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2011年8月25日 (木)

池井戸潤『空飛ぶタイヤ』と『下町ロケット』を読む

池井戸潤『空飛ぶタイヤ』と『下町ロケット』

池井戸潤さんの『空飛ぶタイヤ』(実業之日本社刊) と『下町ロケット』(小学館) を読みました。後者は直木賞を受賞した作品です。従って、図書館では200人待ちでしたので買い求めました。前者は図書館で借りました。いずれも、東京にある町工場の中小企業と我が国を代表する財閥グループである三菱との関係を描き出したものです。なお、作者は慶大から三菱銀行のご出身だったりします。直木賞受賞作の『下町ロケット』には出版社の特設サイトが開設されています。なお、私は見ていませんが、いずれもWOWOWでドラマ化されているそうです。
『空飛ぶタイヤ』はトラックのタイヤが脱輪して町の運送業者が死亡事故を起こした後、トラック・メーカーの車の構造的欠陥やリコール隠しが明らかにされる過程を、『下町ロケット』では研究者としてロケット開発に携わっていた中小企業経営者が大企業の重工会社にロケットのバルブに関する特許で先行した上で、その部品を製造・納入する過程を、それぞれ、中小企業と大企業の対決の観点から取り扱っています。もちろん、熱血漢のそろった中小企業と官僚的な対応に終始する大企業というステレオタイプの取り上げ方ですが、読者の心に響くものがあります。中小企業と財閥系大企業という企業活動だけの切り口ではなく、中小企業経営者や大企業管理職の家族問題も実にうまく配置されています。

どちらも大いにオススメなんですが、どちらか1冊ということになれば、大企業の犯罪行為に焦点を当てて、やや社会的に暗い面を含んでいる『空飛ぶタイヤ』が直木賞候補で終わった一方で、未来に向けた夢のある宇宙開発の技術的な興味も含めて『下町ロケット』は直木賞を受賞し、コチラに軍配が上がるのは当然です。多くの方が手に取って読むことを願っています。

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