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2011年10月12日 (水)

大幅に増加した機械受注は設備投資の盛上りを示唆しているのか?

本日、内閣府から8月の機械受注統計の結果が発表されました。コア機械受注、すなわち、電力と船舶を除く民需がGDPベースの設備投資の先行指標と見なされています。8月のコア機械受注の結果は市場の事前コンセンサス+4.6%増を大きく超えて+11%増の8049億円を記録しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注8月11%増 市場予想大幅に上回る
内閣府が12日発表した8月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」(季節調整値)は8049億円となり、前月比で11.0%増えた。増加は2カ月ぶりで、市場予想(4.7%増)を大幅に上回った。スマートフォン(高機能携帯電話)や自動車など製造業がけん引したためで、内閣府は機械受注は「持ち直し傾向にある」との判断を据え置いた。
機械受注統計は機械メーカーから、工場の生産設備などの受注額を聞き取り算出する。船舶・電力を除くベースの民間需要は、3カ月から半年ほど先の民間設備投資の先行指標とされる。
「船舶・電力を除く民需」は昨年8月(12.8%増)以来の高い伸び。業種別に見ると、製造業が13.7%増えた。電気機械や情報通信機械がスマートフォン向けの半導体製造装置を発注。自動車は生産体制の正常化を受け、東日本大震災の発生直後に見送った投資に動いた。
円高で先行き不安が強い化学工業や鉄鋼業は、小幅な増加にとどまった。非製造業は6.1%減少。前月の鉄道車両の大型受注の反動が響いた。
東日本大震災の復興関連では、自家発電用の発電機や運搬機械・建設機械などの受注がみられた。ただ今のところ「断片的な動きにしかなっていない」(内閣府)。
内閣府が6月に調査した7-9月期の「船舶・電力を除く民需」の見通しは前期比0.9%増。仮に9月が前月比10.0%減となっても見通しを達成できる。日銀の企業短期経済観測調査(短観)を見ても、企業の設備投資計画は堅調だが、円高が長期化すれば日本企業の投資意欲が鈍る可能性もある。

続いて、いつもの機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルが電力と船舶を除く、いわゆるコア機械受注とその後方6か月移動平均の推移、下は外需、製造業、電力と船舶を除く非製造業の需要者別機械受注の推移です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。また、縦軸の単位は兆円です。

機械受注の推移

第1に、月次の振れの大きい統計ですから6か月後方移動平均で見てると、今回のびっくりするような前月比2ケタ増は、決して、従来からのトレンドに比べて大きく上方シフトしたわけではない、と理解すべきです。すなわち、2009年3月の景気の谷から少し遅れて回復過程に入ったコア機械受注は、引き続き、着実な回復過程にあると考えられます。第2に、下のパネルから読み取れるのは、製造業中心の回復であり、非製造業まで機械受注の回復が及んでいない点には注意が必要です。もっとも、これまた、従来からの同じ傾向が続いているといえます。好調な製造業からの受注は外需を反映している可能性があり、円高と世界経済の失速で先行きは不透明感が残りますが、復興需要が本格化すれば設備投資の回復に伴って機械受注も増加を続ける可能性があります。国内の指標すべてについていえることですが、国内要因である復興需要と世界経済の失速の綱引きになります。もちろん、強さとともに持続性も注目すべきです。

単独で取り上げる機会を失しましたが、ノーベル経済学賞はサージェント教授とシムズ教授に授賞されました。いずれも立派な業績を残してノーベル経済学賞にふさわしいエコノミストなんですが、少しカップリングに違和感を覚えるのは私だけなんでしょうか?

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