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2012年6月 6日 (水)

震災後1年で日本人の原発に対する見方は変化したか?

昨日、ピュー・リサーチ・センターから "Japanese Wary of Nuclear Energy" と題して、震災後1年において原発などに関する日本の世論がいかに変化したかの調査結果が発表されています。日本の調査機関では正面切って聞きにくい質問もあったりして、とても興味深い結果がいくつか見られます。国際機関や海外情報を取り上げるのは私のこのブログのひとつの特徴ですので、グラフととともに簡単に紹介したいと思います。

More Want to Reduce Nuclear Power

まず、原子力発電については、上のグラフの通り、「現状維持」と「増加」がほぼ半減し、「減少」が70パーセントを占めるようになりました。ある意味で当然ですが、福井県の大飯原発の再稼働でなされているような議論を聞く限り、単純な原発の要不要ではなく、夏場などの電力需給ひっ迫時の原発の必要性に関して、一時的にしても原発を稼働させるか、生産や生活が犠牲になる可能性があっても節電を強化するか、あるいは、別の何らかの電力供給源を探るのか、さまざまな議論が深まることが望まれます。

Japan's Economic Future

次はエコノミストの興味の範囲で、日本経済の先行きに関する質問に対して、昨年の震災後に悲観論が高まったんですが、震災後1年を経て悲観論は完全に後景に退き、震災前と同じように「現状維持」が約半分を占める状態に戻りました。日本経済の先行き見通しについては、震災の影響は払拭された可能性が高いと受け止めています。

Self Defense Force Well-Regarded

次に、震災とその後の復興の過程で株を上げたのは自衛隊です。上のグラフの通りです。わずか30パーセントながら、野田総理が入っていたりします。自衛隊を "positive" と評価する割合は10年間で20ポイント増加しています。他方、東電が4パーセントしか評価されていないのは当然ですが、意外とメディアの評価が低くなっています。

Most Think Food Near Fukushima Not Safe

最後に、食品の安全性に関する質問、"Do you think foods produced near the Fukushima Daiichi nuclear plant are safe from radioactive contamination or not safe?" に対する質問の回答が上のグラフの通りとなっています。我が国のメディアや研究機関ではこういったズバリの質問はしにくいような気がします。結果も興味深く受け止めています。

グラフは引用しませんが、政府の復興努力に対して、支持が37パーセントにとどまる一方で、不支持は60パーセントに上っています。分かるような気がします。

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