« 毎月勤労統計に見る雇用動向やいかに? | トップページ | キース・ジャレットのソロCDを買いに行ってデフレと内外価格差を実感する »

2011年11月 2日 (水)

グールド『ぼくは上陸している』上下(早川書房)を読む

グールド『ぼくは上陸している』上下(早川書房)

2002年に亡くなったグールド教授のエッセイ集『ぼくは上陸している』上下を読みました。まず、出版社のサイトから本の紹介文を引用すると以下の通りです。

〈ハヤカワ・ポピュラー・サイエンス〉1901年9月11日の出来事を描いた表題作から、ナボコフの蝶研究にまつわる誤解、フロイトの未発表の生物学論文についてなど、名手の連作エッセイの最後を飾る珠玉の31篇

人文学の広い知識をもとにした独特のスタイルで進化生物学を語ってきた科学者グールド。本書はその彼が真骨頂を発揮した、作家生活25周年の集大成である。

『ロリータ』の著者ナボコフは、蝶の分類の専門家としての顔も持っていたが、多くの文芸評論家に誤解されている。その誤解とは? ダーウィンの代表的な弟子である進化生物学者ランケスターが、なぜマルクスの葬儀に出席したのか? 熱烈な進化論者ヘッケルのとてもわかりやすく大評判になった――が、必ずしも正確ではなかった――著書の余白に、進化論の反対論者だったアガシが残した言葉とは? ウィットに富み、蘊蓄を織り交ぜたエッセイは、読者をいつしか科学の愉しみへといざなう。

2002年に惜しまれながら亡くなった著者の、最後の科学エッセイ集。

著者であるハーバード大学グールド教授は生物学者であり、いうまでもなく、20世紀後半の戦後を代表する知性の1人であり、非常に分かりやすい文章をものにするサイエンス・ライターです。このブログでも5年超以前の2006年1月26日付けのエントリーでグールド教授の名を高めた論文のひとつを引用しています。グールド教授の専門の進化論に関する論文で、今では、出版社のご厚意で pdf ファイルにより一般に広く公開されています。以下の通りです。

日本人には想像もつかないような米国の科学教育の現状、すなわち、つい先ごろの20世紀に至るまで、また、地域によっては現在でも、聖書で説かれた神による創造説と矛盾するビッグバン宇宙論や進化論に対する反対論が強い現状、聖書が科学よりも優先される、なんてことは理解が及びません。著者のグールド教授は進化論を十分に理解した科学者であることはいうまでもなく、自ら「筋金入りのリベラル」を自任し、不合理な論調を完膚なきまでに反論を加えます。何回かこのブログでも表明しましたが、私も経済学という科学に対して経済に関する迷信やオカルトが存在し、専門教育を受けていない人々の間にまだまだ影響力を持っている現状を知っているつもりです。

上下2巻からなる本書はボリュームとしても適当ですし、31篇からなるエッセイは極めて上質で、私のような専門外の目で見ても、かなり分かりやすく解説されています。読み始めれば一気に読めてしまいます。上下で5000円ほどと高価な書籍ではありますが、かなり多くの図書館に所蔵されているようですので、多くの方が手に取って読むことを願っています。

|

« 毎月勤労統計に見る雇用動向やいかに? | トップページ | キース・ジャレットのソロCDを買いに行ってデフレと内外価格差を実感する »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/207184/42817081

この記事へのトラックバック一覧です: グールド『ぼくは上陸している』上下(早川書房)を読む:

« 毎月勤労統計に見る雇用動向やいかに? | トップページ | キース・ジャレットのソロCDを買いに行ってデフレと内外価格差を実感する »