米国の債務上限引上げに関する政府と議会の交渉を米国民はどう見たか?
米国の政府債務の上限設定に関する議会と政府の交渉がようやくまとまり、米国時刻の一昨日の月曜日に下院において、さらに昨日の火曜日に上院において、それぞれ債務上限引上げ法案が可決され、オバマ大統領も署名しました。米国政府は債務不履行を回避できることとなり、米国債の最上位格付けも維持される見通しとなりました。我が国ではもっぱら為替への影響が注視されていましたが、当然ながら、米国内外でも注目度は極めて高くなっています。もっとも、債務の上限を現在の14兆2,940億ドルから2兆1,000億ドル追加するとの結論の中身や日本経済、特に為替に及ぼす影響なんかは論じ尽くされている感がありますので、今夜の私のブログのエントリーでは大きく視点を変えて、米国民がこの Budget Negotiations をどのように受け止めたかについて、Pew Research Center と Washington Post の共同調査の結果を簡単に紹介したいと思います。まず、Pew Research Center のサイトから調査結果の最初のパラを引用すると以下の通りです。
Public Sees Budget Negotiations as "Ridiculous", "Disgusting", "Stupid"
From liberal Democrats to Tea Party Republicans, there is broad public consensus that the budget negotiations of recent weeks can be summed up in words such as ridiculous, disgusting, stupid, and frustrating. Nationwide, 72% describe the recent negotiations in negative terms such as these; while very few offer a positive (2%), or even neutral (11%), assessment. Other frequently used terms include terrible, disappointing, childish, and joke.
同じ Pew Research Center のサイトではこれらのキーワードを以下の画像に集約しています。
"Ridiculous"で思い出すのは、ハリー・ポッターのシリーズ第3話『アズカバンの囚人』、すなわち、ハリーがホグワーツの3年生だった時に闇の魔術に対する防衛術の教授だったルーピン先生がまね妖怪のボガートを撃退する際の呪文として生徒たちに教えています。一言でいうと「バカバカしい」という意味です。支持政党にかかわらず、多くの米国民が同じようにこの交渉を見ており、引用したリポートにもある通り、肯定的に受け止めている割合はわずかに2%ですし、中立的も11%に止まります。米国民のほとんどが否定的に受け止めているわけです。
目を国内に転じますと、よく似た現象が総理大臣の去就について生じているように私は感じています。私はやや驚いたんですが、毎日新聞のサイトでは特例公債法案の駆引きについて、「首相、続投ちらつかせ、けん制」なんて見出しが躍っていました。大がかりなアンケートなんぞを実施をしなくても、現下の政治情勢に起因する政策の停滞を国民がどのように受け止めているかは明らかではないでしょうか。
半年ほど前には順調に見えた世界経済と日本経済なんですが、今では再び下降線をたどる可能性も排除できません。我が国の財政に関する市場の評価がいつ何時にも豹変する可能性がつきまといます。しかし、現下の政策の停滞のために官庁エコノミストがここまでのんびりとした夏を迎えるのは、景気がピークを迎える直前の2007年以来かという気がします。
| 固定リンク
コメント