« 吉田修一『平成猿蟹合戦図』(朝日新聞出版) を読む | トップページ | 政府統計発表の集中日に生産・雇用・物価を評論する »

2011年9月29日 (木)

商業統計に見る個人消費の動向やいかに?

本日、経済産業省から8月の商業販売統計が発表されました。個人消費の供給サイドの統計である小売業の売り上げを見ると、政策効果の剥落や昨年の猛暑の反動などから、季節調整していない原系列の前年同月比で▲2.6%の減少10兆9480億円となり、3か月振りで減少を記録しました。また、季節調整済みの販売額指数でも前月比▲1.7%減と2か月連続でマイナスとなっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の小売販売額2.6%減 3カ月ぶりマイナス
経済産業省が29日発表した8月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は10兆9480億円で、前年同月比2.6%減少した。減少は3カ月ぶり。買い替え補助制度が終了する前の駆け込み需要が膨らんでいた昨年の反動で、自動車小売業の落ち込みが大きかった。月後半は暑さが和らいだため、エアコンや扇風機など節電関連の家電も伸び悩んだ。
自動車小売業の売り上げは18.8%減、家電など機械器具小売業は19.3%減と低調だった。地上デジタル放送移行前の駆け込みで売れていたテレビや対応チューナーなどの売り上げが反動で減ったことも響いた。
大型小売店の販売額は1兆5573億円で、1.8%減少した。減少は2カ月ぶり。百貨店では高級時計や宝飾品などに動きが見られたものの、クールビズ衣料の販売が一段落した。前年に比べ気温が低かったことから、スーパーでは飲料やアイスなどの販売が伸び悩んだ。

次に、いつものグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない販売額の前年同月比、下は季節調整済みの販売指数そのものです。いずれも、影を付けた部分は景気後退期で、青い折れ線が卸売業、赤が小売業です。

商業販売統計の推移

変動の大きい卸売業はさて置いて、消費の指標である小売業の動向については、震災によるショックからほぼ回復して、その後、この夏は伸び悩んでいます。第1の要因は政策効果の剥落です。もっとも大きな影響は、昨年9月半ばで終了したエコカー補助金と今年3月に終了した家電エコポイントであることはいうまでもありません。後者のうちのテレビについては、7月の被災3県を除く地デジ移行まで駆込み需要が続きましたし、前者の自動車については需要サイドだけでなく、今年3月の震災に起因してサプライ・チェーンなどの供給サイドから販売制約が生じたこともありました。ですから、自動車については季節調整していない原系列の前年同月比はマイナスながら、季節調整済みの統計では足元の前月比でプラスとなっている一方、テレビについてはいずれもマイナスとなっています。いずれにせよ、政策効果で需要を先食いして来たんですから、何らかの反動はあり得ると覚悟すべきです。
第2の要因は昨年の猛暑からの反動です。主として前年同月比がマイナスを記録したことの要因ですが、8月中旬まで続いた夏らしい暑さが下旬には気温が低下しましたので、衣類などが弱い動きを示しています。節電需要とクールビズ需要は8月下旬から息切れした、と世間一般で報道されている通りです。細かく見ていませんが、飲料やアイスクリームなどもそうかもしれません。

GDPベースの消費を考える場合、小売販売が物販中心ですから、サービス消費の動向も重要な役割を果たします。例えば、今年の夏休みレジャーについては、何かの報道で「近場で涼」という見出しを目にしましたし、外食はかなり停滞しているような報道も見かけました。そうだとすれば、サービス消費は盛上りに欠けている可能性もあります。消費の不調を補いに余りある復興需要で、7-9月は大きなプラス成長を記録するんでしょうか?

|

« 吉田修一『平成猿蟹合戦図』(朝日新聞出版) を読む | トップページ | 政府統計発表の集中日に生産・雇用・物価を評論する »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/207184/42120919

この記事へのトラックバック一覧です: 商業統計に見る個人消費の動向やいかに?:

« 吉田修一『平成猿蟹合戦図』(朝日新聞出版) を読む | トップページ | 政府統計発表の集中日に生産・雇用・物価を評論する »