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2012年1月31日 (火)

生産が増産に転じた一方、失業率は上昇するも悲観の必要なし

昨日付けの日経新聞「今週の予定」では実に適確にも今日は「統計発表集中日」と表現されていました。その通り、経済産業省から鉱工業生産指数が、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が発表されています。いずれも昨年12月の統計です。まず、各統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

鉱工業生産、12月4%上昇 「タイ洪水の影響解消」
経済産業省が31日発表した2011年12月の鉱工業生産指数(05年=100、季節調整済み)速報値は93.6と、前月に比べて4.0%上昇した。2カ月ぶりのプラス。タイ洪水による部品不足などが解消したことで、自動車や電機の生産が回復した。1月以降も増産の見通しだが、円高や欧州危機などによる外需落ち込み懸念もある。
生産指数は市場の事前予測の中央値(2.9%の上昇)を上回った。経産省は「タイ洪水が国内の生産活動に与える影響は、ほぼ解消した」としている。
12月の生産回復を主導したのは輸送機械工業。北米向けの普通乗用車などが堅調で12.3%と2カ月ぶりに上昇した。情報通信機械工業は5カ月ぶりに伸び、34.8%プラスだった。タイ洪水で深刻な影響を受けていたデジタルカメラの部品供給が復旧したほか、カーナビゲーションでは国内での代替生産が進んだという。
11年通年の生産指数(05年=100、原指数)は91.1と前年に比べ3.5%低下だった。昨年は東日本大震災が起きた3月に過去最大となる15.5%のマイナスを記録し、タイ洪水があった11月も2.7%の減産だった。ただ、部品や素材のサプライチェーン(供給網)を復旧する動きは早く、震災後の4月にはプラスに転じた。同日発表した1月の製造工業生産予測調査によると、1月は2.5%、2月は1.2%の上昇を見込む。ただ2月には輸送機械工業などでマイナスを見込む。経産省は基調判断を「横ばい傾向」に据え置いた。
失業率4.6%に悪化、求人倍率は改善 12月
総務省が31日発表した2011年12月の完全失業率(季節調整値)は前月比0.1ポイント悪化し4.6%となった。厚生労働省が同日発表した12月の有効求人倍率(同)は0.71倍で、前月比0.02ポイント改善した。雇用情勢は東日本大震災後に持ち直す傾向にあるが、円高や海外経済の減速で改善に向けて一進一退の動きが続いている。
完全失業者数は299万人で前月よりも3万人(1%)増加した。自発的に離職した人は4万人増の102万人だった。就業者は全体で3万人減の6246万人でほぼ横ばいだった。「復興需要などで新規求人が増え、職探しを再開する人が増えている」(厚労省)という。
11年平均の被災3県を除く完全失業率は4.5%となり、前年比で0.5ポイント改善した。完全失業者数は33万人減の284万人。企業業績は持ち直しつつあり、勤め先の都合などによる「非自発的な離職者」が減った。年平均の有効求人倍率は0.65倍と前年比0.13ポイント上昇し、2年連続で改善した。

次に、いつもの鉱工業生産指数のグラフは以下の通りです。上のパネルは2005年を100とする鉱工業生産指数そのもの、下のパネルは輸送機械を除く資本財と耐久消費財の出荷指数です。いずれも季節調整済みの系列で、影を付けた部分は景気後退期です。

鉱工業生産の推移

生産と出荷は11月統計に現れたタイ洪水の影響を脱して、リバウンドの要素も無視できないものの大きく上昇しました。さらに、引用した記事にもある通り、製造工業生産予測調査では1-2月も連続で増産を続けると見込まれています。昨年は震災やタイ洪水などの供給制約が顕在化しましたが、今年は需要面が生産を決定する通常の動きに戻りそうです。取りあえずは、生産動向については欧州経済のソブリン危機と円相場に注目なのかもしれません。

在庫循環図

ついでながら、昨年1年間は振り返らなかったんですが、鉱工業生産指数の出荷と在庫を使った在庫循環図は上の通りです。日銀では縦軸と横軸を反対にして反時計回りを使いますが、私は政府に勤務する官庁エコノミストなので時計回りの在庫循環図です。昨年10-12月期には出荷が前年同期比マイナスになりましたので、第4象限に入っています。色のやや薄い黄緑の矢印です。2010年中の動きは供給制約に起因していますので、第1象限に戻る可能性もありますし、需要が減速すればこのまま在庫循環が第3象限に進む可能性も否定できません。

雇用統計の推移

最後に、雇用統計の動きは上のグラフの通りです。上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列で、影を付けた部分は景気後退期です。なお、失業率は震災の影響で3-8月は被災地を除いた統計となっています。失業率が0.1%ポイント上昇していますが、自己都合退職が増加しており、引用した記事にもある通り、職探しを再開する人が増加している動きが背景にあり、必ずしも悲観すべきではないと受け止めています。有効求人倍率は緩やかながら着実に上昇を続けています。全体として雇用情勢は極めて緩やかながら改善を示していると私は受け止めています。生産が増産を維持できれば雇用も改善を続けると私は楽観しています。

このブログでは取り上げませんでしたが、今日は家計調査も公表され、2月13日の10-12月期GDP速報に必要な統計がほぼ出そろいました。外需に足を引っ張られてマイナス成長、というのが大方のエコノミストの見方ですが、経常収支が出た後にでも日を改めて焦点を当てたいと思います。

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