タイの洪水は11月で乗り切って景気判断は来月にも上方改定か?
本日、内閣府から11月の景気動向指数が発表されました。タイの洪水の影響でCI一致指数は低下したものの、CI先行指数は上昇しています。まず、統計のヘッドラインを報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。
11月の景気一致CI、2カ月ぶり低下 12月は判断引き上げも
内閣府が11日発表した2011年11月の景気動向指数速報(CI、2005年=100)は景気の現状を示す一致指数が前月比1.1ポイント低下の90.3だった。低下は2カ月ぶり。昨年10月にタイで発生した洪水による影響が国内の生産や出荷の落ち込みにつながった。
タイの洪水被害で自動車やデジタルカメラを中心に部品のサプライチェーン(供給網)が途絶え、生産と出荷が大きく落ち込んだ。自動車向けの鉄鋼も生産が減少したほか、生産の落ち込みに伴って所定外労働時間が短くなったこともマイナスに寄与した。
一方で、数カ月後の先行きを示す先行指数は前月比0.9ポイント上昇の92.9と4カ月ぶりにプラスに転じた。首都圏の分譲マンションなど新設住宅着工が好調だったことがけん引した。
またタイの洪水被害で供給が停止した自動車に加え、世界的な需要減退で落ち込んでいた半導体など電子部品で出荷が伸び、最終財と生産財の在庫率が改善したことも先行指数を下支えした。
景気に数カ月遅れる遅行指数は0.1ポイント上昇の82.8。法人税収入が増加したことが寄与した。
内閣府は基調判断を「下げ止まりを示している」に据え置いた。タイの洪水被害は11月で一服したとみている。一致CIでは過去7カ月の移動平均が2カ月連続で高い伸びを示したことから、12月分もプラスならば「基調判断を上方修正する可能性が高い」(内閣府)という。
次に、いつものグラフは以下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数、下はDI一致指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。
ここ1年足らずの間では、昨年3月の震災や10月のタイの洪水に起因する供給制約、欧州などからの海外要因に起因する需要面からの下押し圧力、ようやく始まった復興需要の顕在化など、さまざまな要因が複雑にからみ合って、景気動向はやや不安定な動きを示しているように見受けられますが、引用した報道にもある通り、景気動向指数による判断基準のひとつである7か月後方移動平均が高い伸びを示していますから、12月統計の発表の際にも、現在の「下げ止まりを示している」という基調判断が上方修正される可能性があります。
11月の景気動向指数一致指数では、有効求人倍率や大口電力使用量がプラスに寄与した一方で、テレビの家電エコポイントの反動やタイの洪水に伴って、耐久消費財出荷指数、商業販売額(小売業)、鉱工業生産指数などがマイナスに寄与しました。私はタイ現地の情報は詳しくありませんが、報道を見る限り、タイの洪水被害は11月で一段落したように聞き及んでいます。
いずれにせよ、何度か繰り返した通り、この先の景気動向は復興需要に支えられた好調な内需のプラス効果と欧州経済などの海外経済の失速と円高による外需のマイナス効果の綱引きになります。
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