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2011年10月27日 (木)

商業販売統計に見る政策効果の反動は深刻か?

本日、経済産業省から9月の商業販売統計が発表されました。私が消費の先行指標として注目している小売業の売り上げは底堅いながらもやや減少しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

小売業販売額、9月は1.2%減 エアコンの販売減響く
経済産業省が27日に発表した9月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は10兆5710億円で、前年同月比1.2%減少した。減少は2カ月連続。エアコンの販売減などで、機械器具小売業の落ち込みが大きかったことが響いた。
機械器具小売業の販売額は同21.4%減で、過去4番目の大きな下落幅になった。残暑が厳しく家電エコポイント制度の特需もあった前年の反動でエアコン・冷蔵庫などの販売が落ち込んだ。今年7月に一部地域を除いてテレビの地上デジタル放送に完全移行し、地デジ対応製品の販売が減ったことも響いた。
大型小売店の販売額は1兆4725億円で同2.5%減少した。減少は2カ月連続。内訳をみると百貨店の販売額は秋物衣料の不調などで同2.6%減。スーパーの販売額も台風などの影響で同2.4%減った。

次に、商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の前年同月比増減率、下のパネルは季節調整した2005年=100となる指数系列です。いずれも赤い折れ線が小売販売、青が卸売販売で、影を付けた部分は景気後退期です。

商業販売統計の推移

引用した記事にもある通り、小売業が停滞している主因は機械器具小売業となっています。報道にもある通り、9月はエアコンの販売不振なんですが、もう少しさかのぼればテレビということになります。いずれもエコポイントで需要を先食いした商品に反動減が生じていることはいうまでもありません。また、テレビについてはエコポイントだけでなく、地デジ化に伴う駆込み需要も発生しました。さらに、家電エコポイントだけでなく、昨年9月半ばの受付で終了したエコカー補助金についても政策効果の剥落とともに反動減が生じています。下のグラフの通りです。

機械器具小売業と自動車小売業の推移

上のパネルは季節調整していない売上げの前年同月比増減率、下は季節調整した指数をそれぞれプロットしています。どちらもよく似た動きですが、エコカー補助金については昨年8-9月までの政策効果が切れた後、実に素直に販売不振に陥り、今年3月の震災に起因するサプライチェーンの毀損等の供給制約によって再び販売が縮小し、政策終了から1年を経過した最近時点でようやく販売動向が戻ったように見えます。また、テレビやエアコンなどのエコポイント商品を含む機械器具の売上げについても、制度の変更に従った駆込み需要が見られ、特に、昨年12月からのエコポイントのほぼ半減に伴って、11月に極めて大きな需要の山が観察されます。テレビの地デジ化に伴う需要も今夏に発生した後、8-9月と大きく落ち込んでいるのはグラフに見える通りです。エコカー補助金も家電エコポイントも政策終了とともに販売が落ち込むのは同じ構図といえます。現時点から見れば需要の先食いや反動減と受け止める向きがあるのは確かですが、この政策効果をトータルでどのように評価するのか、決して否定的な評価ばかりではないと私は考えています。一定の期間にわたる社会的厚生の評価にはもう少し時間をかける必要がありそうな気もします。

日銀政策委員の大勢見通し

最後に、商業販売統計から離れて、上の表は日銀政策委員の大勢見通しを「経済・物価情勢の展望」 p.16 から引用しています。追加緩和策が、長期国債買入れのため資産買入れ基金の規模を現在の50兆円から55兆円に5兆円増額と、極めてケチくさいとしかいいようながく、10兆円提案の宮尾委員が反対したのも当然かもしれません。相変わらず、日銀の小出しの緩和策はマーケットではまったく評価されず、為替相場は対ドルで75円台に張り付いたままです。赤字垂流しの財政政策と小出しの緩和策しか打ち出せない金融政策が為替相場を円高に誘導していることがまだ理解できないんでしょうか。それとも、理解していてどうしようもないんでしょうか?

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