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2011年12月15日 (木)

日銀短観で明らかになった企業マインド悪化の原因は何か?

本日、12月調査の日銀短観が発表されました。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは9月調査から▲6ポイントの大きな悪化の結果、▲4となりました。欧州債務危機に起因する海外経済の失速に加え、円高の打撃による輸出産業の景況感が悪化し、製造業を中心に企業マインドの冷え込みにつながったと考えています。ただし、大企業非製造業の業況判断DIは+4と、9月調査より+3ポイント改善しました。内需中心に上向いているのかもしれません。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

景況感、半年ぶりマイナス 日銀12月短観
日銀が15日発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でマイナス4となり、前回9月調査から6ポイント悪化した。マイナスは半年ぶり。欧州債務危機による世界景気の減速懸念や円高の長期化、タイの洪水の影響で輸出企業を中心に景況感が落ち込んだ。先行きDIもマイナス5と慎重にみる企業が多い。
企業の業況判断DIは景況感を「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた値。大企業製造業のDIは9月調査でプラス2と、東日本大震災後の落ち込みからいったん浮上したが、欧州危機や円高の影響で持ち直し基調に水を差された。
大企業製造業のDIは全16業種のうち10業種で悪化。特に電気機械は、海外景気の減速による世界的なIT(情報技術)関連製品の在庫調整の影響で、16ポイント悪化のマイナス21と落ち込んだ。非鉄金属や石油・石炭製品も大幅に悪化。ただ自動車は回復基調が続き、7ポイント上昇のプラス20だった。
一方、大企業非製造業のDIはプラス4と前回比3ポイント上昇した。全12業種のうち10業種で改善。震災で打撃を受けた消費や旅行などが徐々に回復しているのを受け、宿泊・飲食サービスなどが持ち直した。今年度補正予算の執行による復興需要もあって、建設は3ポイント上昇した。
3カ月先の先行きDIでは、全産業で慎重な見方が多い。大企業製造業でマイナス5と小幅悪化を見込むほか、大企業非製造業は4ポイント悪化し、DIがゼロになる。
中小企業のDIは今回、製造業で3ポイント上昇してマイナス8まで持ち直したが、先行きはマイナス17と再び悪化を見込む。復興需要が支えとなる大企業の非製造業以外は、3カ月先もDIは軒並みマイナス圏内にとどまる。
企業心理の重荷になっているのは、欧州危機による世界景気の減速懸念と、1ドル=78円近辺で長期化する円高だ。事業計画の前提となる2011年度の想定為替レートは大企業製造業で1ドル=79円02銭と、調査開始以来、最高の円高水準となった。年度上期の想定は80円26銭で、下期は77円90銭。円高がさらに長引けば、競争力の低下で輸出が落ち込み、生産に影響が広がるおそれがある。
こうした懸念は11年度の収益計画にも表れた。大企業製造業の経常利益は前年度比6.7%減と、前回の0.3%減から大幅に下方修正。11年度の設備投資計画も大企業全産業で前年度比1.4%増と、前回から1.6ポイントの下方修正となった。

まず、ヘッドラインの業況判断DIについて、製造業と非製造業の産業別かつ規模別のグラフは以下の通りです。見れば分かると思いますが、上のパネルが製造業の規模別業況判断DI、下が非製造業の規模別です。折れ線グラフの色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期です。

日銀短観業況判断DIの推移

この12月調査の短観で意外だったのは、非製造業の足元12月の業況判断DIが9月調査から改善したことではないでしょうか。しかも、大企業非製造業だけでなく、中堅企業や中小企業でも非製造業は+4から+5ポイントの幅でそれぞれ企業マインドの改善を示しています。非製造業は建設、不動産などの12業種で構成されていますが、大企業・中堅企業・中小企業のそれぞれの規模別で10業種以上が9月調査から12月調査で改善しています。7-9月期の2次QEの発表時に復興需要の遅れを指摘しましたが、さすがにこの時期に至って、足元で復興需要が内需を押し上げていることが統計的に示された可能性が高いと私は受け止めています。もっとも、先行きについては大企業非製造業でも▲4の落ち込みが見込まれています。非製造業の足元マインドが底堅いこととともに、製造業・非製造業とも先行きが悪化することが特徴です。

日銀短観設備・雇用判断DIの推移

いつも気になっている遅行指標の要素需要に関する判断DI、すなわち、設備と雇用に関する判断DIと設備投資計画のグラフは上の通りです。一番上のパネルが設備判断DI、真ん中のパネルが雇用判断DIで、どちらもプラスが過剰感、マイナスが不足感をそれぞれ示しています。一番下のパネルは調査時期別の設備投資計画の推移です。設備については過剰感の払拭にブレーキがかかっています。雇用についてはかなり過剰感が薄れて、特に、中堅・中小企業については過剰感は+2から+1とほぼなくなりつつあります。深刻なのは設備の方で、収益計画が大企業製造業で前年度比▲6.7%減、大企業非製造業で▲10.6%減と、いずれも9月調査から大きく下方に見直されたこともあり、2011年度の設備投資計画はかろうじて前年度比でプラスを維持したものの、9月調査から大幅に下方修正されました。

日銀短観新卒採用計画の推移

6月調査と12月調査で実施される新卒採用計画の最近の推移は上のグラフの通りです。リーマン・ショックのあおりを受けて2010年度が大幅に減少した後、今年初の2011年度にはプラスに転じ、2012年度は大企業と中堅企業でプラスを維持し、中小企業ではマイナスが見込まれています。雇用については各企業とも、設備よりは先行きも明るい見通しが立てられているのかもしれません。

ヘッドラインとなる大企業製造業の先行きに関して、3月の先行きで業種別に最大の落ち込みを示しているのは電気機械の▲13ポイントです。しかし、自動車は足元の12月調査で+7ポイントの改善を記録して+20となった後、3月にかけてもさらにマインドが改善すると見込まれています。重量税などの優遇策はホントに必要なんでしょうか?

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