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2012年2月 7日 (火)

IMFリポートの「ユーロ圏危機の深刻化で中国経済失速」は日本にも当てはまるか?

国内の多くのメディアに北京発の共同電でキャリーされていますが、昨日、2月6日に国際通貨基金 (IMF) 北京事務所から「中国経済見通し」China Economic Outlook が発表され、ユーロ圏の債務危機により世界経済の成長率が1¾%ポイント低下するというダウンサイド・シナリオが実際のものとなれば、このブログでも1月25日に取り上げた「世界経済見通し」で2012年8.2%、2013年8.8%と見込まれていた中国の成長率が2012年に4%ポイントほど落ち込む可能性があると指摘されています。
今年の経済見通しについては、何となくの「ダボス・コンセンサス」で、出典をメモしておくのを忘れたんですが、そう悪くない not so bad というのをどこかで見かけました。メルケル独首相はオープニング・スピーチで緊縮財政と経済自由化の必要性を強調し、ユーロ圏の債務危機も何とか乗り切って、米国は先週の雇用統計で示されたように、まずまずの回復を示しており、やや悲観シナリオが後景に退いた印象を持っていたんですが、世界経済の成長エンジンである新興国の、そのまた、ど真ん中に位置する中国経済に関する悲観論を惹起しかねない論調ですし、このブログは国際機関のリポートを取り上げるという特徴もあることですから、簡単に見ておきたいと思います。
日本国内で注目された中国経済失速の結論をリポート p.5 パラ9から引用すると、"In the downside scenario outlined in the WEO Update - which would see global growth falling by 1¾ percentage points relative to the baseline - China's growth would fall by around 4 percentage points." ということになります。日経新聞の記事など、国内メディアの報道はこの中国経済失速までだったんですが、Wall Street Journal の記事などで触れられているように、リポートでは、さらに続きがあります。すなわち、中国の財政にはまだ財政政策による景気浮揚 fiscal stimulus の余地があるとして、2012-13年にかけてGDP比3%くらいの景気浮揚策を準備しておく必要性を示唆しています。リポートでは、"China should be prepared to tolerate modestly lower growth in the near term while cushioning the impact on the most vulnerable through targeted transfers and unemployment benefits. A fiscal package - of around 3 percent of GDP - should be the principal line of defense." ということになります。要するに、リポートの p.6 から引用している下のグラフの通りです。ダウンサイド・シナリオの際の中国のGDPについてベースラインからの乖離率をプロットしていて、赤い波線はダウンサイド・シナリオそのもの、青い実線はダウンサイド・シナリオなるも財政政策による景気浮揚を図った場合です。

Effect on China Output

ここで、ユーロ圏の債務危機に起因するダウンサイド・シナリオの顕在化による世界需要の下振れリスクは同様のショックを日本にももたらす可能性が十分にあります。当然です。ですから、今夜のエントリーのタイトルに対する答えは、当然、"Yes, it does." ということになります。中国と日本の相違点は、日本の場合は確実に成長率がマイナスにまで悪化するということと、何よりも、財政余力がないことです。

Change in Gini Index, Last Two Decades

また、外的ショックが中国の国内リスクを顕在化させる可能性を指摘し、特に、資産価格低下のリスクを上げています。早い話がバブル崩壊が生じる、というか、外的ショックに伴って、より早期にバブルが崩壊するリスクです。その場合に、住宅の1次取得者や低所得層への影響も勘案する必要があるとし、リポートでは p.8 に上のグラフを掲げて、中国における格差の拡大がアジアの中でも大きい点を指摘しています。

景気動向指数の推移

最後に、本日、内閣府から12月の景気動向指数が発表されました。上のグラフの通りです。耐久消費財出荷指数や鉱工業生産財出荷指数が上昇に寄与しており、内閣府は一致指数の基調判断を「下げ止まり」から「上方への局面変化」に変更しています。

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