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2012年3月27日 (火)

今年の新入社員は「安定性」より「やりがい」重視か?

この時期の恒例となっている明治安田生命の「新入社員アンケート調査」の結果が昨日の3月26日に公表されています。昨年のこの時期は震災直後でしたので、比較対象が2年前になってしまう場合もあるんですが、今年4月の新入社員の就職先選びは「安定性」から「やりがい」重視に変化が見られるようです。まず、リポートから最初のサマリー3項目を引用すると以下の通りです。

明治安田生命「新入社員アンケート調査」
会社選びは「安定性」より「やりがい」!半数近くが「地元就職」!
今年の新入社員は、「役職にはこだわらない平和主義」タイプ
理想の上司 男性は2年連続「池上彰」さん!女性は3年連続「天海祐希」さん!

3項目のサマリーに従って、リポートからいくつかグラフを引用しつつ、簡単に紹介したいと思います。

就職先を選んだ理由

まず、上のグラフは就職先を選んだ理由について、トップ10項目を引用しています。3項目までの複数選択です。なお、11位以下は「運」、「コネ」等々と続きます。リーマン・ショック後の不況からしばらく「会社の安定性」がトップを占めていたんですが、今年は「仕事のやりがい」が「会社の安定性」を抑えてトップに来ました。10%ポイント近い差があります。明らかに、会社よりも仕事で選んでいる傾向が現れており、別の問「勤める会社に対してどのように考えますか」に対する回答でも、「一生同じ会社に勤める」の比率が減少して、逆に、「自分に合わなければやめたい」の比率が増加しています。ただし、「一定の実力がついたら転職」という回答は減っています。

働き方のタイプとめざす役職

次に、働き方のタイプとめざす役職に対する回答は上のグラフ通りです。働き方としては、理想主義や成功主義が減って、平和主義や忠実主義のタイプがジワリと増加しているのが見て取れます。仕事より会社を選び、いわゆる終身雇用を望むタイプが多かったころは、職場内の良好なコミュニケーションを保ちつつ、ストレスの少ない環境で長期間働きたい、という平和主義や忠実主義タイプが多かったのも理解できますが、やりがい重視の職場選びが増えると、より攻撃的なタイプもラグを伴って増加に転じる可能性が否定できないと私は受け止めています。というか、少なくとも、今年の結果を見る限り、職場選びと仕事のタイプは整合的ではありません。目指す役職についても同じことが言えますが、会社ではなく仕事を選ぶ傾向がありますから、仕事のタイプほどではないと認識しています。

理想の上司

続いて、このアンケート調査のひとつの売り物である理想の上司は上のグラフ通りです。見れば明らかですが、上のパネルが男性上司、下が女性上司です。これも、それぞれ、トップ10までを引用しています。理想とする男性上司・女性上司とも「頼もしい」がトップのイメージに来ています。エコノミストとして、このあたりは解説や評論のしようがありません。

新入社員の意識調査に関連して最後に、今日、私の席に回覧されて来た週刊「東洋経済」の p.9 「経済を見る眼」の大竹教授と pp.148-49 の「コンパス」の山田教授は期せずして、高齢層ばかりが優遇されて若年層に厳しい現政権の姿勢を批判するコラムを掲載しています。実に、私が従来から主張し、先週3月21日付けの「若年者の就職について政府の会議で議論されなかった重要ポイントは何か?」でも取り上げた論点と基本的な考え方は同じでした。エコノミストの間では世代間不平等の議論はコンセンサスを得つつあるように見受けられます。

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