住宅を取得するとどんな消費が伸びるのか?
かなり旧聞に属する情報ですが、先々週の1月12日に住宅金融支援機構から「住宅取得に係る消費実態調査」が発表されています。リポートのその名の通り、住宅取得に際してどのような消費が伸びるかをアンケート調査しています。なお、前回調査が2003年ですから、ずいぶんと間が空いていますので、前回との比較は意味もないと考えます。今夜のところは2011年調査の結果について簡単に見ておきたいと思います。
まず、上のグラフは住宅取得に際して、耐久消費財の購入額を1世帯当たり万円単位でプロットしています。新築系が中古よりも購入額が多く、また、建売やマンションよりも一戸建て世帯の購入額が多いのは、いずれも所得の大きさに依存しているのであろうと私は解釈しています。ただし、前者の中古より新築で購入額が大きいのは、この場合は住宅に備付けのものがすでにある可能性も否定できません。
新規購入品目 | 新規購入世帯比率 |
カーテン | 76.8% |
照明器具 | 60.9% |
ルームエアコン | 53.2% |
テレビ | 51.9% |
応接セット | 45.2% |
じゅうたん・カーペット | 44.2% |
時計 | 43.5% |
ふとん | 41.6% |
食堂セット | 40.0% |
ベッド・ソファーベッド | 35.6% |
パソコン | 33.3% |
電気掃除機 | 30.1% |
電話機 | 29.5% |
電気冷蔵機 | 29.2% |
電気洗濯機 | 28.4% |
次に、何を購入したのかについて、購入世帯割合が高い品目を上位15品目まで取ると上の表の通りです。家具や家電製品が高い比率で購入されているんですが、実は、購入世帯当たりの購入額では乗用車(新車)と太陽光発電システムが、それぞれ、購入世帯比率は14.2%と8.5%しかないにもかかわらず、購入金額では2,418.2千円、1,773.1千円と、この2品目だけ購入世帯当たりの購入額が100万円を超えます。住宅取得の際に思い切って大物消費が実行されるということなのかもしれません。
この大物消費の中で、最近、よくコマーシャルを見かける太陽光発電に着目したのが上のグラフです。住宅購入の際の太陽光発電の導入率を示していますが、実に、高所得層と目される「一戸建て(新築)」の購入者は6世帯に1世帯の割合で太陽光発電を導入しています。原発が次々と停止して行く中で、電力まで各世帯の自己責任で調達せねばならないのであれば、ますます格差が広がりかねないと私は心配しています。
最後に、政府経済見通しである「平成24年度の経済見通しと財政運営基本的態」とともに、経済財政の中長期試算が今日の閣議にかけられたハズなんですが、前者の見通しは資料がアップされている一方、私の興味の対象である後者のリポートは、今夜7時半の時点でまだ内閣府のサイトに見当たりません。情報が利用可能となった時点で、日を改めて簡単に取り上げるべく予定したいと思います。
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