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2012年5月25日 (金)

マイナス幅が拡大した東京都区部の消費者物価は全国の先行指標か?

本日、総務省統計局から消費者物価が公表されました。4月全国と5月東京都区部です。ヘッドラインとなる生鮮食品を除く総合、いわゆるコアCPIの前年同月比上昇率は全国が+0.2%の上昇を示した一方で、東京都区部は▲0.8%下落しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。ただし、青字で下線を引いた「4月」は「5月」の誤植だと考えてよさそうです。

5月の全国消費者物価、3カ月連続プラス 震災の反動色濃く
総務省が25日発表した4月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、生鮮食品を除く総合が前年同月比0.2%上昇の100.2だった。プラスは3カ月連続。原油高を背景にガソリン価格などが上がり、エネルギー全般で5.3%上昇した。前年の同時期に東日本大震災の影響が大きく出た反動が見られるが、総務省では足元の変動幅は比較的小さいことから「横ばいの動き」とみている。
エネルギー価格では、ガソリンが4.2%上昇したほか、電気代が6.6%上がった。震災によって広がった自粛ムードで前年同月に落ち込んだ宿泊料は2.1%上昇。昨年7月の地上デジタル放送への完全移行が迫って価格が下がったテレビは8.1%上昇した。
一方で、震災の影響で昨年4月に大きく上昇した卵やヨーグルトといった、生鮮食品を除く食料は0.3%下落した。生鮮食品を除く総合の上昇幅は前月と同水準にとどまった。
野菜価格の高止まりは続き、生鮮食品を含む総合は前年同月比0.4%上昇の100.4だった。食料とエネルギーを除くベース(欧米型コア)は0.3%下落の98.9と、09年3月以来3年1カ月ぶりの下落幅にとどまった。前月(0.5%下落)からも下落幅は縮小したが、震災の影響の反動があることから、「今後の動向をみていく必要がある」(総務省)。
先行指標とされる東京都区部の4月のCPI(中旬の速報値、10年=100)は、生鮮食品を除く総合が99.1と前年同月比0.8%下落。前月(0.5%下落)から下落幅は0.3ポイント広がった。地デジ化を前に昨年4月に下がった薄型テレビの価格が、同5月には品薄感から上昇し、その反動が出た。前月に比べるとエネルギー価格の上昇幅が縮小したことも影響した。

次に、いつもの消費者物価のグラフは以下の通りです。青い折れ線グラフが生鮮食品を除く全国コアCPI、赤が食料とエネルギーを除く全国コアコアCPI、グレーが東京都区部のコアCPIのそれぞれの前年同月比上昇率です。積上げ棒グラフは青の全国コアCPIの前年同月比上昇率に対する寄与度をプロットしています。色分けは凡例の通りです。すべて季節調整していない原系列の前年同月比上昇率であり、いつものお断りですが、統計局では指数は小数点以下1位までしか発表していない一方で、上昇率は小数点2位以下の端数を持った指数で計算しており、以下のグラフは指数に従った計算結果ですので、統計局発表の上昇率とは微妙に異なっている可能性があります。

消費者物価上昇率の推移

今日のCPIの発表で最大の関心は、全国コアCPIが今年2月からプラスに転じている一方で、東京都区部が4月5月とマイナス幅を拡大したことです。要するに、全国と東京の乖離が生じており、消費者物価に関する一般的な経験則である「東京都区部が全国に先行する」という関係が成り立つか、すでに崩れているのかどうかです。
上に引用した報道などから、統計局では昨年の震災の反動に伴うイレギュラーな動きと見ているようですが、特に定量的な根拠のない私の直感では、イレギュラーな動きに加えて、全国が高すぎる一方で東京が低過ぎる、という結論です。例えば、日経QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、4月の全国コアCPI上昇率は+0.1%だったんですが、統計局の結果は+0.2%でした。微差ではありますが、やや高い印象があります。逆に、東京では価格下落の大きい耐久財は全国よりもウェイトが小さいながら、帰属家賃の下落が全国よりも大きくなっているなど、一般的に、サービス価格の下落がより大きく出ています。本来であれば、東京都区部を包含する全国が政策のターゲットとなるんですが、私の直感ではこの全国と東京の間のどこかに解があるような気がしてなりません。

政府は「月例経済報告」で、日銀は「金融経済月報」で、それぞれ景気判断を進めて、特に、日銀は引締め政策への傾斜を強めているように私は受け止めています。景気判断としては私は間違っていないと考えるべきですが、物価の現状については全国だけで考えるのではなく、東京都区部のCPIについても考慮する必要はあるんでしょうか、ないんでしょうか。政策運営が微妙な段階に差しかかっているだけに、私は少し懸念しています。

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