商業販売統計に見る消費の増加はうるう年要因か?
本日、経済産業省から2月の商業販売統計が発表されました。私の重視する消費のヘッドラインとなる小売業販売額は季節調整していない原系列で見て前年同月比+3.5%増、季節調整済みの系列で前月比+2.0%増と、どちらで見ても力強く増加しました。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
2月の小売業販売額、3カ月連続増加
経済産業省が29日に発表した2月の商業販売統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比3.5%増の10兆7730億円となり、3カ月連続で増加した。エコカー補助金の効果で自動車販売が好調だった。飲食料品や医薬品、燃料小売業も好調だった。
大型小売店の販売額は同1.2%増の1兆4651億円で2カ月ぶりの増加。百貨店は気温低下による春物衣料の苦戦で同0.4%減少したが、野菜の相場高や飲食料品の好調でスーパーの販売額が同2.0%増えた。
コンビニエンスストアの販売額は同8.8%増の7082億円。増加は5カ月連続。麺類・パン類や菓子・ソフトドリンクが好調だった。たばこ販売やチケット類の取り扱いも増えた。
次に、いつもの商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の前年同月比増減率を、下は季節調整済みの系列をそのまま、それぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期です。
2月の消費が増加した要因は景気の回復もさることながら、引用した記事には何も触れられていませんが、うるう年要因が大きいと私は受け止めています。もっとも、うるう年要因だけではありません。例えば、単純に1日増えて 1/28 は+3.5%増になりますので、この影響をモロに受けるのは食料品です。しかし、新聞購読料のように日数によらず月極めで決まる消費もあります。ですから、うるう年要因だけでしたら、+3.5%を下回るハズですので、実績として+3.5%増はうるう年要因を上回る増加であると考えるべきです。また、季節調整にうるう年調整のオプションが入っているかどうか調べていないんですが、前月比で+2.0%はかなり大きいと受け止めています。
ただし、単純な計算ではそうなるものの、中身を調べると自動車の寄与が大きくなっています。エコカー補助金による政策効果なんですが、前年同月比で見て自動車小売業の寄与が大雑把に+2.5%あり、これを除くと+1%増そこそこの増加に過ぎません。このエコカー補助金も来年度半ばに財源が底をつく計算だそうですから、その後の反動が気にかかるところです。
前々からの私の主張ですが、エコカー補助金や家電エコポイントなど、個別の財に対する補助金で消費の底上げを図るふりをしてポーズを取りつつ、実は、製造事業者に補助金を出す政策はもうヤメにして、雇用、特に若年層の雇用の拡大により消費を増加させる方向に政府の目が向かないものでしょうか?
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