第2にハードとして、の2通りです。でも、「何はなくとも、まずテレビ」という一定の需要があることも確かです。

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2011年7月24日 (日)

よしもとばなな『もしもし下北沢』(毎日新聞社) を読む

よしもとばなな『もしもし下北沢』(毎日新聞社)

よしもとばなな『もしもし下北沢』(毎日新聞社) を読みました。昨年、毎日新聞に連載され、9月に単行本として刊行されています。もっとも、新潮社から『どんぐり姉妹』がこの作品の後に発行されていて最新作ですらないんですが、まあ、私の基準からすれば流行の範囲内で読んだつもりです。図書館の順番待ちをしている間にやや遅くなりました。よしもとばななさんといえば、私にとってはバブル期の作家、あるいは、映画化もされた『アルゼンチンババア』や『不倫と南米』とかで、日本の作家としてはめずらしくも南米に関連した作品を発表している、といった点で注目しています。特に、デビューの『キッチン』から数作は新刊が出るごとにせっせと買っていたんですが、バブルが崩壊して私が南米に赴任するとともに、しばらくご無沙汰していました。今世紀に入ってから、『アルゼンチンババア』などを読んだりしていましたが、この作品は久し振りに読みました。
ミュージシャンの父親をひょんなことで亡くし、母親と生まれ育った自由が丘を離れて下北沢に移り住み、料理店を出すことを目標にする20代の女性を主人公にして、彼女の1人称で語られています。見知らぬ女性の心中に巻き込まれて、理不尽な死を遂げた父親を悼みつつ、残された母親とともに下北沢で生きて行く女性です。恋愛もすれば、将来のために料理の修業もし、前向きに生きて行こうとしつつも、なかなか父親の影から抜け出すことが出来ません。
誠に残念ながら、私は主人公の「よっちゃん」こと井本よしえが新谷くんを好きになったり、あるいは、疎遠になったり、また、おとうさんの音楽の同僚だった山崎さんに魅かれるものを感じたり、といった恋愛感情は理解できません。また、主人公と新谷くんの関係を素直に描写する母親も理解できません。でも、父親や家族という縦糸と下北沢や自由が丘といった場所の横糸を自然に淡々と物語を進める作者の筆力は相変わらず敬服します。

この小説はハッキリ言って女性向きです。わたしのような中年のオッサンには向かないような気がします。それはそれで面白くもありますが、この作者の限界かもしれません。この作者の作品にご興味ある方だけ読むべき小説だと受け止めています。

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2011年7月23日 (土)

超久し振りにカシオペアの Asayake を聞く

Casiopea 20th Anniversary Best

今日は、フラフラと朝から出かけて近くの区立図書館に行き、カシオペアの 20th Anniversary Best なるCDを借りました。20周年の記念ベスト集ですから、1999年に発行されています。グループとしてのカシオペアは、我が家が現在の青山の住まいに引っ越した2006年に活動を停止したと記憶していますので、その数年前のCDです。
2枚組のCDでTangerine DiscBlue Berry Discから成っていて、それぞれがそれらしく色づけがなされています。前者が1枚目という位置づけのような気がします。というのも、収録曲がその順になっているからで、当然ながら、カシオペアといえば、Asayakeが最初に来ます。1982年に出て、Asayakeの決定版が収録されているMint JamsをLPで買った記憶があります。A面の2曲目でした。でも、時代はすぐにCDになった気がします。
下の画像は1980年に演奏されたカシオペアのAsayakeの動画らしいんですが、1980年でしたら私はまだ大学生でした。カシオペアが青春の音楽だったのかもしれません。

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2011年7月22日 (金)

仕事を休んで下の子とジブリの「コクリコ坂から」を見に行く

ジブリ「コクリコ坂から」ポスター

今日は仕事を休んで、下の子とジブリの最新作映画「コクリコ坂から」を見に行きました。東京オリンピック前年の1963年の横浜を舞台に、高校名物のカルチェ・ラタンと呼ばれるクラブハウスの保存を中心とする学園生活とそこでの恋の物語です。さらに、家族の絆や仲間との友情の大切さにもスポットライトが当てられています。坂本九さんの「上を向いて歩こう」を挿入歌として活用し、家族や友情がまだまだ重きを占めていた高度成長期の日本を描き出しています。
実は、その昔の数年前に私と下の子とでジブリの「ゲド戦記」を見に行ったことがあります。今回と同じ宮崎吾朗監督作品で手嶌葵さんが無伴奏の「テルーの唄」を歌っていた記憶があります。というのも、私はジブリのアニメ映画のサウンドトラックのCDが好きでよく聞いているので記憶から離れません。そして、私と下の子で意見が一致しているのは今まで見たジブリのアニメ映画の中で、「ルパン3世」のシリーズも含めて、ハッキリ言って「ゲド戦記」が最悪だと評価していることです。事前の段階から、やや心配であったんですが、杞憂に終わりました。すばらし出来栄えの映画に仕上がっています。特に、ジブリらしい超常現象というか、魔法や霊魂の類も出て来ませんし、「海がきこえる」のようにバブルを勘違いした女子高校生もいません。淡々と進みながらも、昭和の活気みなぎり、みずみずしい感性の映画に仕上がっています。ラストも感動的です。見終わった後の印象がとってもよいです。

年齢や性別を超えて、ウチの下の子のように昭和の時代をまったく知らない年齢層まで含めて、とってもオススメです。

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2011年7月21日 (木)

ようやく供給制約を脱しつつある輸出の回復で貿易黒字を記録

本日、財務省から6月の貿易統計が発表されました。ヘッドラインとなる輸出は5兆7759億円、輸入は5兆7052億円、差引き貿易収支は707億円の黒字と、3か月振りに黒字を記録しました。ただし、この数字はいずれも季節調整していない原系列の計数であり、季節調整済みの系列では貿易赤字が続いています。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の貿易収支、3カ月ぶり黒字 自動車の輸出回復
財務省が21日発表した6月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は707億円の黒字となった。東日本大震災の影響で4月以降は貿易収支の赤字が続いており、黒字は3カ月ぶり。部品不足の解消から自動車などの輸出のマイナス幅が縮小した。ただ、夏場の電力不足や海外経済の変調が輸出動向に影響を与える可能性があり、黒字基調が定着するかどうかは微妙だ。
6月の輸出額は5兆7759億円となり、前年同月比1.6%減少した。なお前年割れが続くが、5月の10.3%減からマイナス幅は縮小した。季節調整済みの前月比は5.4%増となり、財務省は「持ち直しの動きがみられる」とした。
輸出額のマイナス幅が縮まったのは、自動車の生産回復が進んでいるため。部品メーカーの供給復旧に伴い、トヨタ自動車など自動車大手では生産がほぼ正常化している。自動車の輸出額は4月に前年同月比67.0%減に落ち込んだが、6月は12.5%減に持ち直した。
米中向けの工作機械が堅調な金属加工機械は40.8%増えた。地域別では、中国向けが1.2%増と3カ月ぶりにプラスに転じた。米国向けも減少幅を縮めた。半導体など電子部品や鉄鋼は世界経済の減速で、回復が遅れている。
輸入額は5兆7052億円で、9.8%増だった。原子力発電所の運転停止などの影響で、火力発電用の液化天然ガス(LNG)需要が増加したため。季節調整済み前月比では0.5%増と小幅な増加にとどまった。
財務省が21日発表した2011年1-6月の輸出額は32兆1131億円となり、前年同期比3.0%減少した。減少は3期ぶりで、大震災以降の輸出急減が響いた。貿易収支は8955億円の赤字で、4期ぶりの赤字に転落した。石油危機で原油などの輸入額が膨らんだ1980年1-6月(2兆6217億円)以来の赤字幅となった。

次に、いつものグラフは以下の通りです。いずれも輸出入を折れ線グラフで、その差額たる貿易収支を棒グラフでプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下のパネルは季節調整済みの系列です。

貿易統計の推移

最初に書いたことの繰返しですが、季節調整していない原系列の統計では3か月振りに貿易黒字を記録しましたが、季節調整済みの系列では震災後の4月から3か月連続で赤字を記録しています。私は基調としては足元でまだ貿易赤字が続いている可能性が高いと判断しています。例えば、季節調整していない原系列で見ても、今年上半期1-6月では8955億円の貿易赤字となっています。サプライチェーンの毀損に起因する供給制約を受けた結果だと考えるべきです。

輸出の推移

輸出を詳しく見たのが上のグラフです。上のパネルは金額ベースの輸出指数を数量指数と価格指数で寄与度分解しています。すべて季節調整していない原系列の指数の前年同月比です。下のパネルは輸出数量指数とOECD先行指数のそれぞれの前年同月比伸び散るについて、後者に3か月のリードを取ってプロットしてあります。OECD先行指数は日本に輸出に対する世界需要の代理変数ですから、今年3月から我が国の輸出数量が下振れしているのは震災による供給制約の結果であると考えられます。
ですから、輸出の回復を知るには貿易統計ではなくて供給体制の回復状況を知る必要があるんですが、広く報じられている通り、生産の復旧はかなり前倒しで進んででおり、急ピッチというのは少し抵抗があるものの、少なくとも着実に供給体制は回復して来ており、足元で貿易赤字の基調を続けている一方で、時間の問題ながら、貿易黒字を取り戻すのも射程に入ったと私は見ています。ただし、原発の再稼働次第なんですが、輸入は火力発電需要があり鉱物性燃料を中心に増加する方向にあります。このブログでも何度か書きましたが、日本は小国ではありませんので、日本が鉱物性燃料の輸入を増加させれば、量的に輸入数量が増えるだけでなく、価格も上昇します。日本経済は世界的に鉱物性燃料の需要曲線を上方シフトさせるだけのボリュームを有しています。輸出が回復を示す一方で、輸入も増加の方向にあり、輸出入の差引きで定義される貿易収支の方向は定まりません。繰返しになりますが、貿易黒字を取り戻す射程に入ったと私は考えているものの、今しばらく、貿易赤字に基調が続く可能性もまだ残されています。ただし、GDPベースの外需を考えると、4-6月期のGDP成長率への外需の寄与度は明らかにマイナスです。▲0.5%を超え▲1.0%に近い数字になる大きさになる可能性が高いと覚悟すべきです。

Growth Impact title=

最後に、貿易統計とやや関連して、国際通貨基金 (IMF) から中国に対する Article IV Consultation の結果が公表されました。毎年のことですが、人民元レートについては20%ほどの増価が必要としており、その場合の世界経済への波及効果がモデルの試算結果として明らかにされています。上の表は Staff Report の p.36 から引用しており、人民元が20%増価した場合の各国の成長率への波及効果を示しています。日本の成長率へは最大+0.3%であり微々たるものですが、現在の日本経済の実力からすれば決して無視できない波及効果ではないでしょうか?

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2011年7月20日 (水)

近藤史恵「サクリファイス」シリーズを読む

近藤史恵「サクリファイス」シリーズ

近藤史恵さんの最新刊『サヴァイヴ』(新潮社)を買いました。ついでと言っては何ですが、この「サクリファイス」シリーズの最初から、すなわち、『サクリファイス』、『エデン』もさかのぼって読みました。知っている人は知っていると思いますが、自転車のロードレースを題材にしたシリーズです。『サクリファイス』と『エデン』は長編、最新刊の『サヴァイヴ』は6編の短編を集めています。なお、最初の画像のうち、『サクリファイス』だけは異質なんですが、今年の春に文庫本が出ていますので、ソチラの表紙を採用しています。まず、出版社のサイトから最新刊『サヴァイヴ』の紹介文を引用すると以下の通りです。

あらすじ
目指すのはゴールじゃない。そのもっと先にある、何かを掴みたいんだ――。
他人の勝利のために犠牲になる喜びも、常に追われる勝者の絶望も、きっと誰にも理解できない。ペダルをこぎ続ける、俺たち(ロードレーサー)以外には――『サクリファイス』『エデン』に秘められた過去と未来が今明かされる。スピードの果てに、彼らは何を失い何を得るのか。日本・フランス・ポルトガルを走り抜ける、待望のシリーズ最新刊!

小説にも何度か出てくるお決まりのフレーズで、自転車競技は「日本ではマイナー」と考えられています。団体競技でありながら、リザルトには個人名しか出ませんし、その個人名を残すエースをアシストして、文字通り「犠牲」になる選手もいっぱいいます。といったような事実関係を説明っぽく長々と書き連ねるでもなく、かといって、説明をスッ飛ばして分かる人にしか分からないような小説でもなく、非常によく考えた構成がなされています。長編である『サクリファイス』と『エデン』ではそれぞれ自転車のレーサー1人ずつ死者が出ますが、前者の作品ではミステリ仕立てになっていて、見事な謎解きが展開されます。後者もレーサーの死について、他の部分と齟齬を来たすことも過不足もなく、見事にその死の背景が明かされます。
私は実は近藤史恵さんの作品はこのシリーズしか読んだことがないんですが、立派な構成力と表現力をお持ちの作家だと改めて認識しました。しかも、『サクリファイス』の解説文にありましたが、作家ご本人が自転車競技についてほとんど経験がないそうですから、さらに驚きです。主人公の白石誓が海外に本拠を移して、エキゾチックな雰囲気も増しました。もともと、自転車競技はラテンのスポーツですが、私が外交官として勤務した南米では馴染みがありませんでした。でも、ラテン的なものの考え方や行動様式などはそれなりに理解します。しかし、そのような背景知識はこれらの作品を富み進むには不要です。

週末だけですが、山手線の南半分を20-30キロほど、平日の通勤の2-3倍くらい遠いところまで私もクロスバイクで走ります。もちろん、競技として取り組んだ経験も、観戦したこともありません。でも、それなりに自転車やスポーツとしての自転車競技というものに興味がある向きにはとってもオススメです。文学作品、ミステリとしても一級ですし、ほとんどの図書館で所蔵していると思います。多くの方が手に取ってお読みになることを願っています。

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2011年7月19日 (火)

50年前の台風の思い出

大型で強い台風6号が今日から明日にかけて、西日本から東日本に差しかかっています。昨日のなでしこジャパンの報道に続いて、今日のメディアは台風一色です。報道に従えば、速度が遅いため、長時間に渡って雨と風をもたらすそうです。ということで、思い出したのはその昔の台風で、特に関西地方に被害をもたらしたものとして1950年のジェーン台風がありますが、私の幼少時には1961年の第2室戸台風がかすかに記憶に残っています。ちょうど50年前です。

ジェーン台風の進路

上の画像は大阪市役所のデジタルアーカイブから引用したジェーン台風の進路です。デジタルなアーカイブながら、見るからに時代を感じさせる手書きの進路図だったりします。点線で室戸台風の進路図も見えます。第2室戸台風もよく似た進路をたどったんですが、関西地方に大きな被害をもたらす台風というのは進路がよく似ていて、九州や四国には上陸することなく紀伊水道を北上し、関西に初めて上陸するパターンがほとんどです。山に当たって勢力を弱めることなく関西にいきなり上陸するわけです。
その中でも、京都南部地方に被害をもたらす可能性が高いのが淀川水系を北東に進む台風です。京都から奈良にかけては南北に細長い盆地なんですが、当然に切れ目はあって、それは宇治川から淀川と名を変える川の部分です。山にぶつからずに淀川に沿って京都に入る台風はもっとも大きな被害をもたらすと、農家の家系に育った父から聞かされていました。

大型で強い勢力を保った台風6号の接近に伴い、ちょうど50年前の第2室戸台風を思い出してしまいました。今回の台風6号も、大きな被害が生じることのないように祈念しています。

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2011年7月18日 (月)

序盤の先制パンチをスタンリッジ投手が守り切って5割まであとわずか!

  HE
阪  神203000000 581
広  島000000000 082

今夜は序盤の1回と3回にブラゼル内野手のタイムリーなどで、早々に5点を上げてタイガース得意の先行・逃切りでした。スタンリッジ投手は5回以降は毎回のようにピンチの連続でしたが、何と132球の完封シャットアウトでスタミナのあるところを見せつけてくれました。
今夜の試合を完勝しましたから、前半戦終了直前のこの広島3連戦において、2勝1台風の5割ちょうどで折り返すパターンが現実味を帯びて来ました。

明日は台風だと思うものの、やっぱり、
がんばれタイガース!

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おにいちゃんと出かけてマリオンで「アンダルシア 女神の報復」を見る

「アンダルシア 女神の報復」ポスター

今日は午後から我が家のおにいちゃんといっしょに出かけて、有楽町マリオンで「アンダルシア 女神の報復」を見ました。先週13日には読書感想文の日記をアップしましたが、真保裕一さんの原作とはまったく違う内容の映画に仕上がっていました。特に、原作ではインターポールはほとんど出て来ないように記憶しています。一応、映画の最後のエンドロールには原作として紹介されていましたが、ここまで違っていてホントにいいのだろうか、と疑問に思わないでもなかったです。
映画のストーリーなどはアチコチで紹介されているんでしょうし、ラストがとっても興味深いとだけ書いてミステリのネタバレは避け、気づきの点を3点ほど取り上げると、第1に、やっぱり、銀行業界は米欧と我が国の実力の差があって、逆に、「ものづくり」の製造業で地道に輸出拡大せねばならない我が国経済の実情をバックグラウンドに垣間見た気がします。また、第2に、私は南米のチリに大使館勤めで3年間住んでいましたから、この映画くらいのスペイン語であればほぼ理解するんですが、スペイン本国のスペイン語と辺境チリのスペイン語ではかなり違いが大きいと感じました。第3に、私は中学生のおにいちゃん向きの映画だと評価していたんですが、何と、観客には年配の女性が多かったです。主演の織田裕二さんのファン層なんだろうか、と想像しています。

ミステリとしても一級の出来に仕上がっていますし、何よりも異国情緒ゆたかなエキゾティシズムにあふれた画像が美しいと感じました。今夏のナンバーワン映画とまでは思いませんが、節電と安・近・短に過ごす今年の夏休みのヒマ潰しにはぴったりではないでしょうか。

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なでしこジャパンのワールドカップ制覇の快挙を祝す!

優勝したなでしこジャパンのイレブン

なでしこジャパンがワールドカップ優勝の快挙です。
延長でも決着つかず、PK戦での決着となりましたが、過去24戦して1度も勝てなかったFIFAランキング1位の米国を破っての優勝、誠におめでとうございます。
早朝というべきか、深夜というべきか、私の苦手な時間帯でしたので、ライブでは見ませんでしたが、ビデオで拝見して、立派なプレーだったと思います。特に、MVPに輝く得点王のキャプテン沢選手のプレーもリーダーシップも光っていました。

改めて、
おめでとう、なでしこジャパン!

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2011年7月17日 (日)

4番に復帰した新井選手の満塁弾で乱戦を制すも能見投手に勝ち星つかず!

  HE
阪  神030300240 12180
横  浜000034002 9130

今日は能見投手を先発に押し立てて、2回に3点、4回にも3点と、昨夜に続いて楽勝ムードだったんですが、6回ウラに一変しました。能見投手自身が変調をきたした上に、登板過多気味の榎田投手が打ち込まれて、一度は横浜に逆転されてしまいます。もちろん、そのままで終わるはずもなく、7回には新井三塁手と関本二塁手のホームランで同点・逆転し、8回には昨夜から4番に復帰した新井選手の満塁弾でトドメを刺し、4時間を超える乱戦を制しました。阪神が勝ったものの、今夜もまた能見投手に勝ち星がつきませんでした。でも、今夜の試合で勝ち星がつかなかったのは能見投手自身も反省すべき点があるように見えます。榎田投手は登板過多なんでしょうね。最後の藤川投手の投入も余分な気がしましたが、この乱戦でマトモなピッチャーが残っていなかったんでしょうから仕方ありません。
あくまで私の直感ですが、セリーグではこの両チームの対戦で乱戦になる確率が最も高いような気がします。もちろん、乱戦になろうがなるまいが、阪神の方が平均的に高い確率で勝っているのは当然なんですが、乱戦は乱戦で面白いと感じる場合もあり、投手戦と打撃戦のそれぞれのよさがあるような気がします。今夜、というか、明日未明はなでしこジャパンの決勝戦で、多くの方が女子サッカーに見入るんでしょうが、サッカーのように常に低スコアで10点入ることはほとんどあり得ないスポーツに対して、野球の面白さのひとつだという気がします。

明日から広島で、
がんばれタイガース!

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2011年7月16日 (土)

序盤から打線爆発の大量援護で鄭投手が初勝利!

  HE
阪  神314000020 10160
横  浜000100100 262

久々に打棒爆発、ホームラン量産でスッキリと鄭投手が初勝利でした。難を言えば、最後のヒーロー・インタビューの日本語をうまくなって欲しい気はしますが、阪神のピッチャーとしては日本語よりも投球の方が重要でしょう。外国人枠は悩ましいところながら、6人目の先発に一安心といえましょう。
こういう一方的な展開の試合の後は、「2-3点、明日に取っておきたい」と考えなくもありませんが、明日は明日の風が吹きます。何としてもカードを勝ち越して次の広島戦に行きオールスター前の前半戦をいい形で締めくくりたいものです。

明日は連勝目指して、
がんばれタイガース!

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国立新美術館でワシントン・ナショナルギャラリー展を鑑賞する

ワシントン・ナショナルギャラリー展ポスター

今日は午後から近場のお出かけで、六本木にある国立新美術館で開催されているワシントン・ナショナルギャラリー展を鑑賞に行きました。米国の首都ワシントンにあるナショナルギャラリーの印象派とポスト印象派のコレクションです。なお、しばしば「後期印象派」と称されることもありますが、ポスターなどで「ポスト印象派」と表現されており、私もこの表現が100%正しいと信じていますので、私のブログでも「後期印象派」ではなく、「ポスト印象派」と表記したいと思います。それから、上のポスターにもある通り、うたい文句は「これを見ずに印象派は語れない」ということになっています。上のポスターの絵は印象派からマネの「鉄道」ですし、引用はしませんでしたが、もう一枚のポスターはポスト印象派からゴッホの「自画像」が取られています。
一応、連邦準備制度理事会 (FED) のリサーチ・アシスタントの経験もある国際派エコノミストを自称する私から解説を加えておきますと、ワシントンDCにあるナショナル・ギャラリーは、いわゆる「モール」と呼ばれる国会議事堂から西に延びる通りに面して、著名なスミソニアン博物館などと同じ一角に位置していると考えて差し支えありません。私の記憶に従えば、印象派というよりもポスト印象派、特にセザンヌのコレクションで有名だと多くの米国人、というか、FEDのエコノミストは考えていたようで、私のワシントン滞在中、そのようにFEDの同僚からオススメされたと覚えています。もっとも、私の語学力で理解できた範囲のお話です。
今回の展覧会では以下の4つのブロックで構成されています。私の知りうる範囲での美術史に実によく合致していると感じました。

  1. 印象派登場まで
  2. 印象派
  3. 紙の上の印象派
  4. ポスト印象派以降

「印象派登場まで」では、バルビゾン派と呼ばれることもあるコローや、マネ、バジール、ブーダンなど、「印象派」の章ではピサロ、ドガ、モネ、モリゾ、ルノワール、カサットなど、「紙の上の印象派」は油彩ではなくリトグラフやエッチングなどで飛ばして、最後の賞である「ポスト印象派以降」ではセザンヌとゴッホを中心にスーラやロートレックなどと、かなり網羅的なコレクションです。「これを見ずに印象派は語れない」とまで言い切る自信はありませんが、少なくとも私のように印象派に興味ある向きは是非とも見ておいた方がよいと感じました。

国立新美術館ワシントン・ナショナルギャラリー展

六本木 Mercedes-Benz Connection

上の写真の国立新美術館の青山霊園方面への出口にあったポスターです。誠についでながら、国立新美術館の警備員さんは私が自転車で行くと、必ず持ち場を離れて公道まで寄って来て、ご本人が称するところの「ご案内」をしていただくんですが、ウザいと私は感じています。歩行者には何ら「ご案内」はしていないようなんですが、自転車には必ず「ご案内」があります。国立新美術館に自転車で行く人はそれほど多くないんでしょうが、気をつけた方がいいです。
それから、下の写真はメディアなどで少し話題になりましたが、六本木に出来た Mercedes-Benz Connection というショールームというか、downstairs と称する1階が自動車の展示とカフェ、upstairs と称する2階がレストランになっている建物にあるオブジェなのか、未来の自動車なのか、よく分かりません。場所は東京ミッドタウンから外苑東通りをはさんで真向かいです。メルセデス・ベンツのグッズも販売しています。来年12月までの18か月限定だそうです。ご興味ある方はお早めに。

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2011年7月15日 (金)

典型的な阪神の負けパターン!

  HE
阪  神000000000 071
横  浜00010111x 470

今夜は典型的な阪神の負けパターンでした。サッパリ打てずに、先頭打者が出塁すればゲッツーでチャンスすら出来ず、投手陣は終盤に着々と失点する、というものです。何度目の完封リレーになるんでしょうか。
それにしても、いつもながら最下位独走中の横浜なのに、今シーズン負越しは借金を返済しAクラスをキープするためには許されません。明日と明後日はいただきましょう。

がんばれタイガース!

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お釣りの手渡し

Caravaggio La Diseuse de bonne aventure

カラバッジオの「女占い師」 La Diseuse de bonne aventure と題された絵です。よく似た絵は別にもありますが、上の画像はルーブル美術館所蔵で、所蔵元のルーブル美術館のサイトから引用しています。ジプシーの女占い師が手相を見るフリをして指輪を抜き取ろうとしている構図です。同じ意匠で同じタイトルの絵はローマのカピトリーノ美術館に所蔵されていますし、カラバッジオの作品ではテキサスのキンベル美術館に収められている「トランプ詐欺師」という絵も有名です。
買い物の後にお釣りを手渡しする場合がありますが、基本的に、私はお盆に置いてお金を渡し、お釣りをもらう時にもお盆に置いてもらうようにしています。日本の場合、お釣りを手渡ししようとされるケースも多いんですが、その場合は、上のカラバッジオの絵を思い出してしまいます。客の目の前で紙幣の枚数を確認するのがデフォルトになった気がしますが、私はお盆に置いてもらってから自分で数えます。エレベーター乗降の際ののレディー・ファーストとともに文化の違いを感じます。

今週後半はとっても軽いエントリーを続けています。なお、すでに広く報じられた通り、芥川賞は該当なしでした。

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2011年7月14日 (木)

岩田投手が序盤に崩れて3タテを逃す!

  HE
読  売004000000 4101
阪  神000000000 060

さすがに、ジャイアンツ相手に3タテは難しいことを実感しました。序盤に岩田投手が崩れて4点入れられれば、もう少し粘りを見せて欲しかった気はしますが、今年の統一球と今の阪神打線では逆転するのは至難の業かもしれません。しかし、私のような諦めの早い関西人にとっては、気分の切換えもそう難しくない試合だったような気がします。
今日は負けましたが、僅差のゲームで連勝したわけですし、明日は明日の横浜の風が吹きます。明日がんばって、少しずつつでも着実に借金返済にいそしみましょう。巨人相手よりも横浜相手の方がラクなことは確かです。

明日は横浜で、
がんばれタイガース!

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万城目学『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』(ちくまプリマー新書) を読む

万城目学『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』(ちくまプリマー新書)

万城目学『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』(ちくまプリマー新書) を読みました。書下ろしです。昨夜のエントリーで取り上げた『アマルフィ』と『アンダルシア』も図書館で借りましたが、この『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』も借りました。小学生低学年の子供がいれば夏休みの読書感想文の宿題にふさわしそうな気がしたので買い求めたかもしれませんが、その年齢の子供がいない一方で、万城目作品は一応すべて読んでおきたいファンとして、図書館で借りるという選択肢を選びました。というか、そもそも、私が読む本の過半は買うんではなくて図書館で借りている気がします。
私はこの作者のデビュー作である『鴨川ホルモー』から始まって、外伝の短編集『ホルモー六景』、『鹿男あをによし』、『プリンセス・トヨトミ』、『偉大なる、しゅららぼん』までほぼすべての作品を読んでいますが、この並びで考えると『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』は純文学にかなり近いといえます。敵役の人間や悪いネコはまったく登場しません。ファンタジーではなく、ジュブナイル、あるいは、ヤング・アダルトに分類される小説です。
小学校に上がったばかりのかのこちゃんの人間界と、イヌ語という「外国語」を理解し、イヌの伝三郎と結婚しているマドレーヌ夫人のネコの世界が最後には見事につながって結末を迎えます。やや不自然ながらも、かのこちゃんの「刎頚の友」であるすずちゃんが2学期早々に転校するという別れの場面も織り込んで、実に楽しくていろいろと考えさせられるストーリーです。なお、かのこちゃんのおとうさんは「鹿と話をする」ということで小学校で有名になりましたから、『鹿男あをによし』の主人公とダブります。
繰返しになりますが、どちらかといえば、小学生向きの小説で、さらに勝手な限定を加えれば、女の子向きかもしれません。我が家のように男の子であれば中学生には少し out of range だという気がしなくもありませんし、ましてや私のような中年のオッサンには明確に不向きな気もします。その意味で、万人向きの小説ではあり得ませんが、作品の幅が広がったという意味も含めて、万城目ファンであれば押さえておきたいところです。

報じられているように、今夜、本年度上期の第145回芥川賞と直木賞が決まります。いつもの通り、私は8月発売の「文藝春秋」で芥川賞受賞作を書評とともに読みたいと考えています。

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2011年7月13日 (水)

伝統の一戦らしい好ゲームで雰囲気よく巨人を下して連勝!

  HE
読  売000001000 160
阪  神010000001x 290

今夜も伝統の一戦らしいすばらしいゲームを9回サヨナラで制して連勝です。最後の決勝点を上げたのは桧山選手の犠牲フライでしたが、実質的にはブラゼル内野手の二塁打で大勢が決まっていたような気もします。それにしても、昨夜以上に、実に雰囲気のいい勝ち方だった気がします。
投手陣もよく踏ん張りました。先日の中日戦と同じように6回に鶴投手が崩れたのには、少し物足りなさを感じますが、ルーキー榎田投手が再三のピンチを凌いだのが光りました。小林投手と藤川投手はさすがに堂々のピッチングでした。
巨人は高橋選手が阪神の守備の弱点であるレフトを巧みについて同点に追いつきましたが、最後は先発から抑えに転向した東野投手が犠牲フライを上げられるまでワンアウトも取れずに負け投手になりました。

この勢いで明日は3タテ目指して、
がんばれタイガース!

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真保裕一『アマルフィ』と『アンダルシア』(講談社) を読む

真保裕一『アマルフィ』と『アンダルシア』(講談社)

真保裕一さんの『アマルフィ』と『アンダルシア』(講談社) を読みました。実は、この間に『天使の報酬』という作品が同じ外交官・黒田康作シリーズで発表されているんですが、映画化されていないので飛ばしました。『アマルフィ』を映画化した「アマルフィ 女神の報酬」は見ていませんが、後者の原作になる現在封切り中の「アンダルシア 女神の報復」は前売り券を買ってありますので、我が家のおにいちゃんとともに2人で見に行くことにしています。
繰返しになりますが、取り上げた2冊は外交官・黒田康作シリーズの作品です。いずれも図書館で借りて読みました。実は、『天使の報酬』を読んでいないのは図書館の順番待ちだったりします。一応、私は南米の在チリ大使館で領事ではなく経済アタッシェの書記官ながら外交官の経験がありますから、主人公である黒田康作以外の頼りない外交官の姿には反論したい部分もないではないものの、まあ、エンタテンメント性の強い文学作品ですから、こういったステレオ・タイプの外交官像を示しておけば、一般向けには有卦に入るんだろうと想像します。
邦人保護を担当する領事と呼ばれる外交官であって、警察官やましてや軍人、あるいは、スパイなどとは異なりますから、地味な情報収集活動はあるものの、派手なアクションはなさそうで、その分、映画には向かないような気もしましたが、逆に、アマルフィやアンダルシアといったラテンのエキゾチックな地域での海外ロケは風景だけでも日本人受けする可能性はあります。私は真相を知りませんが、米国ロスアンジェルスを舞台にする『天使の報酬』が映画化されていないのも、そのあたりに理由があるのかもしれません。
『アマルフィ』も『アンダルシア』もいずれも、黒田康作以外の保守的・保身的な外交官を小バカにしつつ物語が進み、黒田康作の邦人保護における活躍が取り上げられるわけですが、いずれも、単なる邦人保護にとどまらず、より大きな背景や事件を明らかにするようなストーリーになっています。しかも、欧州大国の外交的な利害がからんでいたりもします。その意味で、どちらもラストはびっくりする結末で終わります。特に、『アンダルシア』の最後はこのようなエンディングが残されていたのかと、私も驚きました。実践的な人柄であれば、非現実的なストーリーであると理解するかもしれません。でも、文学作品や映画とはそういったものだと受け止めるべきです。

夏休みに入ったら、親子でお出かけして「アンダルシア 女神の報復」の映画鑑賞に行きたいと思います。

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2011年7月12日 (火)

巨人をスミ1の5安打に抑えて見事な逆転勝ち!

  HE
読  売100000000 150
阪  神00000200x 290

今日も途中からのテレビ観戦でしたが、おかげで1回表の長野外野手の先制ホームランは残念ながら見逃してしまい、逆に、6回の逆転劇はしっかり堪能しました。先発のスタンリッジ投手が8回までジャイアンツを3安打のスミ1に抑え込んで、最後は少しヒヤリとさせられたものの藤川投手が逃げ切りました。9回を投げ終えた藤川投手は冷静な表情でしたが、8回に坂本遊撃手を見逃しの三振に切って取ったスタンリッジ投手の雄叫びはマイクで拾って欲しかった気がします。勝因は投手力に負っていますが、打線は序盤にいつものゲッツーが多かったものの、決定力を発揮しました。5番ブラゼル一塁手と6番新井三塁手のタイムリーで見事に逆転勝ちでした。
甲子園で大事な3連戦の初戦をモノにし、借金完済へ一歩前進です。

巨人相手に3タテ目指して、
がんばれタイガース!

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基準改定される消費者物価の動向を探る!

あまりメディアには注目されませんでしたが、総務省統計局から消費者物価の2010年基準改定のウェイトが金曜日に発表されています。これに呼応して、いくつかのシンクタンクや金融機関から基準改定に伴う消費者物価上昇率の下方改定幅の推計もなされています。ネット上でオープンに公開されている試算結果は第一生命経済研究所と大和総研から発表されています。以下のリファレンスの通りです。

それぞれのリファレンスを見れば明らかですが、第一生命経済研究所は▲0.9%ポイント、大和総研は▲0.7%ポイントの下方改定を見込んでいます。私の直感では大和総研にやや近くて、▲0.7-0.8%ポイントくらいではなかろうかと考えています。リセット効果やウェイト効果については、2月22日付けの「今夏の基準改定による消費者物価上昇率の下方改定幅はどれくらいか?」で詳しく取り上げたので繰返しませんが、そのころより下方改定幅が大きくなるんではないかとの予想が主流になっています。統計局の新基準ウェイトの発表後に、さらにその感触が強まりました。いずれにせよ、5月のコア消費者物価上昇率が前年同月比で+0.6%でしたから、基準改定によりほぼ確実にマイナスに舞い戻ります。10月には昨年のたばこ値上げの物価押上げ効果が一巡しますから、まだまだデフレ脱却には時間がかかると覚悟すべきです。
5年前の「CPIショック」の原因は明らかに日銀が悪いんであって、日銀から年明け早々の段階で基準改定による下方修正幅は▲0.1%ポイントとか、▲0.2%ポイントとか、意図的なポジション・トークが流され、その後の、3月の量的緩和解除や7月のゼロ金利解除に向けたプロパガンダに統計が犠牲にされたと私は受け止めています。もっとも、統計局を監督する当時の総務大臣が竹中平蔵さんであったことも事態を増幅した可能性ありますが、所管する金融政策の得手勝手な遂行のために客観的たるべき統計の先行きを捻じ曲げた予測を下した、という側面は否めず、さらに、短資会社などの日銀の支配下にあるエコノミストがお先棒を担いだ、と多くのエコノミストは冷静に見ていたと記憶しています。今回が落ち着いた対応となっているのは、総務省統計局が事前にウェイトを公表したとか、来月半ばに6月分まで基準改定を先取りして修正統計を発表するとか、いろいろと混乱のないように努力しているといった側面もあるものの、今日の日銀の金融政策決定会合に見られるように、景気判断は引き上げたものの、下振れを強調して結局ニュートラル、といった印象であり、金融政策が無風状態のため日銀発の混乱要因が存在しない、という客観情勢が5年前のような「CPIショック」を避けられる理由として大きいと私は考えています。ただし、一言だけ誤解のないように付言すると、私自身は5年前の2006年7月のゼロ金利解除は決して反対ではなく、当時の経済情勢から考えて合理性があり、むしろ利上げに賛成でした。私が批判しているのは、量的緩和解除やゼロ金利解除の政策への「地ならし」的に客観的たるべき統計の先行きに対して恣意的かつ誤った解釈を下した日銀の姿勢にあります。やや複雑な関係ですが、この点は付け加えておきます。

企業物価の推移

最後に、本日発表された6月の企業物価の推移は上のグラフの通りです。国内企業物価は前年同月比で+2.5%の上昇だったんですが、足元では商品価格、特に石油価格が下落に転じており、今後の動向が注目されます。

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2011年7月11日 (月)

消費動向調査の消費者態度指数に現れたマインドの改善やいかに?

本日午後、内閣府から6月の消費動向調査の結果が公表されました。特に、この調査の中の消費者態度指数には需要サイドのマインドが現れており、先行き消費動向を考える上で注目すべきとこのブログで主張している所得とマインドのうち、後者を推し計るのにもっとも適当な経済指標です。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の消費者態度指数、前月比1.1ポイント上昇の35.3
内閣府が11日発表した6月の消費動向調査によると、消費者の購買意欲を示す一般世帯の消費者態度指数は前月比1.1ポイント上昇の35.3だった。前の月を上回るのは2カ月連続。前年同月と比べると7.2ポイント低下した。
内閣府は消費者心理の基調判断を「依然として厳しい」から「依然として厳しいものの、このところ持ち直しの動きがみられる」に変更した。
態度指数は消費者の「暮らし向き」など4項目について今後半年間の見通しを5段階評価で聞き、指数化したもの。全員が「良くなる」と回答すれば100に、「悪くなる」ならゼロになる。

次に、消費者態度指数のグラフは以下の通りです。上のパネルは全国の総合であり、季節調整済みの系列です。下は季節調整していない原系列の地域別の指数について、震災前後の下落と上昇をプロットしています。この調査の場合、調査時期の関係で震災後の底は九州・沖縄を別にして4月になります。なぜか九州・沖縄だけは5月が底ですが、これは無視して、2月から4月にかけての下落幅をマイナス部分の薄い色の棒グラフで示し、4月から6月にかけてのマインド改善幅を色の濃い棒グラフでプロットしてあります。

消費者態度指数の推移

まず、おさらいなんですが、先週金曜日に発表された景気ウォッチャー調査に現れるマインドは供給サイドなんですが、この消費者態度指数は需要サイドのマインドであると多くのエコノミストは受け止めています。グラフを見ても明らかなんですが、供給サイドのマインドである景気ウォッチャーが力強くV字回復し、震災前の水準を回復したのに対して、需要サイドの消費者態度指数は明らかに回復途上であり、震災目の水準から道半ばすら達していません。すなわち、サプライ・チェーンの棄損などの供給サイドの復旧はかなり進んだ一方で、需要サイドのマインドはいまだに十分な回復を示していないことが明らかです。

分野別消費者態度指数の推移

引用した記事にもある通り、消費者態度指数は、「暮らし向き」、「収入」、「雇用」、「耐久財買い時」の4つのコンポーネントから成り立っていますので、この4分野のそれぞれについて、地域別と同じように震災前後で変化幅、すなわち、2月から4月への下落幅と4月から6月への回復幅を示したのが上のグラフです。震災の持つスタグフレーション圧力は、特に、雇用ではデフレ圧力に現れますが、需要サイドのマインド4分野のうちで雇用の下落幅が最大であったにもかかわらず、その後の回復が思わしくないことが読み取れます。この雇用のマインド改善の遅れが需要サイド全体のマインド回復の阻害要因となっていることは明白でしょう。

最後に、本日午後、経済企画協会から「ESPフォーキャスト調査」の結果が発表されています。成長率見通しは先月から小幅に上方改定されており、エコノミストのマインドも着実に上向いているよう見受けられます。

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2011年7月10日 (日)

東野圭吾『真夏の方程式』(文藝春秋) を読む

東野圭吾『真夏の方程式』(文藝春秋)

東野圭吾さんの『真夏の方程式』を読みました。帝都大学湯川准教授のガリレオのシリーズに連なる最新作で長編です。キングの『アンダー・ザ・ドーム』に多大なる時間を要していたので、久し振りに本を読んだ気がします。我が家のおにいちゃんから回って来ました。いうまでもなく、ミステリーですので、ネタバレがないように気をつけたいと思います。
両親の都合で、夏休みを伯母一家が経営する旅館で過ごすことになった少年・恭平。その旅館「緑岩荘」は美しい海を誇る玻璃ヶ浦にあった。一方、湯川は海底鉱物資源の開発計画の説明会に会社側から招かれて、同じところに滞在していました。この旅館で、警視庁の退官した元刑事が死に、旅館経営者の家族の過去と滞在していた少年にまつわる物語が始まります。
いつものガリレオ・シリーズと異なるのは、第1に、帝都大学の研究室がまったく出て来ないところで、物語は湯川のいる玻璃ヶ浦と草薙や内海のいる東京でそれぞれに展開します。もうひとつ、第2に、めすらしいのは子供が嫌いでじんましんが出るとうそぶいている湯川が子供と仲良くペットボトル・ロケットの実験をしたり、この男の子の将来を大いに心にかけたりする点です。第3に、この作者の極めて強い順法精神に合致しそうもない結末を迎えます。私は特に交通法規については自由な解釈をしているんですが、この作者は『流星の絆』などに見られるように、作品の中では極めて強い順法精神を発揮しています。でも、この結末はひょっとしたら違うかもしれません。ほかにもあるんでしょうが、いろんな意味で異色のガリレオ・シリーズかもしれません。

もっとも、論理的に推理が展開する点については従来とまったく変わりありません。大いに楽しめます。多くの方が手に取って読むことを願っています。

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好投の能見投手に援護なし!

  HE
阪  神000000000 060
ヤクルト00000102x 350

さすがに首位ヤクルトに連勝は出来ませんでした。チャンスはいろいろとあったものの、好投の能見投手に何ら援護なく、首位チームと3位の差を見せつけられた気がします。さすがに青木外野手の実力を見せつけられました。8回ウラの投手起用に疑問がありますが、それも含めて選手とベンチの総合力でまだ少し東京ヤクルトや中日とは差があるのかもしれません。何とかAクラスに踏み留まっていただきたいものです。

火曜日からのジャイアンツ戦は、
がんばれタイガース!

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2011年7月 9日 (土)

積極的な走塁と完封リレーで東京ヤクルトに快勝!

  HE
阪  神000200121 670
ヤクルト000000000 042

遠く秋田の地方球場でヤクルトをひと飲みして快勝でした。先発のメセンジャー投手は立ち上がりの1回こそ不安定でしたが、6回を投げて2安打零封とほぼ完璧でした。その後も、中継ぎ陣をつないで完封リレーの完成です。打つ方は大きいのが出たわけではありませんが、セカンドゴロで生還した上本選手をはじめ、積極的な走塁が光りました。6番に落とされた新井内野手にもタイムリーが出て「めでたし、めでたし」でした。ナゴヤ・ドームの負け越しの少し嫌な雰囲気を一掃するに足る見事な勝利でした。

明日も勝って、2タテ目指して、
がんばれタイガース!

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米国雇用統計のグラフィックス

昨日、米国の労働省から6月の米国雇用統計が発表されました。非農業部門雇用者数は前月からわずかに18千人しか増加せず、うち民間部門は57千人にとどまりました。失業率は前月から0.1%ポイント上昇して9.2%に達しました。まず、New York Times のサイトから記事を最初の4パラだけ引用すると以下の通りです。

Job Growth Falters Badly, Clouding Hope for Recovery
For the second consecutive month, employers added scarcely any jobs in June, startling evidence that the economic recovery is stumbling.
All levels of government shed workers, and hiring by companies continued to slow, resulting in a meager 18,000 new nonfarm payroll jobs last month, the Labor Department reported on Friday. The government also revised downward the small gain for the previous month to 25,000 new jobs, less than half the original estimate.
Although the government's survey of employers showed a slight expansion in jobs, a separate survey of households found that more people were searching for work than in the previous month, causing the unemployment rate to rise to 9.2 percent from 9.1 percent in May.
Economists were stunned. They had been expecting job growth to strengthen in June as oil prices eased and supply disruptions caused by the Japanese tsunami and earthquake receded. Instead, the government's monthly snapshot of the labor market showed that several industries, including construction, finance and temporary services, shrank. At the same time, leading indicators like wages and the length of the average workweek, which tend to grow before employers begin adding more jobs, actually contracted.

次に、いつものグラフは以下の通りです。上のパネルは非農業部門の雇用者数の前月差増減をプロットしています。赤い折れ線が全体の雇用者増減で、水色は民間部門だけです。下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

米国雇用統計の推移

私だけでなく、おそらく多くのエコノミストは、極めて disapointing な結果であり、引用した記事にもある通り、stunned と受け止めています。市場の事前コンセンサスでは増加幅は10万人を上回るとの期待があり、ADP は15万人を超える結果となっていました。今回の景気回復局面における雇用動向の特徴なのか、そもそも景気の回復テンポが緩やか過ぎるのか、米国経済が2番底をつけに行くのか、いろいろと議論を呼びそうな数字です。

Jobless Recovery

最後に、New York Times のブログサイトである Economix をマネた Jobless Recovery のグラフは上の通りです。

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2011年7月 8日 (金)

力強くV字回復を示した景気ウォッチャー調査に見るマインドの改善は景気に先行するか?

本日、内閣府から6月の景気ウォッチャー調査結果が、また、財務省から5月の経常収支が、それぞれ発表されました。景気ウォッチャー調査のうちの現状判断DIはグンと改善して震災前の2月の水準を回復しましたが、国際収支は輸出の不振から貿易収支が赤字を続けており、経常収支の黒字幅は大きく縮小しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の街角景気、震災前上回る 猛暑・節電に商機
現状判断指数、改善幅は最大

内閣府が8日発表した6月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、足元の景気実感を示す現状判断指数は前月比13.6ポイント上昇の49.6と、3カ月連続で改善した。改善幅は統計を取り始めた2000年1月以降で最大。東日本大震災後に落ち込んだ消費マインドの回復に加え、下旬からの猛暑や節電に伴い省エネ関連やクールビズ関連の商品の売れ行きが好調だった。
現状判断指数の水準は震災前の2月(48.4)を上回り、10年7月(49.8)以来の高水準だった。内閣府は基調判断を「景気の現状は、震災の影響による厳しさが残るものの、持ち直しの動きがみられる」と総括し、2カ月連続で上方修正した。ただ「景気そのものが戻っているというには指標やデータを確認する必要がある」とも指摘している。
指数を構成する家計、企業、雇用ともに過去最大の伸び幅を記録し、大幅に改善した。地上デジタル放送への移行を控えた液晶テレビの駆け込み需要もみられた。震災後停滞していた部品・部材の供給改善に伴い、生産も急速に回復しているという。
2-3カ月先の先行き判断指数は4.1ポイント上昇の49.0。自粛ムードの弱まりによる購買意欲の回復や復旧・復興による需要を期待する声がある一方で、電力不足や福島第1原子力発電所事故の影響、原材料の価格高騰などを懸念する声も聞かれた。
調査は景気に敏感な小売業関係者など2050人が対象。3カ月前と比べた現状や、2-3カ月先の景気予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価してもらい、指数化する。今回の調査期間は6月25日から月末まで。
5月の経常黒字額、51.7%減 貿易収支の赤字響く
財務省が8日発表した5月の国際収支状況(速報)によると、経常黒字額は前年同月と比べて51.7%減の5907億円だった。所得収支の黒字額は拡大したが、貿易収支が2カ月連続の赤字だったため、3カ月連続で前年同月を下回った。
貿易赤字は7727億円で、前年同月の4027億円の黒字から大幅に減少、赤字に転じた。自動車など日本の主力産業の輸出が落ち込んでいる。原粗油や液化天然ガス(LNG)といった燃料の輸入が増えたことも、2カ月連続での赤字につながった。
サービス収支は176億円の赤字で、前年同月に337億円だった赤字額が縮小した。旅行者の減少が重しになる一方、東日本大震災に伴う保険会社の再保険金の受け取りが改善に寄与したという。これらを合わせた貿易・サービス収支は7903億円の赤字だった。前年同月は3689億円の黒字だった。
所得収支は前年同月と比べて57.5%増え、1兆4581億円の黒字だった。投資信託の分配金などに加えて債券の利子収入があったため。黒字幅が2カ月連続で拡大した。貿易赤字を所得黒字が支える構造が続いている。
財務省は、先行きについて「LNGや原粗油は原子力発電の代替エネルギーではあるが、今後は復興の需要としても増えてくる。どれほどのペースで復興が進むのか注視したい」としている。

次に、景気ウォッチャー調査のグラフは以下の通りです。一番上のパネルはヘッドラインとなる現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。真ん中と下のパネルは震災のあった3月をはさんだ動きを、真ん中のパネルでは地域別に、一番下のパネルでは分野別に示しています。マイナス方向のやや色の薄い棒グラフは今年の2月から3月にかけての現状判断DIの下落を示しており、逆に、プラス方向の濃い色の棒グラフは3月から6月調査までの回復の幅を示しています。

景気ウォッチャー調査の推移

見れば明らかですが、景気ウォッチャーの現状判断DIも先行き判断DIも震災のあった3月を底にして、5-6月にかけて見事なV字回復を示しています。DIですから方向が重要であって、水準は大きな意味はないというのが教科書的な解釈ですが、引用した記事にもある通り、6月の現状判断DIは2月のレベルを超えました。また、通常の解釈の通り、震災の影響の大きかった地域や分野、すなわち、地域では東北や関東、分野では自粛ムードの影響の大きかった飲食など、3月の震災で大きく落ちたものの、その後、6月までにほぼ同等の回復幅を示しています。もちろん、引用した記事にある内閣府のコメントの通り、これはマインド調査の結果であって、景気そのものの動向を示しているわけではないんですが、マインドは景気に先行するわけですから、景気の先行きにも大いに期待が持てると考えているエコノミストは私だけではないと思います。

経常収支の推移

さらに、経常収支とその内訳の貿易収支などの動向は上のグラフの通りです。青い折れ線グラフは経常収支をプロットしており、棒グラフはその経常収支の内訳の貿易収支などを示しています。グラフは季節調整済みの系列であり、引用した記事の季節調整前の原系列の記述と少し感触が異なる部分があるかもしれません。いずれにせよ、見れば明らかな通り、サプライ・チェーンの棄損などに伴う供給制約から輸出が振るわず、4-5月と貿易収支が赤字を記録し、経常収支の黒字幅が大きく縮小しているのが読み取れます。足元だけを見ると、供給制約が緩和されつつあり、6月には貿易収支が黒字を回復する可能性もありますが、もう少し先の2-4四半期先を考えれば、原発停止に伴う石油や天然ガス輸入の増加、あるいは、復興需要の輸入への漏出も考えられますから、経常収支が震災前の姿を取り戻すことはかなり難しいと私は受け止めています。もちろん、大きく円高の進んだ為替に依存する部分も小さくありません。

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2011年7月 7日 (木)

機械受注から先行きの設備投資を考える!

本日、内閣府から5月の機械受注統計が発表されました。いわゆるコア機械受注と呼ばれる船舶と電力を除く内需がGDPベースの設備投資の先行指標として注目されています。このコア機械受注は季節調整済みの系列で前月比+3.0%増となりました。基調判断は「持ち直し傾向にあるものの、一部で弱い動きがみられる」に据え置かれています。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の機械受注3%増 復興で建設・漁船など伸びる
内閣府が7日発表した5月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」(季節調整値)は7334億円となり、前月より3.0%増えた。2カ月ぶりの増加だが、東日本大震災を契機に投資の先送りやキャンセルに踏み切る動きもある。
機械受注統計は工場の生産設備などの受注額をまとめて算出する。船舶・電力分を除いた民間需要は、3カ月から半年ほど先の民間設備投資の動向を示すとされる。
業種別にみると、製造業が前月比1.4%減、非製造業が同5.4%減だった。いずれもマイナスだが「合計の値について季節変動をならすとプラスとなる」(内閣府)という。自動車・同付属品では投資を先送りする動きが出た。復興需要が当初の見立てより遅れていることから、鉄鋼業や一般機械も弱い動きとなった。
復興関連の建設機械などの受注は増えたが、内閣府は「持ち直し傾向にあるものの、一部で弱い動きがみられる」と基調判断を据え置いた。3月末時点では、4-6月期は前期比10.4%増えると予測していたが、「達成は非常に困難」と見ている。

次に、機械受注のいつものグラフは以下の通りです。新基準で利用可能な最近の推移を示しています。上のパネルはコア機械受注とその6か月後方移動平均の推移です。下のパネルは外需、製造業、船舶を除く非製造業の需要先別の機械受注の推移です。折れ線グラフの色分けは凡例の通りです。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた期間は景気後退期です。

機械受注統計の推移

5月のコア機械受注は+3.0%増とほぼ市場の事前コンセンサス通りの堅調な伸びを示したと私は受け止めています。4-6月期の10%を超える受注見込みは、設備投資の先送りや震災後のキャンセルなどで達成が極めて困難な情勢ですが、それほど悲観する必要もないと私は考えています。総合的に考え合わせて、多くのエコノミストの予想通りに、この秋ぐらいからGDPベースの設備投資は本格的な増加を始めると期待されます。ただし、外需や官公需も含めた機械設備への需要という観点からは、私には中国の景気動向が気がかりです。インフレ警戒感から金利引上げに踏み切ったところです。特に、中国をはじめとする新興国については、鉄鋼などの素材産業への影響が懸念されるところです。

震災による停滞はあったものの、設備投資は生産に伴って順調に回復しつつあります。雇用が改善して来れば景気の拡大も本格的な軌道に乗る可能性が高いと私は受け止めています。

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ナゴヤ・ドームで何とか一矢を報いる!

 十一 HE
阪  神00000000003 3100
中  日00000000001 142

家に帰って9時過ぎにテレビをつけると、11回表の阪神の攻撃中でマートン外野手が2点目のホームを踏んでいるところでした。試合展開はサッパリ分かりませんが、最後は榎田投手が1点を失いながらも締めてくれました。3つとも負けるのと一矢を報いるのとでは、特に、こういった競った試合を延長にもつれ込んでもビジターで勝つんでは、明日からの試合も含めて長いシーズンで大きな違いがあります。よくがんばりました。

がんばれタイガース!

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2011年7月 6日 (水)

勝負の分かれ目は6回の投手起用なのだろうか?

  HE
阪  神000012000 370
中  日00000500x 582

勝負を分けたのは6回表ウラの投手起用なんだという気がします。少なくとも、結果的にはそうなんでしょう。その次の7回にツーアウトながら1-3塁で中日4番の和田選手を迎えて、サッサと渡辺投手をつぎ込むみましたが、同じスタンスであれば、その前の6回に鶴投手が森野選手を歩かせた時点で投手交代があっても然るべきだったでしょうし、福原投手の投入ではなかったように感じます。私のようなシロートの目から見ても鶴投手は和田選手のところで限界の代え時だったと見ました。もちろん、距離的にも心理的にも最も近いところで監督やコーチが判断しているのは確かなんですが、私としては疑問に感じたとしか言いようがありません。
真弓監督は何度、同じ間違いをナゴヤ・ドームで繰り返せば気が済むんでしょうか?

明日は一矢を報いるべく、
がんばれタイガース!

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本日の日経経済教室の趣旨に賛同する!

一昨日、月曜日のエントリーでも主張しましたが、現在の内閣が進めている社会保障改革の最大の問題点は社会保障給付にほとんど手をつけずに、拠出や増税だけが先行している点だと私は考えています。それをもっと上品な表現で主張しているのが、本日の日経経済教室の「世代間の所得移転 縮小を」と題する小塩教授の主張であると私は受け止めています。まず、日経経済教室にもあったのと同じものも含めて、年齢階級別にみた所得再分配状況についてグラフをお示しすると以下の通りです。

年齢階級別にみた所得再分配状況

いずれもデータの出典は厚生労働省の平成20年「所得再分配調査報告書」であり、上のパネルは日経新聞の経済教室のグラフをマネており、データの出典は「報告書」の統計表 pp.31-32 の第4表 世帯主の年齢階級別所得再分配状況であり、横軸に世帯主の年齢階級を取って、縦軸には年間の税+社会保険料で定義される青い棒グラフの拠出と赤い棒グラフの給付を万円単位で示しています。下のパネルは「報告書」の第1章 p.10 表5 世帯主の年齢階級別所得再分配状況から取っており、横軸は世帯主の年齢階級である点は上のパネルと同じですが、水色の折れ線グラフの当初所得と緑色の折れ線グラフの再分配所得を示した上で、その差額を当初取得で除した再分配係数の棒グラフをプロットしています。黄色の棒グラフの再分配係数のみ右軸に対応しています。
上のパネルの拠出と受給を見れば、60歳を境に需給が拠出を上回っていることが読み取れます。下のパネルからも同様に60歳を境に再分配所得が当初所得を上回り、70歳以上になると再分配係数が200%を超える、すなわち、当初所得よりも社会保障で受給する方が2倍以上も多い、という結果が読み取れます。小塩教授の指摘する勤労世代から引退世代への世代間の所得移転が大きい事実が如実に示されています。

当初所得階級別の拠出と受給

では、所得階級別に再分配が行われているのかというと、必ずしもそうではないように見えます。上のグラフは「報告書」の第1章 p.7 表3 当初所得階級別所得再分配状況からデータを取っていますが、縦軸が年間の当初所得であり、横軸が年間の拠出と受給を示しています。さすがに、青の棒グラフで示した税+社会保険料の拠出は、明らかに、所得に従って増加している一方で、赤い棒グラフの受給の方は年収350万円を超えれば一定の規則性を見出すのが難しく、高所得層から低所得層への所得の再分配がなされているかどうかは極めて疑わしい、と結論せざるを得ません。最初に示した年齢別のグラフと考え合わせれば、所得階層に従った再分配ではなく、年齢で所得の再分配が決まっているような印象すら持ちかねません。ですから、社会保障給付の効率化を進めずに現行制度のままだと仮定すれば、たとえ、増税したとしても低所得層に財政リソースが向かうのではなく、無条件で高齢の引退世代につぎ込まれる可能性が高いと考えるべきです。私が現在の社会保障改革に疑問を呈している根拠でもあります。
なお、1点だけ本日の日経新聞経済教室の議論について補足しておけば、小塩教授は「社会保障には『自己破壊性』がある」として、社会保障が充実すれば子供に老後の世話になる必要が少なくなって非婚化や少子化が進み、社会保障制度が維持できなくなる可能性について書いていますが、私はより普遍的な表現として「フリーライダー」と称するべきであると考えています。すなわち、賦課制度の社会保障の下では、現役世代から引退世代へ所得移転が行われ、それは子供や子育て経験の有無に関係がありません。もしも、子育てにコストがかかるとすれば、自分では子供を作らずに他人が育てた子供が勤労世代に達した際の拠出で給付を受けようとする「フリーライダー」のインセンティブが生まれます。逆から考えれば、子育ては将来の社会保障財源を生み出す公共財であるといえます。伝統的な財政学に従えば、公共財は補助金を支給しなければ過小供給に陥ると考えられており、まさに、現代日本の少子化がそれを実証しているように見えるのは私だけではないと思います。しかし、月曜日のエントリーで指摘した通り、シルバー民主主義の政治的なパワーは「後期高齢者医療制度」を葬り去り、子ども手当にも反対しているように見えなくもありません。

景気動向指数の推移

最後に、社会保障から話題を転じて、上のグラフは今閣府から今日発表された景気動向指数の推移です。上のパネルがCI、下がDIです。報じられているように、CI一致指数は過去最大の上げ幅を記録しています。我が国の経済は震災前の状態に復旧しつつあるようです。

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2011年7月 5日 (火)

毎月勤労統計に示された雇用情勢から消費の先行きを考える

本日、厚生労働省から毎月勤労統計調査の結果が発表されました。5月速報です。所定外労働時間は減少を続けていますが、現金給与総額は3か月振りに前年同月比でプラスを記録しました。まず、統計のヘッドラインについて報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

現金給与、3カ月ぶり増 製造業の労働時間や残業代減少続く
厚生労働省が5日午前発表した5月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、従業員1人当たり平均の現金給与総額は前年同月比1.1%増の27万1621円と3カ月ぶりに増加した。建設業などで一時的に支払われた手当が増え、特別給与が67.7%増加したことが寄与した。一方で、製造業を中心に労働時間や残業代の減少は続いている。
残業代を示す所定外給与は3.3%減の1万7159円と2カ月連続で減少した。所定外労働時間は3.2%減の9.3時間と3カ月連続で減少。うち製造業は6.9%減の12.0時間と、減少幅は前月(7.9%減)と比べると縮小したものの生産活動の低下が響いている。ただ、製造業の所定外労働時間を季節調整して前月と比べると0.4%の増加と3カ月ぶりに増加に転じた。
基本給などの所定内給与は0.4%減の24万2975円、所定内労働時間は0.2%減の129.8時間だった。
厚労省は東日本大震災の発生を受け、宮城県と福島第1原子力発電所周辺の福島県の一部地域で規模5-29人の事業所への調査員による訪問調査を取りやめている。前月まで中止していた岩手県と福島県の一部地域では5月分から調査を再開した。被災3県の規模30人以上の事業所からの調査票回収率は前年同月と比べると70%程度。労働時間や労働者数の統計が、実態よりも高めに出ている可能性があると指摘している。

次に、統計からいくつか指標をピックアップして書いたグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整済みの所定外労働時間指数であり、影をつけた部分は景気後退期です。下は季節調整していない原系列の現金給与総額の前年同月比をプロットしています。

毎月勤労統計の推移

引用した記事にもある通り、被災3県での調査が万全ではありませんから、やや overestimate しているバイアスはあり得るものの、所定外労働時間が下げ止まりつつあり、給与についても建設業などの一部の業種で特別手当が支給されたことから、前年同月比でプラスを記録しました。雇用は消費の基礎となりますが、先行きの消費を占うもっとも大きなポイントは所得であり、次のポイントは自粛ムードなどのマインドであろうと私は考えています。雇用が底打ちして所得が上向くことが消費拡大の最大のサポート要因であり、年後半には雇用の改善が望めるのではないかと、私は個人的に期待を膨らませています。

2011年年夏休みの旅行動向

先行きの小委を占うもうひとつのポイントであるマインドについて、JTBから「2011年夏休みの旅行動向」と題するリポートが発表されています。このリポートから引用した上の表では、やや前年を下回りそうな調査結果が示されていますが、全体の分析として「旅行意欲は高く、国内・海外とも震災から回復の傾向」と結論されています。時間を経過するに従ってマインドが上向いて、自粛ムードも払拭される方向にあるように私は感じています。

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2011年7月 4日 (月)

「社会保障・税一体改革成案」からシルバー民主主義の政治的パワーを考える!

このブログで取り上げるのは少し遅れましたが、いろいろと議論のあった結果、広く報じられた通り、6月30日の政府・与党社会保障改革検討本部において、「社会保障・税一体改革成案」が決定され、翌7月1日に閣議了解されています。すでに、私のこのブログでは6月3日付けのエントリーにおいて「シルバー民主主義の下で社会保障はあくまで高齢者を優遇し続けるのか?」と題して、極めて高齢者に偏った現状の社会保障制度のままで増税しても、穴の開いたバケツに水を入れようとするようなものであり、しかも、バケツの穴からは高齢者に向けて貴重な財政リソースが大量にあふれ出してしまう、という旨の主張をしてあり、基本的に何ら新たに付け加える意見は持ち合わせません。しかし、ここで、簡単に我が国の社会保障の現状について国際比較を示しておくのも悪くないような気がします。以下のグラフは、社会保障・人口問題研究所の「平成20年度 社会保障給付費」から国際比較のデータを引用しています。

社会支出の国際比較

見れば分かると思いますが、2007年における各国の社会支出を政策分野別に比較しています。上のパネルは社会支出に占めるシェアを、下のパネルはGDP比を、それぞれ示しています。特に、「高齢」と「家族」に着目し、「障害」や「失業」あるいは「生活保護」などは一括してあり、上のパネルでは「その他」として表示し、下のパネルでは除外してあります。
まず、上のパネルから、我が国の社会支出では「高齢」が突出して高い比率を示している一方で、「家族」が米国にとほぼ同程度と極めて低い比率しか占めていないことが明らかです。下のパネルでは、取り上げられている6国のうち、日本の「高齢」社会支出はフランスに次いでGDP比で高く、北欧の高福祉国として知られているスウェーデンよりもGDP比で見て多くのリソースを割り当てられている一方で、「家族」分類については、これまた、米国とともに最低水準にあることが示されています。要するに、2010年代半ばに消費税率を10%に引き上げて増税しても、圧倒的に財政リソースは高齢者に配分される、と考えるべきです。
少し前に、圧倒的な高齢者の政治的パワーでいわゆる「後期高齢者医療制度」という高齢者に不利な政策変更が葬り去られましたが、現在、「子ども手当」にも大きな修正が加えられようとしています。この帰結としては、より多くの財政リソースが高齢者につぎ込まれる可能性を指摘しておかねばなりません。シルバー民主主義の政治的パワーは止まるところを知らないかのようです。世代間 inter-generation の観点から見て、引退世代に不利、あるいは、勤労世代に有利な政策変更は、ことごとくシルバー民主主義が阻止してしまう可能性すらあるのかもしれません。

私は昨年書いた紀要論文において、デーメニ式の投票制度は、「現行の民主主義のルール変更を迫るものであり疑問が大きい」と結論しましたが、このシルバー民主主義の圧倒的な政治的パワーを目の当たりにして、何らかの対抗手段が必要であると少し考えを変更しつつあります。

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2011年7月 3日 (日)

ワッハッハ! で横浜を3タテ!

  HE
横  浜000000000 070
阪  神60000400x 10141

まあ、初回に6点入れてエースの登板となれば、文句なしの3タテでした。最後は能見投手を温存しつつ、リリーフで出番の少なかった渡辺投手を繰り出すなど、余裕の采配だった気がします。
実は、6時過ぎにテレビをつけた時点ですでに 3-0 となっており、アレヨアレヨと 6-0 になり、2回の攻防を終えた段階でNHKにチャンネルを切り替えて、そのままニュース、「ダーウィンが来た」、最後にダメ押しで大河ドラマ「江」と、時折、ネットでスコアをチェックするくらいで、まったく野球は見ていませんでした。私の方も余裕の観戦でした。楽勝そのものという気がしますが、見る方にも緊張感が欠けていたかもしれないと反省しています。

今週はナゴヤ・ドームに行っても、
がんばれタイガース!

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ようやくスティーヴン・キング『アンダー・ザ・ドーム』(文藝春秋) を読み終える

スティーヴン・キング『アンダー・ザ・ドーム』(文藝春秋)

スティーヴン・キング『アンダー・ザ・ドーム』(文藝春秋)をようやく読み終えました。私はそれほど読むのが速くない方ですが、とっても時間がかかりました。実は、上下巻で6000円近くかかる本を買い求めたんですが、中学生のくせに生意気にもホラー小説好きの下の子が取り組んでいて、なかなか私には回って来そうもなかったので近くの図書館にいくつかリクエストを出しました。最初に配本されたのが我が港区立図書館で、次が新宿区立図書館、最後に手元にある渋谷区立図書館から借り受けて読み切りました。翻訳者さんの「訳者あとがき」で、『ザ・スタンド』と『It』に続いて3番目に長いキングの小説だとありました。私は前者は読んだことがありませんが、後者は読みましたので、トップ・スリーのうちの2冊を読破したことになります。何かのチャンスがあれば『ザ・スタンド』にも挑戦したいと考えています。出版社のサイトからあらすじを引用すると以下の通りです。

内容紹介
かの名作『It』『ザ・スタンド』に匹敵、巨匠が放つ新たなる代表作の登場です。小さな町を突如覆った透明な〈ドーム〉。わずかな微粒子を透過するのみで破壊不能、先端は高空に達し、地下深くまで続いている。やがて封鎖された町では独裁的人物が悪辣な陰謀をめぐらせはじめて……。キングが「アクセル踏みっぱなし」で書いたという本作、大作ですがダレるところは一切なし。徹夜の準備をととのえてお読みください。

上の引用にもある通り、作者が「アクセルを踏みっぱなし」で書いたそうですから、キングのファンには大いに読みごたえがある出来上がりとなっています。私はキングの作品はそれほど読んでいないんですが、それでも、私なりに批判的に読むべき部分として、ETというか、「スキンヘッド」がドームを作り出して、ジュリアなどの「懇願」により撤去したというのが仕方がないとしても、核ミサイルは発射して欲しかった気がします。村上春樹『1Q84』でチェーホフの言葉として「小説に銃が出て来たら発射されなければならない」という趣旨の記述がありますが、銃と核ミサイルは大いに異なるものの、この作品では核ミサイルも発射して欲しかった気がしないでもありません。また、ラスティへの誕生日プレゼントがCD-R50枚だったのは少し困りものです。せめて、DVDにして欲しかった気がします。ビッグ・ジムの最期について、もう少し信賞必罰的な死に方であった方がインパクトありそうな気がしないでもありません。それから、翻訳のポイントとして、登場人物が多いんですから、カタカナ表記が人名や地名などの固有名詞かそうでないかは、ある程度は判別しやすく努力すべきです。例えば、「ウェルシュコーギー」は犬の種類ですから、「ウェルシュコーギー種」と表記すると、ずいぶんと分かりやすいような気がしました。全部、終わりの方に関するコメントだったりします。

文句なく5ツ星なんでしょうが、私にはこの大作を要約して的確な論評を加える自信がないので、手に取ってお読みいただくしかりません。順番は別にして、先に言及した3つの区立図書館では少なくとも所蔵しているハズです。ほかにも、多くの図書館で見かけるような気がします。

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2011年7月 2日 (土)

先行逃切りのタイガースらしい野球で横浜に連勝!

  HE
横  浜001110001 4112
阪  神21012000x 6101

昨夜の倉敷から、今夜は甲子園に舞台を代えて、やっぱり、先行逃切りの本来のタイガースの野球で横浜に快勝です。初回、2回とホームランで計3点を先制し、何だかんだと両チームとも得点を重ねて、結局は、序盤の得点差のまま阪神が逃げ切りました。最後の藤川投手こと失点しましたが、ホールドのついた中継ぎ3投手はまずまずの内容で無失点で切り抜けてくれました。中盤までにリードしておけば、飛ばない統一球でホームランが大量に出るわけでもありませんから、終盤のリリーフ陣は安心して見ていられます。2003年や2005年にリーグ優勝した時の勝ちパターンだという気がします。
それにしても、ゴールデンウィークから1か月ほど前までは、まったく打線が振るわずBクラスを覚悟したんですが、今日のテレビの解説にもあった通り、打線が上向いて守備の動きまでよくなったような気もします。もっとも、鳥谷遊撃手の絵に描いたようなトンネルを久々に見たんですが、これも失点につながったとはいえご愛嬌かもしれません。横浜には交流戦前にまさかの3タテを食らっていますので、明日も勝って3タテして帳尻を合わせておきたいところです。

交流戦前の借りを返すべく、明日は3タテ目指して、
がんばれタイガース!

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2011年7月 1日 (金)

17安打10得点で横浜を爆砕!

  HE
横  浜000001000 130
阪  神10122103x 10171

1番マートン外野手と3番鳥谷遊撃手をはじめとする打線の爆発と岩田投手の8回1安打ピッチングで横浜に爆勝です。そろそろペナント・レースが中盤に差しかかる7月をとてもいい形でスタートを切りました。
8回表を岩田投手がゲッツーで切り抜けた段階で、私はお風呂に入ってしまったんですが、お風呂から上がってもまだ試合が続いており、しかも、久保田投手がマウンド上で投げているので、極めて深刻な事態が出来したのかと勘違いしてしまいましたが、スコアを見返すと、8回ウラに上本選手のホームランなどでさらに3点を加点していたことが判明しました。我が家の子供達も来週から期末試験ですので、以前ほど熱心には試合をフォローしていません。明日からは私自身でしっかりテレビ観戦したいと思います。

明日も明後日も勝って3タテ目指して、
がんばれタイガース!

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日銀短観ほか、失業率や消費者物価などの政府統計を振り返る

本日、日銀から6月調査の短観が発表されました。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは3月の+6から▲9と大幅に悪化してマイナスに転じました。震災でサプライ・チェーンに大きな被害を受けた自動車や電機などで下げ幅が大きくなりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業の景況感、5期ぶりマイナス 自動車など先行き回復
6月日銀短観

日銀が1日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でマイナス9となり、前回3月調査から15ポイント悪化した。マイナス転落は昨年3月調査以来、5期ぶり。東日本大震災で供給網(サプライチェーン)が混乱した自動車や電気機械で景況感が大幅に悪化。非製造業や中小企業でもDIが落ち込んだ。ただ、大企業製造業の3カ月先を予想するDIはプラス2となり、先行きでは悲観的な見方が後退している。
企業の業況判断DIは景況感を「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた値。前回3月調査では8割近い企業が震災前に回答したため、今回が震災の影響を反映した初めての調査となる。調査対象企業数は1万997社で、回答率は98.2%だった。DIは悪化したが、リーマン・ショック後の谷(2009年3月調査のマイナス58)と比べると落ち込みは限られている。
業種別では、大企業製造業の16業種のうち11業種で悪化した。生産が急減した自動車が前回調査より75ポイント低いマイナス52に悪化。悪化幅は比較可能な1993年2月以降で最大となった。電気機械、業務用機械、石油・石炭製品などの幅広い業種でDIが2桁を超える落ち込み幅となった。
DIがマイナス5と前回比8ポイント悪化した大企業非製造業は、12業種のうち8業種で悪化。電気・ガスのほか、自粛ムードの広がりで宿泊・飲食サービスなどでDIの悪化が目立った。
もっとも、3カ月先の先行きの景況感は現在より改善するとみている企業が多い。先行きDIは自動車が58ポイント上昇のプラス6、電気機械が18ポイント上昇のプラス2で、足元の落ち込みからV字回復する見通しになっている。
こうした回復見通しは11年度の収益計画にも表れている。大企業製造業の売上高は前年度比2.9%の増加、経常利益は同0.4%増で、それぞれ前回調査より上方修正された。上期の計画を下方修正する一方で、下期を大幅に上方修正する企業が相次いだ。
事業計画の前提となる想定為替レートは大企業製造業が11年度で1ドル=82円59銭と、過去最高の円高水準。現在はさらに円相場が上昇しているため、円高が長引けば収益計画の見直しが迫られる可能性も残る。
11年度の設備投資計画は大企業製造業で前年度比9.2%増と、前回調査と比べ小幅に上方修正された。大企業の設備投資計画は3月から6月にかけて上方修正される傾向があるものの、震災を受けても投資計画に大きな影響はなかった。

次に、業況判断DIの推移を製造業と非製造業に分けてグラフで示すと以下の通りです。見ての通り、上のパネルが製造業、下が非製造業です。企業規模の色分けは凡例の通りとなっています。

日銀短観における業況判断DIの推移

6月調査は震災の影響などにより大きく落ちた後、少なくともヘッドラインの大企業製造業は先行きプラスに転ずる、というのは昨日のエントリーで取り上げたシンクタンクなどの予想通りであり、特段のサプライズはありません。

日銀短観における設備・雇用判断DIと設備投資計画の推移

次に、雇用と節似の要素需要に関する企業マインドのグラフは上の通りです。一番上のパネルが製造業の設備判断DI、真ん中が雇用判断DI、下が大企業の設備投資計画です。昨年暮れから今年初めの震災まで、設備や雇用といった要素需要の改善テンポが少し緩やかになりましたが、徐々に企業マインドは改善し要素需要の増加につながると判断できます。時間がかかる可能性がありますが、雇用も改善に向かうことを期待しています。設備投資については6月時点で3月調査から大きく上方改定されました。年度後半の復興需要とともに設備投資が盛り上がる可能性が大いにあると私は受け止めています。

雇用統計の推移

さらに、政府統計に目を転じると、失業率有効求人倍率などの雇用統計は上のグラフの通りです。一番上のパネルが失業率、真ん中は有効求人倍率、下が新規求人数です。いずれも季節調整済みの系列ですが、失業率は岩手県・宮城県・福島県の被災3県を除いた統計となっています。失業率は0.2%ポイント改善したんですが、サンプル数が極めて小さいながら、岩手県の失業率が6.5%、宮城県が7.0%と試算されるなど、被災地域を含めれば失業率はもっと高いことが容易に想像されます。被災県を除外した失業率統計では統計の信頼性に対して疑問を生ずると私は考えていますので、早急な統計インフラの整備を望みたいところです。

消費者物価上昇率の推移

今夜の最後は消費者物価上昇率です。上のグラフの通りで、4月の統計から大きな変化はありません。生鮮食品を除くコアCPIは4月からプラスに転じていますが、この先、石油価格次第でプラス幅を縮小させる可能性がありますし、何よりも、8月末に公表される基準改定後の指数では、物価上昇率が再びマイナスに舞い戻る可能性も否定できません。

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