景気動向指数から景気回復を確認する!
本日、内閣府から3月の景気動向指数が発表されました。ヘッドラインとなるCI一致指数、先行指数とも前月より上昇し、統計作成官庁である内閣府は基調判断を「改善」に据え置いています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
景気一致指数、2カ月連続改善 3月96.5
内閣府が9日発表した3月の景気動向指数(2005年=100、速報値)によると、景気の現状を表す一致指数は96.5となり、前月比1.3ポイント上昇した。改善は2カ月連続。エコカー補助金を追い風に自動車の生産、販売が好調だったことが主因。数カ月先の景気を示す先行指数も3カ月連続で改善した。
内閣府は基調判断を「改善を示している」として前月から据え置いた。
一致指数では現時点で公表されている10指標のうち8指標が改善した。自動車の好調によって商業販売額や鉱工業生産財出荷指数がプラスに寄与。東日本大震災からの復興需要を背景に有効求人倍率や鉄骨など投資財の出荷指数も上昇した。
景気の先行きを示す先行指数は0.6ポイント上昇の96.6だった。3月の株価上昇や消費者心理の好転が寄与した。内閣府は先行きについて「4月は市場関連の指標が悪化しており、欧州など海外経済や原油価格の動向を注視する必要がある」としている。
次に、いつものグラフは以下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下はDI一致指数を、それぞれプロットしています。影を付けた部分は景気後退期です。
3月のCI一致指数に対する寄与を見ると、小売の商業販売額、中小企業出荷指数、鉱工業生産財出荷指数などのプラスの寄与が大きい一方、テレビの売れ行き不振に起因する鉱工業生産財出荷指数がマイナスに寄与しています。CI一致指数の3か月後方移動平均は3か月連続で、7か月後方移動平均は6か月連続で、それぞれ上昇を記録していますし、「CIによる景気の基調判断」の基準に照らしても、内閣府が「改善」と基調判断するのは当然です。
ただし、昨夜のエントリーでも強調しましたが、3月くらいまでは、エコカー補助金の復活による消費の増加、ようやく復興需要が顕在化した公共投資の増加、がそれぞれ寄与している部分が大きく、家電エコポイントや地デジ移行の終了したテレビが景気の足を引っ張ったことに示されているように、政策効果で需要が水膨れしている可能性があります。一時的な政策効果だけでは設備や雇用などに結び付いて、さらに景気拡大が継続する可能性が高まりません。政策効果から持続的な内需主導の景気拡大への転換がスムーズに図られるかどうかに今後は着目すべきです。
現在の我が国の景気は、昨年の震災やタイ洪水などの供給制約からの回復初期の段階を終え、さらに、2月から3月にかけての円安による輸出拡大の時期を終え、持続的な景気の拡大につながるかどうかの段階に差しかかっています。景気局面に関しては、ひとつの注目点だという気がします。
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