消費動向調査の消費者態度指数に現れたマインドの改善やいかに?
本日午後、内閣府から6月の消費動向調査の結果が公表されました。特に、この調査の中の消費者態度指数には需要サイドのマインドが現れており、先行き消費動向を考える上で注目すべきとこのブログで主張している所得とマインドのうち、後者を推し計るのにもっとも適当な経済指標です。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
6月の消費者態度指数、前月比1.1ポイント上昇の35.3
内閣府が11日発表した6月の消費動向調査によると、消費者の購買意欲を示す一般世帯の消費者態度指数は前月比1.1ポイント上昇の35.3だった。前の月を上回るのは2カ月連続。前年同月と比べると7.2ポイント低下した。
内閣府は消費者心理の基調判断を「依然として厳しい」から「依然として厳しいものの、このところ持ち直しの動きがみられる」に変更した。
態度指数は消費者の「暮らし向き」など4項目について今後半年間の見通しを5段階評価で聞き、指数化したもの。全員が「良くなる」と回答すれば100に、「悪くなる」ならゼロになる。
次に、消費者態度指数のグラフは以下の通りです。上のパネルは全国の総合であり、季節調整済みの系列です。下は季節調整していない原系列の地域別の指数について、震災前後の下落と上昇をプロットしています。この調査の場合、調査時期の関係で震災後の底は九州・沖縄を別にして4月になります。なぜか九州・沖縄だけは5月が底ですが、これは無視して、2月から4月にかけての下落幅をマイナス部分の薄い色の棒グラフで示し、4月から6月にかけてのマインド改善幅を色の濃い棒グラフでプロットしてあります。

まず、おさらいなんですが、先週金曜日に発表された景気ウォッチャー調査に現れるマインドは供給サイドなんですが、この消費者態度指数は需要サイドのマインドであると多くのエコノミストは受け止めています。グラフを見ても明らかなんですが、供給サイドのマインドである景気ウォッチャーが力強くV字回復し、震災前の水準を回復したのに対して、需要サイドの消費者態度指数は明らかに回復途上であり、震災目の水準から道半ばすら達していません。すなわち、サプライ・チェーンの棄損などの供給サイドの復旧はかなり進んだ一方で、需要サイドのマインドはいまだに十分な回復を示していないことが明らかです。

引用した記事にもある通り、消費者態度指数は、「暮らし向き」、「収入」、「雇用」、「耐久財買い時」の4つのコンポーネントから成り立っていますので、この4分野のそれぞれについて、地域別と同じように震災前後で変化幅、すなわち、2月から4月への下落幅と4月から6月への回復幅を示したのが上のグラフです。震災の持つスタグフレーション圧力は、特に、雇用ではデフレ圧力に現れますが、需要サイドのマインド4分野のうちで雇用の下落幅が最大であったにもかかわらず、その後の回復が思わしくないことが読み取れます。この雇用のマインド改善の遅れが需要サイド全体のマインド回復の阻害要因となっていることは明白でしょう。
最後に、本日午後、経済企画協会から「ESPフォーキャスト調査」の結果が発表されています。成長率見通しは先月から小幅に上方改定されており、エコノミストのマインドも着実に上向いているよう見受けられます。
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