上野の国立博物館に北京故宮博物院200選展を見に行く
今日は、朝から氷雨をついて、上野にある国立博物館で開催されている「北京故宮博物院200選展」に行きました。お目当ては、当然ながら、「清明上河図」だったんですが、余りの行列の長さに日和ってしまいました。記憶は不確かなんですが、小学生のころに行った1970年の大阪万博の月の石以来の行列だった気がします。すなわち、9時半開館の少し前の9時過ぎに到着したにもかかわらず、すでに入館まで60分待ちの上、さらに、「清明上河図」を見るためには館内に240分待ちの行列が出来ており、焦点を書道作品に切り替えて「清明上河図」は諦めました。1月24日までの展示ですから、上野で見ることは出来ないだろうと思います。下の画像は国立博物館のサイトから引用した神品「清明上河図」の一部です。ホンモノは約24センチ幅で全長約5メートルあり、773人が描かれているそうです。でも、日和った私がいうのもナンですが、「康熙帝南巡図巻」などもイイセン行っていたような気がします。
「清明上河図」を除く展示は第1部が「故宮博物院の至宝 - 皇帝たちの名品」、第2部が「清朝宮廷文化の精粋 - 多文化の中の共生」と題して、第1部で書跡、絵画、陶磁器などが、第2部で礼制文化、宗教、国際交流などが取り上げられています。書道作品では黄庭堅などの見事な草書が見られます。もっとも、第1部では絵画などを除いて、陶磁器や漆器も含めて、皇帝の愛用品、というか、実用品であり、私が「書道作品」と呼ぶものも、楷書の多くは実は公式文書だったりします。でも、流麗な行書と草書の混じった見事な作品が多く展示されていました。これだけでも入場料金は十分にもとが取れた気がします。さらに、私の興味の範囲で第2部の宗教についても、チベット仏教に由来する「乾隆帝文殊菩薩画像」などはかなり見ごたえがありました。
ついでながら、今回の展覧会は通常の意味でも経済学の意味でも「混雑」を生じていました。待ち時間がやたらと長かったです。エコノミストはよく市場メカニズムの導入ということで、例えば、上の需要と供給のグラフを示して超過需要の発生を抑えるための料金引上げの必要性などを説きますが、私はこういった市場原理主義的な解決方策には疑問を持っています。もっとも、保育園の待機児童などは就業による所得の発生と保育料が比較衡量されますから、超過需要の発生があれば公定料金の引上げが有力な解決策になることは私も認めますが、文化事業では料金引上げにより需要と供給を一致させる必要性は乏しいと感じています。低廉な料金設定により国民のより多くが文化的な作品を鑑賞できるようにするのも政府の政策目標のひとつとすべき理由があります。北京まで見に行くことを考えればコストは格段に低く抑えられているわけです。でも、これだけ待ち時間が長いと、ディズニー・リゾートのファストパスのように、料金は高いが待ち時間が短い種類の選択肢があれば、さらに望ましい気がしないでもないですが、営利企業が運営するアミューズメントパークと公的な機関が開催する展覧会の違いは当然にあり、「金持ち優遇」のような批判が起こる可能性は否定できません。悩ましいところです。
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