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2011年7月29日 (金)

本日発表された経済指標から日本経済の先行きを考える

今日は、月末閣議日ですので、さまざまな経済統計が発表されました。主要なところで今夜取り上げるのは、経済産業省から発表された鉱工業生産指数、総務省統計局から発表された失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計、そして、総務省統計局から発表された消費者物価指数です。いずれも6月の統計です。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の鉱工業生産指数、3カ月連続上昇 震災前に近づく
経済産業省が29日発表した6月の鉱工業生産指数(2005年=100、季節調整値)は92.7となり、前月比3.9%上昇した。上昇は3カ月連続。東日本大震災で寸断された部品や素材のサプライチェーン(供給網)の復旧が進み、自動車や電機といった主要産業で生産回復の動きが広がっている。出荷指数の伸び率は8.5%と過去最大となった。
与謝野馨経済財政担当相は29日の閣議後の記者会見で「引き続き日本経済は復調傾向にある」と述べた。生産指数の伸び率は民間予測の中央値(4.3%上昇)をやや下回ったが、水準は震災前の2月の95%まで戻った。経産省は基調判断を「回復しつつある」で据え置いた。
業種別にみると、輸送機械工業が18.5%上昇。国内に加え北米や欧州向けに普通自動車が3割近く伸びた。電子部品・デバイス工業は5.3%のプラス。テレビ向けの大型液晶パネルが6割の増産となった。これまで堅調だった一般機械工業は3カ月ぶりに減少に転じた。
出荷指数の前月比伸び率は8.5%と過去最高を記録した。自動車やテレビなどの需要が堅調で、生産の伸び以上に出荷が増加。在庫指数は2.8%低下した。
4-6月期の生産指数は前期比4.0%低下した。震災後の生産急減の影響が残り、4期連続のマイナスとなった。
経産省が同日発表した製造工業生産予測調査によると、7月は前月比2.2%、8月は2.0%上昇する見通し。夏場の電力不足や海外経済の減速懸念などもあり、生産の伸びはやや鈍りそうだ。
6月の失業率4.6%、2カ月ぶり悪化 職探し再開が増加
総務省が29日発表した6月の完全失業率(季節調整値、被災3県除く)は4.6%となり、前月に比べて0.1ポイント上昇した。悪化は2カ月ぶり。震災による経済の混乱が一服し、職探しを再開した人が増えたため、失業率が上昇した。有効求人倍率は前月に比べ0.02ポイント上昇の0.63倍と改善しており、全体としては労働市場も緩やかに持ち直している。
被災地の雇用情勢についてみると、有効求人倍率は岩手県が0.47倍と0.02ポイント上昇し、宮城県も0.53倍で0.07ポイント、福島県も0.57倍で0.07ポイントそれぞれ改善した。被災3県の改善ペースは全国平均を上回っている。一方で総務省が参考数値として試算した被災地の完全失業率は、岩手県が4.2%、宮城県が5.9%だった。ただ、両県とも一部の地域しか調査ができていない。福島県は労働力調査は再開できず、試算ができていない。
労働力調査を被災3県を除く全国ベースでみると、完全失業者数は289万人となり、前月に比べ6万人増えた。自発的に離職して失業者になった人が増え、全体を押し上げた。非労働力人口は前月より13万人減っており、総務省は「震災で仕事探しを様子見していた人が再び求職活動に乗り出したため、失業者が増えた可能性が高い」と分析している。
就業者数は前月に比べ4万人増の5963万人になった。前年同月比ベースで産業別の雇用をみると、製造業は11万人増と3カ月連続で増えているが、宿泊・飲食サービス業が19万人減と大幅に減っている。震災後に個人消費が低迷している影響が出ている。
ハローワークでの求人動向についてみると、新規求人倍率は1.00倍と前月に比べ0.02ポイント改善した。ただ、雇用の先行指数となる新規求人数は前月比0.7%減の64万人と3カ月ぶりに落ち込んだ。
6月の消費者物価、0.4%上昇 ガソリン価格上昇鈍る
総務省が29日発表した6月の消費者物価指数(CPI、2005年=100)は変動の大きい生鮮食品を除くベースで99.7となり、前年同月比で0.4%上昇した。3カ月連続で前年を上回ったが、伸び率は5月(0.6%)より縮まった。ガソリンや灯油の伸びがやや落ち着いたためだ。
6月はエネルギー価格の上昇が一服した。ガソリンは前年を7.1%上回ったが、5月(9.0%)に比べ上昇の勢いは鈍った。宿泊料は自粛ムードの影響が残り、3.2%下落した。食料とエネルギー価格を除いた総合指数(欧米型コア)は97.3となり、0.1%上昇した。
先行きは再び物価の上昇幅が拡大する可能性がある。総務省が同日発表した東京都区部の7月のCPI(中旬速報値)は、生鮮食品を除くベースで0.4%上昇した。伸び率は6月の0.1%から拡大した。
原油高で燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)が上がった外国パック旅行は18.2%上昇。小麦の国際価格高騰による製パン会社の値上げで、食パンは前年を2.2%上回った。

続いて、鉱工業生産指数の推移は以下のグラフの通りです。2005年=100となる季節調整済みの指数そのものです。影をつけた部分は景気後退期を示しています。3月の震災で大きく落ち込みましたが、その後、サプライ・チェーンなどの供給面が急回復を示しており、震災前水準に近づいています。また、グラフには示されていませんが、引用した記事にもある通り、先行きの製造工業生産予測調査によれば、7-8月も順調に生産は増産を続けると予想されており、今夏の電力供給の制約が生産に悪影響を及ぼす度合いは限定的と私は受け止めています。

鉱工業生産の推移

生産は回復を示していますが、それに伴う雇用の回復は緩慢です。下のグラフは雇用統計をプロットしています。上のパネルから、失業率、有効求人倍率、新規求人数で、いずれも季節調整済みの統計です。影をつけた部分は景気後退期です。グラフを見ても明らかに、生産の増加に比較して雇用の伸びが小さいのが見て取れます。特に、失業率については被災3県を除いた統計ですので、余り参考にならないような気がします。

雇用統計の推移

最後に、前年同月で比較した消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。青い折れ線グラフがコアCPIと呼ばれる生鮮食品を除く全国総合、赤がコアコアCPIのエネルギーと食料を除く全国総合、グレーが東京都区部のコアCPIです。棒グラフは全国のコアCPIの寄与度の内訳を示しています。色分けは凡例にある通りです。国際商品市況が日本のゴールデンウィークの当たりでピークを打ちましたので、少しずつ石油などが下落し始めており、消費者物価の上昇率も圧縮されつつあります。来月から発表される新基準でのコアCPIはマイナスに舞い戻ると私は受け止めています。

消費者物価の推移

大雑把に、日本経済は震災から順調に回復を示していると私は受け止めていますが、米国やギリシアの財政も含めて海外経済にはまだまだ不透明感が残り、円高が進むとともに、日本国内でも雇用の回復は遅れています。しかし、海外要因を別にすれば、年内くらいには景気は本格回復軌道に戻るのではないかと期待しています。

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