そろそろ企業向けサービス価格上昇率はプラスに転ずるか?
本日、日銀から9月の企業向けサービス価格指数 (CSPI) が発表されました。前年同月比で見て▲0.1%の下落までマイナス幅を縮小しました。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
9月の企業向けサービス価格、0.1%低下
日銀が26日発表した9月の企業向けサービス価格指数(2005年=100、速報値)は、96.3と、前年同月比0.1%低下した。前年比のマイナスは36カ月連続。マイナス幅は08年9月以来の小幅だった。中・大型車を対象にした東北地方の高速道路無料化が8月末で終了、有料道路が5.3%上昇したことなどを反映した。
企業向けサービス価格指数は、輸送費や不動産賃貸料、情報通信など企業間で取引するサービスの価格水準を示す。
大阪圏で事務所の契約更新時の値下げ改定が進み、「不動産」が3.9%低下した。一方、東日本大震災後に落ち込んでいた「4媒体広告」は、テレビ広告で住宅や小売り関連を中心に回復し、2.7%上昇した。
今後は、東日本大震災の復興需要の本格化が価格上昇要因になる一方、海外情勢の不透明感や円高による企業の経費削減姿勢によって価格が低下する可能性もある。
次に、国内企業物価とともに前年同月比上昇率をプロットしたグラフは以下の通りです。青い折れ線グラフが国内企業物価、赤が企業向けサービス価格指数です。2003-04年の国際商品市況の上昇あたりからサービス価格指数が乖離を始めています。
丸3年36か月連続の前年同月比マイナスを記録しましたが、とうとう、マイナス幅は▲0.1%に達しました。もっとも、高速道路無料化が8月で終了したため、有料道路の寄与度が前月比の前月差で+0.05%ありますし、震災復興に付随するのかどうかは不明ながら、足元では測量を含む土木建築サービスに寄与も大きくなっています。また、一時は震災に起因する「自粛」の影響を受けていた広告も上昇の兆しを見せています。現時点では何とも言えないながら、需給ギャップの縮小に基づくカギカッコ付きの「健全」な価格上昇ではないかという希望を持っています。
明日の金融政策決定会合では追加緩和策の決定が見込まれています。逆に、米国がQE3を始めれば、場合によっては、1ドル72円というウワサも聞きました。日銀の追加緩和は、それ自体として、景気拡大の効果は薄い可能性がありますが、為替のチャンネルを通じて、円の増価を防止するという観点も必要です。金融政策ほどダイレクトな効果はありませんし、為替に対する影響だけではないんですが、財政政策の赤字垂流しもそろそろ考え直す時期に来ているような気がしてなりません。為替市場への介入のような暴力的な政策に頼るだけでなく、タイトな金融政策とルーズな財政政策が円高を招いている一因であると認識すべきです。
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