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2011年9月12日 (月)

企業物価と第3次産業活動指数から内外景気の動向を探る

本日、日銀から8月の企業物価が、また、経済産業省から7月の第3次産業活動指数が、それぞれ発表されました。いずれもやや下向きに変化し、内外景気の減速を示唆していると私は受け止めています。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月国内企業物価、前年比2.6%上昇 商品価格下落で伸び鈍化
日銀が12日発表した8月の国内企業物価指数(2005年=100、速報)は105.5と前年同月に比べ2.6%上昇した。11カ月連続の上昇だが、上昇幅は7月の2.9%に比べ縮小し、前月比では0.2%下落した。国際的な商品価格の下落に加え、円高により国内品に値下がりの動きが出始めているためだ。
項目別にみると、石油・石炭製品が前年同月比で18.0%上昇(前月比は1.5%下落)、非鉄金属は8.7%上昇(同2.3%下落)した。一方、情報通信機器は7.5%下落(同0.9%下落)した。
日銀は「前月比で下落ペースが続くとは考えておらず、横ばい圏内で推移する」(調査統計局)としている。
円高を背景に、円ベースでみた輸入物価は前月比2.4%下落。金属・同製品や木材・同製品の下落が目立った。円ベースの輸出物価は1.8%の下落だった。
企業物価指数は製品の出荷や卸売りの段階で企業同士が取引する製品の価格水準を示す。
第3次産業指数、4カ月ぶり低下 7月0.1%マイナス
経済産業省が12日発表した7月の第3次産業活動指数(速報、2005年=100、季節調整値)は98.4と、前月比0.1%低下した。低下は4カ月ぶり。6月に高速道路の無料化実験が終了したため通行台数が減り、運輸業が0.7%低下した。企業や家庭の節電意識の高まりで、電気料金の支払いが減り、電気業も1.5%低下した。

グラフは、まず、企業物価の上昇率です。上のパネルは国内・輸出・輸入の別で、下のパネルは需要段階別に素原材料・中間財・最終財で、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りです。いずれも季節調整していない原系列の前年同月比上昇率となっています。

企業物価の推移

次に、第3次産業活動指数の推移は以下のグラフの通りです。2005年を100とする季節調整済みの系列をそのままプロットしています。影をつけた部分は景気後退期です。

第3次産業活動指数の推移

国内物価の総平均や第3次産業活動指数が最新月でやや下向きに変化を示しているのが読み取れると思います。いずれも景気動向の減速に従った結果だと考えられますが、地域はやや異なります。すなわち、第3次産業活動指数は直接には国内景気の減速に対応しています。もっとも、欧米をはじめとする世界経済の減速を背景にして、その間接的な影響であることは明らかです。これに対して、企業物価はより直接的に世界経済の減速を反映した素原材料や輸入物価の上昇率低下に起因していますが、コチラは欧米先進国とともに新興国も含んだより広い範囲の世界経済の減速を反映しているといえます。

世界経済が新興国・先進国を問わず、我が国の内外で減速しつつあります。日本も震災に伴い復興需要は自律的な拡大要因かもしれませんが、10-12月期から来年にはこの余波を受けるのは当然です。さらに、近い将来に何らかの増税が始まる可能性も否定できません。

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