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2012年5月30日 (水)

フェルディナント・フォン・シーラッハ『罪悪』(東京創元社) を読む

フェルディナント・フォン・シーラッハ『罪悪』(東京創元社)

フェルディナント・フォン・シーラッハ『罪悪』(東京創元社) を読みました。前作『犯罪』が話題になった作者ですが、誠に残念ながら、私は前作は読んでいません。まず、出版社のサイトから内容紹介を引用すると以下の通りです。

内容紹介
罪人になるのは簡単なのに、世界は何も変わらない。──ふるさと祭りの最中に突発する、ブラスバンドの男たちによる集団暴行事件。秘密結社イルミナティにかぶれる男子寄宿学校生らの、"生け贄"の生徒へのいじめが引き起こす悲劇。何不自由ない暮らしを送る主婦が続ける窃盗事件。弁護士の「私」は、さまざまな罪のかたちを静かに語り出す。「このミステリーがすごい!」第二位など、年末ベストを総なめにした『犯罪』に比肩する傑作!

解説するまでもないと思いますが、一応、「年末ベストを総なめにした」のはあくまで同じ作者の『犯罪』であって、この『罪悪』ではありません。念のため。次に、この『罪悪』は短編集なので、収録されている15編の短編のタイトルを上げると以下の通りです。

  • 「ふるさと祭り」
  • 「遺伝子」
  • 「イルミナティ」
  • 「子どもたち」
  • 「解剖学」
  • 「間男」
  • 「アタッシュケース」
  • 「欲求」
  • 「雪」
  • 「鍵」
  • 「寂しさ」
  • 「司法当局」
  • 「清算」
  • 「家族」
  • 「秘密」

ドイツ人弁護士である著者の1人称の視点からさまざまな犯罪、あるいは、この本のタイトルから示唆されているように、犯罪に至る前の段階の何らかの「罪悪」を取り上げています。弁護士の視点なんですが、弁護する加害者だけでなく、被害者や何らかの意味で巻き込まれてしまった関係者の視点も含めて、一方的な見方を廃して、世間一般から少し距離を置いた見方を提供しています。犯罪や犯罪に至らない「罪悪」を通して人間を描き出しているといえます。また、原文は見ていませんし、ドイツ語は理解しないんですが、邦訳の文体を読む限り、ミニマリストのような研ぎ澄まされた文章です。表現も抑制されていると感じられるんですが、短い文章に表現すべき内容は過不足なく盛り込まれています。

繰返しになりますが、私はこの作者の前の話題作『犯罪』は読んでいませんが、この『罪悪』については、万人に勧めるべき本ではないものの、一定の年齢に達した大人の読書子に対して、気分転換の意味で手に取ることをオススメしたいと思います。

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