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2012年5月28日 (月)

横澤利昌『老舗企業の研究 [改訂新版]』(生産性出版) を読む

横澤利昌『老舗企業の研究 [改訂新版]』(生産性出版)

横澤利昌『老舗企業の研究 [改訂新版]』(生産性出版) を読みました。我が国に現存する100年以上の歴史を有する老舗企業5000社にアンケート調査を実施し、約600社から得られた回答を基に、また、海外の老舗企業の分析から、上の表紙にあるような「先義後利」や「不易流行」などのキーワードを抽出し、それなりの経営学的な分析を試みています。そもそも、我が国には歴史の長い企業が少なくなく、例えば、昨年2011年11月21日付けの東京商工リサーチのプレス記事「2012年(平成24年)に創業100年を迎える企業 -シャープ、大正製薬など全国で1,960社」では、今年2012年に創業100年を迎える企業はシャープ、大正製薬、JTB、ヤンマーなど、2012年が年号代わって大正になったこともあり、有名企業が目白押しです。
ただし、内容として経営学的に疑問に感じる点もあり、例えば、もっとも重要な観点は伝統と革新の関係なんですが、そのあたりは読んでいてごまかされているような印象を持ちました。これで正しく記述されているのであれば、経営学というのもかなり底の浅い学問だという気がしますが、少なくとも、私が2年間出向していた地方大学の経済学部では、別の観点からエコノミストの私にも理解できるというか、批判すらできるレベルでの学問的追求がなされていました。私が思うに、科学的な研究とは、観察された事実から演繹または帰納されて、より一般的な法則性のようなものが抽出され、最後に観察された事実に基づいて実証されるという段階を踏むんですが、この第1段階である観察結果だけを集めても、それなりの読み物にはなるわけで、その意味で、この本はケーススタディを集めた労作である面が強いという気もします。逆に意地悪な見方をすれば、私のようなシロートから見ても納得できるような経営戦略を老舗企業のケーススタディから抽出するのには成功しているとは言い難いともいえます。ただし、これは私のレベルが低過ぎるのかもしれません。いずれにせよ、経営の指南書としては有益かどうか疑問で、私のようなシロートから見て、ありきたりな内容だという気がしないでもありませんが、歴史のある老舗企業の個別のケーススタディを集めたデータベースとしては興味深いファクト・ファインディングにあふれていると受け止めています。特に、私のような専門外の一般ピープルではなく、取り上げられているような老舗企業の関係者には大いに訴えるものがあるような印象を持ちました。また、最後の方は老舗企業をファミリー・ビジネスと捉えて、近代的な会社組織と対比させています。疑問がないでもありませんが、所有と経営の分離という観点は希薄です。分離せず一致している利点も少なくないということなんでしょう。コーポレート・ガバナンスの観点からは、プリンシパルとエージェントが一致していれば何の問題も生じませんから、それはそれで理解できます。しかし、一般的なガバナンスにおける解ではあり得ません。

有名無名の老舗企業の多くが経営的な観点から誉め称えられています。100年200年と生き残っているんですから、経営的に汲み取るべき教訓は数多くありそうです。それ以上に、老舗企業に関する雑学的な興味も大いにそそられます。それはそれで重要な知的好奇心です。従って、経済評論の日記ではなく、読書感想文の日記に分類しておきます。

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