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2012年3月31日 (土)

和田新監督の初勝利を祝す!

  HE
DeNA100001000 290
阪  神00000300x 340

阪神タイガースが今季2戦目で和田新監督初勝利でした。誠におめでとうございます。
昨夜は守護神藤川投手が救援に失敗し、何とか引分けに持ち込んだものの初勝利は今日にお預けとなりました。今日の試合も勝ち味は遅かったものの、6回のチャンスに4番打者の長打で勝ち越し、今日はセットアッパーの榎田投手、クローザーの藤川投手ともに、ややヒヤヒヤする場面もありましたが、最後は両投手が無失点で締めくくりました。

明日も、
がんばれタイガース!

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伊坂幸太郎『PK』(講談社) を読む

伊坂幸太郎『PK』(講談社)

伊坂幸太郎『PK』(講談社) を読みました。3月になってから発売された作者の最新刊だと思います。まず、出版社のサイトからあらすじを引用すると以下の通りです。


そして、子供たちは目を輝かせる。
「PK」「超人」「密使」からなる"未来三部作"。こだわりとたくらみに満ちた三中篇を貫く、伊坂幸太郎が見ている未来とは――。

その決断が未来を変える。連鎖して、三つの世界を変動させる。
●今から思えば、試されていたのかもしれない――PK
●君も闘っているのか? 俺たちは楽じゃない――超人
●世界を救うのに、誰かが蔑ろにされるなんて――密使

引用にもある通り、3本の中編からなる単行本です。ワールドカップ出場を決めるPKを成功させた日本代表のストライカーに関する謎を解く大臣という「PK」から始まって、携帯電話に届くサッカーの結果が爺大事件に見えて、その事件を防止する青年を描く「超人」、人から時間をスる能力を生かして、重大な厄災を免れるために犠牲になる青年を救うという「密使」、それぞれに独立しているようで、微妙にリンクしています。もう少しつながりをハッキリさせて欲しい気がしないでもありませんが、長編の各章として配置されているわけではなく、あくまで、中編を編んだ単行本として出版されているわけですから、その作者の、そして、編集者の意図を読み取るべきかもしれません。

「伊坂ワールド全開」とはいきませんが、SFタッチで未来や正義を扱った作品です。私はサンデル教授の『これからの「正義」の話しをしよう』を読んでいましたが、前もって読んでおくと『PK』の各作品、特に最後の「密使」の理解が深まりそうな気がしないでもありません。5ツ星に少し欠ける4ツ星くらいの評価だと思うんですが、私や我が家のおにいちゃんのような伊坂ファンは読んでおくべきです。

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2012年3月30日 (金)

政府統計から緩やかな景気の回復を確認する!

今日は月末閣議日で2月の政府統計の集中発表日でした。すなわち、経済産業省から鉱工業生産指数が、総務省統計局の失業率と厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、総務省統計局から消費者物価が、それぞれ発表されています。全体として、日本経済が緩やかな景気の回復局面にあることを確認する内容と受け止めています。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインなどを報じる記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産2月は1.2%低下 3カ月ぶりマイナス
経済産業省が30日発表した2月の鉱工業生産指数(2005年=100、季節調整済み)速報値は94.1と、前月比1.2%低下した。マイナスは3カ月ぶり。昨秋のタイの洪水による減産を取り戻す動きが一巡した。自動車などの生産は高水準を保っており、3月からは再び増産に転じる見込みだ。同省は生産は「持ち直しの動き」との基調判断を維持した。
2月は全16業種のうち12業種がマイナスだった。普通乗用車や軽乗用車が伸び悩み、輸送機械工業は2.6%低下。携帯電話の新機種生産の反動が出た情報通信機械工業も8.9%下がった。「タイの洪水で落ち込んだ分の挽回増産の動きはほぼ収まった」(同省)という。
一方、鉄鋼業は自動車向けが伸び3.4%上昇。電子部品・デバイス工業も高機能携帯電話(スマートフォン)用の半導体などが好調で、前月を6.9%上回った。
生産指数は市場の事前予測(1.3%上昇)に反して低下した。化学工業の工場の定期修理が長引いたほか、電気機械工業で納期がずれ込んだことが響いた。また「うるう年の影響で季節調整値が低めに出やすい」(同省)という。
同日発表した3月の製造工業生産予測調査によると、3月は2.6%、4月は0.7%の上昇を見込む。主力の輸送機械工業が人気車種の生産を伸ばすほか、世界的に在庫調整が進む電子部品・デバイス工業も増産する見通しだ。
2月の完全失業率4.5% 0.1ポイント改善
総務省が30日発表した2月の完全失業率(季節調整値)は前月比0.1ポイント改善し、4.5%となった。改善は5カ月ぶり。厚生労働省が同日発表した有効求人倍率(同)は0.75倍で、前月比0.02ポイント上昇した。東日本大震災の復興需要などを背景に雇用情勢は持ち直しが続いている。ただ、一部業種では製造拠点の海外移転など雇用調整の動きもあり、先行きは不透明だ。
就業者数は前月比29万人(0.5%)増の6288万人、完全失業者数は298万人で7万人(2.3%)減少した。勤め先の都合などによる「非自発的な離職者」は5万人減の104万人だった。総務省は「増えていた求職者が職を得た可能性がある」と分析している。
厚労省がまとめた2月のハローワークでの職業紹介状況によると、雇用の先行指標となる新規求人数は前月比0.3%減の70万人だった。製造業では、自動車など輸送用機械で新規求人が増える一方、円高の影響などで電子部品などは減る傾向が続いている。新規求人倍率は0.07ポイント上昇し、1.27倍だった。
2月の消費者物価0.1%上昇 5カ月ぶりプラスに
総務省が30日発表した2月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、値動きが激しい生鮮食品を除くベースで99.5となり、前年同月比0.1%上昇した。プラスは5カ月ぶり。原油高などを背景にガソリン価格が上昇したほか、値下がりが続いていたテレビの価格が新製品効果で上向いたことが影響した。
テレビは0.5%上昇した。地上デジタル放送への移行後の販売不振で値下げ競争が広がっていたが、2月は価格の高い新製品の投入効果が下支えした。エネルギー価格は上昇が続いた。ガソリン価格は3.4%、灯油代は4.3%、都市ガス代は8.1%それぞれ上がった。一方、パソコンや冷蔵庫、携帯電話機などは下落した。
ハウス野菜の値上がりで、生鮮食品を含むベースでは0.3%上昇した。プラスは2カ月連続。食料とエネルギーを除くベース(欧米型コア)は0.6%下落した。
先行指標とされる東京都区部の3月のCPI(中間速報値)は生鮮食品を除くベースで0.3%下落した。テレビも11%下がっており、総務省は「2月のテレビ価格の上昇は新製品による一時的なもの」とみている。ガソリン価格の上昇幅は5.6%と、2月(都区部で3.9%)よりも拡大した。

次に、鉱工業生産指数のいつものグラフは以下の通りです。上のパネルは2005年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下のパネルは財別で輸送機械を除く資本財と耐久消費財の推移です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。

鉱工業生産指数の推移

生産が減産であったのはややサプライズでしたが、報じられていないものの、私は中国の春節に伴う生産と出荷の時期的なズレによる一時的な現象と受け止めています。すなわち、1月の中国の春節の際に、生産が伸びて出荷が減少し在庫が増加した動きが見られましたが、この逆の動きが後ろ向きの在庫解消のため2月に顕在化したものと考えています。先行きの生産予測指数も順調に上昇するようですし、2月のトリッキーな生産活動の低下は懸念するに及ばないと多くのエコノミストは考えています。

雇用統計の推移

次に、雇用統計は上のグラフの通りです。上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。非常に緩やかながら、雇用は着実に回復を示していると私は受け止めています。来週に発表される毎月勤労統計調査で賃金の動向を確認したいと思います。

消費者物価上昇率の推移

次に、上のグラフは消費者物価上昇率の推移です。青い折れ線が生鮮食品を除く総合、いわゆるコア消費者物価の前年同月比上昇率であり、積上げ棒グラフはその寄与度の内訳です。ただし、端数を持った指数を統計局が公表していませんので、小数点以下1位の指数で計算しています。2月の全国消費者物価が上昇に転じたのは、明らかに、テレビの指数算出方法に何らかの異常があり、適正に物価水準を反映していないためであると私は考えています。引用した記事では「新製品効果」と称していますが、東京近辺の家電量販店を見る限り、疑わしいと考えるべきです。従って、灰色の折れ線グラフでプロットした東京都区部のコア消費者物価の動向が実感によりピッタリ来ると受け止めています。雇用の回復が緩慢なため、フィリップス曲線の右下の方から左上のシフトすることが出来ずにいるのが日本経済の姿であると言えます。なお、同時に、2011年の消費者物価地域差指数も公表されています。下のグラフの通りです。なお、地域差指数は政令都市がすべて公表されているんですが、下のグラフには県庁所在市のみを収録しています。全国平均が100となる指数です。横浜が3年連続で物価最高、宮崎が5年連続の最安です。

消費者物価地域差指数

最後に、経済協力開発機構 (OECD) から「経済見通し中間見直し」 OECD Economic Outlook Interim Assessment が公表されています。OECD のプレゼンテーション資料から引用した成長率見通しの表は以下の通りです。今年1-3月期の我が国の成長率は昨年11月時点の見通し+1.8%から+3.4%に大幅に上方修正されました。逆に、4-6月期は+1.8%から+1.4%に下方改定されています。いずれも前期比年率です。OECD の記者発表資料によれば、我が国経済の短期見通しは、"Activity in Japan is projected to rebound strongly in the first quarter, thanks in part to firmer industrial production, which was adversely affected by external shocks in late 2011, and a weaker yen. Second quarter growth is projected to be more moderate." とされています。円安の効果は絶大です。

OECD Economic Outlook Interim Assessment

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2012年3月29日 (木)

商業販売統計に見る消費の増加はうるう年要因か?

本日、経済産業省から2月の商業販売統計が発表されました。私の重視する消費のヘッドラインとなる小売業販売額は季節調整していない原系列で見て前年同月比+3.5%増、季節調整済みの系列で前月比+2.0%増と、どちらで見ても力強く増加しました。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

2月の小売業販売額、3カ月連続増加
経済産業省が29日に発表した2月の商業販売統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比3.5%増の10兆7730億円となり、3カ月連続で増加した。エコカー補助金の効果で自動車販売が好調だった。飲食料品や医薬品、燃料小売業も好調だった。
大型小売店の販売額は同1.2%増の1兆4651億円で2カ月ぶりの増加。百貨店は気温低下による春物衣料の苦戦で同0.4%減少したが、野菜の相場高や飲食料品の好調でスーパーの販売額が同2.0%増えた。
コンビニエンスストアの販売額は同8.8%増の7082億円。増加は5カ月連続。麺類・パン類や菓子・ソフトドリンクが好調だった。たばこ販売やチケット類の取り扱いも増えた。

次に、いつもの商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の前年同月比増減率を、下は季節調整済みの系列をそのまま、それぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期です。

商業販売統計の推移

2月の消費が増加した要因は景気の回復もさることながら、引用した記事には何も触れられていませんが、うるう年要因が大きいと私は受け止めています。もっとも、うるう年要因だけではありません。例えば、単純に1日増えて 1/28 は+3.5%増になりますので、この影響をモロに受けるのは食料品です。しかし、新聞購読料のように日数によらず月極めで決まる消費もあります。ですから、うるう年要因だけでしたら、+3.5%を下回るハズですので、実績として+3.5%増はうるう年要因を上回る増加であると考えるべきです。また、季節調整にうるう年調整のオプションが入っているかどうか調べていないんですが、前月比で+2.0%はかなり大きいと受け止めています。
ただし、単純な計算ではそうなるものの、中身を調べると自動車の寄与が大きくなっています。エコカー補助金による政策効果なんですが、前年同月比で見て自動車小売業の寄与が大雑把に+2.5%あり、これを除くと+1%増そこそこの増加に過ぎません。このエコカー補助金も来年度半ばに財源が底をつく計算だそうですから、その後の反動が気にかかるところです。

前々からの私の主張ですが、エコカー補助金や家電エコポイントなど、個別の財に対する補助金で消費の底上げを図るふりをしてポーズを取りつつ、実は、製造事業者に補助金を出す政策はもうヤメにして、雇用、特に若年層の雇用の拡大により消費を増加させる方向に政府の目が向かないものでしょうか?

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2012年3月28日 (水)

3月調査の日銀短観で企業マインドの改善が示されるか?

今週月曜日4月2日の発表を前に、シンクタンクや金融機関などから3月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIを取りまとめると下の表の通りです。なお、設備投資計画は2012年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。今回は、来年度以降の先行きに関する見通しを可能な範囲で取りました。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ pdf 形式のリポートがダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別画面が開いてリポートが読めるかもしれません。なお、見れば分かると思いますが、大企業の製造業・非製造業の業況判断DI、さらに、大企業全産業の2012年度設備投資計画の前年度比です。設備投資計画は土地を含みソフトウェアを除くベースです。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
12月調査先行き▲5
0
<n.a.>
n.a.
日本総研▲3
+4
<+1.5>
先行き(6月)を展望すると、震災からの復興の本格化や足許の円高・株安の是正などを受けて、先行き見通しDI(大企業)は、製造業で0%ポイント、非製造業で+6%ポイントといずれも改善を予想。
みずほ総研▲4
+5
<+1.4>
先行きについては、個人消費の回復や復興需要の顕在化などを背景に改善の見込みとなるだろう。
ニッセイ基礎研▲2
+5
<+0.2>
先行きについては、円高修正や復興需要などを背景に製造・非製造業ともにさらなる改善を示すだろう。ただし、景気低迷や事業環境悪化への対応力が相対的に乏しい中小企業では大企業よりも控えめな結果を予想する。
第一生命経済研▲6
+5
<+2.2>
3月短観で、前向きなプラス材料を見出そうとすれば、今のところは業況判断の実績よりも、先行き見通しの改善幅の方になるだろう。
三菱総研▲3
+4
<n.a.>
先行きについては、原油価格上昇が懸念材料ではあるものの、米国経済の回復、円高・株安の是正などを背景に、輸出業種を中心に経営環境の改善が見込まれる。内需面でも4-6月期以降は復興需要の本格化が予想され、底堅い推移となろう。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング0
+6
<+2.9>
米国では景気回復の動きが鮮明になっており、また、長期間続いてきた為替相場の円高傾向に修正の兆しが出てきている。世界経済の緩やかな回復を受けた輸出の持ち直しが見通せる環境になっていることが、景気の先行きに対する企業の見方を強める要因となるだろう。
みずほ証券リサーチ&コンサルティング▲1
+6
<+1.0>
復旧・復興需要の顕在化および海外経済の持ち直しを受けて、改善が続くと想定した。
伊藤忠商事経済研▲3
+5
<+2.4>
2月下旬からの円安は期末のバランスシート評価には影響するものの、1-3月期のフローの企業業績への限定的である。株高とも相俟って、現状判断よりも、先行き判断を中心に押し上げへ寄与する見込みである。

短観ノヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIの予想で見て、第一生命経済研を除いて12月調査よりも改善すると予想する機関が圧倒的な印象があります。また、すべての機関で2012年度の設備投資計画は前年度比でプラスが予想されています。景況感の改善要因は、第1に円高修正、第2に米国をはじめとする海外経済の回復、第3に復興需要の顕在化、第4にエコカー補助金などの政策効果も含めた消費の回復、第5に生産の回復や消費の復調に応じた設備投資の拡大、などにより徐々に景気拡大が軌道に乗り、企業マインドも向上するというのが基本シナリオであろうと私は考えています。
ただし、従来からこのブログで何度も強調しているように、キーポイントは企業活動の始発駅である為替です。最近も日銀の白川総裁が「金融緩和の副作用」について発言したと報じられ、日銀の金融緩和姿勢には常に疑問符がつきます。少し前の日経新聞の記事ではありませんが、「やっぱり円安・株高は日銀次第」という、私のようなリフレ派のエコノミストには余りに明らかな事実が市場で認識され始めています。決して、中央銀行の金融政策は万能ではありませんが、少なくとも、為替にはもっともラグが短く、かつ、強力な影響を及ぼすことが出来る政策手段であることは間違いありません。逆から見れば、円相場をウォッチすれば、海外中央銀行との相対的な日銀の金融緩和スタンスを把握することが出来ます。古い表現ですが、ストップ・アンド・ゴーやマッチ・ポンプにならない金融政策が望まれます。

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2012年3月27日 (火)

今年の新入社員は「安定性」より「やりがい」重視か?

この時期の恒例となっている明治安田生命の「新入社員アンケート調査」の結果が昨日の3月26日に公表されています。昨年のこの時期は震災直後でしたので、比較対象が2年前になってしまう場合もあるんですが、今年4月の新入社員の就職先選びは「安定性」から「やりがい」重視に変化が見られるようです。まず、リポートから最初のサマリー3項目を引用すると以下の通りです。

明治安田生命「新入社員アンケート調査」
会社選びは「安定性」より「やりがい」!半数近くが「地元就職」!
今年の新入社員は、「役職にはこだわらない平和主義」タイプ
理想の上司 男性は2年連続「池上彰」さん!女性は3年連続「天海祐希」さん!

3項目のサマリーに従って、リポートからいくつかグラフを引用しつつ、簡単に紹介したいと思います。

就職先を選んだ理由

まず、上のグラフは就職先を選んだ理由について、トップ10項目を引用しています。3項目までの複数選択です。なお、11位以下は「運」、「コネ」等々と続きます。リーマン・ショック後の不況からしばらく「会社の安定性」がトップを占めていたんですが、今年は「仕事のやりがい」が「会社の安定性」を抑えてトップに来ました。10%ポイント近い差があります。明らかに、会社よりも仕事で選んでいる傾向が現れており、別の問「勤める会社に対してどのように考えますか」に対する回答でも、「一生同じ会社に勤める」の比率が減少して、逆に、「自分に合わなければやめたい」の比率が増加しています。ただし、「一定の実力がついたら転職」という回答は減っています。

働き方のタイプとめざす役職

次に、働き方のタイプとめざす役職に対する回答は上のグラフ通りです。働き方としては、理想主義や成功主義が減って、平和主義や忠実主義のタイプがジワリと増加しているのが見て取れます。仕事より会社を選び、いわゆる終身雇用を望むタイプが多かったころは、職場内の良好なコミュニケーションを保ちつつ、ストレスの少ない環境で長期間働きたい、という平和主義や忠実主義タイプが多かったのも理解できますが、やりがい重視の職場選びが増えると、より攻撃的なタイプもラグを伴って増加に転じる可能性が否定できないと私は受け止めています。というか、少なくとも、今年の結果を見る限り、職場選びと仕事のタイプは整合的ではありません。目指す役職についても同じことが言えますが、会社ではなく仕事を選ぶ傾向がありますから、仕事のタイプほどではないと認識しています。

理想の上司

続いて、このアンケート調査のひとつの売り物である理想の上司は上のグラフ通りです。見れば明らかですが、上のパネルが男性上司、下が女性上司です。これも、それぞれ、トップ10までを引用しています。理想とする男性上司・女性上司とも「頼もしい」がトップのイメージに来ています。エコノミストとして、このあたりは解説や評論のしようがありません。

新入社員の意識調査に関連して最後に、今日、私の席に回覧されて来た週刊「東洋経済」の p.9 「経済を見る眼」の大竹教授と pp.148-49 の「コンパス」の山田教授は期せずして、高齢層ばかりが優遇されて若年層に厳しい現政権の姿勢を批判するコラムを掲載しています。実に、私が従来から主張し、先週3月21日付けの「若年者の就職について政府の会議で議論されなかった重要ポイントは何か?」でも取り上げた論点と基本的な考え方は同じでした。エコノミストの間では世代間不平等の議論はコンセンサスを得つつあるように見受けられます。

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2012年3月26日 (月)

三浦文彰「プロコフィエフ: ヴァイオリンソナタ第1番、第2番」を聞く

三浦文彰「プロコフィエフ: ヴァイオリンソナタ第1番、第2番」

昨年2011年12月11日付けの記事でピアニストの金子三勇士のデビューCD「Miyuji プレイズ・リスト」を取り上げましたが、今夜のエントリーではヴァイオリニストの三浦文彰にスポットを当てたいと思います。広く知られている通り、2009年のハノーファー国際ヴァイオリン・コンクールにおいて、わずか16歳の史上最年少で優勝し、国際的にも大きな話題になった若き音楽家のデビューCDは、タイトルから明らかなように、プロコフィエフを取り上げています。昨年2011年5月にリリースされています。ピアノはリトアニア出身のイタマール・ゴラン。ジャズファンの私は詳しくないんですが、著名なソリストとの共演もいくつかあるそうです。CDのライナー・ノーツは池田卓夫さんと伊熊よし子さんが書いています。
演奏は何とも言えず、男性的というか太いです。日本人離れした太くて朗々と鳴るヴァイオリンを感じたプロコフィエフの1番に続き、2番では若々しい繊細な柔軟性も見せます。もっとも、ピアノとのかけ合いのパートは評価が分かれるところです。ヴァイオリン・ソナタなのにピアノが前面に押し出ている部分も少なくありません。もちろん、ヴァイオリンとピアノのほぼ対等な絶妙のコラボを感じさせるところもありますが、何と言っても三浦文彰のヴァイオリン・ソナタのCDなんですから、がむしゃらなくらいに自分を押し出してもよかった気もしないでもありません。全体として、ハイティーンの男性のデビューCDとしては、いい出来の演奏を受け止めています。ピアニストの金子三勇士とともに先が楽しみです。我が国のレベルではなく、世界の音楽界を背負って立つ存在になれそうな逸材です。
最後に、YouTubeのサイトにアップされていた三浦文彰の動画です。2009年ハノーファー国際ヴァイオリン・コンクール入賞者ガラコンサートにおけるチャイコフスキー: ヴァイオリン協奏曲第3楽章の演奏とのことです。

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2012年3月25日 (日)

郊外に引っ越して新しい自転車を買う

郊外に引っ越して、本格的にスポーツ自転車を買い求めました。実は、少し前から予約してあったんですが、今日になって引取りに行きました。ご覧の通り、何の変哲もない地味な26インチのマウンテンバイクです。ジャイアント製の初心者向けモデルですが、フロントフォークにサスペンションがあり、タイヤもクイックレバーで外れますから、マウンテンバイクのカテゴリーだと思います。なお、私は決して小さくありませんので、流行りの29erも考えないでもなかったんですが、初心者向きではないと判断した一方で、フレームはもっとも大きなものを選びました。長かった冬もようやく終わっていい季節を迎えつつあり、今週半ばからは暖かくなるとの天気予報を信じて、アチコチ自転車で出かけたいと思います。でも、今日は花粉を予想してマスクをかけて走りました。

新しく買った自転車

着々と荷解きは進んでいます。引越しのために少し年休を消化しましたが、明日からは予定通り役所に出勤したいと思います。

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2012年3月24日 (土)

寒かった今年のサクラはやっぱり遅いか?

昨日に雨中の引越しを終えて、荷解きのつれづれにネットを徘徊していると、そろそろ、サクラの開花予報なんぞが目につきました。まず、下の地図は日本気象協会のサイトから引用した今年のサクラの開花予想、一般にサクラ前線と呼ばれるものです。今週3月21日の発表です。今冬の寒気の影響か、例年よりもかなり遅い開花のような気がします。

桜開花予想 (日本気象協会)

さらに、下のグラフはウェザーマップのサイトから引用したサクラの見ごろ予想です。縦軸は開花率というものらしいんですが、100%ではなく80%に達するころがサクラの見ごろのようです。昨日3月23日発表の下のグラフでは、東京では3月30日ころに開花が始まり、4月7日ころが満開の予想となっていますが、実は、その前3月16日発表のバージョンでは1日早い4月6日が見ごろとなっていました。寒さが続けば少し後ズレするのかもしれません。

東京のさくら見頃予想 (ウェザーマップ)

東京では来週からかなり暖かくなるとの天気予報ですが、まだまだ寒い日が続いています。「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったものですが、今年は春のお彼岸を過ぎても寒い日が続き、特に、サクラの開花を待ち遠しく感じます。地球温暖化はどこに行ってしまったんでしょうか?

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2012年3月23日 (金)

青山から引越し!

今日は、我が家が6年間住み慣れた青山を離れて、都心から郊外に引越しです。もっとも、私は6年のうち2年間は地方大学に単身赴任していましたが、子供達はこの地で小学校を卒業し、子育ても青山でひとつの段階を終えることが出来ました。

やや大げさですが、
さらば青山!

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2012年3月22日 (木)

輸出が大きく伸びた貿易統計は黒字が続くか?

本日、財務省から2月の貿易統計が発表されました。ヘッドラインとなる輸出は季節調整していない統計で見て5兆4409億円、輸入が5兆4079億円、差引き貿易黒字は329億円と、5か月ぶりの黒字を記録しました。市場の事前コンセンサスよりも輸出が大きく伸びた印象です。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月、5カ月ぶり貿易黒字 米国向け輸出堅調
自動車、鉄鋼や建設・鉱山用機械が伸長

財務省が22日発表した2月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は329億円の黒字となった。黒字は5カ月ぶり。1月は過去最大の赤字だったが、円高や世界経済の減速の影響を受けていた輸出の落ち込みが緩やかになったことなどで、黒字転換した。
輸出は前年同月比2.7%減の5兆4409億円。5カ月連続のマイナスだが、米国向けが11.9%増と2010年12月以来の2桁増となり、全体を下支えした。米国への輸出は需要が堅調な自動車が26.9%増。これが全体をけん引したほか、鉄鋼や建設・鉱山用機械なども伸びた。
ただアジア向けは6.6%減と5カ月連続で減少。洪水被害からの復旧が進んだタイなど東南アジア諸国連合(ASEAN)向けは4.0%増とプラスに転じたが、中国は13.9%減と振るわなかった。欧州市場向けの生産が減った影響が大きく、鉄鋼やプラスチックなどの減少が目立った。台湾は17.0%減。韓国も4.4%減った。
債務危機の影響で需要が低迷している欧州連合(EU)向けは10.7%減と5カ月連続で縮小した。フランスやドイツ向けの自動車などが落ち込んだ。
輸入は9.2%増の5兆4079億円となり、2年2カ月連続で増えた。原油輸入は数量ベースでは1.8%増だったものの、価格の上昇で金額ベースでは15.5%増の1兆833億円となり、17カ月連続で増加した。火力発電用の液化天然ガス(LNG)は22.5%増えた。
ただ貿易収支の黒字額は2月としては過去30年間で2番目に低い水準。財務省は「輸入は原油高で増える可能性もあり、今後の貿易収支は見通しにくい。アジアや欧州向け輸出の動向を注視していく」(関税局)としている。

次に、いつものグラフは以下の通りです。上下のパネルとも、折れ線の輸出入に対して、その差額たる貿易収支を棒グラフで示しています。ただし、上のパネルは季節調整していない原系列であるのに対して、下のグラフは季節調整済みの系列です。

貿易統計の推移

グラフを見れば明らかなんですが、季節調整済みの統計ではまだ貿易収支は赤字となっています。要するに、傾向としてはまだ我が国の貿易は赤字であり、2月の季節要因で黒字に転じただけと見るべきです。もちろん、米国経済が好調だったりはしますが、季節調整していない原系列の輸出の前年同月比がまだマイナスを続けていることを忘れるべきではありません。さらに、輸入の方でも火力発電向けのLNG輸入は増加を続けています。この先も貿易黒字が定着するかどうかは微妙なところです。

為替相場の推移

私がかねてから主張して来た最大リスクである為替は、日銀のインフレーション・ターゲティングもどきの導入により2月に入ってようやく円高修正が始まりましたが、上のグラフに見る通り、現時点でもまだまだ円相場は歴史的な円高水準にある考えるべきです。為替は方向性のモメンタムではなくレベルで貿易に効きますので、かなり急ピッチで円高修正が進んでいるとは言え、例えば、1ドル100円の水準に戻るのはまだ時間がかかりそうな気がします。もっとも、どのレベルの為替水準が望ましいのかは、私も最近では計算していませんので、少なくとも、自明ではありません。

年度末の業務上の都合もありますが、プライベートでも多忙を極めていますので、今夜のところは簡単に済ませておきたいと思います。

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2012年3月21日 (水)

若年者の就職について政府の会議で議論されなかった重要ポイントは何か?

やや旧聞に属する話題ですが、一昨日3月19日に第7回雇用戦略対話が総理大臣官邸で開催され、内閣府から「若者雇用を取り巻く現状と問題」と題する資料が提出されました。中学校・高校・大学などから雇用へと円滑に接続できなかった若年者は、前期中等教育で89%、後期中等教育で68%、高等教育で52%など、極めて高い比率に達することが報告されています。一昨年に地方大学の教授職を離れて東京に戻ってから1年半になりますが、若年層の雇用の問題は相変わらず私にとっても大きなテーマです。特に、現在の日本ではシルバー民主主義の圧力により定年が延長される方向にある一方で、若年雇用が大きく蝕まれつつあると私は認識しています。将来に日本を考える上で大きな論点となる可能性があります。今夜のブログでは、この「若者雇用を取り巻く現状と問題」を簡単に取り上げたいと思います。まず、日経新聞のサイトから関係する記事を引用すると以下の通りです。

大学進学者、安定就業5割に満たず 高校は32%
10年卒業・中退者、政府が推計

政府は19日、大学や専門学校への進学者のうち、卒業・中退後に就職して正社員など安定した仕事に就いている人の割合は48%にとどまるとの推計をまとめた。就職先が見つからずにアルバイトをしたり、就職してもすぐに離職する人が多いためで、高校を卒業・中退して社会に出た人の場合、安定就業の割合は32%とさらに低い。高等教育が雇用に結びつかない実態が浮き彫りになった。
政府や経済界、労働界の代表が集まる「雇用戦略対話」の会合で示した。政府は6月をめどに若者の就職を支援する総合対策をまとめる方針だ。
調査は2010年3月に大学や高校などを卒業した年次の学生が対象。中途退学して先に社会に出た人も含まれる。全国の学校への聞き取りや、雇用保険の加入状況から割り出す就職後3年間の離職率などから内閣府が推計した。
10年春に大学や専門学校を卒業した約85万人のうち、すぐに就職した人は56万9000人。ただ近年の若年層の離職率の傾向から、就職した人も19万9000人が3年以内に離職する公算が大きいと分析している。
卒業時に就職しなかった人や、アルバイトなど一時的な仕事に就いた人は14万人。中途退学した6万7000人も含めると、安定的な仕事に就かなかった人は全体の52%の40万6000人に上る。
高校から社会に出た人は一段と厳しく、大学などに進学しなかった35万人のうち、68%にあたる23万9000人が安定的な仕事に就かなかった。未就職者や一時的な仕事に就いた人は約3割の10万7000人に上った。約2割にあたる7万5000人は就職していても3年以内に辞める可能性が高いという。
実際には離職してから再び就職したり、卒業後しばらくたってから就職先が見つかったりした人も少なくないとみられる。卒業後すぐに正社員などにならなかった全員がずっと無職だったり、不安定な職業に就いているわけではない。
ただ大学や高校などを出たら正社員となって安定的に働くという、日本で長く続いてきた雇用モデルが崩れてきた実態は浮き彫りになった。
政府は大企業志向の強い大卒者に対して、大卒の人材を求める中小企業や地方企業を紹介するなど雇用のミスマッチ解消を進めているが、大きな効果は上がっていない。同日の戦略対話では「学校から職場への円滑な移行を促すため、省庁を横断した抜本的な対策が必要」との認識で出席者が一致した。

次に、このリポートではタイトル通りの若者雇用を取り巻く現状と問題について、以下の4点を論点として取り上げています。

  1. 教育から雇用への接続の問題
  2. キャリア教育の問題
  3. 大卒と中小企業のミスマッチの問題
  4. 若者非正規雇用の問題
学校から職場への接続の問題

まず、リポートの p.1 には学校から職場への接続の問題として、上の画像が示されています。どう見るかというと、先に引用した日経新聞のサイトに分かりやすい図解がありますが、改めて解説すると、一番右の高等教育で例を上げれば、卒業年次の学生数のうち大学院への進学を除き、77.6万人が卒業もしくは中途退学しています。緑色の帯の就職56.9万人に、ピンクの帯のうち、無業・一時的な仕事についた者14.0万人と中途退学者6.7万人を加えた我が右下の分母の77.6万人です。これが大学院などに進学しなかった大学生・専門学校生の総数です。分子の40.6万人はピンクの帯の3類型、すなわち、早期退職(3年以内)19.9万人、無業・一時的な仕事についた者14.0万人、中途退学者6.7万人の合計です。進学しなかった大学生等の過半に当たる52%は雇用への接続に何らかの問題があったと判定されていると私は受け止めています。

大卒と中小企業のミスマッチの問題

そのひとつの問題としてクローズアップされているのが、大卒と中小企業のミスマッチの問題です。上のグラフはリポートの p.3 から引用しています。左軸の単位は大卒求人倍率となっています。1000人未満企業や300人未満企業では、まだまだ大卒求人倍率が高い一方で、3000人以上企業の倍率が極端に低くなっています。でも、大学生は大企業志向が強く、雇用のミスマッチが生じているとの指摘です。

若者非正規雇用の問題

最後に資料から引用する画像ですが、結果として非正規雇用の問題に行き着きます。上のグラフはリポートの p.4 から引用しています。35歳未満の非正規雇用比率が他の年齢層に比較して、1990年代から激増しているのが見て取れます。最初の画像にもありましたが、卒業・中途退学していきなり無業や非正規雇用、というパターンが少なくないと考えるべきです。

ここまで、官邸で開催された第7回雇用戦略対話の資料を概観しましたが、大きく抜け落ちている視点が2つあります。第1にマクロ経済の成長により雇用を拡大するという視点と、第2に制度的な世代間不公平により若年層が不利な扱いを受けているという視点です。
まず、約2年前、私がまだ大学教員で日本経済論を講義していた時、2010年5月14日付けのエントリーですでに主張していますが、失業や非正規雇用を個人の自己責任に帰すのはムリがあります。マイクロな政策ではなく、マクロ政策が雇用には割り当てられるべきです。例えば、米国では完全雇用の達成は中央銀行のマンデートです。次に、雇用が拡大しても制度的な世代間不平等により高齢者ばかりがその果実にあずかり、若年者に雇用が回って来ない現実を直視すべきです。現在の政府がやろうとしているのは、定年制の延長と公務員新規採用の大幅削減です。ここに現政権の雇用政策の世代間不平等が象徴的に現れていると見るエコノミストは私だけでしょうか。
ですから、マイクロな雇用政策としてジョブカフェを開設して若年者にジョブカードを配布して、職業訓練によりスキルアップを図るのは、もちろん、若年層の雇用拡大のために大いに有効ですが、同時に、マクロな雇用政策として経済成長を促進し、その果実が制度的に高齢者ばかりに利益になるのではなく、せめて世代間不平等がないように平等化を図り、出来れば、雇用に関してはアファーマティブに若年層に逆に有利になるくらいの雇用政策が必要です。しかし、マクロな雇用政策は私の考える有効な政策とかなり差がある政策を現政権は指向しているように見えます。

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2012年3月20日 (火)

ジョン・アーヴィング『あの川のほとりで』上下 (新潮社) を読む

ジョン・アーヴィング『あの川のほとりで』上下 (新潮社)

ジョン・アーヴィング『あの川のほとりで』上下 (新潮社) を読みました。「訳者あとがき」に従えば、アーヴィングの第12作だそうです。私はこの作者の作品は処女作『熊を放つ』と代表作『ガープの世界』の2本しか読んだことがないんですが、『あの川のほとりで』は『ガープの世界』と同じく、主人公である作家の人生を跡づける自伝的な雰囲気を持たせた代表作のひとつと受け止めています。まず、出版社のサイトから小説のあらすじを引用すると以下の通りです。

少年が熊と間違えて殴り殺したのは、父の愛人だった! ハートフルで壮大な、待望の最新長篇。
ニューハンプシャーの小さな町から、ボストンへ、そしてトロントへ。愛と暴力と偶然に翻弄されながら北米大陸を逃避行する、料理人とその息子。やがて息子は作家になり、親になる。四十数年ののち、気づけば彼は、すべてが始まった懐かしい川のほとりに辿りついていた。代表作『ガープの世界』に並ぶ、半自伝的大長篇。

主人公の父親であるコックが1924年生まれで、主人公の作家が1942年生まれ、実は、作者のアーヴィングと同じに設定されています。上に引用した通り、主人公の生まれ故郷であるニューハンプシャーの小さな町からの逃避行がストーリーの中心なんですが、章別構成が以下の通り、場所と時代を表しています。

  1. 1954年、ニューハンプシャー州コーアス郡
  2. 1967年、ボストン
  3. 1983年、ヴァーモント州ウィンダム郡
  4. 2000年、トロント
  5. 2001年、ニューハンプシャー州コーアス郡
  6. 2005年、オンタリオ州ポワント・オー・バリル・ステーション

見れば明らかですが、第3章のトロントと最終章のオンタリオ州はカナダであり、その他は米国です。父子の逃避行は、実は、第4章のトロントで終わります。追跡者に主人公の父親のコックが殺され、その追跡者を主人公の作家が殺害します。また、トロント在住中に主人公は息子の大学生も交通事故で亡くします。ですから、この第4章から大きく雰囲気が変化します。逃避行ながら、イタリア的な陽気な雰囲気の第2-3章と違い、第4章からは暗い雰囲気になります。このあたりは見逃すべきではありません。
それにしても、『ガープの世界』と対比させて読んでしまうんですが、主人公はいずれも成功した作家となります。この点は両方で共通しています。ただし、『ガープの世界』ではガープの母親ジェニー、フェミニズム運動の象徴に祭り上げられた看護師、という重要な役割を果たす女性が登場する一方で、本書『あの川のほとりで』は、もちろん、女性は何人も登場しますが、主人公の母親は物語が始まる前に亡くなっていますし、主人公が結婚する女性は「ケネディ・ファーザー」となってベトナム戦争への徴兵を逃れるために、一時的に結婚して子供を産むだけのような存在にすら見えかねません。主人公の父と息子、さらに、主人公の生まれ故郷であるニューハンプシャー州コーアス郡ツイスティッド・リヴァーの樵であるケッチャム、この4人を軸に男性を中心とする骨太の物語に仕上がっています。『ガープの世界』では主人公の母親との母子関係が、本書『あの川のほとりで』では主人公と父親との父子関係が軸をなしている気がします。
かなり注意力を持って読まねばならない小説です。読みにくいと表現する人もいそうです。特に、ラテン的な作法で登場人物たちの呼び名が一定ではありません。ニックネームは逃避行の中で場所を変えれば違う呼び方をされる場合がありますし、職業でコックや作家と表現されたり、さらに、主人公とその父親のコックは逃避行の中でちょくちょく名前を変えます。もちろん、主人公の作家にはペンネームがあります。ただし、カート・ヴォネガットやレイモンド・カーヴァーなどは実名で登場します。加えて、物語は必ずしもクロノロジカルに語られるわけではありません。時々、過去のさかのぼったり、書かれた時点からは未来に飛んだりします。さらに、破滅あるいは死滅に向かうこの小説にふさわしいメタファーとして、8インチの鍛鉄フライパンやブルーのマスタングなどが実に効果的に配置されており、読み飛ばしたりすると小説の味わいが半減します。

作者であるアーヴィングが今までの作品に用いて来たさまざまなモチーフも大きな役割を果たします。すなわち、クマ、犬、主人公が作家であること、ニューハンプシャー州、レスリングなどなどです。この作者や先に実名を挙げたヴォネガットとカーヴァーなどの作品を評価する向きにはぜひにも読むべき作品です。明らかに私はそのうちの1人です。しかし、そうでなければ、あるいは、注意力を持って読むことに慣れていなければ、ひょっとしたらパスすべきかもしれません。

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2012年3月19日 (月)

OECD Environmental Outlook to 2050 を流し読みする

先週金曜日のエントリーの最後に書きましたが、3月15日に経済協力開発機構 (OECD) から「環境見通し2050: 行動を起こさないことの帰結」 OECD Environmental Outlook to 2050: The Consequences of Inaction が公表されています。その前の「環境見通し2030」が2008年3月の同じような時期に発表されていますが、4年を経過して見通しを20年も先延ばししています。全文350ページ近い英文リポートで、かつ、エコノミストである私の専門外の分野ですので、今夜のエントリーでは同時に公表されている日本語サマリーも参考にしつつ、いくつかグラフを引用して紹介したいと思います。まず、リポートの章別構成は以下の通りです。

  1. Introduction
  2. Socio-economic Developments
  3. Climate Change
  4. Biodiversity
  5. Water
  6. Health and Environment

要するに、Introduction から始まって、経済社会的な動向を見据えた上で、環境分野については4つの視点から取り上げています。上の通り、地球環境問題、生物多様性、水資源、健康と環境、の4点です。この順に2050年までのベースラインの見通しを示したグラフを引用しつつ、リポートを簡単に紹介したいと思います。

GHG emissions by region: Baseline, 2010-2050

まず、地球環境問題に関して、上のグラフはリポートの p.72 GHG emissions by region: Baseline, 2010-2050 を引用しています。GHG とは、軽く想像される通り、 greenhouse gas、すなわち、温室効果ガスのことで、グラフは二酸化炭素換算の温室効果ガスの排出量の見通しを示しています。大気中の温室効果ガス濃度は2050年までに685ppmに達する可能性があり、その結果、今世紀末までの世界平均気温の上昇幅は産業革命前と比べ3-6度上昇し、気温上昇を2度以内に抑えるという国際目標を超える見込みが示されています。OECD加盟の先進国よりもBRICsをはじめとする新興国や途上国の排出が大きく増加しているのが見て取れます。

Effects of different pressures on terrestrial MSA: Baseline, 2010 to 2050

次に、生物多様性に関して、上のグラフはリポートの p.156 Effects of different pressures on terrestrial MSA: Baseline, 2010 to 2050 を引用しています。なお、MSA とは平均生物種豊富度 (Mean Species Abundance) の意味です。陸上の生物多様性は、2050年までにさらに10%減少すると予測され、豊かな生物多様性を有する原生林面積は13%減少すると見込まれています。主な原因は、農業などの土地利用の変化、林業の拡大、インフラ開発、人による浸食、自然生息地の断片化、環境汚染や気候変動などですが、中でも、気候変動が最大の要因と考えられています。

Global water demand: Baseline scenario, 2000 and 2050

次に、水資源問題に関して、上のグラフはリポートの p.208 Global water demand: Baseline scenario, 2000 and 2050 を引用しています。世界の水需要は、製造業、熱電発電、生活用水などに起因する需要増により、2050年までに50%を超える増加が見込まれています。このため、深刻な水不足に見舞われる河川流域の人口は、現在より23億人増加すると予想され、世界人口の40%を超える可能性もあります。ここでも、BRICs諸国の大幅な水需要増がグラフから読み取れます。

Global premature deaths from selected environmental risks: Baseline, 2010 to 2050

最後に、環境に起因する健康被害に関して、上のグラフはリポートの p.276 Global premature deaths from selected environmental risks: Baseline, 2010 to 2050 を引用しています。大気汚染が早期死亡をもたらす最大の環境要因となり、特に、2050年までに粒子状物質(PM)による早期死亡者数は世界全体で2倍以上に増加し、年間360万人に達する見込みであり、その大半は中国とインドと予想されています。化学物質の安全政策が依然として十分に整備されていない新興国や途上国では健康被害はより深刻になるものと考えられています。

Projections for real gross domestic product: Baseline, 2010-2050

上のグラフはリポートの p.46 Projections for real gross domestic product: Baseline, 2010-2050 を引用していますが、世界経済の規模はGDPで計測して、2050年には2010年のほぼ4倍となりますが、大きなシェアを占めるのは先進国ではなくBRICsをはじめとする新興国や途上国です。これらの諸国の責任も明確にしつつ、リポートでは以下の諸点について強調しています。

  • Make pollution an expensive business
  • Ensure prices better reflect the true value of natural assets and ecosystem services
  • Devise proactive and effective regulations and standards
  • Remove environmentally harmful subsidies
  • Encourage innovation

最初に章別構成をお示しした通り、なぜか、このリポートには Introduction があって、Conclusion がないんですが、Executive Summary の pp.29-29 を要約すると以上のようになります。なお、リポートの p.333 以下には予測に用いた ENV-Linkages model の詳細なフローチャートやスペックが明らかにされています。基本的には、経済分析で広範に用いられている CGE モデルなんですが、リファレンスになっているペーパーは以下の通りです。ご興味ある向きはダウンロードしてみて下さい。

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2012年3月18日 (日)

おにいちゃんが中学校を卒業!

今日は朝から、おにいちゃんの中学校の卒業式がありました。先ほど帰宅しました。日曜日なのですが、今日が卒業式でした。女房に任せて私は出席しませんでした。4月からも同じ高校に通うわけですし、35年以上も前の私自身の中学校卒業式と高校入学式は家族から誰も来なかったような気もします。私自身もほとんど記憶にありません。6年制一貫男子単学校の中学校卒業式や高校入学式なんてそんなもんです。形式的とは言え、私が通っていた中学校・高校はまじめに高校入試があり、それなりに先生も「ひどい成績なら高校には入学させない」とか言っていましたが、おにいちゃんの学校は高校入試すらなかったようです。でも、立派な卒業証書はもらって帰りました。当然です。私のころは小学校から始まって大学まで、一貫して、卒業証書は筒に入れていたような気がしますが、我が家の子供達の場合は二つ折りの収納です。地域が違うのか、それとも、時代が違うのか、よく分かりません。卒業生と在校生代表の2年生の出席だそうで、昨年はどうだったかと聞くと、震災のためにおにいちゃんは在校生として出席しなかったらしいんですが、今年は無事に卒業式が通常通りに執り行われたようです。
中学校卒業はそれなりの子育ての節目に当たり、めでたいことは確かですので、いつものジャンボくす玉を置いておきます。めでたいとお考えの向きはクリックしてくす玉を割って祝ってやって下さい。

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2012年3月17日 (土)

おにいちゃんと「おかえり、はやぶさ」をマリオンに見に行く

映画「おかえり、はやぶさ」ポスター

今日は朝から雨模様だったので室内競技を指向し、我が家のおにいちゃんと有楽町マリオンに出かけて、映画「おかえり、はやぶさ」を見て来ました。下の子も誘ったんですが、付いて来ませんでした。なお、上のポスターは映画のオフィシャルサイトから引用しています。
私は昨年の「はやぶさ/HAYABUSA」から始まって、先月の「はやぶさ 遥かなる帰還」、そして今日の「おかえり、はやぶさ」まで、JAXA協力の映画3本をすべて見たことになります。自慢になるかどうかは疑問が残ります。また、3本も映画が作られたんですから、「はやぶさ 遥かなる帰還」の渡辺謙と「おかえり、はやぶさ」の杏のように、親子で競演している例もあったりします。
はやぶさの映画3本目で初めて3Dを体験しました。なかなかの迫力でした。でも、あまり宇宙のシーンが多くなかったのが残念でした。はやぶさがイトカワに行って帰って来たのは周知のストーリーですから、映画により何に焦点を当てるかがポイントなんですが、今日見た映画「おかえり、はやぶさ」はそのタイトル通りに地球に帰還することにポイントがあった気がします。ですから、ロケット発射から地球の重力を使ったスウィングバイによる加速、イトカワへのタッチダウン、帰路の通信途絶と回復、イオン・エンジンのクロス運転、などなど、CGで表現すべき部分にやや手抜きが感じられました。宇宙物理や工学に関する学術的あるいは技術的な部分よりも地上のヒューマンドラマに力点が置かれていたような気がします。ですから、ハッキリ言って、主演男優と女優はミスキャストです。さらに、主演男優と女優の服装もミスマッチです。主演男優の作業服は許容範囲としても、上のポスターにも見られますが、理学博士号を持ったJAXAの女性研究員があんなに首ぐりの空いたニットを着るとは、イメージ貧困な私のような俗物には理解し難いものがあります。プロジェクトマネージャーの川口教授役の大杉漣も知性的と言うよりも情熱的な演技だった気がします。でも、それはそれで評価する人も多い可能性が十分あります。私の好みではなかったというだけです。

ひょっとしたら、年齢層の低い小学生などを対象に設定しているのかもしれませんが、見る人によっては物足りなさを覚える可能性もあり、3本見た中では最下位だという気がします。

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2012年3月16日 (金)

ネット通販はどこで何が買われているのか?

アドフレックス・コミュニケーションとメディアインタラクテブが実施した「『通信販売』に関する調査」が先週の3月6日に公表されています。購入元を限定した調査で、ネット通販だけが対象ですが、政府統計では供給側からも需要側からも把握できないネット通販の実態に迫ることが出来ます。我が国の消費の先行きを考える上で、とても興味深い調査結果です。まず、調査結果のリポートから調査結果のポイントを3点ほど引用すると以下の通りです。

「通信販売」に関する調査
■ネット通販で良く買うものは「本」。理由は買い物の手間?
■初めての通販サイトで重要視されるは、値段と信頼感、さらに決済方法。デザンや名前より、実用性が重視。
■通販を使う人の7-8割が楽天・アマゾンジャパンの利用者。

まず、上の要約の3番目に出ていますが、利用したことがある通販企業は圧倒的に楽天とアマゾンとなっています。下のグラフの通りです。

利用したことがある通販企業

先に引用した要約の最初の項目にあり、上の結果からも軽く想像されることですが、ネット通販でよく買うものは本となっています。下のグラフの通りです。私のネット通販の実績は、ほとんどすべて「アマゾンで本を買う」となっています。たぶん、女房は「生協で食材を買う」なんだろうと思います。かなり実感に近い結果だと受け止めています。なお、グラフは引用しませんが、ネット通販を利用する理由として、買いに行く手間が省ける、安い、いつでも好きな時に買える、がトップ3項目となっています。

ネット通販でよく買うもの

初めての通販サイトで重要視されるは値段と信頼感、さらに決済方法であり、デザンや名前より実用性が重視されています。下のグラフの通りです。

通販サイトの重要ポイント

最後に、昨日、経済協力開発機構 (OECD) から 「環境見通し2050: 行動を起こさないことの代償」 Environmental Outlook to 2050: The Consequences of Inaction が発表されています。内容はタイトル通りです。一応、全文リポートを入手したんですが、何分、300ページをはるかに超える英文リポートですので、日を改めて取り上げたいと思います。

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2012年3月15日 (木)

米国大統領選挙の争点を探る

10州で予備選や党員集会が開催された米国共和党のスーパー・チューズデーを先週3月6日に終えて、昨日、ピュー・リサーチセンター Pew Research Center から Romney Leads GOP Contest, Trails in Matchup with Obama と題する米国大統領選挙に関する世論調査結果が発表されています。日本政府に勤務する官庁エコノミストとして、どうしても、お仕えする自国政府に対しては筆が鈍るんですが、ヨソの国については比較的自由にモノが言えます。専門外の政治については引用元のリポートを参照いただくとしても、主として経済面から簡単に振り返っておきたいと思います。

Obama Back at 50% Job Approval

まず、上のグラフはオバマ政権の支持率の推移です。リポートの p.3 Obama Back at 50% Job Approval を引用しています。日本の内閣支持率は発足直後を別にすれば20%とか30%台が常態になって、私の感覚もやや麻痺しつつありますが、取りあえず、オバマ大統領に対する支持率は50%を回復し、一時の最悪期を脱しているように見えます。表やグラフは引用しませんが、例えば、この調査でも2010年ヘルスケア法案への支持が広がっている結果が指摘されています。

No Improvement in Views of Current Economic Conditions & Economic Optimism Levels Off

オバマ政権の支持率回復のひとつの要因は景気回復だと私は受け止めています。上のグラフはリポートの p.30 No Improvement in Views of Current Economic Conditions と Economic Optimism Levels Off を引用しています。上のパネルでは、まだまだ、Excellent/Good の比率は小さくて、Only fair や Poor が圧倒的なんですが、下のパネルでは、以前に比べて Worse の比率がやや低下し、Better が大きく増加しています。米国経済に関して楽観論が広がっている点が強調されています。

Job Concerns Ease, But More Worry about Rising Prices

ただし、楽観的と言っても、経済のすべてが好調に向かっているわけではなく、雇用はいいとしても、物価が心配、という現状のようです。上のグラフはリポートの p.31 Job Concerns Ease, But More Worry about Rising Prices を引用しています。財政赤字と住宅・金融資産市場への懸念はそれほど変化は見られない一方で、雇用への懸念は大きく低下し、逆に、物価への懸念が上昇しています。引用はしませんが、同じページの別のグラフで、特にガソリン価格への懸念が大きくなっていることが示されています。ですから、どちらかと言えば、景気過熱に伴うインフレではなく、商品市況の高騰の影響を受けた物価上昇なんですが、いずれにせよ、米国では雇用の重要性が極めて大きいので、物価もさることながら、雇用でポイントを上げることは大統領選のためには不可欠となります。

Obama Has More Strong Supporters

ついでながら、上の表は現職のオバマ大統領と共和党はロムニー前知事との対比で、性別・年齢別などの支持率と特に強い支持層を取り上げています。リポートの p.14 Obama Has More Strong Supporters を引用しています。オバマ大統領がロムニー前知事に水を開けているのは、性別では女性、人種別では白人よりも非白人、学歴別では大卒以上、となりますが、特に私の目を引いたのは年齢別で64歳以下の勤労世代の支持、もっと顕著には、29歳以下の若い世代の支持でオバマ大統領がロムニー前知事を圧倒していることです。私のこのブログで何度も強調したところですが、日本ではシルバー・デモクラシーが猛威をふるっている一方で、勤労世代や若い世代の支持が高い大統領がいて、しかもそれなりの支持率を保っている米国の政治情勢は日本と大きく異なることが示唆されていると受け止めています。

20年前の1992年の米国大統領選挙では、"It's the economy, stupid." をスローガンに取り入れたクリントン元大統領が選挙戦を制しました。日本ではリーマン・ショックの翌年の総選挙で政権交代が実現しました。大きな選挙で経済の占める重要性は無視できないことを理解すべきです。

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2012年3月14日 (水)

柳広司『怪談』(光文社) を読む

柳広司『怪談』(光文社)

柳広司『怪談』(光文社) を読みました。小泉八雲、というか、ラフカディオ・ハーンの『怪談』からいくつかの短編を作者が現代風にアレンジしています。まず、出版社のサイトから短編の構成とあらすじを引用すると以下の通りです。

怪談
「雪おんな」「ろくろ首」「むじな」「食人鬼」「耳なし芳一」
――名著『怪談』に、柳広司が挑む!

驚き、震えよ。

鮮やかな論理(ロジック)と、その論理から溢れ滲み出す怪異。
小泉八雲ことラフカディオ・ハーンの『怪談』を、柳広司が現代の物語として描き直した異色の短編集。

この作者は『ジョーカー・ゲーム』と『ダブル・ジョーカー』、さらに、近日刊行予定の『パラダイス・ロスト』のD機関シリーズで昭和初期のスパイ活動を描き、昨年は『ロマンス』でやっぱり昭和初期の華族のデカダンスを取り上げています。我が家では、どちらかといえば、おにいちゃんが好きそうな領域の作家だと考えていたんですが、この作品『怪談』は近くの図書館で借りてホラー好きの下の子に読ませました。
小泉八雲の原作から大いに現代風にアレンジしてあり、例えば、「鏡と鐘」ではインターネットで途上国へのボランティア物資の提供が求められたり、「耳なし芳一」では琵琶法師ではなくビジュアル系のロックバンドだったりします。また、「ろくろ首」ではオリジナルの「ろくろ首」と「かけひき」をミックスしたような内容になっていて、首が伸びて犯人の背広に血痕を残し、警察官が犯人を見分けるように誘導するというストーリーです。ただし、「耳なし芳一」でライブハウスのオーナーが元僧侶で、「阿弥陀堂」という名称のライブハウスに現実感があるかどうかは少し疑問です。また、「むじな」は一般的には「のっぺらぼう」として知られていると思いますが、小泉八雲のオリジナルでも「むじな」というタイトルだったと記憶しています。
当然ながら、いわゆるモダン・ホラーばかりではなく、カギカッコ付きの「怪物」が出て来るタイプの古いホラーも含まれていますが、実に秀逸な仕上がりです。読者の想像をはるかに超えるストーリー展開、何ともいえず不気味な雰囲気、すべての短編ではないですが、例えば、「鏡と鐘」などで本格ミステリのような味付け、いずれも成功しており、しかも、読み進みやすい文体となっています。とってもオススメの5ツ星です。ほとんどの公立図書館に所蔵されていることと思います。多くの方が手に取って読むように願っています。

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2012年3月13日 (火)

欧州景気はそろそろ反転し回復に向かうか?

昨日、経済協力開発機構(OECD)から1月のOECD先行指標 (OECD/CLI) が発表されています。ソブリン危機などで長らく停滞していた先進国の景気、特に欧州経済がそろそろ持直しに向かう可能性が指摘されています。日本国内ではほとんど注目されていませんが、欧米ではそれなりに注目されているニュースです。まず、長くなりますが、Wall Street Journal のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

OECD Signals Turning Point for Developed Economies
The world's developed economies appear set for a pickup in growth in the months ahead, but China's economy is likely to slow further, according to the Organization for Economic Cooperation and Development's composite leading indicators.
The Paris-based think tank Monday said its leading indicator of economic activity in its 34 members rose to 100.9 in January from 100.5 in December 2011, the third straight monthly increase in the measure.
The recovery will likely be led by the U.S. and Japan, with the leading indicator for the world's largest economy rising to 102.5 from 101.8 to register a fourth straight monthly gain, and the leading indicator for the third-largest economy rising to 102.6 from 102.1.
The OECD said both economies have "regained momentum," while the indicators for the remaining five members of the Group of Seven leading developed economies signaled "a possible change in momentum."
"Composite Leading Indicators … continue pointing to a positive change in momentum in the OECD as a whole," the OECD said.
According to OECD figures, the combined gross domestic product of its 34 members during the final three months of 2011 was up by 0.1% from the third quarter. That marked a slowdown in the quarter-on-quarter rate of growth, which was 0.6% in the three months to September.
The OECD's leading indicator for China continued to fall, which will add to concerns about the outlook for the world's second-largest economy, whose rapid growth in recent years has been key given the weakness of most developed economies.
The leading indicator for Brazil also fell, while those for India and Russia increased.
"The CLIs for China and Brazil continue to point to below-trend growth," the OECD said.
Figures released Sunday showed China recorded a massive trade deficit in February, due in part to faltering demand for its exports.
The OECD's leading indicators are designed to provide early signals of turning points between the expansion and slowdown of economic activity, and are based on a wide variety of data series that have a history of signaling changes in economic activity.
The pickup in the composite leading indicator is consistent with measures of current economic activity, which have pointed to a revival in recent months. Released earlier this month, the JP Morgan Global All-Industry Output Index for February, which was based on surveys of purchasing managers around the globe, rose for the fourth straight month and to a one-year high.

次に、主要な先進国のOECD/CLIは以下の通りです。なお、影を付けた部分は OECDのサイトにある景気基準日付に従っています。日本は2010年7月をピークに現時点まで景気後退期に入っていることになっていて、逆に、ユーロ圏は2009年5月を谷にして現時点まで景気拡大局面にあることになっていますが、かなり疑問が残ります。そのうちに、この景気基準日付は修正されるかもしれません。

OECD先行指数の推移

昨日発表された今年1月のOECD/CLIのリポートComposite leading indicator for the OECD continues to signal a positive change in momentum と題されていて、日米はともに"Regained momentum"とされ、ユーロ圏諸国が"Possible change in momentum"である一方、OECD加盟国全体では"Positive change in momentum"と判断されています。

ドイツ景気指標の推移

欧州の中でもその中心となるドイツに着目すると、Ifo研究所の景況指数とZEW欧州経済研究センターの景況感指数は上のグラフの通りです。後者はつい先ほど、今日の日本時刻夜7時に発表されたばかりです。ドイツ経済が反転する兆しを読み取ることができると私は受け止めています。

最後に、昨日から今日まで開催されていた日銀金融政策決定会合が終了しましたが、成長基盤支援融資枠を2兆円増額した一方で、宮尾審議委員の提案になる資産買入等基金の買取り枠の5兆円増額を否決しました。後者の宮尾委員提案の否決は、外国勢などにかなり否定的な印象を与えかねないと危惧しています。市場からの圧力が強まれば日銀は金融緩和に動くと見られるのも金融政策当局としてマイナス材料かもしれません。政府に所属する官庁エコノミストとして、政府から独立した中央銀行に対して、市場との対話に失敗しないよう願うばかりです。

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2012年3月12日 (月)

順調な回復を示す機械受注統計と雇用に不安を生じた消費者態度指数

本日、内閣府から1月の機械受注統計調査の結果と2月の消費者態度指数が発表されました。機械受注は、民間設備投資の先行指標である船舶と電力を除く民需、すなわち、コア機械受注が季節調整済みで前月比3.4%増の7578億円と、2%強だった市場の事前コンセンサスを上回る伸びを示しました。消費者態度指数も順調に上昇しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月機械受注3.4%増 スマホ関連投資伸び2カ月ぶりプラス
内閣府が12日発表した1月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需(季節調整値)」は7578億円だった。前月比3.4%増で、2カ月ぶりにプラスに転じた。スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)関連投資が伸びた。
機械受注統計は機械メーカーから工場の生産設備などの受注額を聞き取り算出する。船舶・電力を除くベースの民間需要は、3カ月から半年ほど先の民間設備投資の先行指標とされる。内閣府は基調判断を「一進一退で推移している」と据え置いた。
業種別に見ると、製造業は1.8%減。石油製品・石炭製品で前月の反動減があったほか、鉄鋼業が2カ月連続で減少した。ただ自動車は4カ月連続増え、「金属加工機械の発注など、生産能力増強の動きもみられる」(内閣府)。非製造業は2.3%増。特にスマホ関連の基地局増設で通信業が26.0%増だった。
国内の民需とは別に海外からの受注をまとめた外需は20.1%増。化学機械などで100億円以上の大型受注が3件あったことが押し上げた。官公需は前月に防衛省関連の大型受注があった反動で17.7%減ったが、地方自治体の焼却炉や水処理設備など、東日本大震災からの復旧関連の受注は堅調だった。
船舶・電力や官公需などを含む機械受注の総額は21.6%増の2兆5519億円。伸び率は06年3月(24.1%増)に次いで過去2番目。
2月の消費者態度指数、3カ月ぶり悪化 給与世帯が慎重に
内閣府が12日発表した2月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比0.5ポイント低下の39.5だった。悪化は3カ月ぶり。給与世帯を中心に先行きに対して慎重な見方を強めた。
指数を構成する「収入の増え方」など3項目で低下。調査期間中に、今春闘での定期昇給見送りなどの報道が相次いだことや、2012-13年度の国家公務員の給与引き下げで与野党が合意したことが重なり、先行きの不透明感が強まった。「暮らし向き」についても前月から悪化し、給与世帯から「悪くなる」との回答が増えた。
完全失業率が小幅に上昇していることから、「雇用環境」の捉え方も悪くなった。一方で、「耐久消費財の買い時判断」については前月から横ばいとなり、内閣府は基調判断を「このところ持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
1年後の物価見通しについては、生鮮食品価格の高止まりや灯油価格の上昇を受けて、「上昇する」と答えた消費者の割合は63.4%と前月(63.1%)からやや増加。「低下する」との答えは7.3%と前月(8.1%)から減少した。
調査は全国の6720世帯が対象。今回の調査基準日は2月15日で、有効回答数は5034世帯(回答率74.9%)だった。

次に、機械受注のグラフは下の通りです。上のパネルはコア機械受注と呼ばれる船舶と電力を除く民需とその後方6か月移動平均を、下のパネルは需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。

機械受注統計の推移

引用した記事にも満たれる通り、統計作成官庁である内閣府はは基調判断を「一進一退」と据え置いたんですが、テンポは緩やかながら順調に回復を示していると私は受け止めています。もちろん、」昨年3月の震災や10-11月のタイ洪水などの供給制約があったり、長引く円高で輸出が振るわない影響があったり、伸びが鈍化したり、単月ではマイナスを記録することが何度かありましたが、ならして見れば、円高による製造業の空洞化に伴う設備投資へのネガティブな効果を上回って設備投資意欲が盛り上がっている可能性が指摘できます。直近では、これも報道にあるように、スマートフォンの売れ行き拡大に伴う設備投資の増加が寄与しているのかもしれません。ただし、より詳しく中身を見ると、復興需要の顕在化はまだ遅れている印象を私は持っています。外需が大きくジャンプしましたので、従来通りの見方で外需が先行指標となるのであれば明るい材料です。

消費者態度指数の推移

次に、消費者態度指数は▲0.5ポイント低下しました。上のグラフの通りです。市場の事前コンセンサスではわずかなりとも上昇すると見込まれていましたし、先週の景気ウォッチャーの結果などから私も上がるのが当たり前と思っていましたが、やや意外な結果と受け止めています。中身を詳しく見ると、4つのコンポーネントのうち雇用と所得がマイナスで足を引っ張っています。報じられているように、公務員給与の引下げが雇用や所得に影を落としています。政府統計では、総務省統計局の家計調査のサンプルに公務員が多いとのウワサがあるんですが、消費者態度指数もそうなんでしょうか。直感的ながら、年度末を前にして非正規雇用の先行き不安の顕在化も部分的に見られる可能性もあるという気はしますが、特段の根拠はありません。

この先の復興需要も含めて、要素需要のうちの設備投資はようやく盛上りを見せつつあるという気がしますが、雇用が消費に悪影響を及ぼす可能性、それも、公務員給与の引下げが雇用を通じて消費を抑制しかねない可能性については、増税に対する生活防衛とともに、何らかの警戒をする必要があるかもしれません。なお、今日は日銀から企業物価指数も発表されていますが、消費者物価とともに大きな動きが見られませんのでパスします。

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2012年3月11日 (日)

久坂部羊『第五番』(幻冬舎) はオススメしません!

久坂部羊『第五番』(幻冬舎)

久坂部羊『第五番』(幻冬舎) を読みました。この作者の『無痛』の生き残った登場人物、すなわち、為頼英介、高島見菜子などがそのまま5-6年後に起こった事件に巻き込まれたというシチュエーションです。まず、出版社のサイトからあらすじを引用すると以下の通りです。

あらすじ
薬がまったく効かない新病・新型カポジ肉腫が列島に同時多発。一方ウィーンでは天才医師・為頼がWHOの奇妙な関連組織メディカーサから陰謀めいた勧誘を受ける。『無痛』著者の壮大なミステリ。

私はこの作者の作品は、同じ登場人物でシリーズ前作とも言える『無痛』しか読んだことがないんですが。この最新作の方がかなり落ちます。登場人物はオモテの主人公が為頼英介や高島見菜子、ウラの主人公が白神陽児やイバラなどです。ほかに、『無痛』よ『第五番』に共通する登場人物は南サトミなどですが、約5-6年を隔てていますので、登場人物はそれぞれに年齢を重ねています。『無痛』を読んでいなくても『第五番』は楽しめるのかもしれませんが、少なくとも、白神陽児については『無痛』と『第五番』で役回りが大きく異なり、『第五番』ではほとんど説明はなかったように記憶していますので、明らかに『無痛』を読んでいた方がベターです。その意味で少し敷居の高い小説かもしれません。
以下、ネタバレがあるかもしれませんので、未読の方が自己責任で読み進むようお願いします。
まず、我が国の医療の矛盾を鋭く突いた作品という評価も出来るんでしょうが、私の評価が低い理由は、何と言っても、小説として尻切れトンボです。第5部の炎上の途中くらいからが謎解きになるんですが、医学的に水疱瘡のHHV-3が未知のウィルスHHV-9に突然変異するのは、私のようなシロートに理解させようという努力はムダなのかもしれないので、それはそれなりに省略してもいいような気がしますが、治療した方が治療なしよりも致死率が高いというのは説得的な議論がなされていないと感じました。私の頭が悪いだけだと言われればそうかもしれませんが、医学的な知識のない一般読者が理解出来ない小説にどれだけの値打ちがあるのかは疑問です。尻切れトンボでかつわけの分からない展開です。サビーネが死ぬのは為頼をウィーンから日本に帰国させるためだということなんでしょうが、伊部の役割は単にサビーネを死に至らしめるだけなんでしょうか。理解不能です。南サトミは何のために前作から引き続いて再登場した上で、あのような死に方をするんでしょうか。サビーネの遺骨を日本に届けるのであれば、南サトミの遺骨が放ったらかしにされる理由がよくわかりません。不可解な人的つながりもいっぱいです。イバラではなく笹山が「好ましからぬ医師」を殺害していた理由は何か。三岸が北井に殺された理由もイマイチ不可解です。そして何よりも、為頼英介や高島美菜子などの一部を別にして、登場人物のキャラが余りに異常です。菅井憲弘は発病してからおかしくなったにしても、前作からのイバラと白神のコンビ、三岸薫とその取巻きの笹山靖史や北井光子の美術グループ、服部サビーネと伊部哲の音楽グループ、ジャーナリストの犬伏利男などなど、芸術畑の登場人物が多いのが前作との違いかもしれませんが、性格的に通常の社会生活を送るのが困難ではないかと思われそうな面々が並んでいて、小説の登場人物の半分ほどが性格的に問題があり、「この人が死にますよ」と前もって作者が読者に暗示しているような気すらします。小説の展開は極めて不親切で筋が通らず、登場人物のキャラは極めて異常で感情移入しにくい、と言えます。

我が家のおにいちゃんに、期末試験後のヒマ潰しとして医療小説と考えて『無痛』と『第五番』を与えてしまいました。とっても後悔しています。『無痛』が平均的な3ツ星とすれば、『第五番』は2ツ星くらいかもしれません。我が家は全て図書館から借りて読んでいて、買い求めたわけではないのが助かったと考えています。下の子に渡した柳広司『怪談』の方が数段優れている気がします。日を改めて取り上げます。

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2012年3月10日 (土)

米国雇用統計のグラフィックス

昨日、米国の労働省から米国雇用統計が発表されました。2月の統計です。ヘッドラインとなる非農業部門雇用者は季節調整済みの前月比で+22.7万人の増加、うち、民間部門は+23.3万増となりました。失業率も季節調整済みの系列で8.3%と前月と同じでしたが、雇用の回復初期に見られる求職者の増加に起因すると受け止めています。まず、New York Times のサイトから記事の最初の2パラを引用すると以下の通りです。

U.S. Extends Its Run of Strong Job Growth Another Month
In yet another sign of a strengthening recovery, the United States added 227,000 net jobs in February, the third consecutive month of gains over 200,000. The unemployment rate was unchanged from 8.3 percent in January, the Labor Department reported Friday, as nearly a half-million people who had been staying on the sidelines rejoined the search for work.
The improving job growth numbers could bolster President Obama's effort to make the case to voters that his economic policies are working.

次に、いつもの米国雇用統計のヘッドラインをプロットしたグラフは以下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差、下は失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。このグラフを見ている限りは、米国の雇用は順調に回復しているように見えます。

米国雇用統計の推移

さらに、デフレとの関係で私が注目している時間当たり賃金の上昇率は下のグラフの通りです。何とか賃金は下げ止まっているようです。

時間あたり賃金上昇率の推移

最後に、New York Times のブログ・サイトである Economix をマネした Jobless Recovery のグラフは以下の通りです。これを見ると、過去の景気回復局面に比べて、現在の雇用回復は極めて緩やかと考えざるを得ません。

Jobless Recovery

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The Economist だけでなく Science と Nature も震災関係の表紙!

Science と Nature の表紙

経済誌の The Economist だけではなく、科学誌の ScienceNature の表紙も震災関係でした。上の通り、Science は福島第一原発のプルトニウムとウランの混合酸化物燃料用の冷却プールを、Nature は陸前高田市の「奇跡の一本松」を、それぞれ表紙に使っています。Nature の最新号のタイトルは Rising from the Rubble 、すなわち、「がれきからの復興」です。それぞれのサイトからカバーストーリーを引用すると以下の通りです。

Science
Cooling pool containing a plutonium-uranium mixed-oxide fuel rod at Fukushima Dai-ichi nuclear power station, Japan, in August 2010. A tsunami on 11 March 2011 damaged three of the station's reactors, prompting reassessment of Japan's reliance on nuclear power and its approach to disaster preparedness. See the Review by Burns et al. (page 1184), as well as the related Editorial (page 1147) and News story (page 1164). Photo: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg via Getty Images
Nature
It is almost a year since the Fukushima Daiichi nuclear power plant was crippled by earthquake and tsunami damage. In this special issue, we look at how Japan has set about rebuilding the communities that suffered most from the natural and nuclear disasters. In Japan and elsewhere, the Fukushima experience has caused much rethinking of the economics of nuclear power, and of the state of seismic and tsunami early-warning systems. On the cover, Rikuzentakata's 'tree of hope', a salt-damaged pine tree that survived the tsunami, pictured at sunrise on 1 January 2012. Credit: Tsuyoshi Matsumoto/Yomiuri Shimbun/AP

昨夜発表された米国雇用統計については、後刻、改めて取り上げる予定です。

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2012年3月 9日 (金)

最新号の The Economist は原子力特集!

The Economist: Nuclear energy - the dream that failed

最新号の The Economist は原子力エネルギーを特集しています。タイトルは Nuclear energy: The dream that failed となっています。14ページに渡る原子力に関する Special report が組まれています。当然ながら、昨年の震災後の福島第一原発の事故が念頭に置かれています。特集の各ページのタイトルは以下の通りです。

  • The dream that failed
  • A brief history: From squash court to submarine
  • Safety: Blow-ups happen
  • Nuclear waste: Leave well alone
  • Costs: Bandwagons and busts
  • The prospects: Over the rainbow

構成を見れば明らかなんですが、福島第一原発の事故後の衛星写真から始まって、原子力開発の歴史をひも解き、安全性と原子力廃棄物に関して議論を展開し、廃棄物まで含めれば原子力の低コストとの試算に疑問を呈し、最後に、今後の見通しで締めくくっています。軽く想像されるように、The Economist は英国の雑誌ですから、原子力大国フランスなどと違って、やや批判的な視点を忘れていません。それにしても、取材範囲は幅広く、専門用語には難解なものも含まれますので、そうでなくても語学力なく専門外の私にはやや難しい内容となっています。しかし、日本の読者からも一定の評価を得られる特集ではないかと私は受け止めています。

私の想像では、この週末のメディアは1年を経た震災の特集が大きな部分を占めるんではないかと思います。もちろん、その中には福島第一原発の事故も含まれます。原子力に対してバランスの取れた報道を望みたいと思います。

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2012年3月 8日 (木)

2011年10-12月期GDP速報2次QEは法人企業統計に引っ張られて上方改定

本日、内閣府から昨年2011年10-12月期のGDP速報改定値、エコノミストの業界で2次QEと呼ばれる指標が発表されました。先月発表された1次QEから上方改定され、実質成長率は前期比で▲0.2%、前期比年率で▲0.7%となりました。主たる要因は1次統計である法人企業統計の設備投資に合わせた民間設備投資の上方改定です。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

実質GDP、年率0.7%減に上方修正 10-12月 設備投資が上振れ
内閣府が8日発表した2011年10-12月期の実質国内総生産(GDP)改定値は物価変動の影響を除いた実質で前期比0.2%減、年率換算で0.7%減となった。1月に公表した速報値(0.6%減、年率2.3%減)を上方修正した。東日本大震災からの復旧投資などで設備投資が上振れした。
改定値は速報値の公表後に明らかになった法人企業統計などのデータを使って推計し直した。日経グループのQUICKがまとめた民間調査機関の予測値(年率換算0.7%減)と同じだった。
生活実感に近い名目GDPは前期比で0.5%減。年率換算では1.8%減となり、内閣府は速報値の3.1%減を上方修正した。
項目別にみると、設備投資は実質で4.8%増と、速報値(1.9%増)から大きく上振れした。自動車や化学などが生産設備を補修。震災による先行き不安で見送っていた投資を再開する動きも出た。個人消費も0.4%増と、速報値(0.3%増)を上回った。
内閣府の大串博志政務官は記者会見で「2四半期ぶりのマイナス成長だが、総合的に見ると景気は緩やかな回復基調にある」との認識を示した。
2012年1-3月期は震災からの復興需要の本格化に伴い、2四半期ぶりにプラス成長に戻るとの見方が大勢を占める。ただ足元では原油価格が上昇している。市況が企業収益や消費を圧迫すれば景気の持ち直しに水を差すリスクもある。

いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、アスタリスクを付した民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。なお、計数は正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で内閣府のサイトからお願いします。

需要項目2010/
10-12
2011/
1-3
2011/
4-6
2011/
7-9
2011/10-12
1次QE2次QE
国内総生産(GDP)▲0.2▲1.8▲0.3+1.7▲0.6▲0.2
民間消費▲0.0▲2.1+0.3+1.3+0.3+0.4
民間住宅+4.0+1.6▲2.4+4.5▲0.8▲0.7
民間設備▲1.9▲0.6▲0.1+0.3+1.9+4.8
民間在庫 *+0.3▲0.0▲0.7▲0.0+0.2+0.3
公的需要+0.1▲0.9+0.1+0.2▲0.3▲0.3
内需寄与度 *▲0.1▲1.6+0.7+1.0+0.1+0.5
外需寄与度 *▲0.1▲0.2▲1.0+0.8▲0.6▲0.6
輸出▲0.3▲0.3▲6.2+8.6▲3.1▲3.1
輸入+0.3+1.0+0.3+3.4+1.0+1.0
国内総所得(GDI)▲0.3▲2.5▲0.7+1.4▲0.6▲0.2
名目GDP▲0.7▲2.1▲1.2+1.4▲0.8▲0.5
雇用者報酬+0.3+0.6+0.1▲0.2+0.6+0.7
GDPデフレータ▲1.9▲1.9▲2.3▲2.1▲1.6▲1.8
内需デフレータ▲1.3▲1.0▲1.0▲0.7▲0.3▲0.5

さらに、テーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの系列の前期比成長率に対する寄与度で、左軸の単位はパーセントです。棒グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された昨年10-12月期の最新データでは、赤の民間消費と水色の企業設備がプラスに寄与している一方で、黒の外需が大きくマイナスに落ち込んでいるのが見て取れます。

GDP前期比成長率と需要項目別寄与度の推移

今週月曜日に、2次QE予想を取り上げたエントリーの最後のパラで、「年率で▲1%を下回るくらいのわずかなマイナス成長」と書きましたが、ど真ん中のドンピシャ的中でした。記者会見で内閣府政務官は復興需要の遅れに反論したと日経新聞のサイトで報じられていますが、公的固定資本形成、すなわち、公共投資の最近の推移を実額と前期比伸び率で見たのが下のグラフです。私の目には、仮設住宅が一段落した年後半は復興需要の遅れが目立っているようにしか見えません。もっとも、第1に、復興需要は震災被災地の復興に資するものであり、GDP成長率をターゲットに運用されているわけではないこと、第2に、ここまで復興需要が遅れると、逆にこの先に復興需要が本格化するのが楽しみとも言えなくもないこと、などはそれなり強調しておきたいと思います。いずれにせよ、今年に入って景気は順調に回復を示しており、1-3月期はプラス成長が期待されます。

公的資本形成の推移

民間設備投資のほかは大きな改定はなかったので、別の経済指標に目を転じると、財務省から経常収支などの国際収支が発表されています。1月の統計です。輸出が振るわず、エコノミストの中では、1月の経常収支は赤字に転落するのではないかと予想されていましたが、季節調整しない原系列で見て1985年以降で最大の経常赤字を記録しました。タイ洪水の供給制約もさることながら、円高の影響が大きいと受け止めています。もっとも、季節調整済みの系列で見る限り、サービス収支の赤字幅が縮小したこともあって、1月の経常収支は黒字を維持しました。ただし、現時点で利用可能な2月上中旬の日上気統計で再び貿易収支は赤字を記録しています。すぐに赤字に転落することはないとしても、経常収支がいつまでも黒字を続けると期待することは出来そうもありません。特に現在の円高の水準が続けば、かなり早期の赤字転落はあり得ます。下のグラフは季節調整済みの経常収支をプロットしています。青い折れ線グラフが経常収支の推移であり、その内訳のコンポーネントが積上げ棒グラフで表わされています。色分けは凡例の通りです。

経常収支の推移

さらに、内閣府から2月の景気ウォッチャー調査の結果も発表されています。現状判断DIも先行き判断DIもかなり上昇しました。先行き判断DIは久し振りに50を超えました。統計作成官庁である内閣府では、基調判断を「円高の影響が続く中で、緩やかに持ち直している」から「依然として円高の影響が残るものの、緩やかに持ち直している」に表現を変更しています。明確な意図は推し量るしかないんですが、半ノッチの上方修正という意図かもしれません。下のグラフは景気ウォッチャー調査の結果ですが、上のパネルは現状判断DIと先行き判断DIの推移を、下のパネルは地域別の現状判断DIについて震災の発生した昨年3月と最新時点の今年2月を、それぞれプロットしています。昨年3月時点では全国でも最低レベルだった東北が、最近時点ではほぼ全国平均レベルに達したのが読み取れます。

景気ウォッチャーの推移

さまざまな経済指標を見渡して、やっぱり、為替を含めた外需が目先の最大のリスクであるものの、日本経済は割合と順調に回復基調に乗っているように見受けられます。この回復パスから外れず、早く雇用に、そして賃金に反映されるような拡大局面に到達することを願っています。

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2012年3月 7日 (水)

景気は一時の足踏み状態を脱したか?

本日、内閣府から1月の景気動向指数が発表されました。一致指数はわずかに低下したものの、先行指数は上昇しました。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

1月の景気一致指数、2カ月ぶり悪化 中国向け輸出が反動減
内閣府が7日発表した1月の景気動向指数(2005年=100、速報値)によると、景気の現状を示す一致指数は93.1となり、前月比0.5ポイント悪化した。前月水準を下回るのは2カ月ぶり。太陽電池パネルの中国向け輸出が昨年12月に集中した反動が出た。数カ月先の景気を示す先行指数は3カ月連続で改善しており、景気は足踏み脱却の兆しを見せている。
内閣府は、一致指数から機械的に求める景気の基調判断を「上方への局面変化」と据え置いた。景気のトレンドを捉える過去3カ月の移動平均が2月もプラスなら、判断を「改善」に上方修正する可能性があるという。
1月の一致指数では、現時点で明らかな9標のうち5指標が悪化した。中国の春節(旧正月)の影響などもあって、太陽電池パネルの出荷が鈍ったほか、半導体など電子部品の動きも低調だった。一方、自動車やデジタルカメラの生産は改善。タイの大洪水による部品の調達難が解消したためだ。大口電力使用量も伸びた。
先行指数は1.1ポイント上昇の94.9。生産の回復を受け、家計や企業のマインドが持ち直した。また東日本大震災の復旧・復興需要で、東北や関東の建設業などを中心に新規求人が増えたことも先行指数を押し上げた。

次にいつものグラフは下の通りです。上のパネルは景気動向指数のCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。

景気動向指数の推移

CI一致系列の前月差に対して、有効求人倍率や鉱工業生産などがプラスの貢献を示した一方で、出荷や卸売及び小売の商業販売がマイナスの寄与となっています。全体としての基調判断は、引用した記事にもある通り、「上方への局面変化」と据え置かれています。もっとも、引用した記事にもある通り、2月にも「改善」にさらに上方修正される可能性があります。大雑把に、昨年3-4月に震災に伴って一時的な底をつけた後、夏までV字型の回復を見せ、秋にタイ洪水などの供給制約により景気回復が足踏みとなった後、昨年暮れから今年に入って再び回復基調を取り戻した、と私は受け止めています。1月の一致指数の低下は中国の春節の影響によるものであり、決して我が国の景気が停滞していると考えるべきではありません。それにしても、従来から強調している通り、景気に対する為替の影響は大きく、足元で為替が円安に振れている分、景気にはプラスに作用していることは誰の目にも明らかです。引き続き、日銀が本格的に心を入れ替えて金融緩和を進めるよう期待しています。

TDB地域別景気DI

政府の景気動向指数では地域別は明らかにされないんですが、今日のエントリーでは帝国データバンクの景気動向調査から、ほぼ震災から1年を経た東北地方の景気について他地域と比較して簡単に見ておくと、上の画像の通りです。帝国データバンクのサイトから最新2月調査の地域別景気DIを引用しています。凡例にある通り、水色が全国平均を下回っている地域、黄色が上回っている地域を表しており、東北は昨年7月調査までは全国平均を下回っていたものの、昨年8月以降は最新調査の今年2月まで全国平均を上回って推移しています。特に、昨年9月以降は一貫してDIのレベルで全国最高水準を記録しています。もちろん、DIですから変化の方向を見るべき指標であり、水準について全国平均と地域の指数を比較するのにどこまで意味があるかは疑わしいんですが、方向を見ても、東北は昨年3月を底に今年1月まで上昇を続け、2月も1月と同レベルとなっています。GDP統計を見る限り公共投資は冴えない動きを続けていますが、地域の実感としては東北の景気は悪くないのかもしれません。

足元の景気動向は為替の円安傾向を受けてまずまず順調と言えますが、先行きは下振れリスクも少なくありません。最大のものは今週に入ってから東証株価を抑え込んでいるギリシアのソブリン危機です。もちろん、日銀がポントに心を入れ替えて金融緩和にさらに取り組むかどうかもまだ見極めが必要なのかもしれません。

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2012年3月 6日 (火)

毎月勤労統計に見る雇用は改善に向かうが、所得はまだ増加しないのか?

本日、厚生労働省から1月の毎月勤労統計調査の結果が発表されました。この統計で私が注目しているのは景気に敏感な所定外労働時間と消費の基となる所得を形成する賃金なんですが、どちらも震災やタイ洪水などの供給制約を脱して、ゆっくりと改善にあるように受け止めています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の所定内給与、0.3%増 13カ月ぶりプラス
厚生労働省が6日発表した1月の毎月勤労統計調査(速報)によると、基本給や家族手当などを含む労働者1人当たりの「所定内給与」は前年同月比0.3%増の24万2642円となり、13カ月ぶりに増加に転じた。厚労省は、製造業の生産回復など東日本大震災の影響が一巡し、賃金下落に歯止めがかかったとみている。
残業代などの所定外給与は1.2%増の1万8432円で、5カ月連続で前年同期を上回った。ただ、ボーナスなどの「特別に支払われた給与」が大幅に落ち込み、現金給与総額は27万3318円と前年同月と同じ水準となった。
所定内給与を産業別にみると、製造業が1.0%増の26万6602円。震災で寸断されたサプライチェーン(供給網)の復旧に伴い、自動車メーカーを中心に生産が回復してきたことが背景にある。医療・福祉は23万5223円となり、1.8%増えた。「就業者が多い産業で伸びが大きく全体をけん引した」(厚労省)という。
現金給与総額は一般労働者では前年同月と同水準だったが、パートタイム労働者では0.9%増となり、10年12月以来の高い伸びとなった。
総労働時間は前年同月比0.1%増の136.6時間となり、2カ月連続増加。残業などの所定外労働時間が9.9時間と1.0%増え、全体を押し上げた。景気との連動性が高い製造業の所定外労働時間は1.5%増の13.3時間と、5カ月連続で前年同期を上回った。
調査は厚労省が常用労働者5人以上の約180万事業所から、約3万3000事業所を抽出して実施した。

まず、私が注目している賃金指数と所定外労働時間のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない賃金指数の前年同月比をプロットしており、下のパネルは季節調整した所定外労働時間指数をプロットしています。賃金は動きの激しいオレンジが現金給与総額で、黄緑は所定内給与となっています。上下のパネルとも影をつけた部分は景気後退期です。

毎月勤労統計の推移

グラフとは順序が逆になりますが、所定外労働時間については震災の影響やタイ洪水に起因する供給制約などの影響から脱して、生産の増産とともに残業も順調に増加に転じたと私は受け止めています。当然ながら、ラグを伴いつつ所定外給与を通じて所得に反映されるハズです。賃金は現金給与総額とともに所定内給与も1月統計で1年振りにプラスに転じたのは景気回復の賜物だと考えるべきです。しかし、引用した記事の最初のパラにあるように、「賃金下落に歯止めがかかった」かどうかは疑わしいと見なしています。

所定内給与の推移

すなわち、上のグラフは所定内賃金を年データでプロットしたものですが、見れば明らかな通り、2000年のピークから2011年まで下がり続けています。2000年平均の指数水準が104.0であったのに対して、2011年平均は97.2まで低下しています。加えて、2012年1月の指数は96.6であり、季節要因を考慮する必要があるとはいえ、決して高い水準とは考えられません。所得と消費の関係は単純ではなく、恒常所得仮説が正しいとしても、毎月勤労統計でいうところの「所定内給与」なのか、所定外給与を含めた「きまって支給する給与」なのか、また、ボーナスも含めた現金給与総額はどうか、などは実証的な問題と私は考えていますが、いずれにせよ、1月の毎月勤労統計調査の所定内給与が前年同月比でプラスになった結果を見て、「賃金下落に歯止めがかかった」とまで拙速な結論に飛び付くエコノミストは少ないのではないか、と私は受け止めています。

民主党案による国会議員歳費削減率

最後に、国家公務員給与の7.8%削減法案が可決されました。4月からこの先2年間の雇用者所得に何らかのネガティブな影響を及ぼすものと私は予想しています。なお、私は本省課長ですから報道によれば削減率は▲10%を超えそうなんですが、東京新聞のサイトから引用した上の画像では、民主党が検討している国会議員の歳費削減案では、議員特権のひとつとして批判されていて、使途の報告義務のない文書交通滞在費まで含めると▲9%程度の削減率になるそうです。本来のテーマから外れてつまらぬことを書いてしまいましたが、いずれにせよ、毎月勤労統計には教員などの例外は別にして、いわゆる役所に勤める公務員は調査対象にしていませんので、統計には公務員給与の削減はほとんど現れません。

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2012年3月 5日 (月)

木曜日に発表されるGDP統計2次QEは大幅な上方修正か?

今週3月8日に2011年10-12月期GDP速報改定値が内閣府より発表されます。必要な経済指標がほぼ出尽くし、各シンクタンクや金融機関などから2011年10-12月期の2次QE予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。もっとも、2次QE予想ですから、1次QEからの修正点をアッサリと取りまとめたリポートも少なくありません。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートがダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別画面が開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研▲0.4%
(▲1.6%)
今般の法人企業統計等を織り込んで改定される2011年10-12月期の実質GDP(2次QE)は、設備投資投資と公共投資がいずれも上方修正
みずほ総研▲0.3%
(▲1.1%)
昨年10-12月期のマイナス成長はあくまでも供給制約による一時的なものに過ぎず、今年1-3月期は前期の落ち込みの反動もあって、年率+2%を超えるプラス成長になると予想している。
ニッセイ基礎研▲0.2%
(▲0.8%)
設備投資は1次速報では前期比1.9%と5四半期ぶりの増加となっていたが、2次速報では前期比5.1%と大幅に上方修正されるだろう。
第一生命経済研▲0.1%
(▲0.4%)
今回の法人企業統計の増加幅は、他の設備投資関連指標と比べても強さが際立っており、違和感が拭えない。実態としての設備投資はそこまで増加していなかった可能性が高い。
三菱総研▲0.1%
(▲0.6%)
上方修正の主因は民間企業設備投資の増加である。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.1%
(+0.3%)
GDPがプラス成長へと修正されるのは、需要サイドの統計である法人企業統計の結果を受けて、GDP統計ベースの設備投資が1次速報値の前期比+1.9%から同+6.4%へと、大幅に上方修正されると見込まれるためである。
伊藤忠経済研+0.1%
(+0.4%)
法人企業統計の設備投資については、他統計との不整合があまりにも大きいため、内閣府が推計方法の変更や修正で対処する可能性あり。

要するに、先週発表された法人企業統計に従って、民間設備投資が大きく上方修正されることから、GDP成長率も上方修正される可能性が高いと、私を含めて多くのエコノミストは受け止めています。ただし、上の表のヘッドラインにもいくつか収録しましたが、法人企業統計の設備投資には違和感を覚えるエコノミストも少なくありません。すなわち、鉱工業生産指数の資本財出荷などと照らし合わせて、昨年7-9月期までは実感よりも低く、10-12月期は逆に実感より極めて高い、と見なす意見が多くあります。私も同じ意見を持っています。年平均などでならして見れば、ひょっとしたら、違和感は大きくない可能性もありますが、四半期データで見る限り、サンプル替えに伴う断層に起因する以上に大きなデコボコを感じます。いくつかのシンクタンクでは、第一生命経済研のように、明示的に疑問を呈しつつも、この点は不問にして機械的に予測を出しているようですが、伊藤忠商事経済研のように、GDPを推計する内閣府において何らかの推計方法の変更で対応する可能性を指摘するケースもあります。また、逆に、ニッセイ基礎研のように恣意的な推計方法の変更に否定的な意見を表明する場合もあります。私が記憶している限り、最近では2008年4-6月期の2次QE推計の直前に、リース取引に関する会計基準の改正の影響を除去した系列を利用する旨の公表があり、私のこのブログでも2008年9月12日付けのエントリーで簡単に触れていますが、本日までにこのようなアナウンスはありません。今回は特に、リース会計のように明確な制度的変更ではなく、法人企業統計の信頼性に関する問題ですので、恣意的な推計方法の変更は可能性が低いと私は受け止めています。ただし、法人企業統計とは別のデータソースが利用可能となった段階で、民間設備投資が大きく修正される可能性は否定できません。

結果として、私自身はニッセイ基礎研ないし第一生命経済研くらい、すなわち、年率で▲1%を下回るくらいのわずかなマイナス成長を見込んでいますが、ホントに機械的に法人企業統計の設備投資を当てはめると、伊藤忠商事経済研のようにプラス成長に転換する可能性も否定できません。やや波乱含みの2次QEです。

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2012年3月 4日 (日)

ブロードウェイバーガーを食す!

ブロードウェイバーガー

今日は昼前から女房が外出し、3学期の期末試験を控えた、もしくは、真っ最中の子供達の昼食を買い求めてマクドナルドに行きました。ビッグアメリカ・シリーズの第3弾ブロードウェイバーガーを頼んでみました。なお、第1弾グランドキャニオンバーガーは1月14日のエントリーで取り上げましたが、第2弾のラスベガスバーガーは食べ損ねたようです。
私はグルメでも何でもないんで間違っているかもしれませんが、大きくて分厚いベーコンがアメリカ的で、クリームチーズソースがニューヨーク的、というか、ブロードウェイ的な印象なのであろうと想像しています。いつもながらのクォーター・パウンドのビーフパティが圧巻です。
最後の第4弾はビバリーヒルズバーガーと予告されており、東海岸しか知らない公務員の私はハリウッドもビバリーヒルズも行ったことはありませんが、もうすぐ始まるようなので食べ逃さないように気をつけたいと思います。

家で食べたんですが、買いに出かけたので、やや無理やりに「お出かけの日記」に分類しておきます。

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ハクエイ・キム Break the Ice を聞く

キム・ハクエイ Break the Ice

ハクエイ・キムの Break the Ice を聞きました。このアルバムはいくつかのバージョンが出ているんですが、私が聞いたのは上のジャケットの通常版です。DVD付きの限定版はアルバム・ジャケットがもう少し正面を向いていたりします。限定版ではなく、通常版ですから、ボーナス・トラックがケチられていたりして、My Foolish Heart は入っていません。すなわち、収録されている曲目は以下の通りです。

  1. Give Us the Sun [Improvisation]
  2. The Icebreaker 1
  3. Winter Festival
  4. Autumn Leaves
  5. Under the Bridge
  6. Mike Nock
  7. Alfie
  8. The Icebreaker 2
  9. Tokyo Traffic
  10. Lost in Newtown
  11. Don't Cry for Me Argentina
  12. The Ice Broken
  13. When You Wish Upon a Star

まず、このアルバムはソロ・ピアノです。私のこのブログでも、それなりに注目していて、ピアノ・トリオで Trisonique を結成し、同名のアルバムを出して、その他の Take Five を収録しているピアノ・トリオのアルバムと併せて、昨年9月4日付けのエントリーで取り上げています。しかし、このアルバムはソロで、このアルバムの後もソロ・コンサートの模様をDVDで出したりしています。残念ながら、私はDVDは見ていません。
傾聴すべきは、アルバムの最初からキース・ジャレットばりのソロ・ピアノで、かなり自由にインプロビゼーションを展開していることです。特に、The Icebreaker の1と2は特徴的です。4曲目と5曲目になって、すべてがキース・ジャレット調ではないと気づかされます。キムはかなり透明な音を出すピアニストなので、ソロは適しているような気もしました。ジャケットがそうだからというわけでもないんでしょうが、リリカルな曲も少なくないものの、全体として、かなり「男っぽい」アルバムに仕上がっています。オススメです。

名前から明らかなように、韓国人の父と日韓ハーフの母を持つピアニストと聞き及んでいます。まったく私は同意しませんが、ブームに乗じて「韓流ジャズの貴公子」なんてうたい文句を見かけました。私はキムのピアノから「韓流」という言葉はまったく思い付きもしません。日本で生まれ育った最近のピアニストとしては、上原ひろみや山中千尋とともに、世界に通用する実力を備えたピアニストです。

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2012年3月 3日 (土)

地震の時は帰宅すべきか、オフィスかどこかにとどまるべきか?

警視庁から都民などを対象にしたアンケート調査結果が発表されています。昨年の東日本大震災の際の行動や震災への備えを尋ねた質問内容です。私が見た範囲で、警視庁のサイトに1次資料を発見できず、日経新聞と朝日新聞のサイトで取り上げられているのは以下の通りです。

昨年の震災当日3月11日の午後は、私は慶応大学の三田キャンパスで経済学だか統計学だかのセミナーに出席していました。地震が発生して地下鉄がストップし携帯電話で連絡も取れず、オフィスではなく出先にいて時間帯も午後の明るいうちでしたし、同じ港区内の近い距離で十分な土地勘もあり役所に戻るよりも自宅の方が近かったですから、1時間ほど歩いて帰宅しました。現時点でもその判断は正しかったと考えています。でも、出先でなくオフィスで仕事をしている時であれば、あるいは、もっと自宅が遠かったり夜遅くになってからであれば、さらに、何らかの方法で家族の安否が確認できていれば、ひょっとしたら異なる判断をしていた可能性はあります。

大震災発生時の交通規制

上は警視庁のサイトから引用していますが、大震災発生時の交通規制を示しています。環7と国道246号線と多摩川に囲まれた黄色い都心部では全面車両通行禁止となり、南北と東については東京都と埼玉県、神奈川県及び千葉県との都県境は都内への出入とも禁止され、西についても紫色の国道16号線を東に入るのは止められて、要するに、東京は封鎖されます。今のところ、自宅及び我が家の構成員の通勤通学先は、すべて環7と国道246号線と多摩川に囲まれた都心部に位置していますので、このような交通規制が敷かれれば、徒歩または自転車で帰宅するしかありません。首都圏直下型地震の確率がどれくらいあるかはまったく専門外で分かりかねますが、昨年の震災から1年を経て、家族でいろいろと話し合っておきたいと思います。

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2012年3月 2日 (金)

緩やかな改善の雇用統計と日銀のインフレ目標からまだ遠い消費者物価

本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、また、総務省統計局から消費者物価指数が、それぞれ発表されました。いずれも1月の統計です。まず、日経新聞のサイトから両統計のヘッドラインを報じた記事を引用すると以下の通りです。

失業率、1月は4.6%に小幅悪化 求人倍率は改善
総務省が2日発表した1月の完全失業率(季節調整値)は前月比0.1ポイント悪化し、4.6%となった。厚生労働省が同日発表した有効求人倍率(同)は0.73倍で、前月比0.02ポイント上昇した。東日本大震災後に雇用情勢は持ち直しの傾向が続いているが、円高や海外経済の減速の影響により製造業を中心に雇用を調整する動きも出ている。
完全失業者数は305万人で前月よりも9万人(3%)増加。うち女性が120万人で、10万人増えた。「新たに仕事を探し始めた女性が増えたことが失業率の押し上げにつながった」(総務省)という。
厚労省がまとめた1月のハローワークでの職業紹介状況によると、雇用の先行指標となる新規求人数は1.2%増の70万人。製造業では、自動車など輸送用機械で新規求人が増えたが、円高の影響などで電子部品などでは大幅に減少した。新規求人倍率は0.02ポイント増の1.20倍だった。
消費者物価、1月は0.1%下落 テレビなど値下がり続く
総務省が2日発表した1月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、値動きが激しい生鮮食品を除くベースで99.3となり、前年同月比0.1%下落した。マイナスは4カ月連続。テレビや冷蔵庫の値下がりが続いた。
テレビの価格は36%下落した。地上デジタル放送への移行後の販売不振が続き、値下げ競争が広がっている。電気冷蔵庫など家庭用耐久財も8%下落。このほか高速道路料金や宿泊料なども物価下落要因になった。一方、ガソリン価格は4.6%、灯油代は7.1%それぞれ上がったが、上昇幅は前月よりも縮小した。
キャベツ、ホウレンソウなど野菜の値上がりで、生鮮食品を含むベースでは0.1%上昇した。上昇は5カ月ぶり。食料とエネルギーを除くベース(欧米型コア)は0.9%下落した。
総務省が同日発表した2月の東京都区部のCPI(中間速報値)は生鮮食品を除くベースで0.3%下落した。テレビや冷蔵庫など耐久財の価格下落が続いた。
総務省は「このところ原油価格の上昇が続いており、3-4カ月くらい先に影響が出てくる可能性がある」としている。

次に、雇用統計のグラフは以下の通りです。上のパネルから失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。通常、失業率は景気に対する遅行指標、有効求人倍率は一致指標、新規求人数は先行指標と見なされています。

雇用統計の推移

失業率については2011年3月から8月までは震災に伴って調査が実施できなかった影響で、被災3県を除く結果となっていて、被災3県の調査も復帰した9月の統計も少し疑問が残り、やや一貫性なくギクシャクした統計となってしまっていますが、大雑把に、雇用はゆっくりとした動きながら改善の方向にあると考えてよさそうです。もっとハッキリ言えば、現在の雇用統計で量的な動向を把握する限りは改善を示している一方で、質的に decent な職が増えているのか、decent とは見なしがたい非正規の職が増えているのかは、この統計からだけでは明瞭ではありません。雇用の質的な向上が図られるためには、量的にもっと改善が進む必要があるのかもしれません。しかし、昨夜のエントリーに書いたように、円高でダメージを受けた日本企業ですから、雇用の改善は緩慢にしか進まないような気がします。

消費者物価上昇率の推移

消費者物価については上のグラフの通りです。折れ線グラフは、青が全国ベースで生鮮食品を除く総合、いわゆるコアCPI、赤が食料とエネルギーを除く全国のコアコアCPI、グレーが東京都区部のコアCPIのそれぞれの前年同月比上昇率をプロットしており、積上げ棒グラフは全国のコアCPIの」前年同月比上昇率に対する寄与度を示しています。なお、いつものお断りで、総務省統計局では上昇率や寄与度を計算するのに、端数を持った指数を用いていますが、一般には公表されていませんので、私の方では端数を持たない指数を基に上昇率や寄与度を算出しています。グラフを見る限り、コアCPI上昇率がゼロ近傍にまで近づいて来て、その意味でデフレ脱却も視野に入りそうな気がしますが、金融政策当局がインフレ目標を1%にしましたので、デフレ脱却のハードルである物価上昇1%までにはまだ時間がかかりそうです。その意味で金融緩和はかなり続きそうです。

今日発表された政府統計では、緩やかながら雇用の改善が進んでおり、物価もゼロに向かっている現状は確認されたと受け止めています。このまま円安が進んで生産や企業活動の復調が続けば、景気も本格的な拡大基調を取り戻すと期待できます。

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2012年3月 1日 (木)

我が国の企業部門は円高でいかにダメージを受けたか?

本日、財務省から昨年10-12月期の法人企業統計が発表されました。注目の設備投資は被災した生産設備の復旧を中心に増加しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

設備投資7.6%増 震災復旧で3期ぶりプラス
10-12月法人企業統計

財務省が1日発表した2011年10-12月期の法人企業統計によると、金融機関を除く全産業の設備投資は前年同期比7.6%増の9兆9442億円となり、3四半期ぶりに増えた。東日本大震災で被災した生産設備の復旧が中心。全産業の売上高は1.3%、経常利益は10.3%それぞれ減少し、3期連続の減収減益となった。
資本金1000万円以上の企業の仮決算をまとめた。設備投資はほぼすべて国内向けで、新興国向けを中心に好調な海外投資は含まない。
産業別に投資動向をみると、製造業の設備投資は5.7%増。輸送用機械は自動車製造設備の復旧などで3期ぶりに増えた。化学もインフルエンザワクチン工場などの投資を拡大した。鉄鋼は円高などの不透明感から投資を抑えた。
非製造業は8.6%増。コンビニエンスストアが出店を増やしたほか、建設業による工事用船舶の購入が増えた。
設備投資(ソフトウエアを除く)は前期比では季節調整済みで11.9%増。5期ぶりのプラスで、財務省は「企業の設備投資に明るい兆しがみられる」と判断した。
今回の結果は内閣府が8日に発表する10-12月期の国内総生産(GDP)改定値に反映される。

続いて、法人企業統計のヘッドラインとなる売上高、経常利益、設備投資のグラフは以下の通りです。上のパネルが売上高と経常利益、下が設備投資で、いずれも縦軸の単位は兆円、影をつけた部分は景気後退期です。季節調整済みの系列をプロットしていますので、上に引用した報道と少し印象が異なる可能性があります。

法人企業統計の推移

統計のヘッドラインについての評価は難しいところなんですが、私は少しネガティブに受け止めています。設備投資は季節調整していない原系列の前年同期比も、季節調整済みの系列の前期比もともにプラスなんですが、引用した記事にもある通り、震災復旧の要素が大きいのであれば、そのまま受け取るのも少し抵抗があります。いずれにせよ、製造業を中心に円高がジワジワと企業部門にダメージを与えている可能性を憂慮しています。昨夜のエントリーでも強調しましたが、非製造業も含めて、我が国の企業収益への円高のダメージは無視できない水準に達しつつあると私は考えています。

労働分配率と損益分岐点の推移

法人企業統計のヘッドラインとは別に、インプリシットに計算できる指標を2点ほどグラフにプロットすると上の通りです。労働分配率と損益分岐点です。労働分配率は人件費を分子に置き、経常利益と減価償却と人件費の和で除して比率を出しており、他方、損益分岐点比率は人件費、減価償却費、支払利息等を固定費としてカウントし、大雑把に、売上から固定費を除いた比率として算出しています。いずれも、コンポーネントが季節調整していない系列ばかりですので、後方4四半期移動平均でならしています。昨年中は震災が1-3月期の終わりころに発生し、かなりイレギュラーな動きを示しているのは確かですが、損益分岐点はかなり明瞭に下げ止まりそうな動きを示している一方で、労働分配率もかすかに低下の兆しを見せています。

2009年度1人当たり県民所得

法人企業統計を離れて、昨日、内閣府から2009年度の県民経済計算が発表されています。いつも注目されるのは1人当たりの県民所得なんですが、上のグラフの通り、リーマン・ショック直後の景気の大きな落ち込みの中で、東京都が大幅に減少しつつもダントツの首位はキープし、目を下位県に転じると、沖縄が最下位を脱して高知と入れ代わっています。全国平均は279万円くらいですから、京都府と三重県の間あたりに位置します。

最後に、再び法人企業統計に戻ると、来週発表のGDP10-12月期2次QEの設備投資は1次QEの前期比+1.9%増から大幅に上方修正される可能性が高いと私は考えています。1次QEの際のGDP成長率は前期比▲0.6%のマイナス成長でしたが、このマイナス幅はかなり大きく縮小され、場合によってはゼロ近傍まで引き上げられると予想しています。なお、シンクタンクなどの2次QE予想については来週にでも日を改めて取り上げる予定です。

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今日は女房の誕生日!

今日は女房の誕生日です。忘れないうちに記念日の日記をエントリーしておきます。めでたいとご賛同の向きは下のジャンボくす玉をクリックして割って下さい。

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