鈴木光司『エス』(角川書店) を読む
鈴木光司『エス』(角川書店) を読みました。かの有名な『リング』のシリーズの最新刊であり、先週に封切られた映画映画「貞子3D」の原作です。一応、知らない人のために書いておくと、『リング』のシリーズは1990年代の日本を震撼させた超有名なホラー小説です。ハリウッドで映画化されています。『リング』、『らせん』、『ループ』の3部作に加え、短編集の『バースデイ』をはさんで、本作『エス』はシリーズ5作目の最新刊です。『バースデイ』までは角川ホラー文庫に収録されています。まず、出版社のサイトから本の内容紹介を引用すると以下の通りです。
あの呪いが復活する! 映画「貞子3D」原作が登場!
映像制作会社に勤める安藤孝則は、ネット上に公開されたとある映像を解析することに。その映像とは、男が自身の自殺を中継した衝撃の映像だった。その日から孝則の周囲では奇妙なことが起こり始める!? 今、"S"の呪い
以下、このパラグラフは
さて、私の理解が進まないのは、この作品『エス』は明らかに『リング』と『らせん』に続く作品であるんですが、3部作最後の『ループ』との関係です。すなわち、『エス』は『ループ』とは特に関係を持ちません。『リング』と『らせん』に続いて『ループ』と『エス』がそれぞれ独立して存在するという関係に私には見えます。ただし、本作品『エス』は文句なく時代をかなり下っていることは明らかであり、その意味で、『ループ』で打ち止めになりそうだったシリーズが、別系統の『エス』で新たな継続性を持たされたように私は受け止めています。この作品で高山竜司は2次元の世界から3次元にいる安藤孝則にパソコン画面を通じてメッセージをよこしましたが、その中で「1次元に行く」という趣旨の発言を残しています。ひょっとしたら、1次元から高山竜司が最後に3次元世界に対してメッセージを送るシリーズ最終作がある可能性は否定できません。それはそれで楽しみだったりします。
引用にある通り、映画「貞子3D」が本作の出版と時期を同じくして封切り公開されています。今月末の中間テスト後にでも見に行くかどうか、我が家のホラー小説評論家である下の子と相談したいと思います。
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コメント
はじめまして自分もリングシリーズのファンです
いきなりですがループとの関連性はあると思いますよ
ループの世界から蘇った高山が柏田になって世界を救う活動をしたのではないでしょうか?
エスの最初の部分で柏田があたかもバーチャル世界だと知っているような描写がありますし
投稿: リング | 2012年6月 2日 (土) 03時55分
もちろん、同じ作者の同じシリーズですから、「関連性」はあります。でも、『エス』は『ループ』の続編ではありません。その意味で、独立です。
投稿: 官庁エコノミスト | 2012年6月 2日 (土) 18時42分
確かにその意味ならループとは繋がってないですね
また続編でそうですよね?
最後の木原の最後らへんのセリフで作者からの予告かなと思ったのですが
投稿: リング | 2012年6月 3日 (日) 15時28分
まったくお説の通り、いかにも続編がありそうなんですが、この『エス』と映画の「貞子3D」の売行きにも大きく依存するというのがエコノミストの観点です。
投稿: 官庁エコノミスト | 2012年6月 3日 (日) 17時00分