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2011年11月18日 (金)

とうとう The Economist にも取り上げられた日本の世代間格差

私が従来から指摘している勤労世代と引退世代の世代間格差について、日本のメディアは何らかの理由によって意識的にか無意識にか、あるいは、まったく気付かないのか、無視しているんですが、どうも The Economist は気付いたようです。"Japan's economy: Whose lost decade?" と題する最新号の記事を取り上げたいと思います。満開のサクラの下にあるベンチに初老の夫婦がにこやかに座っている写真が記事の内容のシンボルとして使われています。なお、適確にも、副題は "Japan's economy works better than pessimists think - at least for the elderly" となっています。そうなんです。日本社会はシルバー・デモクラシーによって高齢者がトクをするように出来ているんです。まず、The Economist のサイトから記事の最初の2パラを引用すると以下の通りです。

Japan's economy: Whose lost decade? | The Economist
THE Japanese say they suffer from an economic disease called "structural pessimism". Overseas too, there is a tendency to see Japan as a harbinger of all that is doomed in the economies of the euro zone and America-even though figures released on November 14th show its economy grew by an annualised 6% in the third quarter, rebounding quickly from the March tsunami and nuclear disaster.
Look dispassionately at Japan's economic performance over the past ten years, though, and "the second lost decade", if not the first, is a misnomer. Much of what tarnishes Japan's image is the result of demography-more than half its population is over 45-as well as its poor policy in dealing with it. Even so, most Japanese have grown richer over the decade.

記事では、東大の伊藤隆敏教授やコロンビア大学のワインシュタイン教授への取材も盛り込みつつ、現在の財政赤字は人口動態起因しる部ぬんがあり、すなわち、高齢者の増加に従って、年金や医療費などの社会保障費が大きく増加した一方で、税収が減少しているのだから、赤字が大幅に増加して当然と結論しています。しかし、高齢者は負担の増加や給付の削減を拒否している一方で、少数派の若年層は長期的な利害を実現するための政治的な影響力を何ら持たない、と実に適確に分析しています。すなわち、8パラ目で "Officials say the elderly resist higher taxes or benefit cuts, and the young, who are in a minority, do not have the political power to push for what is in their long-term interest." との政府関係者の発言を引いています。一応、念のためですが、私も政府の Official ながら、取材は受けていませんし、この記事の "Officials" には含まれていません。でも、考えていることはほとんど同じだったりします。我が同僚にも同じ理解をしている人がいることを力強く感じています。出来れば、私なんかと違って、政策策定により大きな影響力のあるポストに就いている人達であることを望んでいます。さらに、「政治主導」のご時世の下、主導する政治家の理解が進むことが何よりも必要です。海外メディアですら報じ始めた「シルバー・デモクラシーに基づく高齢者優遇」を国内で取り上げるのは、このブログの次はどこでしょうか?

And the laggard is...

もっとも、現状に対する判断は私にかなり近いものがある一方で、結論は彼我で大きく違っているように見えます。The Economist の方は、記事の中で上のグラフを示しつつ、生産性が低下しているのは困りものだが、まずまず、GDP総額でも1人当たりでもプラス成長しているのだし、欧米に比較して失業率はずいぶんと低いし、中年以上の日本人には結構は話ではないか、ということで、例えば、10パラ目で、"In short, Japan's economy works better for those middle-aged and older than it does for the young. But it is not yet in crisis, and economists say there is plenty it could do to raise its potential growth rate, as well as to lower its debt burden." と結論しています。生産性を上げたり、債務残高を低下させたりするには、いろんな手段があるというわけです。でも、ほとんど実行されていなかったりします。

The Economist がホントに能天気に日本経済を楽観視しているのか、それとも、シニカルに皮肉を込めて逆説的な記事にしているのか、私には判断がつきません。受け止める日本人の側の問題なのかもしれません。

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