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2012年1月12日 (木)

2か月連続の貿易赤字と縮小を続ける経常収支、また、景気ウォッチャーはどう動くか?

本日、財務省から経常収支をはじめとする11月の国際収支が、また、内閣府から12月の景気ウォッチャー調査結果が、それぞれ発表されました。また、景気指標ではありませんが、昨日、厚生労働省から2011年の賃金構造基本統計の都道府県別調査結果が公表されています。まず、長くなりますが、経常収支と景気ウォッチャーについて日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

11月の経常収支85.5%減 2カ月連続の貿易赤字響く
財務省が12日発表した昨年11月の国際収支速報によると、モノやサービス、配当、利子など海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1385億円の黒字となった。前年同月比85.5%の大幅な減少で、黒字幅は9カ月連続で縮小した。タイの洪水や海外経済の減速で電子部品や自動車などの輸出が減り、輸出から輸入を差し引いた貿易収支が2カ月連続で赤字となったことが響いた。
貿易収支は前年同月から8413億円減り、5851億円の赤字となった。輸出は3.1%減の4兆9909億円で2カ月連続のマイナス。アジアや欧州連合(EU)向けが不振で、半導体・電子部品やデジタルカメラなどの動きが鈍かった。輸入は14.0%増の5兆5760億円。液化天然ガス(LNG)や原油の価格上昇が響いた。
輸送などの動向を示すサービス収支は1151億円の赤字だった。東日本大震災以降、訪日外国人数の減少に歯止めがかかっていない。企業が海外投資から受け取る利子や配当などを示す所得収支の黒字額は13.0%増の9340億円。証券投資で得た配当金の増加などで黒字幅は8カ月連続で拡大した。
輸出はなお減少が続いている。財務省が12日発表した12月上中旬の貿易統計速報によると、輸出は前年同期比8.3%減の3兆5086億円。輸入の増加も続き、貿易収支は4965億円の赤字となった。
12月の街角景気、2カ月ぶり改善 年末商戦けん引
内閣府が12日発表した2011年12月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、足元の景気実感を示す現状判断指数は前月比2.0ポイント上昇(改善)の47.0と2カ月ぶりに改善した。年末商戦の売り上げや復興に伴う求人が好調だったことがけん引した。
現状判断は指数を構成する家計、雇用が上昇した。年末年始に加えてクリスマスも連休となったことで年末商戦が好調だった。また「12月はコートやジャケットなどの売り上げが増加した」(四国の衣料品専門店)と気温低下で冬物衣料の販売が伸びたことも、家計の景気判断の改善につながった。
雇用も改善し、東北を中心に「がれき処理や住宅等の復興関連の雇用が盛ん」(東北の新聞求人広告)なほか、介護分野での人手不足を補う動きが続いた。
企業では製造業を中心に「現状の為替水準では全く採算がとれない」(東北の一般機械器具)と円高が収益を圧迫する姿が残る。一方で「タイの洪水に伴う特需によって増産しており、出荷量は増加している」(東海の輸送用機械器具)と前向きな声もあった。タイ洪水に関して「マイナスのコメントはほとんどなかった」(内閣府)という。
先行き判断指数は0.3ポイント低下の44.4と6カ月連続で悪化した。復興需要への期待が強い企業と雇用部門では改善。しかし「円高や放射能汚染がいまだに影響」(九州の観光型ホテル)や「増税問題をはじめ、先行きが不透明」(近畿の一般レストラン)とのコメントが並んだ家計部門の悪化が響いた。
政府・民主党内で消費増税を巡って議論が紛糾した12月の調査では、先行きを判断するにあたり、消費税に触れるコメントが119件と前の月の23件から急増。ほとんどのコメントが、家計部門で先行きへの警戒を強める内容だった。
内閣府は景気の現状に対する基調判断を「円高の影響もあり、持ち直しのテンポが緩やかになっている」から「円高の影響が続く中で、緩やかに持ち直している」に表現を変更したが、判断は据え置いた。
調査は景気に敏感な小売業関係者など2050人が対象。3カ月前と比べた現状や、2-3カ月先の景気予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価して指数化する。今回の調査は12月25日から月末まで。

次に、経常収支のグラフは以下の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その経常収支のコンポーネントが寄与度として積上げ棒グラフになっています。色分けは凡例の通りです。すべて季節調整済みの系列ですから、引用した記事で報じられている季節調整していない原系列の統計と少し感触が異なるかもしれません

経常収支の推移

経常収支のコンポーネントの中では、投手収益収支が安定的に毎月1兆円くらいの黒字を記録しているのに対して、グラフでは黒で表わされている貿易収支が足元で赤字になっている点が注目です。特に、月次統計で見る限り、2008年9月のリーマン証券の破綻後の時期の貿易赤字よりも、昨年3月の震災直後や昨年10月以降のタイ洪水に伴う供給制約に起因する貿易赤字の方が大きくなっています。引用した記事にもある通り、12月上中旬の通関統計でも貿易あ収支は赤字を記録しています。もちろん、円高の進行が貿易赤字に輪をかけていることはいうまでもありません。

景気ウォチャー調査の推移

景気ウォッチャー調査はやや不透明な動きを示していると私は受け止めています。上のグラフの通り、12月調査では現状判断DIは上昇したものの、先行き判断DIが低下しました。家計部門では家電エコポイント終了の反動によりテレビが不調だったものの、衣類などの年末商戦が好調で、さらに、ようやく顕在化した復興需要が建設などの雇用を押し上げて現状判断DIはプラスとなっています。先行き判断DIは家計部門では飲食や住宅がマイナスに転じています。企業部門でも円高が重しになって不透明感が払拭されていないと私は受け止めています。

都道府県別の賃金格差

最後に、賃金構造基本統計調査から2011年の都道府県別賃金の格差を男女計の所定内給与額で見たのが上のグラフです。東京を100%として、所定内給与の低い順にソートしてあります。報道では見かけないグラフですが、上のグラフから分かる点がいくつかあります。まず、もっとも低賃金の青森と沖縄は東京の賃金の60%を割っています。そして、東京の80%に届くのは、グラフでは奈良以降の10に満たない府県です。何と、東京の次に位置する神奈川でも東京の90%には達しません。当然ながら、賃金格差の原因をどう考えるかにより政策対応は異なります。東京以外の労働者の生産性が低いことが原因であれば職業訓練が必要ですし、東京には労働の賦存が少なくて労働力が希少であると見なすのであれば地方から東京への労働移動の円滑化を重視すべきです。全国でほぼ一律の利子率を実現している我が国経済ですから、賃金格差の原因と対応策は後者であろうと私は考えています。ただし、経済学でいうところの混雑をいかに回避するかを忘れるべきではありません。

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